ハーレムでハブられてるけど、一番愛してる自信ある!

珈琲きの子

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第二章

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 ――バカらし。


 中世の宗教画から出てきたような白い髭を生やしたジジイとそれに諂う数人の若い奴等が興奮に目の色を変えているのを眺めて、俺は思った。

 俺が魔王を倒すために召喚された勇者なんだってよ。笑える。

「さてさて、ハヤト様。早速ですが、神から頂いたチートを教えて頂けませんか」
「はぁ? チート?」

 どう考えても友好的ではない俺にジジイが話しかけてくる。空気を読む気はなさそうだ。
 俺があからさまに怠そうに返事をすると、そいつらは顔を見合わせてざわついたが、白髭ジジイが咳一つでその場を治めた。

「そうでありましたか。ハヤト様はご存知ない方・・・・・・の勇者様なのですな。では、説明いたしましょう」

 ジジイが言うにはステータス画面にギフトスキル所謂チートが載っているらしい。

「歴代の勇者様は『ステータスオープン』と唱えておられました」
「は?」

 唱える? どんな罰ゲームだ。
 ただ単にゲームのメニュー画面みたいなものを想像すりゃあいいんだろ。『想像する』という感覚が教えられなくとも自分の中にあるのが薄気味悪い。
 ステータス画面を思い浮かべると、目の前に宙に浮いた透過ウィンドウが現れる。

【ハヤト クサカベ(20)】
種族   人
職業   勇者
レベル  12
HP   2850/2850
MP   1567/1567
STR  83
VIT  66
……

 攻撃力や防御力などの数値が並ぶが、その数字がどう反映されるのか分からない。俺は適当に流して、サッとジジイが口にしたスキルの所までスクロールした。

【ギフトスキル】
光魔法  Lv.-
鑑定   Lv.MAX+α
無詠唱発動
魔力操作補正
身体能力補正
魔法LV限界突破


(転移)
(異世界転移)

 ずらりとスキル名が並ぶ。流石勇者()。最後の2行には灰色の文字で『転移』と『異世界転移』とある。今のところ使用不可か。

  で? いつ俺が勇者として魔王を倒すことに同意した?

「魔王討伐って、俺がやる必要あんの?」

 ジジイは変わらず髭を撫で笑みを湛えていたが、心の中では俺の事を罵ってんだろうな。

「そう思われるのも無理はない。ただ、勇者様のスキルには『異世界転移』というものがございまして、魔王討伐後に解放されるのです。ですから――」
「あー、はいはい。戻るためには選択の余地なしと」
「…恐れ入ります。もちろんこの世界を気に入って頂いた折には、この世界こちらでの生活は保障いたしますゆえ、ハヤト様にとっても悪い話ではないでしょう」
「ふーん」

 悪い話じゃない? クズいな。同じ土俵に立ってない時点で俺に良い話なんてない。

「――で、報酬は?」
「…はて…?」
「元の世界に戻る場合の報酬だ。おまえが言ったのはここに住む場合の報酬だろ」
「その事でございますか。それであれば、ハーレムを用意してございます」

 ジジイの口許にニタリとした隠し切れない下品な笑いが漏れた。『ハーレム』=勇者が手放しに喜ぶもの、とでも思っているのか。思わず嗤いが漏れる。

「ハーレムね。で、他は?」
「…他、と申しますと、」
異世界こっちの女を元の世界あっちに連れ帰っていいのかよ?」
「それは…そのですな…」

 ごにょごにょと歯切れの悪い理由を並べるジジイ。後ろに控える奴等も汗を垂らしながら引き攣った顔に必死に笑みを作っている。
 完全に俺の意志は無視して召喚しておいて、こっちの世界の奴には事情があるから無理? ふざけてやがる。

「こっちの金で報酬貰っても、あっちでは使えねぇ。ハーレムもこっちでしか楽しめねぇとか、なぁ舐めてんの?」
「……かしこまりました。ではハヤト様に納得いただけるような品を用意致しましょう」
「出発までに頼むぜ? 先に見せてもらわねぇとやる気でねぇから」

 俺が偉そうにできるのは魔王討伐まで。そのぐらいは頭の悪い俺でもわかる。もらえる報酬をぶんどってさっさと帰ればいい。幸い『異世界転移』は自分で発動できるからな。

「そのように手配しましょう」

 白髭のジジイが部下に何か託けたのち、「私は準備がございますので」と一礼して退出した。
 
 めんどくせぇ。

 だが、めんどくさいからこそ、さっさと魔王を倒す。あっちもそれを願ってるんだろう。こんなやつらの願いに応えるのは癪だが、駄々を捏ねる時間も無駄だ。
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