ハーレムでハブられてるけど、一番愛してる自信ある!

珈琲きの子

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第二章

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 「ハーレムのメンバーとお会いして頂きます。先鋭揃いですから、気に入って頂けるかと」

 と、軟禁されていた部屋の続き部屋に通され、そこで待つように言われる。しばらくするとハーレムメンバーが神官に連れられ、列になって入って来た。

 先頭は雰囲気は柔らかそうでいて、胸だけやたらと強調している、計算高そうな王女。
 二番目は皆からちやほやとされていたことが窺える、自分が美人だと疑わない、気の強そうな聖女。
 三番目は騎士として誇りを持っているのが滲み出てきている、頭が固そうな女騎士。
 四番目は「皆友達だよ!」とでも言いたげに気軽に手を振ってくる、頭が弱そうな猫獣人。
 最後は……サイズの合わない草臥れた服を着た使用人の男だった。

 自己紹介など必要ないが、神官がそいつらに促す。俺が適当に聞き流して、適当に返事をしていると、
 
「ハーレムの人間はハヤト様のものです。どう扱って頂いても構いません。ご自由に親睦をお深め下さい」

 と神官は意味深に耳うちし、雑用係と紹介された男を連れて部屋を出て行った。
 手を出した時点で契約成立、か。
 確かに美人が揃ってれば、手を出したくなるのもわかるが、異次元にいるような宇宙人とヤル気が全く起きねぇ。
 
 そういうモーションはあったが手を出す気さえ起きなかった俺は、女共の若干自慢の入ったとりとめのない話を聞かされることになった。それは出発前夜まで続くことになる。うんざりだ。
 
 
 結局、魔王退治の報酬は人ひとりと元の世界でも金になりそうな宝石。
 回答を先延ばしにされなかっただけ良しとした。別に報酬が欲しかったわけじゃねえ。ごじゃごじゃと理由をつけて丸め込んで来るかどうかの確認だった。


 大神殿で出立式というものを盛大にやり、魔王討伐の旅に出た。
 神殿を出てすぐ、確かにゲームの世界に飛び込んだような、そんな雰囲気を味わった。
 多国籍の文化が雑多に混じり合った街並みと剣や杖を平然と持ち歩く人々。全く以て現実味がない。
 パーティメンバーでさえも、全く情が湧いてこないのだから、俺がこの世界には向いてなのは確かだ。
 いつの間にか合流して「流石ですね、勇者様」と何かにつけて媚びを売ってくる雑用係はかなり鬱陶しかった。神殿の手先か、それとも監視か。

 ギルドで依頼を受け、森に入れば女騎士が先導を切る。

「あれだ」

 女騎士が指さしたモンスターは……兎もどき。
 モンスターとはいえ兎を殺せと。あぁ?

「ラビトルと言う下級モンスターですわ」
「全く失礼よね。勇者と冒険初心者を一緒にしないで欲しいわ」
「ホントホント、ハヤトを何様だと思ってるのニャ?」
「依頼分を早く済ませて、ハヤトに剣の使い方に慣れてもらうとしよう」
「そうね」

 勝手に話を進めるな。
 俺は全くそういったのが無理なタイプだ。剣道を齧っていたが、動物や人間を斬るためにやってたわけじゃない。こういうのが平気な奴を召喚しろ。この、くそヤロー共。

 さっさと魔王を、と思いつつ手にかけたが肉を断つ感触が手に残り、吐き気がする。ダセぇ、と思いながらもこれはどうすることもできない。ただ克服する必要性を全く感じねぇがな。
 
 雑用係は目敏く俺が食事をとっていないのを見つけて、少しは腹に入れろと果物を手渡してくる。「またマズいんじゃないだろーな」と気持ち悪くなった時の保険として睨みつけておいた。
 しかし、その見た目がみかんのような果物には酸味はなく、すっきりとした甘さのスポーツドリンクのような味だった。不本意だが手を差し出すと、雑用係は俺の表情を窺いながらも薄皮で包まれた実を一つ一つと手に乗せてくる。

 だが、三つ四つ食べたところで、装備を整えた女共が目を吊り上げて、その果物を家畜が食べるものだと言い始めた。俺に渡してきていた雑用係もそれを知っていたらしい。顔を青くして、全く誤魔化しにもならない言い訳をしながら俺の手から奪うようにして取り上げた。

 家畜が食べるようなものを喜んで食べてる俺を見て、内心ほくそ笑んでたのか?

「こいつ。雑用もできないんじゃん」

 信頼は失墜。睨みつけ、怒りと昨日からの苛立ちをそいつにぶつけた。

「あの雑用係がハーレムの一員って言うんだからびっくりよね」

 聖女がそう言った。あいつに対する俺の態度に気を良くしたのか、マウンティングが始まった。当の雑用係は少し離れてトボトボとついてきている。当然だ。神殿に突き返してやろうか。

「本当ですわ。あんなのと相性がいいなんて信じられない」
「相性?」
「あれ? ハヤト教えてもらってないのニャ?」
「ハ―レムにはハヤトの魔力を基準として相性のいい者が選ばれているのだ」
「あんな者を寄越すなんて、エスペルダも知れたものだわ」
「そうよねー、もっとふさわしい人がいるはずなのに。ハヤトに恥をかかせたいのかしら」

 なんであんな奴が、という女の醜い会話は街を出るまで続いた。
 あの男もあの男だが、この女共も大概だ。こんなのと相性がいいのか? 俺の性格が悪いのか? いや、悪いか。俺にはちょうどいいかもな。

 だが、本当にあいつは使えない。全く戦闘には参加せず、木に隠れては嵐が通り過ぎるのをただ待っているだけ。なに守られる側になってんの?、って。俺は嫌でもモンスターを斬らないと前に進めないっていうのによ。くそ、むかつく。
 ご機嫌取りだけは欠かさずにしてくる男を日々睨みつけた。
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