好きなだけじゃどうにもならないこともある。(譲れないのだからどうにかする)

12.

　ミラヴェルは一度皇都へ戻ってから、鉱夫へ伝えた言葉を言葉だけで終わらないようにすべく、メリルを呼び寄せて纏まり切れていない思考をひたすら口にした。ミラヴェルの場合は頭で考え続けるよりも口にした方が整理しやすいのだ。
　人の手を弄りながら相槌を打つだけだったメリルは、「なるほど」と笑う。
「緊急事態とか怪我人が出た時とか、何をすべきか決めておくのが良いと思うんだよ。スムーズに対応することで被害を少なく出来るだろうし、早期復旧も目指せるんじゃないかな？」
「僕もそう思うよ。それは鉱山業だけじゃなくてどの分野でも同じだし」
「うん。鉱山業は危険があるし、崩落を察知した時にはどう周囲に知らせるとか対処すべきか、救護方法とか、色々考えられることは多いと思う」
　自分で言いながら、ようやくしたいことが整理出来てくる。
　緊急事態発生時の対応計画を策定し、それに伴う必要物資の検討をしたい。知識がなくても誰でも対応出来るような体系作りが必要だ。
　ミラヴェルの意見にメリルは賛成し、そこから鉱山業の実態や鉱山でのリスクなどを洗い出し、実験的に計画を策定した。メリルからのアドバイスもあり、一月で何とか形に出来た。ひとまず様子を見て、効果を見極め、ブラッシュアップしていく。