好きなだけじゃどうにもならないこともある。(譲れないのだからどうにかする)

かんだ

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14.好きなだけじゃどうにもならない(r-18)

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 ミラヴェルがメリルの後継問題に向き合うため、まずは会話でメリルを説得しようと試みた。一日の公務を終え、後は寝るだけの時分だ。ベッドに入り、メリルの腕の中で「ねえ」と声を掛ける。
「なに?」
「メリルは、後継とか本当に考えてないの?」
「ないよ。ミラとの子どもが作れるってなるなら本気で考えるけど」
「でもメリルの子どもなら絶対優秀だよ。絶対可愛いし」
「そうかもね」
「……後継さ、本気で、考えようよ。俺とじゃなくて」
 緊張して声が震えた。ここからメリルがどのような反応をするかは分からない。緊張に心臓を逸らせながら待っていれば、強引に顔を上げさせられる。
「何か言われた?」
「……そりゃあ、まあ。メリルは、魔法使いだし、天才だし」
 嘘を吐いても意味がないことは本当のことを伝える。どこまでメリルが把握しているか知らないが、突然後継問題を口にした理由は察せられるだろう。
「馬鹿馬鹿しい。優秀だからって優秀な子どもが生まれるとは限らない。たかだか血筋だけで立派になれるほど甘くない。こっちは死ぬほど努力しているんだよ。努力しての今だ」
「うん、知ってる」
 メリルは天才だと、女神様の生まれ変わりだと言われるが、それに見合うだけの努力をしている。
「ミラとの結婚が許されたのは、僕の魔法使いとしての根幹がお前だからだよ。皇帝は僕がミラ以外と結婚して魔法使いとしての力を失うことよりも、僕が魔法使いとして在ることを選んだ。直系の皇族は僕以外にもいるし、僕と同じ母を持つ弟妹もいる。当時の議会で承認も得た上で、ミラと結婚したんだよ。それなのに、今更僕に対して後継問題を出すのはおかしいだろ」
「そうだけど」
 自分たちが結婚するために何度も皇帝や議会と話し合い、結果的に許された。
 頭では分かっているが、周囲の心情を思うと突っぱねることも出来ない。それだけ、メリルという人間は優秀だから。
「ミラ、人は環境で大きく変わる。例え素質を持っていても環境が劣悪であれば宝の持ち腐れだ。万が一お前ではない奴との子どもが生まれたとしたら、僕はそいつを誰よりも蔑むよ」
 真っ直ぐ見下ろしてくる瞳は真剣そのものだった。
「実の父に蔑まれ疎まれ死ねと言われ続ける子どもが、国の頂点に立てるほど優秀な人間になれるとでも? 愛がなければ開花出来ない魔法使いになれるか?」
「……でも、きっと、可愛いよ」
 ミラヴェルがそう答えれば、メリルは荒々しいキスをしてきた。呼吸もままならないそれに苦しくなる。
「ゔ……っん」
「ミラ以外にキスしても我慢出来るの?」
「……」
 メリルはミラヴェルの答えを求めていないようで、キスをしながら服を脱がしにきた。唾液で濡らした指を後ろの穴に挿れられ、驚いて体が跳ねる。愛撫というよりも拡張するための動きだった。
「ひっ、ぁ、あ」
 一本、二本、三本と増やされ、拡張される。昨夜も繋がったばかりだからか時間が掛かることはなかった。下半身をくつろげたメリルは、ミラヴェルの両足を左右に開かせると奥まで挿し込むように腰を押し進めた。
「~~っ!!」
 衝撃に耐えられず、目の前がチカチカと光る。
「ミラヴェル、息して」
 言われて、詰まっていた呼吸が弱々しく再開する。メリルが弱く腰を振り始めた。
「こうやって、他の奴を抱いても、我慢出来るの?」
「あぁ、あ、あ」
「ちゃんと、想像しろ」
 奥まで挿れて、抜いてを繰り返される。強い快感が押し寄せるが、ゆっくりな動きのせいで理性を手放すまではいかない。おかげで嫌でもメリルが言うシーンを生々しく想像してしまう。
「子を作ると言うことは、こうやって、お前を抱くように、他の女を抱くってことだぞ」
「ゔ、ぁ、あ、めりる、は、性格が、ひ、ぐ……わるい」
 瞬間的に涙が溢れる。我慢なんか、出来るわけがない。でも我慢しなければならないのだ。平然とした態度を保たなければならないのだ。メリルだって全て分かっているくせに。
「お前の方が、性格が悪い。僕を愛していると言いながら、種馬扱いしてくるんだから」
「っそん、な、そんなつもり、じゃ、ない゙」
「泣くな。自分で言った言葉に、責任を持て」
「ゔぅ、ひ、っぐ、あぁ」
「僕を種馬扱いするなら、それを突き通せよ」
 その後は、何も考えられないくらい、頭がバカになるくらい抱かれた。翌朝目覚めた時にはメリルの姿はなく、一日中顔を合わせることはなかった。……結婚してから初めてのことだった。
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