247 / 310
強者討伐 失われた武器
246 ベテラン冒険者 2
しおりを挟む
朝から見る人物に三人は少しばかり硬直していた。
「貴方達が、アレスの婚約者たちね」
「は、はい。ミーア・シルラーンです」
「パメラ・スト……ヘーバイン」
「メアルーン・バセルトンですわ」
「これはご丁寧に、私はアルル。アレスの四番目の婚約者よ」
あまりにも気持ちの悪いことを言われ、俺は喉を詰まらせる。
冗談にしてもきつすぎるだろ?
どうするんだよこの空気。三人とも完全に凍りついているだろ……ミーアたちは、一旦カップを置こうか、溢れているから。
衝撃的すぎる言葉に、動揺してか入っていた紅茶が周りに飛び散っていた。
「はぁはぁ……おっさん、アホなことを言うな!」
「あら、ヤダ。一緒に寝た中なのに、今日は一段とつれないわね」
俺が怒るものの、悪びれる様子を全く見せずに、さらりと気色の悪いことを言ってくる。
これからミーアたちに付きそうってことなんだろうが……こんな奴で本当に大丈夫なのか?
ヘーバイン公爵のお墨付きなんだろうが……先行きは不安だ。
「まさか……アレス様が?」
「おかしいと思ったんだ……私達に手を出さないのはそういうことだったんだ」
「非常に残念なことですわ」
「おかしいのはお前らの頭の中だ! こいつの冗談に惑わされるな!」
アルルのおっさんは、あの時の仕返しのつもりか?
誤解を解くだけで二時間も無駄な時間を使ってしまい、その間もずっとアルルは何がそんなに面白いのが、ガハハと完全におっさんになっていた。
それからは育成の日々が始まった。ロイたちには、まず基礎訓練が行われている。
俺の時とは違い、あのベールが文句の一つも言わずレフリアの指示をちゃんと聞いていた。
それが口を出すと、ロイたちの態度は一変し、スミアもランもぷいっと顔を背けている。
「随分と嫌われたものね。アンタはこれから、ダンジョンに行くのでしょ? こんな所に居ていいの?」
レフリアは、口元を隠しているが、バレバレなんだよ。
こいつ上手く懐柔したな……ちがうか、俺を悪者にすることで引き込んだのか?
何でも良いか、コイツラがちゃんと生きていけるのなら。
「アレス様。あまりご無理をなさらないでください」
「ああ。ちゃんとここに帰ってくるよ」
「アレスさん」
「こら、やめろ。お前はまたそうやって……」
「アレス様。お帰りが遅くなればなるほど、お帰りになった時にどうなるのかをよく考えてくださいませ」
「あ、ああ。わ、分かっている。けど二週間……十日……一週間……五日」
「では、五日過ぎると罰ということで、よろしいですわね?」
俺は三人に見送られるまでは良かったのだが……メアリの言う罰とは一体?
できるだけ早く帰ることを念頭に置き、ローバン領の東部にある、上位種のいるダンジョンへと向かった。
* * *
一週間、二週間と月日は経ち。
アレスが再びここに戻ってくるまで子供たちの訓練を中心に時間が過ぎていく。
パメラは、バーストの魔法を止め、槍からはライトアローを使うようになり、メアリと共に魔法の強化を進めていた。
ミーアとスミアは、回復魔法に力を入れていた。これはアレスからの提案によるもので、この人数であれば十分役に立つと言われていた。
ベールとランはアルルから近接の特訓を受けていた。
ハルトやレフリアが参加して、複数戦を想定したものと多様な戦術を経験していく。
レフリアは、ブレイブオーラを使えるものの、ハルトに比べて能力値の上昇は低い。そのため防御魔法を優先にして、ハルトが常に最前線で戦えるように習得を始める。
それでも限界はすぐにやってくる。
アークの提案で、アトラスとイリーシャによる強化訓練に皆が弄ばれる。
今月も残す所あと一週間。
「それじゃ、みんな。行くわよ」
レフリア達は、ダンジョンへ入っていく。
「貴方達が、アレスの婚約者たちね」
「は、はい。ミーア・シルラーンです」
「パメラ・スト……ヘーバイン」
「メアルーン・バセルトンですわ」
「これはご丁寧に、私はアルル。アレスの四番目の婚約者よ」
あまりにも気持ちの悪いことを言われ、俺は喉を詰まらせる。
冗談にしてもきつすぎるだろ?
どうするんだよこの空気。三人とも完全に凍りついているだろ……ミーアたちは、一旦カップを置こうか、溢れているから。
衝撃的すぎる言葉に、動揺してか入っていた紅茶が周りに飛び散っていた。
「はぁはぁ……おっさん、アホなことを言うな!」
「あら、ヤダ。一緒に寝た中なのに、今日は一段とつれないわね」
俺が怒るものの、悪びれる様子を全く見せずに、さらりと気色の悪いことを言ってくる。
これからミーアたちに付きそうってことなんだろうが……こんな奴で本当に大丈夫なのか?
ヘーバイン公爵のお墨付きなんだろうが……先行きは不安だ。
「まさか……アレス様が?」
「おかしいと思ったんだ……私達に手を出さないのはそういうことだったんだ」
「非常に残念なことですわ」
「おかしいのはお前らの頭の中だ! こいつの冗談に惑わされるな!」
アルルのおっさんは、あの時の仕返しのつもりか?
誤解を解くだけで二時間も無駄な時間を使ってしまい、その間もずっとアルルは何がそんなに面白いのが、ガハハと完全におっさんになっていた。
それからは育成の日々が始まった。ロイたちには、まず基礎訓練が行われている。
俺の時とは違い、あのベールが文句の一つも言わずレフリアの指示をちゃんと聞いていた。
それが口を出すと、ロイたちの態度は一変し、スミアもランもぷいっと顔を背けている。
「随分と嫌われたものね。アンタはこれから、ダンジョンに行くのでしょ? こんな所に居ていいの?」
レフリアは、口元を隠しているが、バレバレなんだよ。
こいつ上手く懐柔したな……ちがうか、俺を悪者にすることで引き込んだのか?
何でも良いか、コイツラがちゃんと生きていけるのなら。
「アレス様。あまりご無理をなさらないでください」
「ああ。ちゃんとここに帰ってくるよ」
「アレスさん」
「こら、やめろ。お前はまたそうやって……」
「アレス様。お帰りが遅くなればなるほど、お帰りになった時にどうなるのかをよく考えてくださいませ」
「あ、ああ。わ、分かっている。けど二週間……十日……一週間……五日」
「では、五日過ぎると罰ということで、よろしいですわね?」
俺は三人に見送られるまでは良かったのだが……メアリの言う罰とは一体?
できるだけ早く帰ることを念頭に置き、ローバン領の東部にある、上位種のいるダンジョンへと向かった。
* * *
一週間、二週間と月日は経ち。
アレスが再びここに戻ってくるまで子供たちの訓練を中心に時間が過ぎていく。
パメラは、バーストの魔法を止め、槍からはライトアローを使うようになり、メアリと共に魔法の強化を進めていた。
ミーアとスミアは、回復魔法に力を入れていた。これはアレスからの提案によるもので、この人数であれば十分役に立つと言われていた。
ベールとランはアルルから近接の特訓を受けていた。
ハルトやレフリアが参加して、複数戦を想定したものと多様な戦術を経験していく。
レフリアは、ブレイブオーラを使えるものの、ハルトに比べて能力値の上昇は低い。そのため防御魔法を優先にして、ハルトが常に最前線で戦えるように習得を始める。
それでも限界はすぐにやってくる。
アークの提案で、アトラスとイリーシャによる強化訓練に皆が弄ばれる。
今月も残す所あと一週間。
「それじゃ、みんな。行くわよ」
レフリア達は、ダンジョンへ入っていく。
0
あなたにおすすめの小説
転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
26番目の王子に転生しました。今生こそは健康に大地を駆け回れる身体に成りたいです。
克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー。男はずっと我慢の人生を歩んできた。先天的なファロー四徴症という心疾患によって、物心つく前に大手術をしなければいけなかった。手術は成功したものの、術後の遺残症や続発症により厳しい運動制限や生活習慣制限を課せられる人生だった。激しい運動どころか、体育の授業すら見学するしかなかった。大好きな犬や猫を飼いたくても、「人獣共通感染症」や怪我が怖くてペットが飼えなかった。その分勉強に打ち込み、色々な資格を散り、知識も蓄えることはできた。それでも、自分が本当に欲しいものは全て諦めなければいいけない人生だった。だが、気が付けば異世界に転生していた。代償のような異世界の人生を思いっきり楽しもうと考えながら7年の月日が過ぎて……
称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!
えながゆうき
ファンタジー
妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!
剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる