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第1章 沢田くんと恋の予感
沢田くんと購買3
しおりを挟む【どうしようかな……ここは佐藤さんの消しゴムだけ買って、また次の休み時間におじさんを買いにくる? でも次の次って確か体育だから、着替えとかしてたら時間がなくなりそうだし、第一面倒だ……。くそ、こんな時に俺は何やってんだ! おじさんがついてるシャーペンなんかを見つけてしまうなんて、運が悪すぎる! 俺ってヤツはいつもそうだ──修学旅行でみんなが芸能人を見つけて騒いでいる時に一人だけUFO見つけたり、肝だめしでみんなが人魂が出たーって騒いでいる時に一人だけ河童見つけたり……! 運が悪すぎるんだよ、いつもいつも!】
沢田くんはものすごく葛藤している。
運が悪いどころか、そんなレアな瞬間をゲットできてる沢田くんはすごいと思うんだけど。
っていうか、このおじさんはUFOや河童の括りなのね。たしかに、UMAっぽいっちゃぽいな。
私がいるから沢田くんはおじさんを買うのをためらっているんだなと思うと、申し訳ない気持ちになってくる。
そうだ。
だったら、今買っても大丈夫な空気にしてあげればいいんじゃない?
「あっ。何それ、超可愛い!」
私はわざと明るい声を出しておじさんを指さした。
沢田くんの肩がビクッと縦に揺れる。
「おじさんつきシャーペンだって。可愛いなあ、超欲しい!」
「えっ……」
沢田くんは意外そうな目をして私をチラ見した。
【可愛い? 佐藤さんもこのおじさんが気になるの? 俺だけじゃなかったんだ、こんな変なの欲しがるの】
変なのっていう認識はあるようで、とりあえずホッとする。
「買っちゃおうかな? あ、でもちょっと恥ずかしいかな? 沢田くんはどう思う? こんなの欲しがるなんて、おかしいと思う?」
私は上目遣いで沢田くんに聞いてみる。
「……【おかしくないよ、全然おかしくない! 俺も欲しいし! ……って、言えよ、バカ! なに無言になっちゃってんの。今おかしくないって言っておけば、買うためのハードルがめっちゃ下がるんだぞ! さーわーだーくーん!! もしもーし、聞いてますかあ⁉︎】」
テンションの高い心の声とは裏腹に、沢田くんは冷めた顔つきで「ううん」と首を振る。
「どのおじさんがいいと思う? やっぱり土下座かなあ?」
「【いやあお嬢さん、お目が高いね。俺もそれがいいと思ってたんだよーーー!!!】……うん」
私は笑いを堪えながら、土下座のおじさんを手に取った。
よし、あともう一押し。
「うーん、やっぱり一人で買うの恥ずかしいから、沢田くんも一緒に買わない? 私、こっちの飲んだくれにするから、沢田くんは土下座の方でどう?」
沢田くんの瞳がちょっぴりキラキラとし始める。
「【ええええーーっ! 俺が土下座もらっちゃっていいのっ⁉︎ マジで⁉︎】……うん【あああ、ありがとうありがとう佐藤さんっ。゚(゚´ω`゚)゚。】」
私は手に取った土下座のおじさんを「はい」と沢田くんに渡した。
ほわほわな空気を沢田くんから感じる。
沢田くん、喜んでいるみたい。良かった。
笑いながら飲んだくれのおじさんを手に取ろうとしたその時だった。
沢田くんがボソッと、心の中で呟いた。
【佐藤さん……マジ天使】
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