沢田くんはおしゃべり

ゆづ

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第1章 沢田くんと恋の予感

沢田くんと森島くん

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 まあ、そんなわけで沢田くんの中ではいろいろあったけど、注文は無事にタブレットで済ませることができた。

「ドリンクバーの飲み物取ってくるね。沢田くんは何にする? ついでに持ってきてあげる」
 私が立ち上がると、沢田くんもすぐに立ち上がった。
「いや……【その役目は俺が!! 佐藤さんは座ってて】」
「えっ?」

 びっくりして沢田くんの顔を見たら、凛々しい目と目が合った。

「あ……えっと……俺が行く」
「う、うん……ありがとう」
 私はドキッとしてそっと腰を下ろした。
「どれ……?【飲み物何がいい? 佐藤さん】」
「じゃあ私はアイスティーで!」
 沢田くんは了解というようにうなずいた。

【やったー! ちゃんと言えたぞ、俺スゲエええええ!! 見てた? おじさん! あ、学校に置いてきたんだった】

 そんなことを思っているなんて全く分からないカッコよさで沢田くんはドリンクを取りに行く。
 沢田くん、一応私のことを女子だって意識してくれているのかな?
 もしもそうなら、すごく嬉しいけど。

 ヘラヘラしそうになる頬を両手で押さえ、何気なくドリンクバーの様子を見た時だった。

「あれ? 沢田じゃね?」
 ドリンクバーで、沢田くんがまさかの人物と遭遇していた。
【あっ……森島くん】

 学校帰りでフラフラしてる同級生、イケメン白王子こと森島くんだ。
 そういえばこの二人が話してるの、初めて見た。

「なんだ、沢田もこんなとこ来たりするんだ? え、今ヒマ? あっちに女の子いるけど、一緒に来ない?【こいつがいるとムカつくけど女子が喜ぶかも】」

 森島くんが指したテーブル席には、見知らぬ女子が二人で森島くんの方を向いて手を振っていた。制服は私と同じだから他のクラスの子かな? 一年の時の知り合いなのかも。森島くんは交友関係が広いから繋がりが分からない。

 沢田くん、なんて答えるんだろう⁉︎
 私はドキドキしながら、耳に全神経を集中させて彼の小さい声を拾おうとする。


「……いい。【知らない人と話すの、無理!!!((((;゚Д゚)))))))】

 うん。だろうね。とは思った。

「遠慮すんなって。結構可愛い子たちだよ? 沢田のタイプかも。【どうせこいつは置物みたいに何もしゃべんないだろうから俺のトークの引き立て役にちょうどいいや】」

 もう、森島くん最悪。何もしゃべらない沢田くんを使って自分がモテようとするなんて小狡いな!

 さあ、どうする沢田くん! 相手は沢田くんを道具として利用するつもりだよ! ガツンと言ってやって!!
 って言っても、沢田くんだからガツンと言うのは無理だよね……。

 沢田くん、押しに弱いから連れていかれちゃうかも──なんて最悪の場面を思い描いてフライング落ち込みした時だった。

 沢田くんがキリッとした顔で、森島くんを睨み返しながら言った。



「行かない。俺には佐藤さんがいるから」


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