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第1章 沢田くんと恋の予感
沢田くんと森島くん2
しおりを挟むい、今……沢田くん、なんて言った?
『行かない。俺には佐藤さんがいるから……』???
私は驚きすぎて開いた口が塞がらなくなった。
信じられない。沢田くんが……あの沢田くんが──
三語文以上しゃべったなんて……!!!
いや、そうじゃなくて。
私がいるからって森島くんにキッパリと断ってくれたことが、嬉しすぎて信じられない……!
心臓がドキドキして息が止まっちゃいそうだよ!
「佐藤さん? 杏里ちゃんのこと?【なんで沢田が杏里ちゃんと】」
森島くんは美人の佐藤杏里ちゃんのことだと思ったのか、驚きの表情を浮かべた。でも沢田くんはすぐに首を横にふる。
「え。じゃあ麻由ちゃん?【まさかそっち?】」
今度はからかうように笑った森島くんだけど、沢田くんはまたすぐに首を振る。
「え? じゃあ……【あとはあの地味な子しか思いつかないけど、下の名前なんだっけ】」
森島くんは相変わらず失礼だ。すると、
「……佐藤景子さん【杏里ちゃんとか麻由ちゃんって誰?】」
って、沢田くんも結構失礼なこと考えてた!
沢田くんの斜め前の席の人と、斜め後ろの席の人の名前くらいは覚えよう!
「えええーっ? 二人で来てんの? 沢田、佐藤さんみたいな【地味な】子が好きなの⁉︎【意外だなー。どこがいいんだろ】」
きゃああああ!!!
ちょっと森島くん、何を沢田くんに聞いてるのーっ!!
好きだとか、好きじゃないとか。そんなことはまだ沢田くんの中でも固まっているわけがない。私たちはそんな関係じゃない。
分かっていても、聞きたくない。
そうだ、耳を塞いで何も聞かなければいいんだ。
そう思って耳を塞ごうとした瞬間だった。
「は……?【何言ってんだろ、この人。俺が佐藤さんのことを好きだって?】」
沢田くんが思い切り眉間に皺を寄せた。森島くんがビビって愛想笑いをする。
「あ、悪い。そんなわけないよな。沢田と佐藤さんじゃ釣り合い取れないか。【睨まれてる。こえー】」
「うん」
沢田くんは当然、というようにうなずいた。
私はショックで、下を向いた。
釣り合い取れない。そうだよね、私と沢田くんじゃ……。
やばい、涙出そう。ちょっと自惚れていたのかな?
沢田くんが、私のことを好きだなんて──ちょっとでも勘違いしてたのかな……。
なんだか恥ずかしい。穴があったら入りたい。
体が震えてきたその時──沢田くんの声がした。
【まったく失礼な。佐藤さんは天使ですよ。俺みたいなゴミと同等に扱うことが間違い。ましてや佐藤さんを好きだなんて、俺が思ったりすること自体おこがましすぎ! 月と便所コオロギぐらいの差があるのに! マジありえない、佐藤さんに謝れ! 五体投地ーっ!!_( _´ω`)_ペショ】
なんだよもう!!
便所コオロギが急に愛おしくなってきたわ!!
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