沢田くんはおしゃべり

ゆづ

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第3章 沢田くんと炎のドッジボール

沢田くんと抜擢

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【ドッジボールには嫌な思い出しかない。そう、あれはたしか小4の頃……。俺は何故かクラスの人気者の花井くんに一対一で勝負を挑まれ、負けたらみんなの前で変顔をさらせと言われてしまった。俺はコートの中を逃げて逃げて逃げまくり、たまたま転がってきたボールを拾って、無我夢中で投げた。それがなんか奇跡的に花井くんに当たっちゃって、花井くんが変顔を披露することに。あの時の花井くんの変顔、マジですごかった……! みんなは大爆笑してたけど、俺は感動して泣いちゃったんだよな。いやー、マジですごかったなーあの顔。全然覚えてないけど】


 覚えてないんかーい!
 花井くん、せっかく変顔したのに、かわいそう。


【もうあんな思いをするのは嫌だな……。そもそも人と戦ってボールをぶつけ合うなんて無理。休んじゃおうかな、スポフェス】


 優しい沢田くんはそんなことを考えていた。
 けれども、残念ながらそうはいかなかった。


 帰りのホームルームの時間になり、学級委員が作ってきたくじでチームを分けようとした時、森島くんが手を挙げてこう言ったのだ。

「チーム分けをする前に、チームのリーダーを決めない? 俺、Aチームのリーダーやるよ! 俺と一緒に戦いたい人、集合~!」

 盛り上げ上手な森島くんの一声で、クラスの半分以上の女子が一気に動いた。森島くんは

【やっぱ俺が一番モテるな】

 と満足そうにニヤニヤ。森島くんはこれが証明したかっただけみたい。
 すると男子の一部がぶうぶうと文句を言い始めた。

「女子ばっかりそっち行ったらバランス悪いじゃん【ちくしょー、森島のやろう調子に乗りやがって!】」
「そーだそーだ!【森島、コロス!】」
「Bチームにも女子をよこせーっ!」

 殺伐とした不穏な空気が教室中に広がった。
 沢田くんはその時、おじさんとおばさんを相手に「どうすれば母ちゃんに怒られずにスポフェスを休めるかな?」と相談していて、彼だけすっかり別次元にいた。
 ところが。


「じゃあBチームのリーダーは沢田にしようぜ!」


 女子を呼び込みたい男子たちが、沢田くんを一気に表舞台へと引きずり出す一言を発したので、私はびっくりして沢田くんを見た。

 沢田くんは見事にキョトンとしていた。


「えっ?【いま、誰か俺の名前呼んだ?(・Д・)】」


 えっ? じゃないよ。
 沢田くん、Bチームのリーダーに推薦されたんだってばよ!!


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