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第3章 沢田くんと炎のドッジボール
沢田くんと勝利のご褒美
しおりを挟む「沢田には絶対負けねえから!」
と森島くんが宣言してから数日経った昼休みのことだ。
「ちょっと聞いて聞いて~【大ニュースだよ~!】」
お弁当を食べるために集まった私たちに向かって、麻由香ちゃんが嬉しそうに笑いながら言った。
「森島くん、今度のドッジでBチームに勝ったら、一番活躍した女子と手繋ぎデートしてくれるんだって~!【そんなん頑張るしかないんだけど!】」
「マジで?【必死だな、森島】」
森島くんに恋する麻由香ちゃんとクール女子杏里ちゃんの温度差がひどい会話を聞きながら、私はいよいよ森島くんが本気を出してきたなと感じていた。
そうまでして沢田くんに勝ちたいか。
沢田くんはすっかり白旗を挙げているというのに、無口で無愛想だから誰にも気付かれていない。
ちなみに沢田くんはリーダーであることも【やだよーっ。゚(゚´ω`゚)゚。】と心の中では拒否っていたけど、大勢の前で発言することにビビって何も言えなかったので、リーダーの役目をドンと引き受けたことになっている。
無言でみんなを引っ張るかっこいいリーダー、沢田空。
Bチームみんなのイメージがそれだ。
中身がひよこだと知ったらみんなはどうするんだろう。
「Bチームにはなんかないの? そういう成功報酬的なやつ」
「手繋ぎデート? ないね」
「やればいいのにね。そうすればもっと盛り上がるのに」
沢田くんと手繋ぎデートかあ。
……想像するだけで鼻血が出そうだ。
でもどうせ沢田くんはそんなことしないんだろうなあ──と思った矢先。
「それいいね! 沢田くんにも約束させよう!」
偶然私たちの会話を聞きつけたBチームの女子集団が現れた!
彼女たちはその足で、お弁当を食べ終えて教室の片隅で一人ポツネンとしていた沢田くんに突撃していった。
だ、大丈夫かな? 沢田くん!
「ちょっと様子見てくる!」
私はお弁当を片付けてすぐに彼女たちの後を追ったけど、沢田くんはすでに女子に囲まれて身動きができなくなっていた。
【これが噂の八方塞がりか……! た、助けてーーっ。゚(゚´ω`゚)゚。】
「……というわけだから、沢田くんも森島くんと同じ条件でいいよね?」
【どうしよう、何が「というわけ」だったのかパニックで全然分からなかった!】
「いいよね、沢田くん」
「……【いいって言えば解放されるのかな?】うん」
私は天を仰いでしまった。
「うん」って言っちゃったよ、沢田くん。手繋ぎデート決定だよ!
沢田くんのバカ。
こうなったら、私が一番活躍するしかない……!
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