電脳世界で美少女はじめました

有栖 璃亜

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第一部 マスター、これからお世話になります

命懸けの住処探し 前編

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「ハァ……」

 俺は今、今まで考えたことのないほどに悩んでいた。
 何故ならば……。

「楽しむ以前に俺ってどこに住めばいいの?」

 まずい、非常にまずい。帰る場所がないということは俺は今ホームレスということだ。
 楽しむ以前にまず仮拠点という名の住処を見つけなければ。

「と言っても、どこかいい所はないのか?」

 俺がこの世界に来たのはついさっきだ。それ故にこの世界の情報や知識は皆無に等しい。
 知ってることといえば、さっき神様が話したこの世界についてだ。

「そんな知識よりも、この世界の常識とかを教えてくれればよかったのに……」

 そして、悩みに悩んででた三つだけ思いついた。

 まず一つ目は、野宿。
 もう住処を見つけるのは諦めてそこらの適当な場所で寝る。
 出来ればこれはしたくないので最終手段。

 次に二つ目は、ゲームのサーバーに入り込んでプレイヤーとして一生過ごす。
 これは、『ここがインターネットの内部世界ならゲームのサーバーにも繋がっているんじゃないか?』という俺の完全なる推測から出た手段だ。
 これも出来ればしたくない。
 ゲームの世界に入るのはゲームプレイヤーが一度は憧れることだが、ゲームの世界で一生を過ごすのは御免だ。
 折角この世界に来たのに魔物などの敵が徘徊しているゲームの世界には行きたくない。
 もし、サーバーに入れたとしても出る方法なんて知らないし、そもそも出られるのかもわからない。

 最後の三つ目は、誰かの家にお邪魔させてもらう。
 これは、誰でもいいのでスマホやパソコンのデータにお邪魔させてもらうという手段だ。
 言い方を変えればコンピューター内への侵入だ。
 犯罪のような言い方だが、俺の中ではこの手段が一番有力かと思っている。

「よし、そうと決まれば早速実行だ!」

 結構簡単なことだと思いながら行動を開始したが、そんなにあ簡単には行かなかった。

「よし、まずはあのコンピューターにアクs……」
『ウイルス/不正なプログラムを検知しました。直ちに処理を開始します』

 アクセスしようとしたら何か文字で見た事あるような言葉が聞こえた。
 何だっけな~……?

「って、そんなことより絶対まずいやつだコレ」

 俺の嫌な予感は的中し、どこからともなく警備員のような姿をした人達が現れてこちらに向かって来た。

『ウイルス発見、処理を開始します』
「うわっ!」

 またも声が聞こえたと思った瞬間に警備員が俺に向かって持っている銃を発砲してきた。
 
 ——わー、レーザー銃だカッコイイなー。

「じゃねぇ! 早く逃げないと……!」

 危機感を感じた俺は入ってきた出入口に向かって走り出す。出入口に向かう途中に俺を逃さないと言わんばかりに警備員が妨害してくる。
 それを俺は飛び越えたり足元の隙間をスライディングで通ったりとでやり過ごしていく。

「パソコン……ウイルス……そうか、これはウイルスバスターか!!」

 俺は警備員が出現していない暇を使ってこれの正体がウイルスバスターであることを解き明かす。

 そうだよね! 自分のパソコンがウイルスにやられないように普通はウイルスバスターを使うよね! 俺だってそうだったからな!

 いつもは頼もしいウイルスバスターがまさか今回は敵になるとはな。

『ウイルス処理、ウイルス処理、ウイルス処理……』
「俺はウイルスじゃねぇぇぇ!!」

 くっそ、こうなったら戦うしかない。少しでも奴らを倒して脱出を楽にしたい。

「よっしゃぁぁ! かかってこいy……」ピュンッ

 今から戦おうと思って拳を構えた瞬間に警備員のレーザー銃が俺の腕をかすった。
 そして、そのかすった腕の部分が

「……ゆ、許して欲しいな?てへっ☆」
『ウイルス処理』
「やっぱり無駄だったぁぁぁ!!」

 やっぱり勝てねえわ。俺の体はデータ。そのデータを消滅させるレーザー銃を持った警備員がうじゃうじゃいるとか無理ゲーだよ、何このクソゲー!?

『ウイルス処理』
『ウイルス処理』
『ウイルス処理』
「いぃぃぃぃやぁぁぁぁ!!!」

 走る、走る、走る、偶に警備員を飛び越えて走る。
 ウイルスバスターはウイルスを処理するための物だから恐らく出入口も間もなく閉じる筈だ。
 
 ——のんびりなんてしていられない……!

 来る時はあっという間に感じたこの通路もこういう時に限って何故か時間が掛かっているような感覚がする。

「見えた!!」

 俺がこのコンピューターに侵入した出入口であるゲートが見えた。
 そのゲートは予想通り段々上からシャッターが降りてゲートを閉じようとしている。

「間に合えぇぇ!!」

 間に合わなければ死。だが、間に合えば助かる。
 こっちの世界に来てからすぐに死ぬなんて展開は絶対に嫌だ。それも、ウイルスバスターに消滅させられたなんていう変な理由なんて死ぬよりも嫌なことだ。

 ゲートの半分が閉まったと同時に警備員がゲートの前に出現する。

「邪魔っ!!」

 俺はその警備員を高跳のはさみ跳びのような飛び方で乗り越える。
 そのままゲームに一直線に走る。

「はぁぁぁぁ!!」

 ゲートが閉まる数秒前に俺はまだ開いているゲートの隙間をスライディングで通り抜ける。
 俺の体の全てがゲートを通り抜けて間もなくゲートは完全に閉じた。

「ハァ……ハァ……助かった」

 これから運悪くウイルスバスターがあるコンピューターに侵入するかもしれないことにガッカリしながら、次のコンピューターへ移動を始めた。
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