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第5話 不器用な優しさ
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辺境の冬は想像以上に厳しい。
朝は吐く息がすぐに白く凍り、夜には薪をどれほどくべても指先がかじかむ。
それでもレティシアは不思議と笑顔でいられた。王都の暖かな屋敷で、何もできぬまま過ごしていた頃の息苦しさに比べれば、この寒さは生命力そのものに思えたからだ。
風見亭での日々にもようやく慣れはじめ、客の好みや厨房の流れをこなせるようになってきたある朝のことだった。
市場で食料を仕入れるために町外れまで行くと、エドガーの姿を見つけた。馬に餌を与えながら、何やら修理をしている。
分厚い革手袋の指先では細かい作業はしにくいはずなのに、その手付きは驚くほど正確だった。
「おはようございます。」
声をかけると、彼はちらりと視線を上げて短くうなずいた。
「ああ。」
それだけ。
相変わらず素っ気ない返事だが、レティシアは慣れていた。
「何をしていらっしゃるのですか?」
「蹄鉄が外れかけている。冬を越えるには危険だ。」
「ご自分で付け直すのですか?」
「鍛冶を呼ぶ余裕はない。自分の馬くらい、自分で整備する。」
淡々と告げる横顔に、彼の真面目さが滲む。
レティシアはその姿に見とれながら、積もる雪を足先で払いのけた。
「すごいですね。そんな器用なこと、私にはできません。」
「できるさ、やる気があれば。」
「うーん……努力してみます。」
そう口にしたとき、彼がふと手を止めた。
「努力だと?」
「はい。何かできなければ、諦めずに頑張ってみようと思って。」
その言葉に、エドガーは短く息を吐いた。雪煙のような白い息が空に溶ける。
「……悪くない考えだ。」
それだけ言うと、また作業に戻る。けれどその声音はほんの少し柔らかくなっていた。
宿に戻る道すがら、レティシアの足が雪穴に取られた。ぐらりと体が傾き、思わず叫び声を上げた瞬間、背後から腕が伸びて腰を支える。
「足元を見ろ。」
「す、すみません……!」
振り返れば、いつの間にか追いついていたエドガー。大きな掌がまだ彼女の腰に触れていて、熱い。レティシアは頬が紅くなるのを止められず、慌てて距離を取った。
「ありがとうございます。……本当に、何から何まで助けていただいてばかりです。」
「気にするな。危なっかしいやつだ。」
「うっ……返す言葉もありません。」
彼の口調は淡々としているのに、なぜだろう、不思議と温かく感じた。
貴族の社交界では、誰もが表面の笑顔でしか接してこなかった。けれど彼は違う。嘘や飾りのない、ただまっすぐな言葉だった。
昼過ぎ、宿の掃除をしていると、マーサ女将が血相を変えて台所から飛び出してきた。
「たいへん! エドガーが外で怪我したって!」
驚いて飛び出すと、外では村人たちが集まっている。
森に仕掛けた罠を確認している最中、倒木に頭を打ったらしい。軽い出血だが、彼の眉の上が切れ、頬には傷が走っている。
マーサが手当をする間、レティシアはそっと薬草と乾いた布を持ってきた。
「私にやらせてください。」
マーサが頷く。
膝をつき、慎重に傷口を拭う。冷たい風の中、彼の体温が指先に伝わってくる。
「黙っていてくださいね、少ししみます。」
「構わん。」
素直な返事。
綿布で血を拭きながら、レティシアは微笑んだ。
「いつも人ばかり守って、自分のことを後回しにする方ですね。」
「気にするな。慣れている。」
「慣れているって……それじゃ駄目です。傷は放っておけば残ります。」
「構わん。誰かに見せるわけでもない。」
その言葉が不意に胸を打った。
――誰かに見せるわけでもない、か。
どれほど孤独な人生を歩んできたのだろう。
「そんなこと、ないと思います。」
レティシアは静かに言った。
「誰だって、あなたが無事でよかったと思う人がいます。……私も、そうです。」
言葉が思ったより強く出てしまった。
エドガーは一瞬、驚いたように目を見開く。返事はなかったが、頬の筋肉が微妙に動いた。
沈黙の中で手当を終えると、彼はゆっくりと立ち上がった。
「助かった。」
短いその言葉には、照れくささのような響きがあった。
その後、彼がいつものように巡回に出ていこうとした時、レティシアは呼び止めた。
「あの!」
振り向くエドガーに、彼女は小さな布包みを差し出す。中には自分の賃金で買った薬草と包帯が入っていた。
「傷に使ってください。次また怪我をしたときいいように。」
「……無駄だ。」
「無駄でも構いません。」
「頑固なやつだな。」
「よく言われます。」
彼が微かに笑った気がした。ほんの一瞬、唇の端が緩んだ。
その笑みを見たのは初めてで、レティシアの心は大きく跳ねた。
夜。
外は雪が再び降り始め、宿の窓からその白さが街灯に照らされて舞っている。
暖炉の前でひとり残りの仕事をしていると、背後から声がした。
「今日の薬、ありがとな。」
驚いて振り向くと、エドガーが立っていた。火の光を背に、彼の眼差しは柔らかく輝き、昼の厳しい表情とはまるで違っていた。
「どういたしまして。」
「お前……王都ではずっと貴族だったんだろう。」
「はい。でも、もう関係ありません。」
「それでも、人のために手を動かせるのは簡単じゃない。強いな。」
「そんなこと……ただ、誰かの役に立てるのが嬉しいんです。」
その一言に、エドガーはわずかに目を伏せた。
しばしの沈黙ののち、彼は小さく呟いた。
「……昔、守れなかった人がいた。」
レティシアは息を呑む。
「その子の命を救えなかった。それ以来、誰かのために手を伸ばすたびに、胸が痛む。守れるものなんて、本当はないのかもしれんな。」
彼の声は雪のように静かだった。
レティシアはそっと立ち上がり、言葉を選ぶ。
「それでも、今日あなたに助けられた人がいます。私も、村の人も。あなたがいなかったら、皆こんなに安心して過ごせません。」
「……そんなふうに思ってくれるのは、お前だけだ。」
「そんなこと、ないと思います。」
彼はわずかに顔を歪めた。それが泣き笑いのようにも見えた。
「……変な女だ。」
「よく言われます。」
二人して笑う。久しぶりに笑った感触が心に残った。
エドガーは踵を返し、扉の前でふと振り向いた。
「お前は、信じることを恐れないのか?」
一瞬だけ迷ってから、レティシアは静かに答えた。
「また裏切られても、もう泣かないと思います。だから――信じます。」
エドガーの瞳にかすかな光が宿る。
その姿を見送りながら、レティシアは胸の奥に温かい灯を感じていた。
それは彼の優しさに触れた証であり、凍てついた時間が少しずつ動き出した証でもあった。
続く
朝は吐く息がすぐに白く凍り、夜には薪をどれほどくべても指先がかじかむ。
それでもレティシアは不思議と笑顔でいられた。王都の暖かな屋敷で、何もできぬまま過ごしていた頃の息苦しさに比べれば、この寒さは生命力そのものに思えたからだ。
風見亭での日々にもようやく慣れはじめ、客の好みや厨房の流れをこなせるようになってきたある朝のことだった。
市場で食料を仕入れるために町外れまで行くと、エドガーの姿を見つけた。馬に餌を与えながら、何やら修理をしている。
分厚い革手袋の指先では細かい作業はしにくいはずなのに、その手付きは驚くほど正確だった。
「おはようございます。」
声をかけると、彼はちらりと視線を上げて短くうなずいた。
「ああ。」
それだけ。
相変わらず素っ気ない返事だが、レティシアは慣れていた。
「何をしていらっしゃるのですか?」
「蹄鉄が外れかけている。冬を越えるには危険だ。」
「ご自分で付け直すのですか?」
「鍛冶を呼ぶ余裕はない。自分の馬くらい、自分で整備する。」
淡々と告げる横顔に、彼の真面目さが滲む。
レティシアはその姿に見とれながら、積もる雪を足先で払いのけた。
「すごいですね。そんな器用なこと、私にはできません。」
「できるさ、やる気があれば。」
「うーん……努力してみます。」
そう口にしたとき、彼がふと手を止めた。
「努力だと?」
「はい。何かできなければ、諦めずに頑張ってみようと思って。」
その言葉に、エドガーは短く息を吐いた。雪煙のような白い息が空に溶ける。
「……悪くない考えだ。」
それだけ言うと、また作業に戻る。けれどその声音はほんの少し柔らかくなっていた。
宿に戻る道すがら、レティシアの足が雪穴に取られた。ぐらりと体が傾き、思わず叫び声を上げた瞬間、背後から腕が伸びて腰を支える。
「足元を見ろ。」
「す、すみません……!」
振り返れば、いつの間にか追いついていたエドガー。大きな掌がまだ彼女の腰に触れていて、熱い。レティシアは頬が紅くなるのを止められず、慌てて距離を取った。
「ありがとうございます。……本当に、何から何まで助けていただいてばかりです。」
「気にするな。危なっかしいやつだ。」
「うっ……返す言葉もありません。」
彼の口調は淡々としているのに、なぜだろう、不思議と温かく感じた。
貴族の社交界では、誰もが表面の笑顔でしか接してこなかった。けれど彼は違う。嘘や飾りのない、ただまっすぐな言葉だった。
昼過ぎ、宿の掃除をしていると、マーサ女将が血相を変えて台所から飛び出してきた。
「たいへん! エドガーが外で怪我したって!」
驚いて飛び出すと、外では村人たちが集まっている。
森に仕掛けた罠を確認している最中、倒木に頭を打ったらしい。軽い出血だが、彼の眉の上が切れ、頬には傷が走っている。
マーサが手当をする間、レティシアはそっと薬草と乾いた布を持ってきた。
「私にやらせてください。」
マーサが頷く。
膝をつき、慎重に傷口を拭う。冷たい風の中、彼の体温が指先に伝わってくる。
「黙っていてくださいね、少ししみます。」
「構わん。」
素直な返事。
綿布で血を拭きながら、レティシアは微笑んだ。
「いつも人ばかり守って、自分のことを後回しにする方ですね。」
「気にするな。慣れている。」
「慣れているって……それじゃ駄目です。傷は放っておけば残ります。」
「構わん。誰かに見せるわけでもない。」
その言葉が不意に胸を打った。
――誰かに見せるわけでもない、か。
どれほど孤独な人生を歩んできたのだろう。
「そんなこと、ないと思います。」
レティシアは静かに言った。
「誰だって、あなたが無事でよかったと思う人がいます。……私も、そうです。」
言葉が思ったより強く出てしまった。
エドガーは一瞬、驚いたように目を見開く。返事はなかったが、頬の筋肉が微妙に動いた。
沈黙の中で手当を終えると、彼はゆっくりと立ち上がった。
「助かった。」
短いその言葉には、照れくささのような響きがあった。
その後、彼がいつものように巡回に出ていこうとした時、レティシアは呼び止めた。
「あの!」
振り向くエドガーに、彼女は小さな布包みを差し出す。中には自分の賃金で買った薬草と包帯が入っていた。
「傷に使ってください。次また怪我をしたときいいように。」
「……無駄だ。」
「無駄でも構いません。」
「頑固なやつだな。」
「よく言われます。」
彼が微かに笑った気がした。ほんの一瞬、唇の端が緩んだ。
その笑みを見たのは初めてで、レティシアの心は大きく跳ねた。
夜。
外は雪が再び降り始め、宿の窓からその白さが街灯に照らされて舞っている。
暖炉の前でひとり残りの仕事をしていると、背後から声がした。
「今日の薬、ありがとな。」
驚いて振り向くと、エドガーが立っていた。火の光を背に、彼の眼差しは柔らかく輝き、昼の厳しい表情とはまるで違っていた。
「どういたしまして。」
「お前……王都ではずっと貴族だったんだろう。」
「はい。でも、もう関係ありません。」
「それでも、人のために手を動かせるのは簡単じゃない。強いな。」
「そんなこと……ただ、誰かの役に立てるのが嬉しいんです。」
その一言に、エドガーはわずかに目を伏せた。
しばしの沈黙ののち、彼は小さく呟いた。
「……昔、守れなかった人がいた。」
レティシアは息を呑む。
「その子の命を救えなかった。それ以来、誰かのために手を伸ばすたびに、胸が痛む。守れるものなんて、本当はないのかもしれんな。」
彼の声は雪のように静かだった。
レティシアはそっと立ち上がり、言葉を選ぶ。
「それでも、今日あなたに助けられた人がいます。私も、村の人も。あなたがいなかったら、皆こんなに安心して過ごせません。」
「……そんなふうに思ってくれるのは、お前だけだ。」
「そんなこと、ないと思います。」
彼はわずかに顔を歪めた。それが泣き笑いのようにも見えた。
「……変な女だ。」
「よく言われます。」
二人して笑う。久しぶりに笑った感触が心に残った。
エドガーは踵を返し、扉の前でふと振り向いた。
「お前は、信じることを恐れないのか?」
一瞬だけ迷ってから、レティシアは静かに答えた。
「また裏切られても、もう泣かないと思います。だから――信じます。」
エドガーの瞳にかすかな光が宿る。
その姿を見送りながら、レティシアは胸の奥に温かい灯を感じていた。
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続く
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