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「ロゴスの庭園は、自然美の造形が自慢の庭なのです。是非レイルーク様に一目ご披露したいのです。
此処から真っ直ぐ庭を歩けばロゴスの庭に行けます。本来なら公爵個々の結界で通れないのですが、今日は解除されていますので、どうかお連れ頂けないでしょうか」
「もちろん。喜んで」
キャサリンをエスコートしてロゴス領の庭に向かって歩き出す。
暫く歩きながらルミナスの時と同じような、たわいも無い話をしていたのだが。
ふと魔術の話になり、魔術に関することを二人で話していると。
段々と魔力の根源や魔法の想像力など。どんどん魔術の高度な内容となり。
やがて、どうすれば高度な魔法を上手く発動出来るか、二人で悩み出すまでになった。
「レイルーク様。やはり想像した魔法に見合った名を唱えないと、上手く想像通りの魔法は発動しないのでは無いのでしょうか?」
「いえ、一番大事なのは創造力の緻密さだと思います。どれだけリアルに、どの様な効果をもたらすのか。そこまで創造出来れば、名はそれ程重要では無いように思いますが」
段々議論は熱を帯び、とうとう立ち止まって討論会の様になった。
「……分かりました。そこまで仰るのであれば、創造力が凄ければ、どれだけ緻密な魔法を発動出来るか検証してみましょうか。キャサリン嬢。何か創造力のいる魔法を一つ仰ってもらえませんか?」
「……そうですね。では、造形魔法はどうでしょう?」
「造形魔法……ですか?」
「はい。造形魔法で形造られた……そうですね。美しい蝶を見せ合うのはどうでしょう? ふふ、面白そうですね」
キャサリンは楽しそうに微笑んだ。
「魔術の中でも、今は造形魔法に夢中なんです。誰も見たこともない位、美しい魔法を作って見たくて。最近は造形魔法の研究に没頭しているのです。
でもレイルーク様、ここでは魔法の行使は不可能です。いつか一緒に検証を……」
「成程、造形魔法……。見たこともない位美しい蝶……ですね。分かりました。では今から簡単な名を唱えて、発動してみせますね」
「え? いえ、ですから此処で魔法は……」
(綺麗な蝶と言えば、やっぱり切り絵アートだよね!)
レイルークは前世の図書館で見た事のある、美しい模様の切り絵で作られた蝶を創造する。
人差し指を立てて魔法の名を唱えた。
「蝶」
するとレイルークの人差し指から、白く輝く、この世には存在しない蝶が現れた。
その美しい複雑な模様の羽根を動かし、蝶は宙を綺麗に飛んだ。
「……どうですか? 魔法の名が簡単でも、大丈夫でしょう?」
少しドヤ顔でキャサリンに微笑みかける。キャサリンは呆然と魂が抜けた様に蝶を見ていた。
「……レイルーク様は……結界の中でも、こんな素晴らしい魔法が……使えるのですね……」
(しまった!! まっ、またやってしまった!!)
またしてもやらかしてしまい狼狽していると、何故かいきなり手を握られた。
(え、ええ!?)
キャサリンは酷く興奮したのか、顔が赤く上気している。瞳をキラキラ輝かせながらレイルークに詰め寄った。
「レイルーク様! 凄い、凄いわ! こんな綺麗な蝶、私、初めて見るわ! なんて素敵な魔法なんでしょう!! 貴方は本当に凄い魔法使いなのね!!」
(すっごく眩しい笑顔! か、可愛い!!)
可愛らしい笑顔で褒められて、レイルークは顔が火照る。赤面した顔を見られたくなくて、手を握られたまま咄嗟に横を向いた。
「あ、ありがとう、キャサリン嬢……。あ、あの。この事は。その、秘密にしておいてもらえると嬉しいんだけど……」
赤くなった顔を隠しながら懸命に懇願すると、キャサリンは嬉しそうな声で応えた。
「クスっ。分かったわ。私とレイルーク様の秘密、ね。……じゃあ、秘密にする代わりに……私の事をキャサリンって呼んで頂けないかしら?」
レイルークは「秘密を守ってくれるなら喜んで!」とあっさり承諾してしまった。
こうして更に仲良くなれたようだった。
レイルークとキャサリンは一旦魔術の話を終わりにして、見事な噴水が目を引く綺麗に整備された美しい庭園を散策した。
「ねえ」
散策が終わりに差し掛かった時、後ろから声を掛けられた。
レイルークとキャサリンが振り向くと、不機嫌そうなグレイスが漆黒の髪を靡かせて、こちらに向かって歩いて来ていた。
「キャサリン、いつまで散歩しているの。さっさと戻ってあいつらの相手をして。この人の親、本気で暴れそうよ」
とんでもない修羅場のようです。
「それは大変ね。でも、私が戻ってもどうしようも無い気がするけれど」
「戻って」
「……仕方ないわね。交代しましょうか。グレイスも、レイルーク様と交流しないと父君に怒られてしまうものね? ……では、レイルーク様」
キャサリンはレイルークに向き直ると上品なカーテシーをした。
「とても楽しい時間でした。今度は是非、私の屋敷に遊びに来て下さい。……また一緒に、魔術の話をしましょうね? ……グレイス、レイルーク様に失礼の無い様にね?」
そう言うと笑顔で神殿に戻って行った。
「……驚いた。キャサリンはレイルーク様のことを随分と気に入ったようね」
「そ、そう、ですか……?」
(まあちょっとだけ、やらかしたかもしれないけどね?! ……はあ。失敗続きで何だかカッコ悪いな、僕……)
レイルークは内心落ち込んだ。
「……まあどうでもいいけど。取り敢えず、ライト家の庭まで行きましょう」
そう言うと、そのままレイルークのエスコートも受けずにさっさと歩き出したグレイス。
「……はい」
あまりのそっけない態度に、『父親似なんだな』と一気に冷静になったレイルークは、先に歩くグレイスに置いて行かれないよう、少し足早について行った。
此処から真っ直ぐ庭を歩けばロゴスの庭に行けます。本来なら公爵個々の結界で通れないのですが、今日は解除されていますので、どうかお連れ頂けないでしょうか」
「もちろん。喜んで」
キャサリンをエスコートしてロゴス領の庭に向かって歩き出す。
暫く歩きながらルミナスの時と同じような、たわいも無い話をしていたのだが。
ふと魔術の話になり、魔術に関することを二人で話していると。
段々と魔力の根源や魔法の想像力など。どんどん魔術の高度な内容となり。
やがて、どうすれば高度な魔法を上手く発動出来るか、二人で悩み出すまでになった。
「レイルーク様。やはり想像した魔法に見合った名を唱えないと、上手く想像通りの魔法は発動しないのでは無いのでしょうか?」
「いえ、一番大事なのは創造力の緻密さだと思います。どれだけリアルに、どの様な効果をもたらすのか。そこまで創造出来れば、名はそれ程重要では無いように思いますが」
段々議論は熱を帯び、とうとう立ち止まって討論会の様になった。
「……分かりました。そこまで仰るのであれば、創造力が凄ければ、どれだけ緻密な魔法を発動出来るか検証してみましょうか。キャサリン嬢。何か創造力のいる魔法を一つ仰ってもらえませんか?」
「……そうですね。では、造形魔法はどうでしょう?」
「造形魔法……ですか?」
「はい。造形魔法で形造られた……そうですね。美しい蝶を見せ合うのはどうでしょう? ふふ、面白そうですね」
キャサリンは楽しそうに微笑んだ。
「魔術の中でも、今は造形魔法に夢中なんです。誰も見たこともない位、美しい魔法を作って見たくて。最近は造形魔法の研究に没頭しているのです。
でもレイルーク様、ここでは魔法の行使は不可能です。いつか一緒に検証を……」
「成程、造形魔法……。見たこともない位美しい蝶……ですね。分かりました。では今から簡単な名を唱えて、発動してみせますね」
「え? いえ、ですから此処で魔法は……」
(綺麗な蝶と言えば、やっぱり切り絵アートだよね!)
レイルークは前世の図書館で見た事のある、美しい模様の切り絵で作られた蝶を創造する。
人差し指を立てて魔法の名を唱えた。
「蝶」
するとレイルークの人差し指から、白く輝く、この世には存在しない蝶が現れた。
その美しい複雑な模様の羽根を動かし、蝶は宙を綺麗に飛んだ。
「……どうですか? 魔法の名が簡単でも、大丈夫でしょう?」
少しドヤ顔でキャサリンに微笑みかける。キャサリンは呆然と魂が抜けた様に蝶を見ていた。
「……レイルーク様は……結界の中でも、こんな素晴らしい魔法が……使えるのですね……」
(しまった!! まっ、またやってしまった!!)
またしてもやらかしてしまい狼狽していると、何故かいきなり手を握られた。
(え、ええ!?)
キャサリンは酷く興奮したのか、顔が赤く上気している。瞳をキラキラ輝かせながらレイルークに詰め寄った。
「レイルーク様! 凄い、凄いわ! こんな綺麗な蝶、私、初めて見るわ! なんて素敵な魔法なんでしょう!! 貴方は本当に凄い魔法使いなのね!!」
(すっごく眩しい笑顔! か、可愛い!!)
可愛らしい笑顔で褒められて、レイルークは顔が火照る。赤面した顔を見られたくなくて、手を握られたまま咄嗟に横を向いた。
「あ、ありがとう、キャサリン嬢……。あ、あの。この事は。その、秘密にしておいてもらえると嬉しいんだけど……」
赤くなった顔を隠しながら懸命に懇願すると、キャサリンは嬉しそうな声で応えた。
「クスっ。分かったわ。私とレイルーク様の秘密、ね。……じゃあ、秘密にする代わりに……私の事をキャサリンって呼んで頂けないかしら?」
レイルークは「秘密を守ってくれるなら喜んで!」とあっさり承諾してしまった。
こうして更に仲良くなれたようだった。
レイルークとキャサリンは一旦魔術の話を終わりにして、見事な噴水が目を引く綺麗に整備された美しい庭園を散策した。
「ねえ」
散策が終わりに差し掛かった時、後ろから声を掛けられた。
レイルークとキャサリンが振り向くと、不機嫌そうなグレイスが漆黒の髪を靡かせて、こちらに向かって歩いて来ていた。
「キャサリン、いつまで散歩しているの。さっさと戻ってあいつらの相手をして。この人の親、本気で暴れそうよ」
とんでもない修羅場のようです。
「それは大変ね。でも、私が戻ってもどうしようも無い気がするけれど」
「戻って」
「……仕方ないわね。交代しましょうか。グレイスも、レイルーク様と交流しないと父君に怒られてしまうものね? ……では、レイルーク様」
キャサリンはレイルークに向き直ると上品なカーテシーをした。
「とても楽しい時間でした。今度は是非、私の屋敷に遊びに来て下さい。……また一緒に、魔術の話をしましょうね? ……グレイス、レイルーク様に失礼の無い様にね?」
そう言うと笑顔で神殿に戻って行った。
「……驚いた。キャサリンはレイルーク様のことを随分と気に入ったようね」
「そ、そう、ですか……?」
(まあちょっとだけ、やらかしたかもしれないけどね?! ……はあ。失敗続きで何だかカッコ悪いな、僕……)
レイルークは内心落ち込んだ。
「……まあどうでもいいけど。取り敢えず、ライト家の庭まで行きましょう」
そう言うと、そのままレイルークのエスコートも受けずにさっさと歩き出したグレイス。
「……はい」
あまりのそっけない態度に、『父親似なんだな』と一気に冷静になったレイルークは、先に歩くグレイスに置いて行かれないよう、少し足早について行った。
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