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公爵領主達からの手紙は、毎日のように届いた。しかしレオナルドは、殆ど見る事なく燃やしていた。……それで大丈夫なのだろうか。
ルミナスとキャサリンとグレイスには、まだ婚約者を決める気はないので取り敢えずお友達になりましょう。といった内容の手紙は送った。
するとせめて手紙のやり取りだけでも、と三人から毎日のように手紙が届いていたので、物凄ーくたまになら返事を書く事を許された。
ルシータの産後の体調も問題無く、日々育児と鍛錬に奮闘している。
孫が産まれたのだから祖父と祖母の面会があると思っていたが、レオナルドとルシータはどちらも自分の両親を快く思っていないらしく、会う事はなかった。
レイルークの時も同様だったらしい。
それにしても、ルドルフはやはり天使だった。
愛くるしく笑う笑顔にこちらまで笑顔になる。レイルークはほぼ毎日、ルドルフのお世話をした。
そんなある日、ルシータが貴婦人達を招いてお茶会を開くこととなり、急遽レイルークも参加する事にした。
十歳になったのだから、やはり社交界に顔を出さないといけないと思ったからだ。
相変わらずレオナルドとユリアは必要以上に社交に出したくない様だったので、せめてお茶会でもあればそれに出席したい、と以前から懇願していた。
お陰で今回のお茶会に参加出来るのだ。
そしていずれは、同年代の貴族を招いて催し物を開いてみたいとレイルークは画策していた。
いい加減、友達が欲しいのである。
家族や使用人達との仲は良好だが、やはり友達ではないのだ。
(母様のお茶会なら、誰かが子供を連れて来るかもしれないからね! 今度は絶対に男友達が欲しい!!)
そしていざルシータのお茶会に、レイルークは意気込んで参加したのだが。
「「きゃああぁぁーー!! ルシータ様ーー!!」」
「「お会いしたかったですーールシータ様ーー!!」」
見た目は普通の貴族の貴婦人な方々なのに、手に持った扇子には『ルシータ様LOVE』の文字が刻まれている。受付には長蛇の列が出来ていた。
今回のお茶会は、幾つもあるサロンの中で一番広いサロンで執り行うと聞いていたが、理由が分かった。
お茶会にしては参加者が多すぎるのだ。
しかし、子供は誰一人としていなかった。
大繁盛の原因は普段ルシータが公爵家に貴婦人達を招く事は稀なのも理由の一つらしい。
招待して欲しいとの貴婦人達の要望にルシータが応えた結果、物凄い人数となった。
もはやファンクラブのイベントだった。
ルシータが貴婦人達に微笑むだけで、数人は失神していた。
勿論レイルークにも注目が集まり、色々と質問攻めにあったが。
ルシータのフォローもあり、何とか笑顔で乗り切った。
(とほほ……こんな事になるなんて……)
話の中で、貴婦人達からレイルークのファンクラブも既に存在する事を聞かされて驚いた。
更にレイルークは貴族の間で『幻の若君』と呼ばれているらしい。
やはりたまには社交界に顔を出さないといけないな、と改めて痛感した。
滞りなく進んでいたお茶会の半ばに、ちょっとしたアクシデントが発生した。
ウィリアムの母でロゴス領主であるビクトリアが、招待を受けていないにも関わらず屋敷に乱入しようと無理矢理押しかけてきたのだ。
しかし、アームストロング家の使用人達は想定内だったようで、予め用意されていたルシータのサイン入り限定ブロマイドを、こっそりビクトリアに手渡していた。それで何とか事なきを得たようだ。
その後は特に問題も無く、お茶会は無事お開きとなった。
「母様、お疲れ様でした……」
ルシータとリビングルームに移動して、お茶会なのに満足に飲めなかったお茶を嗜みながら、レイルークは疲れた顔でルシータを労をねぎらったが、当の本人は元気そうだった。
「ハハハ!! レイもお疲れ様!! さて、貴婦人達を相手にしてどうだった?」
「少し疲れたけど、まあ大丈夫。とにかく皆さんが母様を推したいしているのがよく分かったよ……。母様は、お茶会によく招かれたりする? 魔物の討伐ばかりしていると思ったけど、母様は貴族に顔が広いんだね」
「まあね!! 今回招待した貴婦人達は、魔術学園で知り合った人が多かったな!! 後は魔物討伐の際に顔を合わせた人もいたかな? とにかく、皆素敵なレディ達だよ!!」
(無自覚タラシなんだね。我が母は……)
「そ、そうなんだ。それにしても僕のファンクラブが何故かあるみたいだし、一度さ、親睦会とか開いても良いかもって思ったんだけど。母様はどう思う?」
「うーん。親睦会か。……パーティなら、異性も参加するからユリア達は嫌がるかと思うが。
同性のみで開くのであれば、反対しないだろう! 私はレイがやりたいなら反対はしないかな!! 親睦会を開きたい理由は、同性の友達が欲しいからだろう?」
「うん!!」
「なら、レイのファンクラブに在籍する同性で、歳の近い子を招待すれば良いのではないかな?」
「それ良いね! 本当にファンクラブがあるか分からないけど、一度調べてもらおうかな? 誰かと友達になれるかな? 今から楽しみになってきた!」
嬉しそうに笑うレイルークを見つめ、ルシータは優しく微笑んだ。
「確かに、今までは心配なあまり屋敷に閉じ込め過ぎていたな。……これからは、レイのやりたい事を少しずつやっていけば良い! まあ、危険な事はやって欲しくは無いのは本音だがな!!」
「大丈夫、今は同性の友達も作る事が第一優先だよ。あ、でも早く母様の訓練受けてみたい。今すぐにでも母様達の魔物討伐のお手伝いをしたいんだ!」
魔物は率先して討伐したい。
『俺TUEEE~!!』は別に興味無いが、魔物を討伐しなければならない理由が、この世界にはある。
世界に悪意が溢れると悪意は結晶化して、やがて魔石が生まれる。
そして魔石から溢れた魔力が形を成していき、最終的に魔石が核となった魔物になるのだ。
悪意が魔物になるのなら、いくら討伐しても真の平和が訪れる事はない。
人から悪意を完全に消す。
そんな事は、きっと出来ないだろうから。何となくだけど、それが人が人である由縁な気がする。
因みに魔物が討伐されると、核となっていた魔石も消滅する。その為、この世界で使用されている魔法石は魔石ではない。魔法が充電出来る、特殊な鉱石が魔法石として使われていた。
魔物が存在して良い事など無い。あるとすれば、魔物という共通の敵がいるお陰で人類同士の争いが前世の世界より少ない。これ位だ。
だから少しでも魔物を減らして、平和に過ごせる世界に。
束の間だとしても、それが出来るのなら。レイルークは全力で手伝いたいのだ。
余談だが、悪意の反対の善意は、魔力の源だとされている。
人が清き心を失った時、世界から魔法は失われると古くから言い伝えられているそうだ。
「こらこら! 危ない事はさせたくないと言ってるだろう!」
「えー? でも小さい頃、冒険者になりたかったら鍛えてくれるって母様言ってたよ? それに、魔物討伐も公爵としての大切な責務だよね? 強力な魔物が出た時の対処法を、今から学んでおくのは良い事だと思う!」
「そ、それはその通りだが……!」
ルシータは困った様に眉を寄せている。もう一押しだ。
「魔物討伐はまだ無理かも知れないけど、訓練は少しずつでいいからさせて? 僕、頑張るから」
ルシータは天を仰いで大きく溜息を吐いてから、諦めた様にレイルークを見た。
「……まずは鍛錬から、な!!」
(よし!!)
確約を得て、レイルークは嬉しそうに微笑んだ。
ルミナスとキャサリンとグレイスには、まだ婚約者を決める気はないので取り敢えずお友達になりましょう。といった内容の手紙は送った。
するとせめて手紙のやり取りだけでも、と三人から毎日のように手紙が届いていたので、物凄ーくたまになら返事を書く事を許された。
ルシータの産後の体調も問題無く、日々育児と鍛錬に奮闘している。
孫が産まれたのだから祖父と祖母の面会があると思っていたが、レオナルドとルシータはどちらも自分の両親を快く思っていないらしく、会う事はなかった。
レイルークの時も同様だったらしい。
それにしても、ルドルフはやはり天使だった。
愛くるしく笑う笑顔にこちらまで笑顔になる。レイルークはほぼ毎日、ルドルフのお世話をした。
そんなある日、ルシータが貴婦人達を招いてお茶会を開くこととなり、急遽レイルークも参加する事にした。
十歳になったのだから、やはり社交界に顔を出さないといけないと思ったからだ。
相変わらずレオナルドとユリアは必要以上に社交に出したくない様だったので、せめてお茶会でもあればそれに出席したい、と以前から懇願していた。
お陰で今回のお茶会に参加出来るのだ。
そしていずれは、同年代の貴族を招いて催し物を開いてみたいとレイルークは画策していた。
いい加減、友達が欲しいのである。
家族や使用人達との仲は良好だが、やはり友達ではないのだ。
(母様のお茶会なら、誰かが子供を連れて来るかもしれないからね! 今度は絶対に男友達が欲しい!!)
そしていざルシータのお茶会に、レイルークは意気込んで参加したのだが。
「「きゃああぁぁーー!! ルシータ様ーー!!」」
「「お会いしたかったですーールシータ様ーー!!」」
見た目は普通の貴族の貴婦人な方々なのに、手に持った扇子には『ルシータ様LOVE』の文字が刻まれている。受付には長蛇の列が出来ていた。
今回のお茶会は、幾つもあるサロンの中で一番広いサロンで執り行うと聞いていたが、理由が分かった。
お茶会にしては参加者が多すぎるのだ。
しかし、子供は誰一人としていなかった。
大繁盛の原因は普段ルシータが公爵家に貴婦人達を招く事は稀なのも理由の一つらしい。
招待して欲しいとの貴婦人達の要望にルシータが応えた結果、物凄い人数となった。
もはやファンクラブのイベントだった。
ルシータが貴婦人達に微笑むだけで、数人は失神していた。
勿論レイルークにも注目が集まり、色々と質問攻めにあったが。
ルシータのフォローもあり、何とか笑顔で乗り切った。
(とほほ……こんな事になるなんて……)
話の中で、貴婦人達からレイルークのファンクラブも既に存在する事を聞かされて驚いた。
更にレイルークは貴族の間で『幻の若君』と呼ばれているらしい。
やはりたまには社交界に顔を出さないといけないな、と改めて痛感した。
滞りなく進んでいたお茶会の半ばに、ちょっとしたアクシデントが発生した。
ウィリアムの母でロゴス領主であるビクトリアが、招待を受けていないにも関わらず屋敷に乱入しようと無理矢理押しかけてきたのだ。
しかし、アームストロング家の使用人達は想定内だったようで、予め用意されていたルシータのサイン入り限定ブロマイドを、こっそりビクトリアに手渡していた。それで何とか事なきを得たようだ。
その後は特に問題も無く、お茶会は無事お開きとなった。
「母様、お疲れ様でした……」
ルシータとリビングルームに移動して、お茶会なのに満足に飲めなかったお茶を嗜みながら、レイルークは疲れた顔でルシータを労をねぎらったが、当の本人は元気そうだった。
「ハハハ!! レイもお疲れ様!! さて、貴婦人達を相手にしてどうだった?」
「少し疲れたけど、まあ大丈夫。とにかく皆さんが母様を推したいしているのがよく分かったよ……。母様は、お茶会によく招かれたりする? 魔物の討伐ばかりしていると思ったけど、母様は貴族に顔が広いんだね」
「まあね!! 今回招待した貴婦人達は、魔術学園で知り合った人が多かったな!! 後は魔物討伐の際に顔を合わせた人もいたかな? とにかく、皆素敵なレディ達だよ!!」
(無自覚タラシなんだね。我が母は……)
「そ、そうなんだ。それにしても僕のファンクラブが何故かあるみたいだし、一度さ、親睦会とか開いても良いかもって思ったんだけど。母様はどう思う?」
「うーん。親睦会か。……パーティなら、異性も参加するからユリア達は嫌がるかと思うが。
同性のみで開くのであれば、反対しないだろう! 私はレイがやりたいなら反対はしないかな!! 親睦会を開きたい理由は、同性の友達が欲しいからだろう?」
「うん!!」
「なら、レイのファンクラブに在籍する同性で、歳の近い子を招待すれば良いのではないかな?」
「それ良いね! 本当にファンクラブがあるか分からないけど、一度調べてもらおうかな? 誰かと友達になれるかな? 今から楽しみになってきた!」
嬉しそうに笑うレイルークを見つめ、ルシータは優しく微笑んだ。
「確かに、今までは心配なあまり屋敷に閉じ込め過ぎていたな。……これからは、レイのやりたい事を少しずつやっていけば良い! まあ、危険な事はやって欲しくは無いのは本音だがな!!」
「大丈夫、今は同性の友達も作る事が第一優先だよ。あ、でも早く母様の訓練受けてみたい。今すぐにでも母様達の魔物討伐のお手伝いをしたいんだ!」
魔物は率先して討伐したい。
『俺TUEEE~!!』は別に興味無いが、魔物を討伐しなければならない理由が、この世界にはある。
世界に悪意が溢れると悪意は結晶化して、やがて魔石が生まれる。
そして魔石から溢れた魔力が形を成していき、最終的に魔石が核となった魔物になるのだ。
悪意が魔物になるのなら、いくら討伐しても真の平和が訪れる事はない。
人から悪意を完全に消す。
そんな事は、きっと出来ないだろうから。何となくだけど、それが人が人である由縁な気がする。
因みに魔物が討伐されると、核となっていた魔石も消滅する。その為、この世界で使用されている魔法石は魔石ではない。魔法が充電出来る、特殊な鉱石が魔法石として使われていた。
魔物が存在して良い事など無い。あるとすれば、魔物という共通の敵がいるお陰で人類同士の争いが前世の世界より少ない。これ位だ。
だから少しでも魔物を減らして、平和に過ごせる世界に。
束の間だとしても、それが出来るのなら。レイルークは全力で手伝いたいのだ。
余談だが、悪意の反対の善意は、魔力の源だとされている。
人が清き心を失った時、世界から魔法は失われると古くから言い伝えられているそうだ。
「こらこら! 危ない事はさせたくないと言ってるだろう!」
「えー? でも小さい頃、冒険者になりたかったら鍛えてくれるって母様言ってたよ? それに、魔物討伐も公爵としての大切な責務だよね? 強力な魔物が出た時の対処法を、今から学んでおくのは良い事だと思う!」
「そ、それはその通りだが……!」
ルシータは困った様に眉を寄せている。もう一押しだ。
「魔物討伐はまだ無理かも知れないけど、訓練は少しずつでいいからさせて? 僕、頑張るから」
ルシータは天を仰いで大きく溜息を吐いてから、諦めた様にレイルークを見た。
「……まずは鍛錬から、な!!」
(よし!!)
確約を得て、レイルークは嬉しそうに微笑んだ。
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