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学園編
5 魔力測定後、昼食だよ
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ヤバいやり過ぎたのかも、と一瞬焦ったが、同時にある事に気が付いた。
この試験中的がずっと同じ的だった事に、違和感を覚えたのだ。
(そう言えば、私が魔法を撃つまで的を一度も交換してなかったよね。だったら壊れたのはダメージが蓄積したからじゃない? それに私は魔力制御の腕輪を装備してるんだし……と言うことは、私のせいじゃないよねっ…多分!!)
試験中的はずっと生徒達の魔法攻撃を受け続けていた。耐久性の限界だったのだろう。
流石に自分がやらかしたのではないだろうと思い直し、気にしない事にした。
そんなソレイユの心情とは反対に、担当者達は今、一体何が起きたのか。
理解なんて、到底出来なかった。
何故なら、あり得ないことが起こったからだ。
しかし先程の音が。的の中央に開いた穴が。
的を貫通した音であり、的を貫いた貫通痕だという、あり得ないが事実である。
という現実に、担当者達は言葉を失い、ただ立ち竦むことしか出来なかった。
微動だにしない担当者達の様子に、ソレイユは内心首を傾げた。
(何で担当者の人達、呆然としてるんだろ……。も、もしかして、あ、あの的ってお高い魔導具だった!? だから使い回してた!? スライディング土下座必須案件ですか?!)
大いに焦ったソレイユは意を決して、先程答えてくれた一番偉そうな担当者に尋ねてみる。
「あ、あの! 的、壊しちゃってごめんなさい!! もしかして……あれって。弁償しないと駄目、だったりしますか……?」
「弁、償……? い、いやそれよりも計測だ! 何をしているお前達! 早く数値を測れ!!」
偉そうな担当者はソレイユに声を掛けられて我に返ったのか、呆然と立ち尽くす他の担当者に声を荒げた。
その声に残りの担当者全員が一瞬肩を震わせると、慌てながらも計測の担当者達は的に向かってすぐさま走って行く。
計測を始めるのを確認した偉そうな担当者は、ゆっくりとソレイユに向き直った。
「君は……確かソレイユ、だったか。……的、は……いわば消耗品、だ。生徒が弁償するようなことではない。……気にしなくてもよろしい」
「あ、そうなんですね! あー良かったです!!」
弁償しなくて良いんだとホッとしていると、的を取り囲んで念入りに調べていた担当者の一人が、震えた声を上げた。
「け、計測、ふ、ふ、不可能です……!!」
「!! ……分かった」
偉そうな担当者は手に持っていた書類に何やら書き込むと、顔を上げて女子生徒を見渡した。
「全員計測が終了したので、これにて魔力測定を終了する。速やかに寮に戻りなさい。結果は昼食後、掲示板に貼り出されるので確認する様に」
「え? あ、あの、私の点数……」
「では解散」
言いたいことだけ言うと、担当者は的に向かって歩き出してしまった。
(ええぇ……私の結果だけ、分からずじまいって……そんなーーっっ)
的が破損したのだから威力は申し分なかった、とソレイユ的には思うのだが。
見た感じが予想以上にインパクトに欠ける、かなり地味な魔法になってしまったのは否めない。
総合的に審査判定は厳しいかもしれないな、と溜め息と共にガクッと肩を落とした。
その直後に背後で扉が開く音がしたので、俯き加減で後ろを振り向くと、全開に開かれた扉の中央でミーストが笑顔で立っていた。
「皆さん、魔力測定お疲れ様でした。試験は以上となります。休憩時間も挟みますので、ここから先はご自由に個々の判断で寮まで戻って下さい。鍛錬場のロビーにてドリンクのみご提供出来ますので、お疲れの方は休憩されてから寮に向かわれても構いません。
入学式は十五時からとなります。アナウンスは流れますが、決して遅れないように着席しておいてください。時間厳守でお願いします。
そして昼食ですが。普段は朝食と同様のビュッフェ式でお好きな席に座っていただくのですが、入学式がある本日だけは、お好きなメニューを選んでいただく、コース方式をとっております。
食堂の前にカウンターを設置しておりますので、そこで昼食を決めていただきます。その後、係の者がお席をご案内させていただきます。お席を自由にお選びいただけませんが、本日はご了承下さい」
深々と礼をしたミーストは、扉の端に移動した。
「私の案内はここまでとなります。では、移動をお願いします」
その言葉で生徒達はやや疲れた足取りで移動を始めた。
(……もういいや。過ぎた事はもう気っにしない!! お腹空いたし、ご飯食べて英気を養おう!! でも、その前に……)
皆が扉の外に向かう中、ソレイユは一人ミーストの前に近づいた。
近づいてきたソレイユに気が付いたミーストは、ソレイユに微笑んだ。
「どうかなさいましたか?」
「いえ、ミーストさんに一言お礼が言いたくて。ここまでの案内ありがとうございました。とっても分かりやすい説明ですっごく助かりました。あ、で私、ソレイユって言います。これから四年間、寮ではお世話になります。どうぞ宜しくお願いします!」
(第一印象は大事! 四年間お世話になる管理人さんなんだから、ちゃんと挨拶くらいしておかないとね!)
ソレイユは笑顔でペコっとお辞儀をした。そんなソレイユの行動にいささか驚いた様子だったが、ミーストはすぐに優しい微笑みを浮かべた。
「こちらこそ、宜しくお願いします。私も管理人として、ソレイユさん達生徒の皆さんに快適な寮生活を送れるよう、精一杯務めさせていただきますね」
「ありがとうございます! じゃあ昼食に行ってきます!」
「クスッ。はい、いってらっしゃい」
ミーストに挨拶を済ませると、お腹が空いたせいもあってやや小走りで女子寮に戻ることにした。
やがてたどり着いた寮の扉は開いていたが、誰もいない。ソレイユが一番に戻ったようだ。
(やっぱり距離遠いって……。ランニングして余計お腹空いたーー!!)
空腹に耐えながら中に入ると、玄関ロビーの入口近くに朝には無かった昼食の案内立札が立てられていたので、それに従って寮内を歩いていると程なくして食堂にたどり着いた。
食堂というより高級レストランのような入口には、普段はなさそうな簡易カウンターが設置されており女性店員さんが数名立っていた。その内の一人が笑顔で声をかけてきた。
「お疲れ様でございました。こちらが、本日の昼食メニューになっております。どうぞご覧下さい」
「はーい」
メニュー表を受け取ると、どんなコース料理があるのかを早速確認する。
(ふむふむ。前菜はほぼ一緒で、メインが肉料理か魚料理か選べるのか。ここはガッツリ肉料理が食べたい!!)
「決めました! Aコースでお願いします! お肉の焼きはミディアムレアで! パンではなくライスがいいです! あ、ライスはやや大盛りでお願いします! ドリンクは冷たいレモネードで、出来ればピッチャーで下さい!」
「ピ、ピッチャーで? は、はい。承知いたしました。では、係の者がお席にご案内いたします」
店員さんは注文内容をメモした注文用紙をウエイトレスの一人に手渡した。
「お席にご案内いたします。どうぞこちらへ」
案内されるまま食堂内に入る。中はかなり広く、清潔感あふれるホテルの大ホールのようだ。
ウエイトレスが案内してくれた席は、窓側に設置された、一人から二人用の丸テーブル席。刺繍の美しいラベンダー色のテーブルクロスが高級感を醸し出している。
ウエイトレスが椅子を引いてくれたので、気持ち優雅に腰掛けた。
「お飲み物を先にお持ちいたします。少々お待ちくださいませ」
洗練された動作に感心しながら待っていると、すぐに空のコップとピッチャーに入ったレモネードが運ばれてきたので、早速コップに注いで美味しく数杯いただく。
(プハ~ッ美味い!! やっぱり運動の後はレモネードに限る!)
一番乗りだったおかげなのか早々と前菜が運ばれてきた。
「帆立と野菜のカクテルサラダでございます」
オシャレなミニグラスに入った見た目にも美しいサラダ。
口に運ぶと、帆立の弾力と小さなサイコロ状の野菜の歯応えが良い。ぽん酢風味のジュレソースが絡んでさっぱりなのに濃厚で美味しい。
その後、コーンポタージュっぽいスープでほっこりし、しばらくしてメインのヒレステーキが運ばれてきた。
ナイフで切ってみると、スッと切れる。希望通りのミディアムレアだ。皿に見栄え良く添えられたバルサミコソースがこれがまたよく合う。
ライスはお肉を乗っけてスプーンで頬張りたいが、我慢してフォークでお上品に。ライスとステーキはちゃんと別々に食べた。
学食にしては豪華なフルコースを美味しく堪能し、最後にデザートのショコラケーキを頬張る頃には、辺りは食事を始める生徒で溢れていた。
(予想以上に美味しかった。まあデュメーヌ料理長の絶品料理よりは劣るけどね。さて、腹ごしらえは済んだし、そろそろ掲示板を確認しに行こうかな。時間があれば、学園内のセキュリティがどれ程のものか確認するのもアリだね)
この試験中的がずっと同じ的だった事に、違和感を覚えたのだ。
(そう言えば、私が魔法を撃つまで的を一度も交換してなかったよね。だったら壊れたのはダメージが蓄積したからじゃない? それに私は魔力制御の腕輪を装備してるんだし……と言うことは、私のせいじゃないよねっ…多分!!)
試験中的はずっと生徒達の魔法攻撃を受け続けていた。耐久性の限界だったのだろう。
流石に自分がやらかしたのではないだろうと思い直し、気にしない事にした。
そんなソレイユの心情とは反対に、担当者達は今、一体何が起きたのか。
理解なんて、到底出来なかった。
何故なら、あり得ないことが起こったからだ。
しかし先程の音が。的の中央に開いた穴が。
的を貫通した音であり、的を貫いた貫通痕だという、あり得ないが事実である。
という現実に、担当者達は言葉を失い、ただ立ち竦むことしか出来なかった。
微動だにしない担当者達の様子に、ソレイユは内心首を傾げた。
(何で担当者の人達、呆然としてるんだろ……。も、もしかして、あ、あの的ってお高い魔導具だった!? だから使い回してた!? スライディング土下座必須案件ですか?!)
大いに焦ったソレイユは意を決して、先程答えてくれた一番偉そうな担当者に尋ねてみる。
「あ、あの! 的、壊しちゃってごめんなさい!! もしかして……あれって。弁償しないと駄目、だったりしますか……?」
「弁、償……? い、いやそれよりも計測だ! 何をしているお前達! 早く数値を測れ!!」
偉そうな担当者はソレイユに声を掛けられて我に返ったのか、呆然と立ち尽くす他の担当者に声を荒げた。
その声に残りの担当者全員が一瞬肩を震わせると、慌てながらも計測の担当者達は的に向かってすぐさま走って行く。
計測を始めるのを確認した偉そうな担当者は、ゆっくりとソレイユに向き直った。
「君は……確かソレイユ、だったか。……的、は……いわば消耗品、だ。生徒が弁償するようなことではない。……気にしなくてもよろしい」
「あ、そうなんですね! あー良かったです!!」
弁償しなくて良いんだとホッとしていると、的を取り囲んで念入りに調べていた担当者の一人が、震えた声を上げた。
「け、計測、ふ、ふ、不可能です……!!」
「!! ……分かった」
偉そうな担当者は手に持っていた書類に何やら書き込むと、顔を上げて女子生徒を見渡した。
「全員計測が終了したので、これにて魔力測定を終了する。速やかに寮に戻りなさい。結果は昼食後、掲示板に貼り出されるので確認する様に」
「え? あ、あの、私の点数……」
「では解散」
言いたいことだけ言うと、担当者は的に向かって歩き出してしまった。
(ええぇ……私の結果だけ、分からずじまいって……そんなーーっっ)
的が破損したのだから威力は申し分なかった、とソレイユ的には思うのだが。
見た感じが予想以上にインパクトに欠ける、かなり地味な魔法になってしまったのは否めない。
総合的に審査判定は厳しいかもしれないな、と溜め息と共にガクッと肩を落とした。
その直後に背後で扉が開く音がしたので、俯き加減で後ろを振り向くと、全開に開かれた扉の中央でミーストが笑顔で立っていた。
「皆さん、魔力測定お疲れ様でした。試験は以上となります。休憩時間も挟みますので、ここから先はご自由に個々の判断で寮まで戻って下さい。鍛錬場のロビーにてドリンクのみご提供出来ますので、お疲れの方は休憩されてから寮に向かわれても構いません。
入学式は十五時からとなります。アナウンスは流れますが、決して遅れないように着席しておいてください。時間厳守でお願いします。
そして昼食ですが。普段は朝食と同様のビュッフェ式でお好きな席に座っていただくのですが、入学式がある本日だけは、お好きなメニューを選んでいただく、コース方式をとっております。
食堂の前にカウンターを設置しておりますので、そこで昼食を決めていただきます。その後、係の者がお席をご案内させていただきます。お席を自由にお選びいただけませんが、本日はご了承下さい」
深々と礼をしたミーストは、扉の端に移動した。
「私の案内はここまでとなります。では、移動をお願いします」
その言葉で生徒達はやや疲れた足取りで移動を始めた。
(……もういいや。過ぎた事はもう気っにしない!! お腹空いたし、ご飯食べて英気を養おう!! でも、その前に……)
皆が扉の外に向かう中、ソレイユは一人ミーストの前に近づいた。
近づいてきたソレイユに気が付いたミーストは、ソレイユに微笑んだ。
「どうかなさいましたか?」
「いえ、ミーストさんに一言お礼が言いたくて。ここまでの案内ありがとうございました。とっても分かりやすい説明ですっごく助かりました。あ、で私、ソレイユって言います。これから四年間、寮ではお世話になります。どうぞ宜しくお願いします!」
(第一印象は大事! 四年間お世話になる管理人さんなんだから、ちゃんと挨拶くらいしておかないとね!)
ソレイユは笑顔でペコっとお辞儀をした。そんなソレイユの行動にいささか驚いた様子だったが、ミーストはすぐに優しい微笑みを浮かべた。
「こちらこそ、宜しくお願いします。私も管理人として、ソレイユさん達生徒の皆さんに快適な寮生活を送れるよう、精一杯務めさせていただきますね」
「ありがとうございます! じゃあ昼食に行ってきます!」
「クスッ。はい、いってらっしゃい」
ミーストに挨拶を済ませると、お腹が空いたせいもあってやや小走りで女子寮に戻ることにした。
やがてたどり着いた寮の扉は開いていたが、誰もいない。ソレイユが一番に戻ったようだ。
(やっぱり距離遠いって……。ランニングして余計お腹空いたーー!!)
空腹に耐えながら中に入ると、玄関ロビーの入口近くに朝には無かった昼食の案内立札が立てられていたので、それに従って寮内を歩いていると程なくして食堂にたどり着いた。
食堂というより高級レストランのような入口には、普段はなさそうな簡易カウンターが設置されており女性店員さんが数名立っていた。その内の一人が笑顔で声をかけてきた。
「お疲れ様でございました。こちらが、本日の昼食メニューになっております。どうぞご覧下さい」
「はーい」
メニュー表を受け取ると、どんなコース料理があるのかを早速確認する。
(ふむふむ。前菜はほぼ一緒で、メインが肉料理か魚料理か選べるのか。ここはガッツリ肉料理が食べたい!!)
「決めました! Aコースでお願いします! お肉の焼きはミディアムレアで! パンではなくライスがいいです! あ、ライスはやや大盛りでお願いします! ドリンクは冷たいレモネードで、出来ればピッチャーで下さい!」
「ピ、ピッチャーで? は、はい。承知いたしました。では、係の者がお席にご案内いたします」
店員さんは注文内容をメモした注文用紙をウエイトレスの一人に手渡した。
「お席にご案内いたします。どうぞこちらへ」
案内されるまま食堂内に入る。中はかなり広く、清潔感あふれるホテルの大ホールのようだ。
ウエイトレスが案内してくれた席は、窓側に設置された、一人から二人用の丸テーブル席。刺繍の美しいラベンダー色のテーブルクロスが高級感を醸し出している。
ウエイトレスが椅子を引いてくれたので、気持ち優雅に腰掛けた。
「お飲み物を先にお持ちいたします。少々お待ちくださいませ」
洗練された動作に感心しながら待っていると、すぐに空のコップとピッチャーに入ったレモネードが運ばれてきたので、早速コップに注いで美味しく数杯いただく。
(プハ~ッ美味い!! やっぱり運動の後はレモネードに限る!)
一番乗りだったおかげなのか早々と前菜が運ばれてきた。
「帆立と野菜のカクテルサラダでございます」
オシャレなミニグラスに入った見た目にも美しいサラダ。
口に運ぶと、帆立の弾力と小さなサイコロ状の野菜の歯応えが良い。ぽん酢風味のジュレソースが絡んでさっぱりなのに濃厚で美味しい。
その後、コーンポタージュっぽいスープでほっこりし、しばらくしてメインのヒレステーキが運ばれてきた。
ナイフで切ってみると、スッと切れる。希望通りのミディアムレアだ。皿に見栄え良く添えられたバルサミコソースがこれがまたよく合う。
ライスはお肉を乗っけてスプーンで頬張りたいが、我慢してフォークでお上品に。ライスとステーキはちゃんと別々に食べた。
学食にしては豪華なフルコースを美味しく堪能し、最後にデザートのショコラケーキを頬張る頃には、辺りは食事を始める生徒で溢れていた。
(予想以上に美味しかった。まあデュメーヌ料理長の絶品料理よりは劣るけどね。さて、腹ごしらえは済んだし、そろそろ掲示板を確認しに行こうかな。時間があれば、学園内のセキュリティがどれ程のものか確認するのもアリだね)
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