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第二章
第13話 やっと会える
しおりを挟むこの後もオフコラボ配信は続き、あっという間に終わりの時間がやってきた。
結局今日も、☆というユーザーの姿は見られなかった。あれ以降姿を見せないということは、おそらく飽きてしまったのだろう。
変なことにならなくてよかった、と安堵のため息を吐く。
そして俺は、ノーキと共に本来の目的とも言える、重大告知をすることにした。
「んじゃ、今から重大発表します!」
「します」
俺に続いてノーキも声を震わせる。
あまりに重大すぎるお知らせだからか……変にソワソワと緊張してしまい、まったく心が落ち着かない。
『よし! こい!』
『ふう……』
『おっ、遂に来たか!!』
『覚悟は出来てる』
『なになに!?』
『発表待ってました!!』
『きたきたきた!!!』
『重大発表きたあああ!』
『手汗でてきたwww』
『あーがちで緊張してきた』
加速するコメントに目を向けながら、俺とノーキは互いに目を合わせ、声を揃えて言ったのだった。
「「このゲームの五周年を記念して今月、『ゲスト』としてイベントに参加することになりましたー!!」」
『はっ!? ガチ??』
『うそ!?!?』
『プロゲーマーも来るやつじゃん!』
『うおおおおおおおお!?』
『ゲスト!?!?!』
『手ェ震えてんだけどwww』
『プロチームとノーオルの対話!?』
『神すぎるwwww』
『これはやべぇ!!!』
『激アツ展開!笑』
『プロとノーオルが同時に見れる!?』
どうやら、この重大発表は視聴者たちにとっても予想外だったようで──コメントは歓喜の嵐に包まれる。
俺とノーキは満足気に笑みを浮かべると、配信を終了させるべく、画面に向かって元気に声を発した。
「それじゃ、今日もめっっちゃ楽しかった! イベントは生配信されるらしいから、みんな楽しみにしてろよ! 乙!」
「おつかれ」
配信は、大盛り上がりのまま終了された。
* * *
ピピピッと、着信音が鳴り響く。
男はゲーム画面から目を離すことなく、スマホを耳に当てた。電話の相手は、確認せずとも分かっているようだった。
☆「はい、なんですか平塚さん」
男は電話に出るなり、不機嫌な声色で疑問符を投げた。ちょうどゲーム画面が「WIN」の文字で埋めつくされたので、男はゲームから視線を離し、電話に集中することにする。
ゲーミングチェアに深く寄りかかり、ピアスの付いた耳を触る。男は、細長い足を軽く組むと、返事を待つべく口を閉ざしていた。
対する平塚は、気だるげな男に臆することなく、明るい声で言ったのだった。
「そろそろチームで練習するから、明日からお前もこっち来い。期待のエースくん」
☆「なんですかそのダサい呼び名……まあ、分かりました」
「数日後にリハーサルを兼ねた顔合わせがあるから、それまでに整えるぞ。
それで、調子の方はどうなんだ? エンジョイ大会とはいえ、うちのチームに負けは似合わないからな。お前的には、勝てそうか?」
平塚は、挑発するような陽気な声色で質問してくる。しかし、そんな彼の性格を分かっているのか──黒髪マッシュ男は、それに動揺することなく、真顔で答えた。
☆「不安要素が見つからないです」
その言葉に満足したのか、平塚はドッと大きな声で笑い出す。手を叩き、窒息しそうな勢いで笑うので、男は面倒くさそうにため息を吐いた。
「いや~ほんと、期待してるぞ。期待のプロゲーマー、牧崎 徹(まきざき とおる)くん」
☆「本名で呼ぶのやめてくれません?」
「じゃあこうか? 期待してるぞ。キル」
☆「……はあ。おれも頼りにしてますよ、平塚マネージャー」
電話が終わると、黒髪マッシュのピアス男──キルは大きく伸びをした。
そしてスマホのホーム画面に映る「彼」を、満面の笑みで見つめるのだ。
「やっと会える、オル」
彼の執着を帯びた視線は、ただひとりだけに、注がれている。
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