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第二章
第12話 愛しい恋人
「じゃあ命令。オル──オレの好きなところ、いっぱい教えて欲しい」
『ゔあわぁぁぁぁぁぁ』
『愛おしい』
『ぐぁぁぁぁぁあ』
『可愛すぎだろおい!!』
『くそ何だこの生き物は!!!』
『エロい命令が来ると思ったらめっちゃピュアなやつきたwwww』
『一生推す』
『神かよ、てえてえ』
『ありがとう──』
『はよ牧師さん呼ばんと』
『ノーオルしか勝たんガチでww』
ノーキから発せられた言葉は、一見すると簡単そうに見えて……めちゃくちゃ恥ずかしすぎる命令だった。俺は目をキョロキョロ動かし、上目遣いでノーキに囁く。
「おい、これ、みんなの前で言うのか?」
「うん。教えて欲しい」
「ふ……ふたりの時いつも言ってるじゃん」
「足りない、もっと」
コソコソ話す音声も、どうせマイクが拾ってしまっているのだろう。
ノーキは「いつでもOK」と言わんばかりに、欲した目で俺を見てくる。
こうなったらやるしかない! 俺は緊張しながらも、ぎこちなく口を開いた。
「えっと……や、優しいところ。俺のことよく分かってくれるところ。頼れるところ。オムライスが美味しいところ。ゲームが上手いところ。
あと……笑顔が好き。撫でてくれる大きな手も好き。落ち着いた声も、綺麗な目も全部──」
自分でも何を言ってるのか分からなくなり、顔からボッと火が出るような感覚に襲われる。動揺と恥ずかしさで熱々になった俺を見て、ノーキは優しく微笑んだ。
「嬉しい。オレも、オルの好きなところ沢山あるよ。笑顔が可愛いところ。リスナーさん思いなところ。
頑張り屋さんで真面目なところ。努力家なところ。オレを心配してくれるところ。寝顔も可愛い、声も身体も全部かわいい。それから……」
「も、もういいって……止まれ止まれ! 恥ずかしいだろ!?」
「まだいっぱいあるのに?」
俺が命令されていた筈なのに、気が付けばノーキが俺の好きなところを語ってくれていた。 言う方も言われる方も恥ずかしい、と気付き、俺の頭はパンク寸前だ。
『皆さん、生きてますか?』
『昇天した』
『尊すぎて泣いた。ティッシュ足らん』
『ノーオルに感謝を』
『生まれてきてくれてなありがとう』
『愛おしすぎだろこの二人』
『好き』
『涙で顔ぐっちゃぐちゃwwww』
『心が浄化された』
『結婚してくれ頼む』
なぜか涙を流すリスナーまで現れ、コメントは高速に盛り上がっていく。
俺は熱くなった顔をぱたぱたと手で仰ぎながら──隣に座る愛しい恋人の存在に、感謝するのであった。
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