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第三章
最終話④
しおりを挟むさてと……それで、だ。
最後はいよいよ、俺の番だ。二人で決めた、第一歩を踏み出すために。
俺はノーキの方へ歩みを進めようと、足を前に出した。はずだった。
俺の足がぶるぶると震えているのが分かった。ここまで来てダサすぎるが──やっぱりかなり緊張していたのだ。
自分で決めたことなのに、ここに来て震えている自分が悔しすぎる。成長したと言っても、いざ行動しようとするとやっぱり怖い。
すると突然、俺の視界に黒い影が映った。
「オル、大丈夫?」
目の前に現れたのはノーキだった。俺の異変を感じてやって来てくれたのだろう。
「だ、大丈夫だ!悪い悪い!今行くk──」
俺は無理やり笑顔を作ると、カメラの方に向かって歩みを進めた。……が、後ろから伸びてきた腕により、俺の体は後方に倒れる。
「え、ちょっ……ノーキ!?」
そう、俺はノーキに抱きしめられていたのだ。彼の優しい体温が、俺の心を落ち着かせてくれる。
「緊張してるの? 大丈夫だよ、オレがいる」
そう言って優しく頭を撫でてくる目前の男が、愛おしくてたまらない。本当に……本当にノーキには敵わない。
「ありがとうノーキ。お前のおかげで踏み出せる」
俺はニコリと笑みを浮かべると、気合を入れるべく、もう一度ノーキに抱きついた。そして「よしっ!」と自分に気合を入れた。
行こう! 視聴者さんが待ってる!
* * *
「さてと!最後は俺だな!」
『待ってましたああああああ!!』
『遂に来たか……!!!』
『やべぇ緊張するwwww』
『オルの顔が見れる日が来るとは笑』
『きたあああ!!』
『オルの顔まじで想像できんwww』
☆『待ってたワクワク』
『楽しみ!!!!』
コメント欄から、☆というユーザーが目に入る。どうやらキルさんも見に来てくれたようだ。
俺は深く深呼吸すると、とんっ、と静かに画面の前へ立つ。カメラの後ろでは、ノーキがこちらを見ていた。
『足きたああああああ!!!』
『え、なんか可愛いwwww』
『まってなんか俺より身長低そう笑』
『あーやべぇ俺の好みだwwww』
『オルの足きたあああああ!!』
『やばい、オルの顔が見れるとかやばい』
『ガチで心臓が爆発しそうなんだけどw』
☆『可愛いオル』
『手汗やばい俺wwww』
『待って! マジで顔出しすんのか!』
コメントは突然現れた俺の足を見て、興奮した様子を見せる。
俺はぎゅっと拳に力を込めると、カメラにゆっくり姿を移す。
俺は、頬を染めながらカメラを見た。
「オ……オルです」
やばい! 恥ずかしい過ぎる!!
ノーキみたいに無表情でいこうと思ったのに……やばい俺、顔真っ赤だ。恥ずかしい! コメントも絶対黙ってr──
『え、ま……』
『は?……え、マジで……オル?』
『ええええ??』
『オル?配信者のオル??』
『いつも調子いい事ばっか言うオル?』
『マジでオルなん……?』
『はっ……ちょっ、え、?』
コメントは何故か驚いたような声をあげる。俺は、いつものようにふざけたコメントをしようとした──が、緊張と恥ずかしさが相まって、出来なかった。
「そうだ、オルだよ……文句あんのかバカやろ」
するとコメントは、頬を真っ赤に染めたまま言った俺の言葉を最後に、今まで以上に加速する。
『は?この可愛い男、オルなん!??』
『え、想像してた百億倍可愛いwww』
『やばい……鼻血でてきた笑』
『マジでオル?クソ可愛いんだけどw』
『まって可愛いwwww』
『二重だ!!!笑』
『心臓がドキドキすんだけど笑』
『顔真っ赤じゃんオルwww』
『彼氏が横で顔真っ赤にしてんだけど笑』
『おいこっちも悪いところねえぞww』
『え、可愛い。マジでオル?惚れそう。』
『可愛いツンデレとか俺を殺しに来てる』
『かっっっっわい!!!!!』
☆『宇宙一可愛い。大好き』
『やばいこんな可愛い子が配信してたのw』
『ノーキさんが言ってた通りクソ可愛い笑』
『やばい涙でてきたwwww』
「……え?」
俺は思わぬコメントの様子に、驚きの声をあげる。ブサイクだの陰キャだの言われると思ってたのに、この反応は──
すると突然、俺の視界が誰かの腕によって遮られてしまう。その人物は俺の目を塞いだまま静かに言った。
「見ちゃダメ」
「ちょ……ノーキ? 急にどうしたんだよ?」
「ダメ。みんながオルの事好きになっちゃうから。オレのオルじゃなくなる」
「……は!?」
思わず頬を真っ赤にする俺を、ノーキは包むように抱きしめてくる。そのあまりの独占欲に、俺の心臓はドキドキと音を鳴らす。
『いいぞもっとやれぇぇ!!ww』
『酸素……ノーオルは酸素』
『可愛すぎてお茶こぼしたwww』
『ああああああああ!!!』
『おいこいつら可愛すぎるて!!』
『何この独占欲とデレ……可愛すぎだろ!』
『おいおいおい尊すぎるだろwww』
『マジでもう……ノーオルは神や』
☆『……次会ったら覚えとけよ』
『好きいいいい!!!』
『牧師さん!ここです!早く!!』
『……気づいた俺、多分ノーオルを見るために生まれてきたんだわwwww』
『この短時間で涙と鼻水と鼻血が出た笑』
『この2人好きすぎてやべぇwww』
『愛してる!!!!』
ノーキに抱きしめられてコメントを見る余裕がない俺とは裏腹に、ノーキは独占欲剥き出しのまま彼の耳元で囁いた。
「オル、早く俺の苗字貰ってね」
「はッ……!?!」
「もう少ししたら一緒に暮らそう」
「いやちょっ、ノーキ? いま配信中……」
「毎日オムライス作る。プロチームでも頑張る。だから……これからも隣に居てね」
そう言ってノーキは俺を真っ直ぐ見つめる。その瞳は、絶対に離さないという愛情と独占欲に溢れていた。
俺はそんな彼の視線を受けて──ドキドキしっぱなしの心臓を何とか落ち着かせると、小さな声で言うのだった。
「……幸せにしなかったらぶん殴る」
「!! もちろん。最高に幸せにするよ」
そう言って互いに笑みを浮かべる二人は、全ての視聴者に幸せオーラを届ける。
『ノーオル神!!!』
『ああああああ!!!!!!』
『生まれてきてくれてありがとう』
『おい結婚! はやく!』
『式はまだか? 赤飯は出来てる』
『生きててよかった』
『結婚式呼んでくれ金は出す』
『大好きだ!!!!』
『ノーオル最っ高!!』
この日、配信を見ていたほぼ全員がぶっ倒れたという事実を──二人は知らない。
最終章/完
最後まで読んで下さり、ありがとうございました!!!
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ありがとうございますありがとうございます
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常にニヤニヤしながら読んでました!!!!視聴者のコメントが好きすぎて、、代弁してくれていて最高でした!!🫶🏻😭最後まで⭐︎のコメントがあって面白かったです😽
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