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第十章 南洋の密林の島に八つ首の大蛇は存在した
光の剣
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ンネグラ族の集落に泊った健太郎達は翌朝、早速、族長テダハとその護衛二人を加え彼らが聖地として守っている小龍穴へと向かった。
地理的な事を言えば、島の中央、休火山カガネ山に島に住む蜥蜴人達が守護崇拝する龍穴があり、その周囲、島の東西南北に全部で八つ力の吹き溜まりである小龍穴が存在している。
今回、向かっているのは族長の住む集落から西、龍穴の場所から考えれば北西に位置する小龍穴だった。
「そういえば聞いて無かったけど、蜥蜴人は何で四つの部族に分かれてるんだい?」
フェンデアがある島は大きいとは言え、大陸の国家に比べれば国土は十分の一にも満たない。
そんな土地を四つに分けずとも、境を無くし暮らせばよい様にミラルダには思える。
「元々は王の下、島は纏まっていました。ですが王がお隠れになると、各部族は自分達の部族から次の王を輩出しようと争い始めました。巨獣様の願い、龍穴の守護という使命があったので戦にはなりませんでしたが、結局、話合いは平行線を辿りフェンデアは四つに分かれ分割統治する事になったのです」
「仲良くないんだ……じゃあ族長さんに口を利いて貰っても、他の部族の族長は首を縦に振らないんじゃないの?」
「そうですね……プシュ、プシ、シャアア、プシュ、プシ?」
パムの疑問を受け、ラデメヒは族長テダハに何やら問い掛けた。
灰色の鱗の蜥蜴人、テダハはそれにプシプシと鼻と喉を鳴らし答える。
「友好的ではないとはいえ、聖地を守る事は共通の使命だ。それに我々以外の三部族も支配地域、小龍穴に居座るヒドラの子の排除が出来ていない。お前達がヒドラの子を倒したと知れば聞く耳ぐらいは持つはずだ。ですッ」
「中々に面倒な土地の様だな」
「人が集まれば派閥が生まれる。今回はヒドラって派閥を超えた脅威が現れたから共闘体制が組まれたのね」
「同じ蜥蜴人なんだから仲良くすりゃあいいものを……」
そう言って鼻を鳴らしたギャガンにラデメヒがプシ―と恐らく苦笑しながら口を開く。
「王がいた頃は各部族の要望をバランスよく調整し、不公平にならないよう治められていたそうですが……」
「優れた為政者が去った後は国が混乱するという事だな……王政は王の資質に左右される。フェンデアは議会政治を導入すべきかもな」
「議会政治? 何ですかそれ?」
ラデメヒはグリゼルダの言葉に興味深々な様子で尋ねる。
「議会政治は……この国ならば四つの部族で同数の代表を立て、話し合いで国の方針を決めるやり方の事だ。私の祖国エルダガンドでは貴族、有力者が代表を務めていたが、より民を主体とするなら民の中から代表になりたい者を募り、民自身の選択によって代表を決める方法があるな」
「オルニアルとか確かそんな感じだったねぇ」
「ああ、そうだ。まぁ、アキラの記憶じゃその議員の椅子も金で買えるようだったがな」
「どんな方法も人が運用する限り腐敗の温床になる可能性があるって事ね」
グリゼルダ達の話を聞いたラデメヒは、プシと小さく鼻を鳴らすと何やら考えこんでしまった。
健太郎はミラルダ達の話を聞きながら思う、イレーネとの話にも出たが人は幸せに生きたくて日々暮らしている筈だ。
誰だって辛く苦しい生活は送りたくないだろう。
議会政治も民衆の願いを叶える為に出来た仕組みの筈、しかし権力を手に入れた人間は道を踏み外しやすい……。
「コホー……コホーッ」
腐敗か……どうしてそんな風に自分だけ成功したいと思うんだろう。俺はみんなで幸せになればそれでいいと思うんだが。
「みんなで幸せに……そうだねぇ、誰かが辛い思いをしてたら思い切り笑えないもんねぇ」
「コホーッ!」
だよねッ!
健太郎とミラルダが微笑み合う中、グリゼルダ達の話を聞いていたラデメヒはプシプシと鼻と喉を鳴らしテダハに何やら話していた。
そんな風に色々話ながら一行は移動を続け、半日ほど森を進んだ先で木の塀で囲われた目的地、ンネグラ族の守る聖地の一つ、小龍穴へと辿り着いた。
小龍穴は木の柵で覆われてはいたが、その柵は所々破壊され、元は戦士が詰めていたのだろう建物も現在は破壊され残骸を残すのみだ。
テダハがラデメヒに語り掛け、それをラデメヒが健太郎達に伝える。
「元は戦士が守っていたが、その戦士も今はヒドラの腹の中……ヒドラが居座る限り、修復も出来ず荒れる一方だ。一族を代表して頼む、奴をこの地から排除して欲しい。です……みなさん、私からもお願いします。ヒドラを倒してください」
ラデメヒはそう言うと健太郎達の前で片膝を突き両腕を交差させ頭を下げた。それを見たテダハも同様に頭を下げ、ラデメヒの護衛オミノミとテダハの護衛も頭を垂れる。
ミラルダはそんなラデメヒに歩み寄ると、膝を折り彼女の方に右手を置いた。
「任せておくれ。冒険者は常にベストな形を模索するもんさ。悪い様にはしない」
「その通りだ。お前達の大切な場所は我々が取り戻してみせよう……ただ、ここも地脈の力が溜まっているみたいだからな。大規模な魔法や派手な攻撃は控えた方がいいだろう……ラデメヒ、ヒドラをここから連れ出す事は出来ないのか?」
「ヒドラは狩りをする時以外は聖地で眠っています。その狩りもヒドラの気分次第で……親から空腹を満たす為の狩り以外では動かないよう言われているのかもしれません」
「弓とかで攻撃を仕掛けても出て来ないのかよ?」
「弓ですか……プシ、プシューッ、シャアアア?」
ラデメヒがテダハに問い掛けると、彼は首を振ってシャアシャアと喉を鳴らした。
「えっと、族長たちは誘き寄せて罠を使って倒そうと試みたようなんですが、一定以上は追って来ないそうなんです」
「連れ出すのは難しいか……グリゼルダ、魔法ってどの程度ならいいんだよ?」
「あくまで文献等から得た知識からの予想だが……降雷や火球レベルの魔法は危険かもしれん」
「えっ、この前、戦った時はバンバン使ってたよね?」
「ああ……だがここは小さいとはいえ龍穴だ。文献によれば力の溜まった龍穴は魔矢程度の僅かな力で爆ぜた例もあるという。出来るなら魔法を使わず、影響の少ない物理攻撃のみで押し切りたい……」
そう言うとグリゼルダはチラリと健太郎に視線を向けた。
「コホー……?」
なにかなグリゼルダ……?
「……昔、ギャガンが話していたがミシマ、お前、剣に変形しろ」
「コッ、コホーッ!?」
えっ、剣にッ!? 何で何でッ!?
「予想だがお前が変形した剣は非常に強力な筈だ。その剣をありったけの強化魔法を掛けたギャガンが振るえば、恐らく一太刀でヒドラを屠れる……それが小龍穴に影響を与えない方法だと私は思う」
「一太刀……ねぇギャガン出来る?」
パムが小首をかしげギャガンに尋ねると、彼は顎に手を当て健太郎に目を向ける。
「コホー……」
ギャガン、その……目が怖いんだが……。
「ミシマの剣か……今持ってる竜の牙と蟲の王の剣じゃ一太刀ってのは難しそうだが……」
そう言ってギャガンはペロリと舌なめずりをして、健太郎に妙にジトッとした視線を送った。
彼は龍穴云々よりも健太郎が変形する剣の方に興味がある様だ。その金の瞳は竜の牙を手渡した時のように爛々とした輝きを宿している。
「ミシマ、グリゼルダの言う様に魔法を使うのが危険なら、あたし等は手伝えない。嫌かもしれないけど安全にヒドラを倒す為だ。やって貰えないかねぇ」
「コホー……」
剣か……確かに魔法の援護なしじゃヒドラの相手は大変だろうし、かといって俺も人型モードじゃ有用な攻撃方法は無いしなぁ……でもなぁ……剣になっちゃったらいよいよもって俺の立ち位置が道具ポジに……。
「大丈夫だよッ、こう、光を放つ剣とかド派手な奴に変形すればギャガンよりもあんたの存在が目立つ筈さッ!!」
「コホー……」
そうかなぁ……光の剣ねぇ……光の剣といえばやっぱりアレかなぁ……。
健太郎の脳裏に銀河の平和を守る為、悪の軍勢と戦った騎士の姿が思い浮かぶ。
「プシーッ!?」
「プシュプシュッ!!」
「報告書で聞いてたけど、ホントに小さくもなれるのねぇ」
「ホントに何度見てもどうなってるのか分かんないよね」
蜥蜴人やイレーネ達の言葉を聞きながら、健太郎の体は変形を続けやがて青黒い金属の筒へとその身を変えた。
「ヴォーン……」
やっぱりコレか……。
「へへっ、コイツがミシマの剣……刀身はねぇみたいだが……?」
ギャガンが拾い上げた健太郎を興味深そうに眺めていると、筒に付いたボタンが押され、端から長さ一メートル程の青白い光の刃が生成される。
「うぉ……マジで光の剣だぜ……」
「ふぇええ、神話で神様が持ってる武器みたいだねぇ……でもでも、ホントにそれって竜の牙とかより切れるの?」
「そうだな……なんか試し斬りを……」
パムの言葉を受けてギャガンはキョロキョロと周囲に視線を向け、一本の大木に当たりを付けた。
ギャガンが駆け寄ったその木は直径が三、四メートル程、この前倒したヒドラの八つの首の根元と同じぐらいの幅だ。
「なぁ、コイツ切り倒していいか?」
「……あ……プシュ、シャアア、プシプシ?」
光を放つ剣を見て呆然としていたラデメヒが、ギャガンの言葉で我に返りテダハに問い掛ける。
「シャアアアア、プシュ、プシュ、プシッ」
「構わない、元々ヒドラに破壊された聖地を修繕する為に、ヒドラ退治が出来たらこの辺の木を切り倒す予定だった。ですッ……でも流石にその太さは……」
「ヴォッ、ヴォーンッ!?」
とっ、突然振り回さないでおくれよッ!?
テダハの言葉を伝えたラデメヒがそう言った時には、ギャガンはヴォーンと低い音を放つ光の剣を振り抜いていた。
光の刃はインパクトに合わせ刀身を伸ばし、何の抵抗もなく大木の幹をすり抜けた。
一瞬の間をおいて、支えを失った大木はメキメキと音を立てて森の木々に寄り掛かる様に倒れた。
「プシャア……」
「信じられない」
「ヴォーン……」
うぅ、思いっきり振られると何だか目が回るんだが……。
「クククッ、こいつならどんな化け物でも斬れそうだぜ」
健太郎のボヤキを他所にギャガンの瞳は輝く刀身の光を受けてキラキラと金色に輝いた。
地理的な事を言えば、島の中央、休火山カガネ山に島に住む蜥蜴人達が守護崇拝する龍穴があり、その周囲、島の東西南北に全部で八つ力の吹き溜まりである小龍穴が存在している。
今回、向かっているのは族長の住む集落から西、龍穴の場所から考えれば北西に位置する小龍穴だった。
「そういえば聞いて無かったけど、蜥蜴人は何で四つの部族に分かれてるんだい?」
フェンデアがある島は大きいとは言え、大陸の国家に比べれば国土は十分の一にも満たない。
そんな土地を四つに分けずとも、境を無くし暮らせばよい様にミラルダには思える。
「元々は王の下、島は纏まっていました。ですが王がお隠れになると、各部族は自分達の部族から次の王を輩出しようと争い始めました。巨獣様の願い、龍穴の守護という使命があったので戦にはなりませんでしたが、結局、話合いは平行線を辿りフェンデアは四つに分かれ分割統治する事になったのです」
「仲良くないんだ……じゃあ族長さんに口を利いて貰っても、他の部族の族長は首を縦に振らないんじゃないの?」
「そうですね……プシュ、プシ、シャアア、プシュ、プシ?」
パムの疑問を受け、ラデメヒは族長テダハに何やら問い掛けた。
灰色の鱗の蜥蜴人、テダハはそれにプシプシと鼻と喉を鳴らし答える。
「友好的ではないとはいえ、聖地を守る事は共通の使命だ。それに我々以外の三部族も支配地域、小龍穴に居座るヒドラの子の排除が出来ていない。お前達がヒドラの子を倒したと知れば聞く耳ぐらいは持つはずだ。ですッ」
「中々に面倒な土地の様だな」
「人が集まれば派閥が生まれる。今回はヒドラって派閥を超えた脅威が現れたから共闘体制が組まれたのね」
「同じ蜥蜴人なんだから仲良くすりゃあいいものを……」
そう言って鼻を鳴らしたギャガンにラデメヒがプシ―と恐らく苦笑しながら口を開く。
「王がいた頃は各部族の要望をバランスよく調整し、不公平にならないよう治められていたそうですが……」
「優れた為政者が去った後は国が混乱するという事だな……王政は王の資質に左右される。フェンデアは議会政治を導入すべきかもな」
「議会政治? 何ですかそれ?」
ラデメヒはグリゼルダの言葉に興味深々な様子で尋ねる。
「議会政治は……この国ならば四つの部族で同数の代表を立て、話し合いで国の方針を決めるやり方の事だ。私の祖国エルダガンドでは貴族、有力者が代表を務めていたが、より民を主体とするなら民の中から代表になりたい者を募り、民自身の選択によって代表を決める方法があるな」
「オルニアルとか確かそんな感じだったねぇ」
「ああ、そうだ。まぁ、アキラの記憶じゃその議員の椅子も金で買えるようだったがな」
「どんな方法も人が運用する限り腐敗の温床になる可能性があるって事ね」
グリゼルダ達の話を聞いたラデメヒは、プシと小さく鼻を鳴らすと何やら考えこんでしまった。
健太郎はミラルダ達の話を聞きながら思う、イレーネとの話にも出たが人は幸せに生きたくて日々暮らしている筈だ。
誰だって辛く苦しい生活は送りたくないだろう。
議会政治も民衆の願いを叶える為に出来た仕組みの筈、しかし権力を手に入れた人間は道を踏み外しやすい……。
「コホー……コホーッ」
腐敗か……どうしてそんな風に自分だけ成功したいと思うんだろう。俺はみんなで幸せになればそれでいいと思うんだが。
「みんなで幸せに……そうだねぇ、誰かが辛い思いをしてたら思い切り笑えないもんねぇ」
「コホーッ!」
だよねッ!
健太郎とミラルダが微笑み合う中、グリゼルダ達の話を聞いていたラデメヒはプシプシと鼻と喉を鳴らしテダハに何やら話していた。
そんな風に色々話ながら一行は移動を続け、半日ほど森を進んだ先で木の塀で囲われた目的地、ンネグラ族の守る聖地の一つ、小龍穴へと辿り着いた。
小龍穴は木の柵で覆われてはいたが、その柵は所々破壊され、元は戦士が詰めていたのだろう建物も現在は破壊され残骸を残すのみだ。
テダハがラデメヒに語り掛け、それをラデメヒが健太郎達に伝える。
「元は戦士が守っていたが、その戦士も今はヒドラの腹の中……ヒドラが居座る限り、修復も出来ず荒れる一方だ。一族を代表して頼む、奴をこの地から排除して欲しい。です……みなさん、私からもお願いします。ヒドラを倒してください」
ラデメヒはそう言うと健太郎達の前で片膝を突き両腕を交差させ頭を下げた。それを見たテダハも同様に頭を下げ、ラデメヒの護衛オミノミとテダハの護衛も頭を垂れる。
ミラルダはそんなラデメヒに歩み寄ると、膝を折り彼女の方に右手を置いた。
「任せておくれ。冒険者は常にベストな形を模索するもんさ。悪い様にはしない」
「その通りだ。お前達の大切な場所は我々が取り戻してみせよう……ただ、ここも地脈の力が溜まっているみたいだからな。大規模な魔法や派手な攻撃は控えた方がいいだろう……ラデメヒ、ヒドラをここから連れ出す事は出来ないのか?」
「ヒドラは狩りをする時以外は聖地で眠っています。その狩りもヒドラの気分次第で……親から空腹を満たす為の狩り以外では動かないよう言われているのかもしれません」
「弓とかで攻撃を仕掛けても出て来ないのかよ?」
「弓ですか……プシ、プシューッ、シャアアア?」
ラデメヒがテダハに問い掛けると、彼は首を振ってシャアシャアと喉を鳴らした。
「えっと、族長たちは誘き寄せて罠を使って倒そうと試みたようなんですが、一定以上は追って来ないそうなんです」
「連れ出すのは難しいか……グリゼルダ、魔法ってどの程度ならいいんだよ?」
「あくまで文献等から得た知識からの予想だが……降雷や火球レベルの魔法は危険かもしれん」
「えっ、この前、戦った時はバンバン使ってたよね?」
「ああ……だがここは小さいとはいえ龍穴だ。文献によれば力の溜まった龍穴は魔矢程度の僅かな力で爆ぜた例もあるという。出来るなら魔法を使わず、影響の少ない物理攻撃のみで押し切りたい……」
そう言うとグリゼルダはチラリと健太郎に視線を向けた。
「コホー……?」
なにかなグリゼルダ……?
「……昔、ギャガンが話していたがミシマ、お前、剣に変形しろ」
「コッ、コホーッ!?」
えっ、剣にッ!? 何で何でッ!?
「予想だがお前が変形した剣は非常に強力な筈だ。その剣をありったけの強化魔法を掛けたギャガンが振るえば、恐らく一太刀でヒドラを屠れる……それが小龍穴に影響を与えない方法だと私は思う」
「一太刀……ねぇギャガン出来る?」
パムが小首をかしげギャガンに尋ねると、彼は顎に手を当て健太郎に目を向ける。
「コホー……」
ギャガン、その……目が怖いんだが……。
「ミシマの剣か……今持ってる竜の牙と蟲の王の剣じゃ一太刀ってのは難しそうだが……」
そう言ってギャガンはペロリと舌なめずりをして、健太郎に妙にジトッとした視線を送った。
彼は龍穴云々よりも健太郎が変形する剣の方に興味がある様だ。その金の瞳は竜の牙を手渡した時のように爛々とした輝きを宿している。
「ミシマ、グリゼルダの言う様に魔法を使うのが危険なら、あたし等は手伝えない。嫌かもしれないけど安全にヒドラを倒す為だ。やって貰えないかねぇ」
「コホー……」
剣か……確かに魔法の援護なしじゃヒドラの相手は大変だろうし、かといって俺も人型モードじゃ有用な攻撃方法は無いしなぁ……でもなぁ……剣になっちゃったらいよいよもって俺の立ち位置が道具ポジに……。
「大丈夫だよッ、こう、光を放つ剣とかド派手な奴に変形すればギャガンよりもあんたの存在が目立つ筈さッ!!」
「コホー……」
そうかなぁ……光の剣ねぇ……光の剣といえばやっぱりアレかなぁ……。
健太郎の脳裏に銀河の平和を守る為、悪の軍勢と戦った騎士の姿が思い浮かぶ。
「プシーッ!?」
「プシュプシュッ!!」
「報告書で聞いてたけど、ホントに小さくもなれるのねぇ」
「ホントに何度見てもどうなってるのか分かんないよね」
蜥蜴人やイレーネ達の言葉を聞きながら、健太郎の体は変形を続けやがて青黒い金属の筒へとその身を変えた。
「ヴォーン……」
やっぱりコレか……。
「へへっ、コイツがミシマの剣……刀身はねぇみたいだが……?」
ギャガンが拾い上げた健太郎を興味深そうに眺めていると、筒に付いたボタンが押され、端から長さ一メートル程の青白い光の刃が生成される。
「うぉ……マジで光の剣だぜ……」
「ふぇええ、神話で神様が持ってる武器みたいだねぇ……でもでも、ホントにそれって竜の牙とかより切れるの?」
「そうだな……なんか試し斬りを……」
パムの言葉を受けてギャガンはキョロキョロと周囲に視線を向け、一本の大木に当たりを付けた。
ギャガンが駆け寄ったその木は直径が三、四メートル程、この前倒したヒドラの八つの首の根元と同じぐらいの幅だ。
「なぁ、コイツ切り倒していいか?」
「……あ……プシュ、シャアア、プシプシ?」
光を放つ剣を見て呆然としていたラデメヒが、ギャガンの言葉で我に返りテダハに問い掛ける。
「シャアアアア、プシュ、プシュ、プシッ」
「構わない、元々ヒドラに破壊された聖地を修繕する為に、ヒドラ退治が出来たらこの辺の木を切り倒す予定だった。ですッ……でも流石にその太さは……」
「ヴォッ、ヴォーンッ!?」
とっ、突然振り回さないでおくれよッ!?
テダハの言葉を伝えたラデメヒがそう言った時には、ギャガンはヴォーンと低い音を放つ光の剣を振り抜いていた。
光の刃はインパクトに合わせ刀身を伸ばし、何の抵抗もなく大木の幹をすり抜けた。
一瞬の間をおいて、支えを失った大木はメキメキと音を立てて森の木々に寄り掛かる様に倒れた。
「プシャア……」
「信じられない」
「ヴォーン……」
うぅ、思いっきり振られると何だか目が回るんだが……。
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