学園最強と言われている術師に何故か好かれている

イケのタコ

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おまけ2

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いくつになっても、自室ではない他の部屋に来ると心が躍るようなドキドキ感がある。
ヨモギとアルカナの部屋は、自室より広く。部屋を真ん中で区切るように、二つのベッドが両端に置かれ、勉強机に棚と一つずつ置かれている。
そして、物が整頓されている右側がヨモギで、物が少々ベッドに置かれている左側がアルカナだった。

「では真ん中に布団を敷いて寝るってこといいですか」
「えー」

文句は言ったのはイーナではなく、アルカナ。

「せっかくなんだからさ。寂しいこと言わずに、ベッドくっつけて三人で寝ようぜ」
「嫌です。それなら、私が床で寝ます」

ヨモギが、口端を歪めては拒絶する。絶対に嫌だと言葉にせずとも聞こえてくる。

「なんで?」
「理由ですか? 貴方の寝相が悪いからです。それのせいで野外授業の時にどれだけ迷惑をかけられた事か」
「うーん、覚えてないな」
「だろうな。お前は寝ているからな。とにかく、隣で寝ることは拒否します」
「えー、イーナさんを床で寝かせる気か」
「そういうなら、私が床で寝るって言っているでしょ」

と、話がまだ続くのだが、形は変わろうと永遠に同じやり取りが行われたのでイーナが提案する。

「布団を床に敷いて、俺が真ん中に寝るというのはどうですか。それだと、一緒に寝れるし、嫌な時は転がって離れられると思うのですが」

それで話がまとまり、二人のベッドから布団を持ってきて床で寝ることにした。

「電気、消しますよ」

灯を消すヨモギはまだ不満そうだったが、寝る準備も終えて布団の中に入ってみると、知らない匂いに包まれながらもイーナは落ち着けた。

知り合って浅いため警戒はまだあるけれど、何故か二人には妙な安心感があった。特に、ヨモギは同じ年代と思えないほど芯がある真っ直ぐとした落ち着きがあるから、こちらの気が抜けてしまう。
すぐにでも、眠れそうだ。

「イーナさんって、レオンって人の知り合いなの」

目を瞑っているとアルカナがレオンの話題を出してきて、一気に目が覚める。

「一応……知り合いかな」
「へー。なぁなぁ、知り合いならさ、分かると思うんだけどあの人ってさぁ」

黄色い悪魔だった。決して、近づいては行けない人。周りから散々言われていたというのに、自分はなぜ近づいたのだろうか。

「意外と優しいよな」

しかし、アルカナから出てきた言葉は予想していなかったものだった。

「って言うと皆驚くけど。レオンって人、噂で聞くような極悪でもないし、悪目立ちしてるだけで普通だよな」
「……そうだよね」

アルカナの言う通り、ずっと悪い人ではない。自分だけが見ている側面だと思っていたけど、他の人からそう聞くと間違ってなかったと少し嬉しくなった。

「それが戦いに挑んだ時に」
「戦いに挑んだ!? えっ」

イーナは驚きのあまり起き上がるが、アルカナは特別に何でもないよう話すから余計に戸惑う。

「そうそう、強そうだったから挑んだわけ。そりゃ最初は冷たくあしらわれたけど、何度もお願いしてたら正々堂々戦ってくれたからな。まぁ、負けたけど。もし、極悪非道ならしつこい俺を後ろから殺したっていいからな」
「確かに……」

レオンの強さなら病院送りくらい簡単なのに、それをせずに正面を向いて戦ってくれるのは潔い良いと思える。
メガネを誰一人として拾ってくれない中、一人拾ってくれたのもそうだけど、そういうところは妙にきっちりとしていると言える。

「イーナさん、その男の言っていることはあまり信用しないように。その人を一ヶ月追いかけ回して、あまりのしつこさにしょうがなく勝負しただけですから」

眠っているものだと思っていたヨモギは話を聞いていたようで、そう話す。
 
「あれ? そうだったか」
「そうでした。その一ヶ月間、どれだけ心を冷や冷やさせた事か」
「何でお前が冷や冷やするんだよ。もし、冷や冷やするなら俺だろ」
「巻き込まれるから、決まってるだろ」

ヨモギの声は一段と冷えて濁っていた。

「あの人の顔を一度でもしっかり見たことありますか。人殺しの目つきで、お前と私を見ていた」
「してたかぁ。戦いが面白すぎて前後覚えてない」
「……はぁ、もう寝ろ」

ヨモギは呆れてしまったのか、体を壁の方に向けては布団の端に包まる。アルカナも、話は一旦終わったので目を瞑り寝る準備に取り掛かった。

「おやすみ、イーナさん」
「うん……」

イーナも寝ようと再び布団の中に潜り込む。
ふと、レオンはアルカナを雑に扱う割には追い払うだけで済んでいたと言うことは、優しさというよりレオンがドン引きしていたのではないかと。
そうなってくると黄色い悪魔に避けられるアルカナが学園の最強なのではないかと、イーナは頬を引き攣らせ思うのだった。
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