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ないと思っていた感情(斗希視点)※
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たかが1回、気まぐれで助けただけなのにずいぶんと懐かれたと思った。
ちっこくて細くて、俺の周りにいる女とは全然違う大人しい男。でも俺に知って欲しいからって自分の名前やら誕生日やら好きな物やらを話す姿は快活で、笑った顔はガラにもなく可愛いと思った。
まぁあの見た目で2つも年上なのは驚いたけど、知れば知るほど純粋でお人好しで優しくて、こんな奴がなんで俺をって不思議で仕方なかった。絶対間違ってるって。
それからおおよそひと月。
休み以外は毎日の煩わしいようほどに俺に声をかけてた奴が、ある日パタリと姿を見せなくなった。
飽きたのか、もう面倒になったのかは分からないけど、これで静かになると思った俺は最初の2、3日は普段通り過ごした。でもどうしてか物足りなくて、無意識のうちにアイツを捜してるって気付いた時には自分が信じられなかった。
まさか、あの声を聞きたいと思うなんて。
どうやら体調を崩して休んでただけらしいが、俺はコイツが1日でも視界に映んねぇとどうにも落ち着かなくなってた。
それを言えば、責任取るから付き合ってなんて返されてずいぶんな告白をするなと思ったけど、言い寄って来る奴らを恋人がいるで突っぱねられんならまぁいっかって受け入れた。それに、学校も違うからそんな会う事もないだろうしって。
でもアイツは控えめに、だけどしっかりと距離を縮めようとしてて、他愛ないメッセージやちょっとした質問なんかを送ってはきてた。俺からの返信はほとんどないに等しいのに。
デートだって何度ドタキャンした事か。
それでもアイツは、俺の姿を見ると嬉しそうに笑うし、デートに行けば自分勝手な俺にも楽しそうについてくるしで、そういうのを見ているうちにいつの間にか違う感情が芽生えてた。
絆された上に本気で惚れるなんて、今までの俺なら絶対なかったのにな。
おかげでまともに顔は見れねぇわ触るどころか手すらも繋げねぇわ、挙句アイツの何て事ない仕草や表情に簡単に欲情するようになって、それを抑える為に顔を逸らしたり眉根を寄せたりしてたんだけどそれが悪い方に作用してたとは思わなかった。
明らかに別れの挨拶と取れるメッセージが送られてきた時、血の気が一気に下がった。
確かに俺は自己中で口も悪いし決していい彼氏とは言えねぇけど、陽依と別れる事は考えたくもない。
アイツが、俺以外の誰かのものになるなんて耐えらんねぇ。
カーテンの隙間から太陽の光が差し込む中、俺は目の前で震える肢体をゆっくりと撫でた。軽く汗ばんでしっとりとした肌の白さに舌舐めずりをする。
陽依からのメッセージを見て家を飛び出した俺は、記憶を頼りに陽依の家へと向かいまだ薄暗さの残る朝方に押しかけた。驚く陽依に理由を聞くととんでもない誤解をされてたって知ったけど、アイツが本命だとか死んでも有り得ない。
それでも不安が拭えない様子の陽依に、俺は今まで自分で抑えていたものを全部取っ払う事にした。
独占欲も執着も嫉妬も欲望も、もう我慢しねぇって。
「⋯っ、とき、く⋯」
「痛くねぇ?」
「ん⋯だいじょ、ぶ⋯」
好きだと気付いてからずっと耐えていた気持ちをぶつけるように何度も口付け、男にしては薄い身体に手を這わせ、誰も触れた事がないだろう場所を丁寧に解した。
ローションなんてもんがある訳もなく、俺の唾液と陽依が出したのでどうにかなったけど次からは必須だな。
ちなみにゴムは俺の財布に入ってた。いつ入れたかのかも覚えてない。
指が3本、余裕で入るようになってから抜き、はち切れんばかりに膨らんだ自身へとゴムを着ける。ヒクつく場所へと宛てがうと陽依が強く俺の服を掴んだ。
「怖ぇ?」
「⋯ちょっと、だけ⋯⋯でも、斗希くんだから平気⋯」
「そういうのが俺を煽るんだよ」
「え⋯」
赤い顔と潤んだ目でそう言われ呆れて息を吐くと、陽依は数回目を瞬いたあとハッとして口を押さえた。その仕草にふっと笑い、ぐっと先を押し込んだら陽依が身体を強張らせ小さく声を漏らす。
時間をかけて解したとはいえやっぱ狭ぇな。
「んん⋯っ、斗希くん⋯」
「辛いなら爪立てていいから」
「や、だ⋯⋯そんな事したら⋯斗希くんが痛い⋯」
「ンなの気にしなくていいんだって」
こういう時でも俺を気遣う陽依の髪を撫で、額に口付けると躊躇いがちに俺の頬へと手を伸ばしてきた。でも触れるギリギリで止まり、本当にいいのか迷ってるようだったからその手を掴んで押し当てると泣きそうな顔になる。
そうだよな。陽依だって、いろいろ我慢してきたんだよな。
「触れよ⋯お前なら何してもいいから」
「⋯斗希くん⋯」
「したかった事、これからいくらでもしてやるから」
そもそもが陽依に手を出さねぇ為に避けてたようなもんだし、もう我慢する必要もねぇなら遠慮もいらねぇからな。
だから、陽依も飲み込んだりしなくていい。
陽依の様子を伺いながら少しずつ腰を進め、奥まで到達した頃には2人とも汗だくになってた。
「入った⋯」
「⋯っ⋯⋯すごい⋯⋯お腹、斗希くんでいっぱい⋯」
「⋯苦しくねぇ?」
「苦しいけど⋯⋯それ以上に幸せだから⋯」
「陽依⋯」
絶対、気持ち悪さとか圧迫感とかあるはずなのに、陽依はそう言って嬉しそうにはにかむ。
いじらしいっつーか何つーか、こういうとこが俺の何かを刺激するんだよな。俺、自分の好みはちょっと気の強い奴だと思ってたのに。
腹を撫でる陽依に眉根を寄せ、腰を揺らせば甘えた声が上がる。
「動くぞ」
「⋯っ、ん⋯⋯斗希くん⋯」
「ん?」
「⋯大好き」
ここ数ヶ月は聞く事のなかった言葉。俺の態度で口にするのを遠慮してたんだろうけど、やっぱ陽依が言うとすんなり耳に入ってくるな。
他の奴の〝好き〟なんて、煩わしいだけなのに。
俺は陽依が伸ばす手に応えながら頷くと、ゆっくりと抜き差しを始めて薄く開いた唇へと口付けた。
誰かを愛おしいと感じるなんて、俺には無縁のもんだと思ってたんだけどな。
ちっこくて細くて、俺の周りにいる女とは全然違う大人しい男。でも俺に知って欲しいからって自分の名前やら誕生日やら好きな物やらを話す姿は快活で、笑った顔はガラにもなく可愛いと思った。
まぁあの見た目で2つも年上なのは驚いたけど、知れば知るほど純粋でお人好しで優しくて、こんな奴がなんで俺をって不思議で仕方なかった。絶対間違ってるって。
それからおおよそひと月。
休み以外は毎日の煩わしいようほどに俺に声をかけてた奴が、ある日パタリと姿を見せなくなった。
飽きたのか、もう面倒になったのかは分からないけど、これで静かになると思った俺は最初の2、3日は普段通り過ごした。でもどうしてか物足りなくて、無意識のうちにアイツを捜してるって気付いた時には自分が信じられなかった。
まさか、あの声を聞きたいと思うなんて。
どうやら体調を崩して休んでただけらしいが、俺はコイツが1日でも視界に映んねぇとどうにも落ち着かなくなってた。
それを言えば、責任取るから付き合ってなんて返されてずいぶんな告白をするなと思ったけど、言い寄って来る奴らを恋人がいるで突っぱねられんならまぁいっかって受け入れた。それに、学校も違うからそんな会う事もないだろうしって。
でもアイツは控えめに、だけどしっかりと距離を縮めようとしてて、他愛ないメッセージやちょっとした質問なんかを送ってはきてた。俺からの返信はほとんどないに等しいのに。
デートだって何度ドタキャンした事か。
それでもアイツは、俺の姿を見ると嬉しそうに笑うし、デートに行けば自分勝手な俺にも楽しそうについてくるしで、そういうのを見ているうちにいつの間にか違う感情が芽生えてた。
絆された上に本気で惚れるなんて、今までの俺なら絶対なかったのにな。
おかげでまともに顔は見れねぇわ触るどころか手すらも繋げねぇわ、挙句アイツの何て事ない仕草や表情に簡単に欲情するようになって、それを抑える為に顔を逸らしたり眉根を寄せたりしてたんだけどそれが悪い方に作用してたとは思わなかった。
明らかに別れの挨拶と取れるメッセージが送られてきた時、血の気が一気に下がった。
確かに俺は自己中で口も悪いし決していい彼氏とは言えねぇけど、陽依と別れる事は考えたくもない。
アイツが、俺以外の誰かのものになるなんて耐えらんねぇ。
カーテンの隙間から太陽の光が差し込む中、俺は目の前で震える肢体をゆっくりと撫でた。軽く汗ばんでしっとりとした肌の白さに舌舐めずりをする。
陽依からのメッセージを見て家を飛び出した俺は、記憶を頼りに陽依の家へと向かいまだ薄暗さの残る朝方に押しかけた。驚く陽依に理由を聞くととんでもない誤解をされてたって知ったけど、アイツが本命だとか死んでも有り得ない。
それでも不安が拭えない様子の陽依に、俺は今まで自分で抑えていたものを全部取っ払う事にした。
独占欲も執着も嫉妬も欲望も、もう我慢しねぇって。
「⋯っ、とき、く⋯」
「痛くねぇ?」
「ん⋯だいじょ、ぶ⋯」
好きだと気付いてからずっと耐えていた気持ちをぶつけるように何度も口付け、男にしては薄い身体に手を這わせ、誰も触れた事がないだろう場所を丁寧に解した。
ローションなんてもんがある訳もなく、俺の唾液と陽依が出したのでどうにかなったけど次からは必須だな。
ちなみにゴムは俺の財布に入ってた。いつ入れたかのかも覚えてない。
指が3本、余裕で入るようになってから抜き、はち切れんばかりに膨らんだ自身へとゴムを着ける。ヒクつく場所へと宛てがうと陽依が強く俺の服を掴んだ。
「怖ぇ?」
「⋯ちょっと、だけ⋯⋯でも、斗希くんだから平気⋯」
「そういうのが俺を煽るんだよ」
「え⋯」
赤い顔と潤んだ目でそう言われ呆れて息を吐くと、陽依は数回目を瞬いたあとハッとして口を押さえた。その仕草にふっと笑い、ぐっと先を押し込んだら陽依が身体を強張らせ小さく声を漏らす。
時間をかけて解したとはいえやっぱ狭ぇな。
「んん⋯っ、斗希くん⋯」
「辛いなら爪立てていいから」
「や、だ⋯⋯そんな事したら⋯斗希くんが痛い⋯」
「ンなの気にしなくていいんだって」
こういう時でも俺を気遣う陽依の髪を撫で、額に口付けると躊躇いがちに俺の頬へと手を伸ばしてきた。でも触れるギリギリで止まり、本当にいいのか迷ってるようだったからその手を掴んで押し当てると泣きそうな顔になる。
そうだよな。陽依だって、いろいろ我慢してきたんだよな。
「触れよ⋯お前なら何してもいいから」
「⋯斗希くん⋯」
「したかった事、これからいくらでもしてやるから」
そもそもが陽依に手を出さねぇ為に避けてたようなもんだし、もう我慢する必要もねぇなら遠慮もいらねぇからな。
だから、陽依も飲み込んだりしなくていい。
陽依の様子を伺いながら少しずつ腰を進め、奥まで到達した頃には2人とも汗だくになってた。
「入った⋯」
「⋯っ⋯⋯すごい⋯⋯お腹、斗希くんでいっぱい⋯」
「⋯苦しくねぇ?」
「苦しいけど⋯⋯それ以上に幸せだから⋯」
「陽依⋯」
絶対、気持ち悪さとか圧迫感とかあるはずなのに、陽依はそう言って嬉しそうにはにかむ。
いじらしいっつーか何つーか、こういうとこが俺の何かを刺激するんだよな。俺、自分の好みはちょっと気の強い奴だと思ってたのに。
腹を撫でる陽依に眉根を寄せ、腰を揺らせば甘えた声が上がる。
「動くぞ」
「⋯っ、ん⋯⋯斗希くん⋯」
「ん?」
「⋯大好き」
ここ数ヶ月は聞く事のなかった言葉。俺の態度で口にするのを遠慮してたんだろうけど、やっぱ陽依が言うとすんなり耳に入ってくるな。
他の奴の〝好き〟なんて、煩わしいだけなのに。
俺は陽依が伸ばす手に応えながら頷くと、ゆっくりと抜き差しを始めて薄く開いた唇へと口付けた。
誰かを愛おしいと感じるなんて、俺には無縁のもんだと思ってたんだけどな。
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