高嶺の花には彼氏ができない!?

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絆の花

第50話:止まった時間

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「私、一部始終見てたけど、歩乃華ちゃんは悪くないよ」

 声を上げてくれたのは、他クラスの女の子だった。
 目撃者がいて良かった。

「あんた何言って…!」

 相手の声が怒りに満ちているのが分かる。

 私は緊張しながらも、歩乃華の手を握りしめた。

「だって、友達を悪く言われて怒らない子なんていないでしょ?」

 歩乃華は、私のことを庇うためにこんなことを…?

「どういうこと?」 

 私は状況を理解しようと必死だった。

 何が起こっているのか、頭の中で整理しようとした。

「その…話の内容はよく分からなかったんだけど、犯人…が、美月ちゃんだって言いふらしてて、それを聞いた歩乃華ちゃんが怒ったんだよ」

「犯人…」

 まだ、終わってなかったんだ。

「今の言葉取り消してって言ったのに、本当の事でしょって、聞く耳持たなかったから。それで髪の毛を…」

 その説明に、私は胸が締め付けられるような思いを感じた。

「そう、だったんだ、」

 歩乃華が私のために怒ってくれたのだと知り、感謝と申し訳なさが入り混じった感情が湧き上がった。

「歩乃華、ありがとう。でも、もう大丈夫だから」

 私は彼女の手を握りしめ、優しく言った。

 歩乃華は涙をこぼしながら、私の手を握り返した。

「ごめんね、美月。私、どうしても我慢できなくて…」

 歩乃華の声は震えていた。

「私のためにありがとう。だけど、私は歩乃華が怪我する方が嫌だよ」

 私は彼女を抱きしめ、感謝の気持ちを伝えた。

「美月…、」

「怪我は?」 

 私は心配そうに歩乃華の顔を見つめた。

 彼女の体に何か異常がないか、目を凝らして確認する。

「大丈夫、どこも怪我してないよ」

  歩乃華は微笑みながら答えた。

 その笑顔に、私は少しだけ安心した。

「良かった」 

 私は胸を撫で下ろし、ほっと息をついた。

「なんの騒ぎだー」

 騒ぎを聞きつけた先生が現れた。

「先生遅いよ。どうせ来るならもっと早く来て欲しかった」

 歩乃華が不貞腐れながら、先生に向かって言った。

「歩乃華、どうしたその髪の毛。喧嘩でもしたのか?」

 先生は、私と歩乃華が喧嘩したと思ってるみたいだ。

「いや、美月とじゃなくて…あれ、あいつどこ行きやがった?…逃げたな」

 歩乃華が周りを見渡しながら言った。

 あの子の姿はもうなかった。

 どうやら彼女は、佐々木さんは、まだ私が犯人だと思ってるみたいだ。

 あの日、謝ってもらったけど、モヤモヤしたままだった。

 蒼大がそうさせただけで、彼女はまだ納得していないだろうと思っていたから。

 でも、あの日以来突っかかってこなくなったから、裏で証拠探しに勤しんでると思っていたのに、

 まさか私が犯人だと言いふらしていたとは。


 あの日で時間が止まっていたのは、どうやら彼女も同じみたいだ。
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