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第四章:新しいお仕事ですか?(4)
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あまりにも彼をじろじろと見てしまったようだ。
クライブは、マリアンヌに向けていた視線をイリヤへ変える。
「あ、いえ。閣下もマリアンヌの父親らしくなってきたのかな、と。そう思っただけです」
「なるほど」
たったそれだけであるのに、その言葉からあたたかさを感じて、イリヤは目を瞬いた。
「……お前は、マリアンヌに弟妹を望むか?」
「え?」
クライブは、なぜそのようなことを口走ったのだろう。
もしかして、聖女召喚の儀を行ったけれども、またマリアンヌと同じように赤ん坊とか幼子が召喚されたのだろうか。それとも、孤児院から魔法が使える子どもを引き取りたいとか。
イリヤは首を傾げた。可能性としてはいろいろと考えられる。
「もしかして、陛下のご命令ですか?」
「ああ……そう、かもしれないな」
視線を泳がせているクライブの姿を見れば、本当にあの国王が絡んでいるとみて間違いないだろう。
「聖女召喚の儀を行ったけれど、またマリアンヌのような赤ん坊が召喚されたとか、ですか?」
尋ねると、クライブは慌てて否定する。
「そうではない。聖女はマリアンヌであるから、マリアンヌがここにいる以上、新たな聖女召喚は行えない」
「そうなんですか。赤ん坊であっても聖女は聖女ということなんですね?」
「そうだ」
となれば、やはり孤児院や貧民院から魔力のある子を引き取ったのだろうか。魔力のある子は、幼いうちからその力の使い方を学ぶ必要がある。魔力の使い方がわからない子は、力を暴走させることも多く、器物破損や人へ怪我をさせるといった問題が起こるのだ。
「孤児院からの子を引き取ったのですか? もしかして、魔力のある子?」
「ん? どういうことだ?」
「ですから、マリアンヌに兄弟をとおっしゃっていましたよね。だから、新しい聖女様が召喚されたか、孤児院から魔力のある子を引き取ったかと思ったのですが。違いましたか?」
なぜかクライブは、うぅと唸っている。
「そういった話ではない……」
彼は少しだけ苦しそうに呟いた。その意味がわからず、イリヤの心の中にはもやっとした気持ちが残った。
「あ~あ~あ~」
機嫌のよいマリアンヌの声が、馬車内に響く。
王城へ着くと、クライブがマリアンヌを預かった。身体もしっかりとしてきたため、抱っこしながら歩き続けるとイリヤの腕も痛くなる。だから、少しの間であってもこうやってクライブがマリアンヌを抱っこしてくれるのは助かる。
マリアンヌを連れてエーヴァルトに会うときに通されるのは、ライブラリーであった。壁一面に本がずらりと並んだ本棚があるが、ここには幼い子が読むような絵本も多い。アルベルトが勉強したり遊んだりするときにも使う部屋のようだ。
「あぁ。マリー会いたかったよ」
部屋へ入るとすぐに、クライブごと抱きしめるかのようにエーヴァルトが腕を広げてきた。クライブは身をかがめてするりとそれをすり抜けて、アルベルトの前に立つ。
「アルベルト殿下。マリアンヌをお連れしました。今日もよろしくお願いします」
「マリー、げんきだった?」
「あ~う~」
子ども同士、大人にはわからない何かで通じ合っているようだ。
「今日も来てくれてありがとう」
トリシャが上品な笑みを浮かべる。イリヤもそれに応えた。
「アル、マリーを私に抱っこさせなさい」
クライブは、マリアンヌに向けていた視線をイリヤへ変える。
「あ、いえ。閣下もマリアンヌの父親らしくなってきたのかな、と。そう思っただけです」
「なるほど」
たったそれだけであるのに、その言葉からあたたかさを感じて、イリヤは目を瞬いた。
「……お前は、マリアンヌに弟妹を望むか?」
「え?」
クライブは、なぜそのようなことを口走ったのだろう。
もしかして、聖女召喚の儀を行ったけれども、またマリアンヌと同じように赤ん坊とか幼子が召喚されたのだろうか。それとも、孤児院から魔法が使える子どもを引き取りたいとか。
イリヤは首を傾げた。可能性としてはいろいろと考えられる。
「もしかして、陛下のご命令ですか?」
「ああ……そう、かもしれないな」
視線を泳がせているクライブの姿を見れば、本当にあの国王が絡んでいるとみて間違いないだろう。
「聖女召喚の儀を行ったけれど、またマリアンヌのような赤ん坊が召喚されたとか、ですか?」
尋ねると、クライブは慌てて否定する。
「そうではない。聖女はマリアンヌであるから、マリアンヌがここにいる以上、新たな聖女召喚は行えない」
「そうなんですか。赤ん坊であっても聖女は聖女ということなんですね?」
「そうだ」
となれば、やはり孤児院や貧民院から魔力のある子を引き取ったのだろうか。魔力のある子は、幼いうちからその力の使い方を学ぶ必要がある。魔力の使い方がわからない子は、力を暴走させることも多く、器物破損や人へ怪我をさせるといった問題が起こるのだ。
「孤児院からの子を引き取ったのですか? もしかして、魔力のある子?」
「ん? どういうことだ?」
「ですから、マリアンヌに兄弟をとおっしゃっていましたよね。だから、新しい聖女様が召喚されたか、孤児院から魔力のある子を引き取ったかと思ったのですが。違いましたか?」
なぜかクライブは、うぅと唸っている。
「そういった話ではない……」
彼は少しだけ苦しそうに呟いた。その意味がわからず、イリヤの心の中にはもやっとした気持ちが残った。
「あ~あ~あ~」
機嫌のよいマリアンヌの声が、馬車内に響く。
王城へ着くと、クライブがマリアンヌを預かった。身体もしっかりとしてきたため、抱っこしながら歩き続けるとイリヤの腕も痛くなる。だから、少しの間であってもこうやってクライブがマリアンヌを抱っこしてくれるのは助かる。
マリアンヌを連れてエーヴァルトに会うときに通されるのは、ライブラリーであった。壁一面に本がずらりと並んだ本棚があるが、ここには幼い子が読むような絵本も多い。アルベルトが勉強したり遊んだりするときにも使う部屋のようだ。
「あぁ。マリー会いたかったよ」
部屋へ入るとすぐに、クライブごと抱きしめるかのようにエーヴァルトが腕を広げてきた。クライブは身をかがめてするりとそれをすり抜けて、アルベルトの前に立つ。
「アルベルト殿下。マリアンヌをお連れしました。今日もよろしくお願いします」
「マリー、げんきだった?」
「あ~う~」
子ども同士、大人にはわからない何かで通じ合っているようだ。
「今日も来てくれてありがとう」
トリシャが上品な笑みを浮かべる。イリヤもそれに応えた。
「アル、マリーを私に抱っこさせなさい」
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