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2:大好きなお姉さまとひきこもります(2)
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太陽が真上に輝き、抜けるような真っ青な空がどこまでも続く。
「まずは、領主館に向かう。領主交代だからな。必要な手続きは終えてあるし、仕事も引き継ぎしているから何も心配はない。そしてこの領主館がエレノアたちの生活の場にもなる」
父親が言うには、領主館という建物に国から派遣された人がいたようだ。街の人からは代表と呼ばれていたようだが、代表のような仕事をしてきたのかどうかは疑わしい。
フェルトンが王家直轄の領地からケアード公爵領へと変わった瞬間、その代表はさっさと王都に戻ってきた。それを知った父親は、代表から必要な情報だけは聞き出していた。きっとその一連が引き継ぎだったのだろう。
だが手続きがひととおり済んでいるというのであれば、わずらわしい作業が減ったということ。父親の手際と根回しのよさに感謝する。
初めて訪れたフェルトンの街は平べったい街、という印象を受けた。ケアード公爵領とは小高いボネ山を挟む形になるが、そのボネ山を抜けきった場所に広がっている街。ケアード公爵領からは馬車で二時間ではあるものの、ボネ山を抜けてまで訪れる魅力がなかった。
「うわ~、風が気持ちいいですね」
馬車から降りたセシリアは、青い空を見上げた。
「海が近いからね。やはり山を超えると、気候はぐっと異なるよ。そして、ここが領主館だ」
父親の視線の先には、真っ白い四階建ての建物がある。正門を中心とした線対称な建物は、上にいくほど横幅が狭くなる台形の形をしている。まるでリゾートホテルのような外観だ。
エントランスホールに入ると「お待ちしておりました」と使用人らが一斉に頭を下げる。幾人かの使用人には、先にこちらに来てもらっていた。
「では、早速お部屋に案内します」
そう言って前に一歩出てきたのは、ケビンである。執事の息子の彼には、フェルトンで使用人らをまとめる使用人頭をお願いしたのだ。
「荷物は部屋に運んであります」
「ケビンも立派になったものね」
エレノアが茶化す。年が近い二人は、こうやって軽口を叩くことも多い。
エントランスホールから階段をあがって三階へ。
「こちらがプライベートゾーンとなっております。お嬢様には奥の部屋。旦那様と奥様には手前の広めの部屋を用意いたしました。お部屋はこちらでよろしいでしょうか」
「ああ、問題ない。どうせ私たちはすぐに領地に戻ってしまうからね。ここに来たときはこの部屋を使わせてもらうよ。それよりも、二人はどうだい?」
両親の部屋のすぐ隣はセシリアの部屋だった。
「うわぁ~」
セシリアが声をあげたのは、部屋の内装はもちろんだが、窓から見える景色。
「お父さま、あそこ、あそこがさとうきびの畑ですよ」
窓を開けてバルコニーへと飛び出すセシリアを、慌ててエレノアが追いかける。
「セシリア。あまり興奮しては危ないわよ。また落ちてしまうでしょ」
エレノアが言うように、セシリアは今よりももっと幼いときに、バルコニーから落ちたことがある。雲を掴みたいとか、そんな理由でバルコニーから身を乗り出したら、見事に落下した。
それに気がついたエレノアがすぐに風魔法を使い、セシリアの身体を持ち上げたため無傷だったが。
「セシリア、エレノアの言うとおりだ。もう少し落ち着きなさい……だが、あれは見事だなぁ」
セシリアがバルコニーから落ちないようにと、娘の身体を抱き寄せながらケアード公爵も広がる緑を眺めた。そしてその緑の先には海が広がっている。
「真ん中に一本、道があるのが面白いわね」
エレノアも感心する。
「せっかくですから、近くまで行ってみたいわ」
甘いものに目がない母親は、さとうきびに興味津々だ。
「そうね。わたくしももっと近くで見てみたいわ。だってわたくしよりも大きな草なのでしょう? どのくらい大きいのか、興味があるもの」
「街があちら側に広がっているからちょうどいいだろう」
領主館だけは離れたところにぽつんと建っているが、そこからは街の様子が一望できる。どうやらこの建物は、他よりも少しだけ高い場所にあるようだ。
さとうきび畑があり、その向かい側には街が広がる。さらにさとうきび畑の向こう側には海といった感じだ。
「だが、今日は疲れただろう。荷物の整理などもあるし、今日はゆっくりとし、明日、街の様子を見に行こう」
「はい、旦那様。すでに商会長には先触れを出しております。明日の昼過ぎ、約束を取り付けておきましたが、お時間の都合はよろしかったでしょうか」
ケビンの言葉に驚いた様子を見せたケアード公爵だが「問題ない」とだけ答えた。
「まずは、領主館に向かう。領主交代だからな。必要な手続きは終えてあるし、仕事も引き継ぎしているから何も心配はない。そしてこの領主館がエレノアたちの生活の場にもなる」
父親が言うには、領主館という建物に国から派遣された人がいたようだ。街の人からは代表と呼ばれていたようだが、代表のような仕事をしてきたのかどうかは疑わしい。
フェルトンが王家直轄の領地からケアード公爵領へと変わった瞬間、その代表はさっさと王都に戻ってきた。それを知った父親は、代表から必要な情報だけは聞き出していた。きっとその一連が引き継ぎだったのだろう。
だが手続きがひととおり済んでいるというのであれば、わずらわしい作業が減ったということ。父親の手際と根回しのよさに感謝する。
初めて訪れたフェルトンの街は平べったい街、という印象を受けた。ケアード公爵領とは小高いボネ山を挟む形になるが、そのボネ山を抜けきった場所に広がっている街。ケアード公爵領からは馬車で二時間ではあるものの、ボネ山を抜けてまで訪れる魅力がなかった。
「うわ~、風が気持ちいいですね」
馬車から降りたセシリアは、青い空を見上げた。
「海が近いからね。やはり山を超えると、気候はぐっと異なるよ。そして、ここが領主館だ」
父親の視線の先には、真っ白い四階建ての建物がある。正門を中心とした線対称な建物は、上にいくほど横幅が狭くなる台形の形をしている。まるでリゾートホテルのような外観だ。
エントランスホールに入ると「お待ちしておりました」と使用人らが一斉に頭を下げる。幾人かの使用人には、先にこちらに来てもらっていた。
「では、早速お部屋に案内します」
そう言って前に一歩出てきたのは、ケビンである。執事の息子の彼には、フェルトンで使用人らをまとめる使用人頭をお願いしたのだ。
「荷物は部屋に運んであります」
「ケビンも立派になったものね」
エレノアが茶化す。年が近い二人は、こうやって軽口を叩くことも多い。
エントランスホールから階段をあがって三階へ。
「こちらがプライベートゾーンとなっております。お嬢様には奥の部屋。旦那様と奥様には手前の広めの部屋を用意いたしました。お部屋はこちらでよろしいでしょうか」
「ああ、問題ない。どうせ私たちはすぐに領地に戻ってしまうからね。ここに来たときはこの部屋を使わせてもらうよ。それよりも、二人はどうだい?」
両親の部屋のすぐ隣はセシリアの部屋だった。
「うわぁ~」
セシリアが声をあげたのは、部屋の内装はもちろんだが、窓から見える景色。
「お父さま、あそこ、あそこがさとうきびの畑ですよ」
窓を開けてバルコニーへと飛び出すセシリアを、慌ててエレノアが追いかける。
「セシリア。あまり興奮しては危ないわよ。また落ちてしまうでしょ」
エレノアが言うように、セシリアは今よりももっと幼いときに、バルコニーから落ちたことがある。雲を掴みたいとか、そんな理由でバルコニーから身を乗り出したら、見事に落下した。
それに気がついたエレノアがすぐに風魔法を使い、セシリアの身体を持ち上げたため無傷だったが。
「セシリア、エレノアの言うとおりだ。もう少し落ち着きなさい……だが、あれは見事だなぁ」
セシリアがバルコニーから落ちないようにと、娘の身体を抱き寄せながらケアード公爵も広がる緑を眺めた。そしてその緑の先には海が広がっている。
「真ん中に一本、道があるのが面白いわね」
エレノアも感心する。
「せっかくですから、近くまで行ってみたいわ」
甘いものに目がない母親は、さとうきびに興味津々だ。
「そうね。わたくしももっと近くで見てみたいわ。だってわたくしよりも大きな草なのでしょう? どのくらい大きいのか、興味があるもの」
「街があちら側に広がっているからちょうどいいだろう」
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