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3:大好きなお姉さまに新しい出会いがありました(3)
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「は、はい……」
がっしりと手を掴まれているエレノアは、ただそう答えるだけ。
「ありがとう、親切なお嬢さんたち。私はモリス。隣のロックウェルから来たんだけど。こっちの王都に行こうとして迷ったの。建物が見えたからそこへ向かおうとしたけども、お腹が空きすぎて……」
そこでモリスのお腹がぎゅるるるると盛大に鳴った。
「アッシュクロフ……モリス……あ、賢者モリス……」
セシリアがぼそりと呟くと、エレノアもモリスも敏感にその言葉を聞き取った。
「だから、精霊たちが……?」
エレノアも大きく目を見開いた。
「なんだい、なんだい。お嬢さんたちは、なかなかの情報通……いや、魔法の使い手とみたね」
エレノアから手を離したモリスは、長い黒髪を後ろで一つに結んだ。
「やっぱり……んぐっ」
セシリアがモリスについて知っていることを言おうとしたところ、何かを察したエレノアによって、手で口を塞がれた。
「セシリア、しっ……」
「お嬢さんたち、なかなか面白い。こちらの大きいお嬢さんは……風の精霊に愛されている。これほどまで清らかな魔力……初めてだよ。それよりもこちらの小さいお嬢さん」
モリスの燃えるような目が、セシリアの顔をのぞき込んでくる。
「なかなか面白い目を持っているね。だけど、精霊は……」
「セシリアは七歳なので、精霊との契約はまだです」
「なるほどなるほど、小さなお嬢さんはセシリアという名前ね」
「お初にお目にかかります、賢者モリス様。わたくしはエレノア・ケアードです」
エレノアの言葉に、モリスはひくっとこめかみを動かした。
「エレノアは、私を賢者だと言うんだね?」
「はい。モリス様の周りには、四種類の精霊がおりますから。風火地水、四属性すべての精霊と契約をされているわけですよね? そのようなことが可能なのは、賢者と呼ばれる者……」
「さすが、アッシュクロフのケアード公爵の娘だね。だけど、私のことはモリスでいいよ。モリス様っていう柄じゃないんだ」
そこへ「お嬢様~」とアニーたちがやってきた。ガラガラと荷車を引いているのはケビンだ。
「では、モリス。お迎えもきたことですし、わたくしたちの屋敷に案内いたします。もしお疲れなら……荷車ですが」
「助かるよ、エレノア。本当にお腹が空きすぎて、くたくたで……一歩も歩きたくなかったんだよ」
そんな二人のやりとりを聞いているセシリアは頭の中で周辺の地図を描いていた。
アッシュクロフ王国の隣にあるのが、ロックウェル王国。モリスはこのロックウェルからアッシュクロフの王都セッテへと向かっていた。しかし、王都セッテに向かうのであればフェルトンの街を経由する必要はない。
(あっ。フェルトンの街……モブ街だけど、賢者モリスが立ち寄った街として描かれていた。だからオープニングにもフェルトンの街があって……さとうきび畑が……)
セシリアの頭の中に謎の記憶がドドドッと流れ込んでくる。
(ロックウェルからセッテに行くには、フェルトンに寄る必要はないんだけど……モリスが馬車に乗ろうとしたらお金がないことに気づいて……財布をすられた? それで歩いてセッテに向かおうとして、迷ってフェルトンに来てしまった)
モリスがかわいそうになってきた。そんな彼女は「よいしょ」と荷車によじ登る。荷物はほとんどない。
彼女が荷台の真ん中あたりに座ったのを見届けたケビンが、ゆっくりと荷車を引き始めた。
「お姉さま。モリスはロックウェルからここまで歩いてきたんですよね? いくら精霊の力があるからと言っても……遠いですよね?」
「ええ? そうなの? そうか、そうなるわよね?」
セシリアの話を聞いたエレノアはモリスに確認したようだが、ケビンが引く荷車に乗っているため、がくがくと揺れている。まだ道の整備が追いついていない。
「そうよ~。歩いてきたの~。お財布をね~、すられちゃったみたいでさ~手癖の悪いガキがいたみたいだね~。このモリス様から財布をすろうだなんて~~。いや~それに気づかなかった私も~~耄碌したものだよ~」
がくがく揺れながら答えたモリスは、はははっと豪快に笑っていた。だが、笑っている場合ではないだろう。
「だからモリスはお腹が空いているんですね」
「そうなんだよ~、セシリア~。やはり君はおもしろいなぁ~。気に入った~~!」
そこでモリスがパチンと手を叩く。
「セシリアは~まだ~精霊と契約をしていないんだよね~?」
荷車に揺られながら話をするのは大変そうだ。
「はい!」
セシリアは元気よく答える。
「セシリア~私の、弟子にならないか~い?」
モリスの言葉に、セシリアはエレノアと顔を見合わせた。
「弟子?」
「そうだよ~。私は~精霊の導きで~アッシュクロフの王都に向かう途中だったんだけど~それは~魔法を教えるためさ~。この世界を~変えるくらいの素質のある子を~育てるのが~私の役目さ~」
今、大事な話をさらりと言われたような気がする。しかも、荷車ががたがたと動いていてうるさいし、モリスも揺られているから間抜けな声。
「モリス。今の話は、屋敷に着いてからゆっくりと」
エレノアの言葉にモリスは「そうだね~」と答えた。
がっしりと手を掴まれているエレノアは、ただそう答えるだけ。
「ありがとう、親切なお嬢さんたち。私はモリス。隣のロックウェルから来たんだけど。こっちの王都に行こうとして迷ったの。建物が見えたからそこへ向かおうとしたけども、お腹が空きすぎて……」
そこでモリスのお腹がぎゅるるるると盛大に鳴った。
「アッシュクロフ……モリス……あ、賢者モリス……」
セシリアがぼそりと呟くと、エレノアもモリスも敏感にその言葉を聞き取った。
「だから、精霊たちが……?」
エレノアも大きく目を見開いた。
「なんだい、なんだい。お嬢さんたちは、なかなかの情報通……いや、魔法の使い手とみたね」
エレノアから手を離したモリスは、長い黒髪を後ろで一つに結んだ。
「やっぱり……んぐっ」
セシリアがモリスについて知っていることを言おうとしたところ、何かを察したエレノアによって、手で口を塞がれた。
「セシリア、しっ……」
「お嬢さんたち、なかなか面白い。こちらの大きいお嬢さんは……風の精霊に愛されている。これほどまで清らかな魔力……初めてだよ。それよりもこちらの小さいお嬢さん」
モリスの燃えるような目が、セシリアの顔をのぞき込んでくる。
「なかなか面白い目を持っているね。だけど、精霊は……」
「セシリアは七歳なので、精霊との契約はまだです」
「なるほどなるほど、小さなお嬢さんはセシリアという名前ね」
「お初にお目にかかります、賢者モリス様。わたくしはエレノア・ケアードです」
エレノアの言葉に、モリスはひくっとこめかみを動かした。
「エレノアは、私を賢者だと言うんだね?」
「はい。モリス様の周りには、四種類の精霊がおりますから。風火地水、四属性すべての精霊と契約をされているわけですよね? そのようなことが可能なのは、賢者と呼ばれる者……」
「さすが、アッシュクロフのケアード公爵の娘だね。だけど、私のことはモリスでいいよ。モリス様っていう柄じゃないんだ」
そこへ「お嬢様~」とアニーたちがやってきた。ガラガラと荷車を引いているのはケビンだ。
「では、モリス。お迎えもきたことですし、わたくしたちの屋敷に案内いたします。もしお疲れなら……荷車ですが」
「助かるよ、エレノア。本当にお腹が空きすぎて、くたくたで……一歩も歩きたくなかったんだよ」
そんな二人のやりとりを聞いているセシリアは頭の中で周辺の地図を描いていた。
アッシュクロフ王国の隣にあるのが、ロックウェル王国。モリスはこのロックウェルからアッシュクロフの王都セッテへと向かっていた。しかし、王都セッテに向かうのであればフェルトンの街を経由する必要はない。
(あっ。フェルトンの街……モブ街だけど、賢者モリスが立ち寄った街として描かれていた。だからオープニングにもフェルトンの街があって……さとうきび畑が……)
セシリアの頭の中に謎の記憶がドドドッと流れ込んでくる。
(ロックウェルからセッテに行くには、フェルトンに寄る必要はないんだけど……モリスが馬車に乗ろうとしたらお金がないことに気づいて……財布をすられた? それで歩いてセッテに向かおうとして、迷ってフェルトンに来てしまった)
モリスがかわいそうになってきた。そんな彼女は「よいしょ」と荷車によじ登る。荷物はほとんどない。
彼女が荷台の真ん中あたりに座ったのを見届けたケビンが、ゆっくりと荷車を引き始めた。
「お姉さま。モリスはロックウェルからここまで歩いてきたんですよね? いくら精霊の力があるからと言っても……遠いですよね?」
「ええ? そうなの? そうか、そうなるわよね?」
セシリアの話を聞いたエレノアはモリスに確認したようだが、ケビンが引く荷車に乗っているため、がくがくと揺れている。まだ道の整備が追いついていない。
「そうよ~。歩いてきたの~。お財布をね~、すられちゃったみたいでさ~手癖の悪いガキがいたみたいだね~。このモリス様から財布をすろうだなんて~~。いや~それに気づかなかった私も~~耄碌したものだよ~」
がくがく揺れながら答えたモリスは、はははっと豪快に笑っていた。だが、笑っている場合ではないだろう。
「だからモリスはお腹が空いているんですね」
「そうなんだよ~、セシリア~。やはり君はおもしろいなぁ~。気に入った~~!」
そこでモリスがパチンと手を叩く。
「セシリアは~まだ~精霊と契約をしていないんだよね~?」
荷車に揺られながら話をするのは大変そうだ。
「はい!」
セシリアは元気よく答える。
「セシリア~私の、弟子にならないか~い?」
モリスの言葉に、セシリアはエレノアと顔を見合わせた。
「弟子?」
「そうだよ~。私は~精霊の導きで~アッシュクロフの王都に向かう途中だったんだけど~それは~魔法を教えるためさ~。この世界を~変えるくらいの素質のある子を~育てるのが~私の役目さ~」
今、大事な話をさらりと言われたような気がする。しかも、荷車ががたがたと動いていてうるさいし、モリスも揺られているから間抜けな声。
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