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4:大好きなお姉さまが狙われているようです(4)
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そこから少し歩けば、さとうきび畑に着く。
「うわぁ。これが本当にあの砂糖になるのか?」
シオンは驚きのあまりさとうきびを見上げている。
「見た目は本当に大きな草なんだな」
白い砂糖は、昨夜のうちにコンスタッドとシオンにも見せていた。
コンスタッドも砂糖という甘い調味料があることを知ってはいたようだが、実際に目をしたのは初めてとのこと。むしろロックウェルでも砂糖事業をやらないかと声をかけたのが、ケアード公爵なのだ。
理由はフェルトンの街から近いから。そして他国と連携することで、アッシュクロフ、ましてフェルトンの独占事業と見られるのを避けるためだ。コンスタッドを選んだのも、彼なら信頼できるというケアード公爵の直感のようなものだった。
だが国内外問わず、父親が信頼を寄せる人物は決して多くはない。
「シオンさま、シオンさまはこのさとうきびをこのくらいの大きさに切ることはできますか?」
セシリアが両手で二十センチほどの幅を示すと、シオンは「ん?」と片眉を上げた。
「さとうきびをシオンさまに食べてもらおうと思ったのですが……」
それでセシリアの狙いを理解したようだ。
「なるほど」と呟いたシオンが指をパチンと鳴らすと、一本のサトウキビが根元から切り離され、二十センチほどの長さに切断された。
「シオンさま、すごいです。お父さまもお姉さまも、さとうきびを切るのは魔法の種類が違うからなんとかと言って、いっぱいはできないって言うんです」
「なるほどな。だが、あの公爵の魔力なら、ここのさとうきびを全部刈り取れると思うぞ?」
「ええ? そうなんですか?」
「公爵は、特に攻撃型の魔法を得意とするだろ? だから、かまいたちみたいな風をびゅっと吹かせれば、ここはあっという間に刈り取れる」
だが初めてさとうきび畑を訪れた日、オリバーは一本のさとうきびを切っただけでふらふらして、ケビンに支えてもらっていた。多少、わざとらしさは感じられたが。
「ん~。それって、公爵がそれをできることを悟られないようにした演技じゃないのか? だって、それがわかれば公爵一人がいれば、必要なさとうきびは全部刈り取れるわけだよな? だけど、ここの人たちは仕事がほしい。その人たちのやる気を考えたらってことじゃないのか? わからんけど」
「もしかして……お姉さまも?」
「あ~、エレノアは本当にできなさそう。あの人の魔法は攻撃というよりは防御。もしくは現状維持。だから、種類が違う。って言ってわかるか?」
「う、う~ん。なんとなく?」
セシリアが首を傾げた。
「まあ、いい。とにかく、公爵が実力を隠したがっているのはわかった。おれも公爵の魔法については、不用意に触れないようにする」
「でも、強い魔法を使えたら、それを知ってもらえたほうがいいですよね? すごい! ってみんなから褒められるし」
「まぁ……おまえくらいの年ならそう考えるかもしれないが……実力を隠しておいて、ここぞというときに使う方法もあるんだよ。ほら、なんだ? あれ、鳶は爪を隠す?」
「爪を隠すのは鷹です!」
「まあ、そういうことだ。公爵は、駆け引きがうまそうだからな」
どういうことかわからないが、とにかく父親は何かを隠しているということだけはわかった。そしてシオンがちょっと抜けていることも。
「それで、これをどうするんだ?」
シオンの手の中には二十センチくらいに切ったさとうきびが数本握られている。
「あ、これをシオンさまに食べてもらおうと思いました」
「これを? このまま?」
「はい、そうです。……アニー」
そこで少し離れた場所から二人の様子を見守っていたアニーを呼ぶ。
「はい、セシリア様。何かご用でしょうか?」
「シオンさまのさとうきびの皮を剥いてほしいです。シオンさまにもさとうきびを食べてもらいたいので」
「承知しました」
アニーがさとうきびの硬い外皮を剥くのも慣れたものだ。しかも、いつでもさとうきびの皮が剥けるようにと、彼女はお仕着せのポケットに皮剥きができるように小さなナイフを忍ばせている。
「どうぞ」
シオンは胡散臭そうにアニーが差し出したさとうきびを観察している。
「これが本当にあの砂糖になるのか?」
「食べてみればわかります。でも、もぐもぐごっくんはできません。さとうきびの白いところをちゅうちゅう吸ってください」
セシリアの説明でわかってくれたのか、アニーからさとうきびを受け取ったシオンは恐る恐るそれを口に含み、吸った。
「なんだ、これ? 甘い。けど、ちょっと青臭いか?」
「砂糖は、さとうきびのこの甘い汁を使って作ります」
「なるほど。この汁を煮詰めるのか? 蒸発させれば粉になりそうだな」
「シオンさま。すごいです。そうです、そうです。さとうきびの汁を煮詰めて砂糖にします。あ、今日は砂糖の工場の見学もありましたね。楽しみにしてください」
「ああ、楽しみにしておく」
目を細くしたシオンは、まださとうきびをちゅうちゅうと吸っていた。
「うわぁ。これが本当にあの砂糖になるのか?」
シオンは驚きのあまりさとうきびを見上げている。
「見た目は本当に大きな草なんだな」
白い砂糖は、昨夜のうちにコンスタッドとシオンにも見せていた。
コンスタッドも砂糖という甘い調味料があることを知ってはいたようだが、実際に目をしたのは初めてとのこと。むしろロックウェルでも砂糖事業をやらないかと声をかけたのが、ケアード公爵なのだ。
理由はフェルトンの街から近いから。そして他国と連携することで、アッシュクロフ、ましてフェルトンの独占事業と見られるのを避けるためだ。コンスタッドを選んだのも、彼なら信頼できるというケアード公爵の直感のようなものだった。
だが国内外問わず、父親が信頼を寄せる人物は決して多くはない。
「シオンさま、シオンさまはこのさとうきびをこのくらいの大きさに切ることはできますか?」
セシリアが両手で二十センチほどの幅を示すと、シオンは「ん?」と片眉を上げた。
「さとうきびをシオンさまに食べてもらおうと思ったのですが……」
それでセシリアの狙いを理解したようだ。
「なるほど」と呟いたシオンが指をパチンと鳴らすと、一本のサトウキビが根元から切り離され、二十センチほどの長さに切断された。
「シオンさま、すごいです。お父さまもお姉さまも、さとうきびを切るのは魔法の種類が違うからなんとかと言って、いっぱいはできないって言うんです」
「なるほどな。だが、あの公爵の魔力なら、ここのさとうきびを全部刈り取れると思うぞ?」
「ええ? そうなんですか?」
「公爵は、特に攻撃型の魔法を得意とするだろ? だから、かまいたちみたいな風をびゅっと吹かせれば、ここはあっという間に刈り取れる」
だが初めてさとうきび畑を訪れた日、オリバーは一本のさとうきびを切っただけでふらふらして、ケビンに支えてもらっていた。多少、わざとらしさは感じられたが。
「ん~。それって、公爵がそれをできることを悟られないようにした演技じゃないのか? だって、それがわかれば公爵一人がいれば、必要なさとうきびは全部刈り取れるわけだよな? だけど、ここの人たちは仕事がほしい。その人たちのやる気を考えたらってことじゃないのか? わからんけど」
「もしかして……お姉さまも?」
「あ~、エレノアは本当にできなさそう。あの人の魔法は攻撃というよりは防御。もしくは現状維持。だから、種類が違う。って言ってわかるか?」
「う、う~ん。なんとなく?」
セシリアが首を傾げた。
「まあ、いい。とにかく、公爵が実力を隠したがっているのはわかった。おれも公爵の魔法については、不用意に触れないようにする」
「でも、強い魔法を使えたら、それを知ってもらえたほうがいいですよね? すごい! ってみんなから褒められるし」
「まぁ……おまえくらいの年ならそう考えるかもしれないが……実力を隠しておいて、ここぞというときに使う方法もあるんだよ。ほら、なんだ? あれ、鳶は爪を隠す?」
「爪を隠すのは鷹です!」
「まあ、そういうことだ。公爵は、駆け引きがうまそうだからな」
どういうことかわからないが、とにかく父親は何かを隠しているということだけはわかった。そしてシオンがちょっと抜けていることも。
「それで、これをどうするんだ?」
シオンの手の中には二十センチくらいに切ったさとうきびが数本握られている。
「あ、これをシオンさまに食べてもらおうと思いました」
「これを? このまま?」
「はい、そうです。……アニー」
そこで少し離れた場所から二人の様子を見守っていたアニーを呼ぶ。
「はい、セシリア様。何かご用でしょうか?」
「シオンさまのさとうきびの皮を剥いてほしいです。シオンさまにもさとうきびを食べてもらいたいので」
「承知しました」
アニーがさとうきびの硬い外皮を剥くのも慣れたものだ。しかも、いつでもさとうきびの皮が剥けるようにと、彼女はお仕着せのポケットに皮剥きができるように小さなナイフを忍ばせている。
「どうぞ」
シオンは胡散臭そうにアニーが差し出したさとうきびを観察している。
「これが本当にあの砂糖になるのか?」
「食べてみればわかります。でも、もぐもぐごっくんはできません。さとうきびの白いところをちゅうちゅう吸ってください」
セシリアの説明でわかってくれたのか、アニーからさとうきびを受け取ったシオンは恐る恐るそれを口に含み、吸った。
「なんだ、これ? 甘い。けど、ちょっと青臭いか?」
「砂糖は、さとうきびのこの甘い汁を使って作ります」
「なるほど。この汁を煮詰めるのか? 蒸発させれば粉になりそうだな」
「シオンさま。すごいです。そうです、そうです。さとうきびの汁を煮詰めて砂糖にします。あ、今日は砂糖の工場の見学もありましたね。楽しみにしてください」
「ああ、楽しみにしておく」
目を細くしたシオンは、まださとうきびをちゅうちゅうと吸っていた。
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