セブンス・ヘブンズ・オーソリティ -SEVENTH HEAVEN'S AUTHORITY-

ヴァルヴィリヤ=B=リースフェルト

文字の大きさ
4 / 34
プロローグ ワルプルギスの夜に

EP.IV 静止世界、能力覚醒

しおりを挟む
 【実験結果報告書 No.10.1086/148307】
 新型こうかん電磁ラッパホーンリフレクタアンテナ実効じっこうてんちょうノイズ温度の測定値は、予測より約 3.5 Kケルビン 高い値を示した。この超過温度は我々の観察した限りにいて、等方性とうほうせいであり、へんきょくであり、季節変動をともなわない。観測された超過ノイズ温度について我々は充分な検証をほどこした。
 まず、大気吸収によるアンテナ温度への影響は、アンテナ温度の変動をぎょうかくで記録し、割線法セカントほうを用いて求めた所、2.3 ± 0.3 K という信頼性の高い結果が得られた。また、抵抗オーム損失ロスを計算すると 0.8 ± 0.4 K となる。地上放射へのバックローブ応答レスポンスは 0.1 K 未満と設定して問題ない。
 これらの結果より、残りの未確認アンテナ温度を計算すると 4080 Mc/s の時、3.5 ± 1.0 K となる。って、これらの周波数に於ける絶対温度の上昇限界を推測することが可能である。
 また、直近で計測された空の絶対温度について最高周波数は 404 Mc/s であり、最低温度は 16 K であった。この値を我々の結果と照らし合わせると、この周波数範囲にわた背景放射はいけいほうしゃの平均スペクトルはλラムダほど急峻きゅうしゅんではなかった。これは観測された放射線が、既知きちいずれの種類の放射源にもいんしないことを明確に示している。
 したがって 考えうる限りのノイズをはいしても測定値が上昇する原因として、等方性を持つ非偏極の未知のスペクトルが常に照射されていると断言できる。



   無限回廊書架 DDC. 523
   ――『4080 Mc/s に於けるアンテナ温度超過の測定』についての報告書 ペンジアス, A. A. & ウィルソン, R. W. - A.D. 1965 (宇宙物理学ジャーナル第142号掲載)







 突然の状況に、いまだ思考が追いつかずぜんとしていると、白いドレスの少女が口をひらいた。

「ボクの名前はフーギャ。ボクらはワタリガラスの精霊。時を渡り、次元を渡る、神様の使わしめなの」

 その言葉を引き継ぐように、今度は黒いドレスの少女が語りだす。

此方こなたの名はムーニャ。われ其方そなたを導いて、世界を救うために、この世界の裏側からやってきたのじゃ」

「い、いったい何がおこって…」

 時間が停止して色を失った白黒モノクロの空間の中で、彼女たちの金糸のような髪が、魔力を帯びているのか星のささやきのようにきらめいていた。それぞれ白と黒のシフォンドレスを纏った双子の少女は、まるでこのような鄙びた山村には到底似つかわしくない、貴族のお姫様のようだった。
 こめかみの少し上あたりでまとめられた髪がツインテールのようにも見えるが、時折ときおりはばいているそれは髪ではなく翼なのかもしれない。僕を射抜く二対の双眸そうぼうの眼力はすさまじく、下手に動けば今にもその喉元をくびり殺されるかもしれないという錯覚さえ覚え、威圧感に気圧けおされて、僕の体は硬直し、喉はカラカラに乾いていく。

「ボクらは違う世界の存在だから、この世界の生命体には本来知覚できないはずだったんだけど、なぜだかキミには感知できるようだね。だから、こうして干渉することにしたの」
「こうしてアセンションできている以上、其方そなたの方もこの世界に干渉しうるということじゃ。ならば此方こなたとしても都合が良いと、其方そなたには神様の実験に付き合ってもらうことにしたのじゃ」
「……え、アセン…? ちょ、ちょっと待って! 実験って一体僕に何をするつもりなの? しかも神様!? いや、それより違う世界の存在って…」

 彼女たちの言っている言葉に理解が追いついていない。かといって嘘を言っている風でもない。

 この世界に神様がいて、その使いが僕に接触してきたらしい。なるほど、そこまでは分かる。なぜ僕なのだろうか。彼女たちは、僕が彼女たちを視ることができるから、と言った。思い当たることで言えば、魔力の流れを目で視ることができる僕の能力と何らかの関係があるのだろう。だったら、彼女たちは魔力の塊なのだろうか。精霊とも言っていたし、肉体はなく、ほとんど魔力だけで身体が構成されているんだろうか。なるほど、そこも何となく分かる。だからそういった普段は視えない世界を裏の世界と言ったんだろうか。いや、そもそもアセン…なんとか、って言ってたのはどういう意味だろう。しかも実験をすると言っていた。それは僕が実験台にされるのだろうか。僕が何かの実験を手伝うのだろうか。最初に言っていた世界を始めるという意味もよく分からな――

「おーいっ!聞いているのか!」
「うわっ!」

 気付けばこの世のものではないほど整った顔立ちの、そこにはめ込まれた宝石のような瞳が目の前にあって、僕は思わずのけぞった。

「まったく…、此方こなたらの魔力を前にしても意識を保っているとは大したものかと思ったが、よもや思考にふけって此方こなたらの存在さえ忘れてしまうとは何たる狼藉ろうぜきか…」
「まぁまぁ、ムーたん。それだけ彼の生命オドの力が強いんじゃない? いいじゃない。おあつらえむきのうってつけだよ!」
「フー、それ意味かぶっとるからの。あとムーたんって言うな」

 他愛なく話している見た目は双子の少女だが――だからこそ異質であった。こんな子供のような彼女たちが、あり得ないほど膨大ぼうだいな魔力を持っていて、時間と空間さえ止めてしまう存在であるとは、にわかに信じがたいことだった。

「君たちはいったい…」
「ん? 言ったであろう。此方こなたらはワタリガラスの精霊であり、ここの世界とは別の次元、別の世界からやって来たのじゃ。そして、その目的も先程言ったのじゃが……其方そなたの世界を始めよう、と。簡単に言えば今回、其方はこの世界の主人公に選ばれたのじゃ」
「つまり、キミはこの世界の主人公となって、この世界を救う運命を背負うことになるの。そしてこれはもう決定事項なの。そしてボクらはその物語を観測し、観察する監督者なの」

 ……世界を救う、運命?

 そんな簡単に、唐突に、理不尽に、世界の命運なんて代物しろものを委ねられても、一体全体僕がなぜそんなことに巻き込まれなくちゃならないのだろうか。
 この世界に生を授かってから高々数年の歳月。世界からすれば瞬きの如き時間しか生きていない、こんなちっぽけな僕に何を背負わせようというのか。

「……世界を救う、ってどういうこと? この世界に何か起きるの?」
「そうおびえるでないのじゃ。其方に損などあるまいて。むしろ喜んでもらいたいぐらいなのじゃ」
「そうだね、まずはキミにこの世界の真実を少しだけ教えてあげる。今から、僕の持つ観測者の権限ロールの一部と――」

 じゅんぱくのシフォンドレスをまとった幼女がしょうしゃほほむ。そこには敵意も憐愍れんみんもありはしなかった。ただ、養鶏場の鶏に餌を与えるかのように、淡々と彼女自身の役割をこなしているだけだった。

此方こなたの持つ資源リソースの一部を共有する」

 漆黒しっこくのシフォンドレスをまとった幼女が妖艶ようえんほほむ。そこには悪意も善意もありはしなかった。ただ、カゴの中の虫を眺めるかのように、純粋に好奇の目に満ちていた。

 二人が両手を繋いで向かい合い、何かの呪文を唱え始めた。

なんじアグナーHeill skaltu, Agnarr, そのこうせきにalls þik heilan biðr
 ベラツールよりVeratýr ことのはつむぐvera;
 たったひとつの Eins drykkjar さかずきよりもþú skalt aldrigi
 やんごとなかる Betri gjöld こころはぐくむgeta.

 声の音が波となって僕の耳から脳へと伝わると、脳の普段使われずに眠っている部分を強制的に目覚めさせたかのような閃光に視界を塞がれた。鈴のように透き通る二人の声が経糸たていと緯糸よこいとのようにり重なって、あたかも異界のタペストリーがつむがれるがごとく、未知の知識と感覚が僕の中で形成されていく。

「……ぐっ、これは」

 コーダは脳を金槌かなづちで揺るがされたかのようにふらつき、網膜は焼かれたかのように光を受け止めきれず、思わず目を押さえてうずくまってしまう。

「さぁ、少年。もう一度その目で世界を見てみるがいい」

 二人の声に従って、僕はゆっくりと立ち上がって目を開けて、僕がいた世界を見た。



 ――止まっていた時間と空間は動き出していて、僕はゆらめく祭りの炎を眺めていた。けれどもその炎はさっきまで僕が見ていたものとは比べようもないぐらい、禍々まがまがしく邪悪に染まっていた。あの炎の元はそれぞれの家の外壁を飾り付けていた木の枝である。
 このお祭りは、家の周りに漂う悪い気を森から集めてきた草木に吸い取らせて、それを焼き払うことで家の浄化を行い家庭の無病息災を願う、言わば悪いマナの大掃除なのであった。
 村全体から集められた、瘴気を帯びた枝を燃やしているのだから、その炎の禍々しさも当然だった。けれども……お祭りが始まったときに見た炎は、ヨァトゥロンクラウドベリーにように綺麗なオレンジ色をしていたはずだった。

「ただいま、コーダ」

 ちょうどみそぎの卵を取りに行っていた父さんが戻ってきたところだった。父さんが手のひらに大事そうに乗せている卵は淡く黄金に輝いていて、そのやわらかな光は中天へと伸びていた。全ての卵から集まった光は夜空に浮かぶ太陽のような光の球を形づくったあと、巨大な柱となってかがりに降り注いだ。ひとしきり光が収まると、いつしか炎にたかっていた邪念の色は消え去り、元の煌々としたヨァトゥロンクラウドベリーのようなオレンジ色の炎に戻っていた。
 聖なる光に散らされて、瘴気を帯びた紫紺色の火の粉は、まるで空に吸い込まれていくかのように、天高く昇っていて、その舞い上がる先の虚空へ目を見やると、夜空が一瞬濃くなったような気がした。月がかげったのだろうかと思った。

「………」

 ――それは影だった。

 うっすらとしか見えないけれど、とてつもなく巨大な何かの影が夜空を泳いでいた。その影が、何千何万という火の粉をやすやすとひと飲みにして、悠々と泳ぎ去っていったのだった。

「コーダ?」
「………え? あ…なぁに、パパ?」

 僕は、この儀式のこの世のものとは思えない壮絶な光景に見とれて、呆然としてしまっていた。

「どうかしたのか? 空なんて眺めて」
「……さっきの光、とっても綺麗だった。それに今のも…」
「光……? そんなのどこにも……、あ、まさか……。ねぇあなた、コーダの言っている光って――」
「いや、みなまで言わなくていい、クラーラ。それに、おそらく君の考えている以上のことがコーダの身に起きている」

 けれども、父さんや母さんには――それどころか村の人達の誰にも――卵の光も、邪悪な炎も、あの巨大な魚影さえも、えてはいないようだった。

 ――そんな風に、僕にえる世界は一変してしまっていた。

「コーダ、ちょっとついてきなさい。お前に会わせたい人がいるんだ」
「う、うん…わかった」

 いつもより若干険しい表情の父さんが、僕の顔を正面に見据えてそう言った。あまり見ない(と言っては失礼だが)真剣な表情に、一体これから僕はどうなるのだろうかと少し緊張していた。



   ℵ



 祭りのうたげもまだ冷めやらぬ中で、父さんに連れられてやってきたのは、かがりの広場からすぐのところにある、僕の家よりも少し大きくて立派なたたずまいの一軒の家だった。

「じいさん、いるか!?」
 気付けば父さんは勝手に玄関を開けて中に呼びかけていた。しばらくして、杖をついた白髪のおじいさんが、いかめしい顔つきで部屋から出てきた。

……っていうか、あれ村長じゃん…。ここ、村長の家だったのか…。

「なんじゃ騒々しい! 今は休んどるものもいるというのに静かにせんか!」
「そういうじいさんの方が声がでかいんじゃ…」
「じゃあかしぃわぃっ! …あぁ、レイフの小僧か。こんな祭りの忙しい日にレイフの小僧が小僧を連れてきて、一体何の要件じゃと――」
「――この子には、エーテルの加護がある」

 と、その言葉を聞いた途端、村長の顔色がさらにげんなものになっていく。村長は驚きを隠せず僅かに目を見開いたその顔で父さんを見て、父さんもただ一度無言でうなずいただけだった。その無言のやり取りでどんな意味があったのかはわからなかったが、村長は声のトーンを落として――

「――中に入れ。わしの部屋で話そう」

 ただひとこと、そう言ったのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

サイレント・サブマリン ―虚構の海―

来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。 科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。 電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。 小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。 「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」 しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。 謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か—— そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。 記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える—— これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。 【全17話完結】

ママはヤンママ女子高生! ラン&ジュリー!!

オズ研究所《横須賀ストーリー紅白へ》
キャラ文芸
神崎ランの父親の再婚相手は幼馴染みで女子高生の高原ジュリーだった。 ジュリーは金髪美少女だが、地元では『ワイルドビーナス』の異名を取る有名なヤンキーだった。 学校ではジュリーは、ランを使いっ走りにしていた。 当然のようにアゴで使われたが、ジュリーは十八歳になったら結婚する事を告白した。 同級生のジュリーが結婚するなんて信じられない。 ランは密かにジュリーの事を憧れていたので、失恋した気分だ。 そう言えば、昨夜、ランの父親も再婚すると言っていた。 まさかとは思ったが、ランはジュリーに結婚相手を聞くと、ランの父親だと判明した。  その夜、改めて父親とジュリーのふたりは結婚すると報告された。 こうしてジュリーとの同居が決まった。 しかもジュリーの母親、エリカも現われ、ランの家は賑やかになった。

処理中です...