最強のチート『不死』は理想とはかけ離れていました ~ 人と関わりたくないので史上最強の家族と引きこもりを目指したいと思います

涅夢 - くろむ

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90話 - 悪徳貴族

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 奴隷商から出てきたクルードという子爵一派に絡まれてしまった……
 さて、どうこの場を切り抜けるか……

「まぁよい。こんな往来の場では奴隷でもない人間をどうすることもできんのでな。」

「は。失礼致しました」

 お、意外と早く諦めたな?
 まぁ奴隷でもないやつをいきなり往来で無理やり手籠めにはできないか……
 僕らが何かしたわけでもないしね。

「では、お前の手の中にある珍しい色のスライム。それを金貨1枚で渡せ。ただの取引だ。それぞれ金貨1枚ずつ払おう。悪くない取引であろう?」

 なっ!?僕とクラム!?
 ってかなにが、では、だ!なんもつながってねーだろ!
 こいつ金さえ払えば何でも好きにできるとおもってんのか……

「この子たちは大切な家族なので……」

「ほう?お前近頃スライムが珍しいということを知っておるな?では金貨3枚でどうだ?」

「お金の問題ではありません!!」

「珍しいとはいえ王都の魔物商でも銀貨50枚もせんのだぞ?スライムなんか何の役にも立たん。少し色が珍しいから他の貴族への見世物に私が引き取ってやろうといっておるのだぞ!」

「お断りします。お渡しする気はありません。」

「貴様……こちらが下手にでておれば……」

(ガヤガヤ……)

 どこが下手なんだよ!
 くそ……野次馬が増えてきたな……。
 最悪ここでエステルが貴族相手に揉めるよりクラムと一緒に連れていかれて屋敷壊してでてくる方がいいか……

 この世界の貴族がまだどういうものかわからないからな……

『エステル、大丈夫だ、僕をわた……』

「クルード様。少々目立ちすぎかと。ここは引きあげましょう。」

 脇に泊まっていた馬車の中から執事のような人がでてきてそういった。

「ちっ。どいつもこいつも図にのりおって……。そ奴らを手に入れる方法なんぞいくらでもある。貴様ごとな」

 そういいのこして馬車に乗って去ってしまった……

 はぁ解放された……。
 本当に碌な奴じゃなかった。
 あいつにここの領民は搾取されてんのか……。

 それにしても最後嫌な事をいいのこしていきやがったな。
 まぁいい。
 エステルに手出ししたら容赦しない。

『めちゃくちゃ感じ悪いやつだったな。あれが領主か……』

「はい……」

「はぁ……あの人にも困ったもんだ……。娘さんも大丈夫だったかい?巻き込んでしまったようで申し訳なかったね……」

 奴隷商の人がため息をつきながら話しかけてきた。

「いえ……なにがあったのですか?」

「……うちの奴隷の見た目を気に入ったらしくてね。娘さんにいうのもなんだけど……性的な奉仕を許可しろと迫っていたんだよ。ただその子はそれを断っていてね。買われるのすらごめんだ、と。で、金を詰むからと強引にね……」

「あんなやつ嫌だよ~!なぁ~だれか買ってくれよ~。働くからさ~かっこいいお兄さんなら夜の奉仕も歓迎だよ~だれか~!」

 中からすごい露出度の高い……ちょっとダメそうな女性がダメそうなセリフを吐きながら店からでてきて道で叫び出した。
 通行人ドン引きしてるじゃないか……

 まぁ……美人さんなのは美人さんなのかもしれないけど……

「その方が例の?」

「そうだよ……。はぁ……。おいやめろ!!あともっと自分を丁寧に売り込めよ!ただでさえ借金のせいで高額なんだぞ!家事も嫌だ!戦いもできない!働くってお前何するんだよ!買われるわけがないだろうが!!」

「なにか事情があって借金なさったんです……?」

 あ!エステル!いらんこと聞くな!変に情がでてしまっても……

「いやこいつは賭博で借金しただけだ。で、返す当てもなくて家を担保に入れられちまったらしくてね。飯を目当てにうちに逃げ込んできたんだよ。買い手が決まるまで奴隷商では食事はきっちり与える決まりだからね。最初は見た目はいいから売れるかと思って引き取ったのに……。こいつ……一般奴隷は選択権があることをいいことに購入を希望される方が来ても好みじゃないだのなんだので断りまくっているんだ……。もう2年だよ……」

「だって、嫌なもんは嫌じゃないか……」

 それ……ただの穀潰しじゃん……

「ぐぐ……お前はもうすこし自分の立場を考えろ!!今回のことも自業自得だろ!!俺まで厄介ごとに巻き込まれるじゃないか!!」

「だってさ~。あ!お嬢ちゃんかわいいね~?おねえちゃんでもいいから買ってくんない~?金貨10枚だよ~」

 たっか!!1000万!?
 ってかこっちに絡んでくんな!!
 奴隷なんか要らないって!!

「あ、いえ、私は……ごめんなさい……」

「高いだろ?借金がすごいんだよ。色んな闇金から借りてたらしくてね。借金なかったら金貨2枚だ……。それでも見た目は良いから全く買い手がつかないってわけじゃないんだよ。選りすぐりしなければ……」

 ……こいつは別に同情の余地がないタイプのやつだったわ。
 この世界の奴隷ってこんな感じなんだな……
 地球のサラリーマンより図々しい……

 クルードはこいつを2000万で買おうとしてたってことかよ……
 税の無駄遣いもいいとこ……いや失礼だな。やめておこう。

「……とはいえもうあと半年で強制的に買われることになってしまうけどね。いい加減お前も覚悟決めて家事覚えたりいい人にもらってもらったりしないとクルード様に買われることになるからな!」

「え~……なぁ誰かおねがいだよ~!!」

 野次馬の人達もトラブルが収まったようでこの場を後にしだした。

 もう気にしないでおこうこいつは。
 自業自得なのは知らん!

 とりあえずこちらの世界の奴隷制度のことをあまり忌避しないでもよさそうな事はわかったからいいや……一つの就職先って感じだな。一般奴隷に限っては、だけどね。

「それにしても、娘さん冒険者なんだよね?悪いことは言わない。早くこの街から出て行った方がいいよ。クルード様は裏でいろいろやってるみたいだ。違法な奴隷商人とつながりがあるって噂もあるから……あまりあの人と関わりにならないほうがいいよ……気を付けてね」

 そう言い残し奴隷商人と女性の奴隷も店の中に入っていった。

『つかれたな……』

「はい……」

 この後宿を探しに行こうと思ってたけど……
 嫌な事言われたし街中にいない方がいいか?

『エステル。外で野宿するか?街中は危なそうだ』

「私もそれがいいと思います。宿の人にご迷惑をかけてしまっても……」

 ・
 ・
 ・

 その後一応ギルドに入り、
「南口の近くで野宿をしているから明日の朝、外で集合で」
 と受付に護衛メンバ―に言付けを頼み街の外へ出てきた。

 ギルドも今までに見たところよりとても大きく賑わっていた。
 人数は多かったが、ざっと鑑定したけどDランク平均くらいだったように思う。

 この街のギルドにいた冒険者は魔物退治をしているというよりは行商の護衛要因が多くみられた。
 何となく強さと服装でね。小奇麗にしている人が多かった感じだった。

 南口から結構離れた原っぱまでやってきてテントをはった。
 さすがに入り口から見えるところで野宿するのもねぇ。

『はぁ……早速トラブルに巻き込まれたな……』

「すみません……」

『エステルわるくないよ~?』

『そうそう、エステルは関係ない。あの街は魔物の僕にはなんとなく居心地は悪かったし野宿の方がのんびりできるよ。悪徳貴族が悪徳貴族ムーブしてただけの話だ。出くわしてしまったのは運が悪かっただけだ。ただ僕達までターゲットになると思わなかったが……』

「ありがとうございます。そうですね……スライムは今結構珍しいので。まさか人の仲間を見世物にする為に譲れという人がいるとは思いませんでしたが……」

『今後厄介な貴族と出くわしたときにどう動けばいいのか考えておく方がいいな。ギルマスの言ってた通り、こういった時に地位を持っていれば相手をしなくて済むんだろう。あいつは子爵だったか?A級レベルになれば強くは出れないはずだろ?ただ僕とクラムはスライムだからエステルに頑張って名を挙げてもらうしかないんだが……』

「そうですね……あまり気乗りはしないのですが……やはり安全の為にランクはあげておく方がよさそうですね」

 まぁ経験ができたって意味ではこの街にこれたことは良かった。

 ……確かこの世界の魔物には知性があるものもいるってギルマスがいってたよな?
 それは一般的に知れ渡っているんだろうか?
 最悪もう知性のあるスライムとして僕自身を売っていくのもありなのかもしれないが……

 もっと力を上げて……
 厄介なやつが手出しできないように少し恐怖心を加えて……

 ただ僕は魔物だから人とは違って遠慮なく討伐に来られそうだよね。
 軒並み倒せたとしても……終わらない殺戮が始まりそうだよな。

 嫌だよ!?勇者とか名乗るやつに攻めてこられるの!!
 スローライフと真逆になりそうだ……

 まぁ「僕魔王始めました!」編突入はどうしようもないときの最後の手段にとっておこう。

 ギルマスのようなやつに10人同時にかかってこられるとさすがに少し危ないと思うし……
 久々にしっかり戦闘力あげる方にも意識持って行かないとねぇ。

『うーん。やっぱスライム卒業した方がいいかなぁ……』

「寄生……ですか?」

『しんかは~?』

『スライムから人に進化は無理だろうからなぁ……。ってか僕もクラムもオリジナル生物みたいな感じだから多分進化先とかないと思うなぁ……。これまでの流れを考えると、僕が寄生してその影響でクラムも変異するしかないんじゃないかなきっと。あ、でもそうなるとクラムは進化必要になるのか……』

『クラムこのままでもいいけどなぁ~?』

 クラムはそんなに強さにこだわりはないみたい。
 ってか僕もやられない為に強くなってるだけで最強になりたいとか全くないんだよね……

 でもこのままだとエステルへの負担が大きいしなぁ……
 僕も自由に動けないし……うーん。
 まぁできることから、だな。

 今はとりあえず護衛依頼!とダンジョン!

 あと……今晩どうなるか……

『まぁとりあえず今考えてもどうにもならないし今日は寝よう。明日ここからは離れるし今晩乗り切れば大丈夫でしょ。僕起きて見張っとくから二人は寝ていいよ。何かあったら起こすから』

「わかりました!ではおやすみなさい」

『おやすみパパ~』

『おやすみクラム、エステル』

 さて……どうなるかな?


 -----


 2人が寝静まった深夜……
 星の位置的に深夜2時くらいだろうか……

 魔力感知しといてよかった。
 ここから100mくらいか。

 ほらね?やっぱり来た。
 皆気付いてたけど外出るまで誰かにつけられてたからね。
 敢えてスルーしててもらったんだ。

 しつこいんだよあの類のやつは。5人くらいかな?
 じゃあ行きますか……めんどくさ。
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