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213話 - 孤児失踪
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なんとかマリアさんをエデンに連れ出すことが出来た。
苦労した……。
クラムに転移魔石を渡して置いておくように伝えていた。
だからクラムが急造した魔の森の孤児院前に転移してきたんだ。
『少し落ち着きました?』
「ええ……すみません。神罰ではなかったのですね……」
『全然違うよっ!』
僕の誤解は本当に解けたんだろうか……
今後のマリアさんとの付き合いに影響しない?
大丈夫かなぁ……
僕この方にすごいお世話になってるのに……
むしろ僕が敬ってるよ……
ただ空間転移ってそんなに怖いんだね。
一般の方から見ると本当に意味がわからないんだなってことが今回のことでわかったな。
僕の人付き合い偏りすぎだ……。
獣人国に来た時から見れば随分と人のこと知れたなと思ってたんだけどなぁ。
「これが孤児院ですか……」
『うん~!いっしょでしょ~?なかもみて~?』
『一緒……うん、一緒と言えば一緒なのかな……』
クラムが作った孤児院。
今回は王都の孤児院をベースにしている。
一緒、形は一緒なはずだ……。
まぁ何が言いたいかと言えば……
「可愛いですよねぇ、ふふ♪」
まず、可愛い。
王都の孤児院は年季の入った木造だ。
その辺に割れや穴があるボロボロの木造ハウス。
それが、全部石造りになっている。
パステルカラーの薄桃色の屋根。
壁は白っぽい土壁かな?
もうこれだけで全く印象が変わる。
現代建築のように見えるね。
で……
「大きい……。これを朝から……」
『ん~?かんがえてたからつくったのはさっきだよ~?』
サイズ5倍くらいになってるよなぁ。
まぁそうなると思ってた。
あくまでベースが孤児院なの。
クラムが縮尺まで全く同じに作るとは限らない。
僕はクラムに建築の注文はしない。
ここは僕の中ではずっとクラム村だからね。
自由にやって欲しい。
最低限必要な用途が果たせれば問題ない!
この村はクラムのちょっと大きなお砂場遊びなのだ!
大人が子供の遊びの邪魔はしてはいけないのだ!
子供達が沢山いるって考えると王都の孤児院は手狭だったんだよね。
100人くらい入っても大丈夫じゃないのかなぁ。
絶対こっちのほうがいいね。
あと、庭がかなり広い。
これに関しては僕が伝えておいたんだ。
子供たちは庭で遊ぶからスペースある場所に作った方がいいよってね。
孤児院の場所は住宅地の端。
庭、というより運動場かなぁ。
200mトラックが作れそうだ。
小さなボロボロの孤児院がしっかり土地がある幼稚園サイズになったと思ってもらえばいいかな。
地球にあった遊具とかもクラムに教えてあげよっと。
「まぁ、中は王都の孤児院と同じ作りじゃ。部屋が増えておるくらいかの?」
『おっきなおふろも2つ、つくったよ~?みんながいっぱいすむところには2つつくらないとだめってパパがいってたんだ~。あとおはなうえたりするの~!まだとちゅう~』
「おお、そうじゃ。風呂2部屋と厠が4つ中にあるのぉ?排水や水場関連は我が作っておったのじゃ。また時間がある時にみて、不都合あれば言って欲しいのじゃ」
大勢いるし、子供も成長するだろうからね。
うちでも大きい女の子と男の子は別々に入ってたからさ?
最初から男女別に浴室があった方がいいよね。
1、2階の端にトイレ2つずつ。
そして1階の端と端に浴室を作って欲しいって、それだけはクラムに注文してたんだ。
「それ程の……いえ、不都合等あるはずがありません。クラムちゃん、ティアさん、他の皆様も本当にありがとうございます……」
『いいよ~、えへへ~!またおりょうりおしえてね~?』
「もちろんです。これからはお話しながら一緒に作りましょう」
少しマリアさんがウルウルしてる。
みんなのことを思って引っ越ししてもらおうとしてるのが少しは伝わったかな。
決して神罰ではないッ!
『生活に問題は絶対ないってのは伝わったかな?ここから少し歩けば公園もあるし、農園もあるしね。たぶんもうすぐお店出来ると思うからそこに行けば必要なものも買い揃うよ。今日からでもお腹いっぱい食べられるから生活のことは本当に心配しなくていいよ』
「ええ、こちらを拝見するだけでそれは重々伝わりました。私は色々誤解をしていたようです。本当に申し訳ございません」
『いや、まぁそうなるよねって思うし気にしないで。住民も皆優しいしさ?子供たちが孤児院から飛び出してエデン中駆けまわっても大丈夫。この環境って子供にとっては王都より遥かに安全だとおもうよ?なんせ皆ハイエルフだし。悪い事しようと思う人なんか1人もいないからさ』
「ハイエルフは皆子供が大好きなんだ!僕等って子孫が中々生まれない種族だからさ?子供が生まれた時なんて一族総出で祝うからね?大歓迎だよ!あはは♪」
『私は子供好きでしたが、皆そうなのですね?』
まぁエステルは末の子だもんね。
エステルがハイエルフの子供が生まれた時に立ち会ったことないはずだもんな。
『じゃあ、生活環境以外の話をしようか。他に気になる事ってある?』
・
・
・
クラムとおばあちゃんは続きの作業に戻った。
マリアさんには孤児院の庭に机とイスを出して座ってもらった。
まぁお茶でも飲みながらね。
ゆっくり相談する方が考え漏れがなくなるからね。
孤児院はクラマが見ててくれるし、ぷちクロムEも居る。
Aはクラム、Bはエステル、Cはクラマ、Dはおばあちゃんが持っている。
まぁどうでもいいんだけど。
寄生するとこれがなくなるのが1番痛いなぁ。
何とかならんものか……
まぁとりあえず、少しゆっくりしてもらって大丈夫と伝えた。
『ほら、この子がぷちクロム。危ないことがないように孤児院に置いてるの。勝手にごめんね』
「ずっと子供達を見守ってくださっていたのですね……。ありがとうございます……」
『あら?そんな感想になる?そして何でちょっと拝む体制に……。普通にしてください……』
勝手にプライベート覗くなよ!とかになんないんだ。
孤児院のみんなには僕のこと伝えられなかったからさ。
ぷちクロ内緒で置くしかなかったんだよね。
「失礼いたしました。孤児院に心配がいらないことは把握できました。ではお話致しましょう」
エルンさんから話を聞くと面白い事がわかった。
マリアさんベースにはなるけれどね。
一般の方にはハイエルフが実在してたことと、
今ここが魔の森だってことへの衝撃が1番大きいみたい。
逆に僕に前世の記憶があったりすることは、
そういうこともあるんだろうって飲み込めちゃうみたいなんだ。
不思議でしょ?
どうやら、神の存在は信じている様子なんだ。
そう言えばエセ創造神を崇めてる教会はあるんだもんね?
マリアさんに関しても、教会の”教徒”を嫌っているそう。
教会にも不信感はある。
でも神の存在を疑ったことはないみたいなんだよね。
まぁ、本人は違うって言ってるけどソフィア様って実質創造神だしな。
世界を作った方であることは間違いないし。
そう言う意味では神は存在しているんだろう。
そしてどうやら僕は聖者か使徒のように映るみたい。
見たことない魔法を使っているより、神の力ですって言う方が一般的にはスッと飲み込めるみたいなんだよねぇ。
「クロムくんも実質使徒様でしょ」
『ソフィア様が上司……う~ん。そう言われればそうなるのかなぁ……。使いっぱしりだし、使命とか仕事なんて全くないんだけどなぁ……。そんなこと言ったら僕の家族みんなそうだよ』
「だからみんなそうなんでしょ。僕の妹はいつの間に神の使徒になったんだか……」
「そうなんでしょうか……。全く実感がないのですが……」
「クロム様……すみません。クロムさんが1番位の高い天使様で、家族の皆様はその下の天使様なのではないのですか……?私がこちらでお話をさせていただくことも恐れ多い……」
『天使!?違うって!』
おおう……すんげぇ伝わり方をしている……。
ソフィア様の使いっぱしりではあるんだけど……
でも理解できない話する時にはその方が説明しやすいのかもしれないなぁ。
教会があんな法外な金額で回復魔法使ってても成り立っているのにはこの辺に関係しているようだ。
この世界の人は神は信仰している。
ただ教徒が敬われているか、ということはまた別問題だってことだな。
おっと、話が逸れたな。
『まず、僕から質問なんだけど、子供ってどれくらいここに来ることを了承しそうだと思う?これが1番僕の中で心配なんだけど……』
「心配……?間違いなく、皆喜んで了承しますよ?」
『え、そうなの?王都に馴染んでる子や冒険者してる子もいるんじゃないの?』
あら?なんか思ってたんと違うぞ?
半分くらい来ればいいかなと思ってたんだけど……
王都に残る事を決めた子たちの今後の生活をどう見守るかとかさ?
残る子には僕の事は伝えない方がいいだろうし……
どうやってエデンに来る子たちだけに話伝えようかとか……
「ええ、皆様にご心配をかけるのはと思って口を紡いでおりましたが……。孤児院出身というのはあまりいい顔をされないのです。小さな子たちは理解できておりませんが、今冒険者をしているリッケ、ルパード、リラは特に心苦しい思いをしていると思います」
少し大きい子たちだね。
リッケ君は犬系の獣人さんかな?活発な子だ。
クラマに解体を教えてくれた子。
この子が多分1番大きな子。
クラマより年上に見える。
地球で言えば高校1年生くらいかな?
ルパード君は多分鳥人だよね?
お風呂で白い小さな羽が生えてるの見たことあるんだ。
小さい子の面倒をよく見てくれる子だ。
リラちゃんは羊系の獣人さんかな?
クルっとした角が生えてるおっとりした子。
よく農園で果物の手入れをしてるね。
この2人はクラマと同じくらいか少し上くらいの年齢。
中学生になるかならないかくらいなんだよね。
後の子は本当に幼い。
絶対年齢1桁だ。
半分はクルードの件で連れて来られた子だからさ。
幼い子を抜粋して売買しようとしてたんだと思う。
その3人はそれぞれ面倒見がよくて孤児院のお兄ちゃんお姉ちゃん替わり。
ただ家に来る参加率は低いんだ。
冒険者活動してた時が多いからさ。
それにしても孤児院出身の何がダメなんだよ……。
至る所に差別ってあるな……
「それに皆冒険者を希望して行っている訳でもありません。孤児院の子供に少しでも多く食べさせる為に仕方なくです。今はもうクロムさんのお手伝いを出来るようになりましたので、尚のこと進んで依頼を受けに行っておりませんよ。本来孤児院に居なければ他に就きたい職業があったはずです」
『わかった。ここに皆が来るのは問題ないんだね。了解!じゃあみんなおいでよ』
「私が気になるのは、今の子供達はいいとして今後のことでしょうか。孤児院を訪れる孤児達はどうなるのでしょう?」
もちろん考えているさ。
ふふふ。
『王都の孤児はここに来ればいいよ。教会は不干渉とは言ってるんだけど、どうやら教会って鑑定したいだけで孤児を進んで育てたいとも思ってないみたいなんだよね』
「えぇ、それはもう。見て居ればわかります。私達は邪魔者のように扱われておりますので」
だろうなぁ。
孤児を育てるって名目で鑑定の機会を増やしているだけ。
才能がない子は必要ない扱いって事だ。
一応孤児院にほおりこんでいるだけだよね。
『王の手配で引き取り手を探してくれる……と言うよりそういう名目で孤児達を引き取ってくれるんだ。引き取り手の居ない子たちはここに連れてくる手筈になってるよ。ここにいる商人のラクトさんが商いの度に覗いて魔の森に連れ帰ってくれることになってる。心配しなくて大丈夫だよ』
ただ、鑑定を阻止するのは無理みたいなんだ。
さすがにそれをすると教会は気付くと。
教会を妨害していることになっちゃうから……
とりあえず今の所それは不可能。
何とか出来るときが来るのかなぁ……
とりあえず孤児院にほおりこまれるだけになっている子の保護は可能。
王様が上手く人を回してくれるって言っていた。
「そうですか……それなら安心です……」
『うん、だから今後孤児院には子供が入らなくなるはず。あそこの孤児院どうするんだろうね?知らんけど』
「孤児院が必要なくなっても恐らく気にも留めないと思いますけれどね」
まぁそうだろうね。
今も全く来ないらしいから。
国から入る寄付金を孤児院に少し渡しに来るくらいって感じだよね。
それも中身は殆ど抜いてだ。
『あ、あと今ここマリアさんだけで回してるでしょ?他のみんなも孤児院のこと手伝ってくれるって』
「はい!お母様が孤児院の担当の中心になってくれるそうですよ?」
ハイエルフさんって大人しか居ないんだよね。
今集落に子供なんて1人もいないんだよ。
だから孤児が増えても今のところは全く問題ない。
率先して手伝ってくれるって。
これは余談だけど、ハイエルフさん達って、
農業担当、酪農担当、生活担当って感じの方に分かれて生活してるみたいなんだ。
そこから子供達が特に好きな人達が孤児院のこと手伝ってくれるみたい。
でさ、僕、週休3日はとってねって言ってるんだけど……
その週休3日が戦闘訓練になっている。
そこでお肉いっぱい持って帰ってくるんだ。
皆だけでも1日数体倒せるようになってるからね。
いつのまにか週の半分は戦闘訓練になってしまった……
本人達は休日のつもりだからもう何とも言えん。
休みに1番稼いでいるんだよ……不思議だ……。
まぁそれが楽しいなら好きにしてくださいな。
ってことで今のところ本当に何も問題ない!
と言うより収穫する野菜や肉が消費に追いついていない!
ラクトさんが凄く大変。
今、商業を担当してくれる人も作っているみたいだね。
それも踏まえて今ラクトさんは集落で大忙しだ。
ちらっと姿が見えるといつも作業に追われている。
でも楽しそうだった。
魔の森って誰の手も入ってないから資源の塊なんだよね。
子供たちには、たらふく食べて欲しいな。
「本当に助かります。私だけでは行き届かない部分が多かったのです。何度教会に職員を回してほしいと伝えてもお布施の無駄遣いだと話を突っ張ねられていまして」
何でだよ……
寄付金の1番有効的な使い所だろ……
『そこは心配しないで。じゃあ、最後に1つだけ。申し訳ないんだけどエデンの事を言うことが危ないって分別がつくまでは最低この森から出られなくなると思う。大丈夫かな……』
「進んで街から出るような子供はいませんよ。ここで全て揃っているとのことですし。ゆとりをもって日々生活が出来るだけでとても幸せです。万が一子供からそのような希望があればクロムさんかエルンさんにお伝えすることに致します」
これは王様達が行ってたことと認識が一致しているな。
「そうだね!僕が要望をまとめてクロムくんに伝えるよ」
『うん、その時は遠慮なく言って?どうするか考えるからね』
じゃあ説明はこんなもんかな?
これで今聞かなければならないことは残っていないはず……。
「あとは……皆をどうやってここまで……」
『あぁ、そんなのいつものあれだよ』
・
・
・
その日の昼過ぎ……
今、僕……”ぶちクロムF”はマリアさんの服のポッケに潜んでいる。
「孤児院の子供総出でどこへ行くのだ?」
「隣町まで必要な雑貨の買い出しや、大きい子の職を探しに」
「そうか。では、行っていいぞ」
『さくっと出れたね。まぁ最近いつも僕の所に来てるしね』
「えぇ、初日は少し取り調べられました。まぁ王都ですから、わざわざ孤児のことを1人1人調べたりはしませんよ」
『そういうもんか。まぁすごい行列だったしね。時間割けないよね。……で、ごめん、子供達はちょっと疲れると思うんだけどさ、念の為に数時間程は東に向かって歩いてくれない?』
…………
この辺りでいいかな。
そろそろ周りにも誰も居なくなった。
周辺1kmは感知済みだ。
生体反応なし!よしバッチリ!
「大丈夫です!王都の方面からの人も誰も来ていませんでした!」
『おっけー!みんなおつかれー!クラマについていってね~!あの森の陰でさっきの穴に入ってね~』
「……みんなこっち」
わーい! ありがと~!
つかれた~ どこであそぶの~?
相談が終わって僕が話せることを伝えに孤児院に帰ったんだけど……
まぁ子供は子供だよね。
へぇ~とか。すごーいとか。そんなのくらい。
大きい子はかなり驚いていたけど……
マリアさんがごにょごにょしてた。
聞こえてるんだよね……。
やっぱり僕使徒様扱いなんだね……。
ここで違うっていって話を取っ散らかすのはやめよう。
エデンについてから誤解を解くことにしよっと……
そしてみんなの前で一応転移ゲート見せたんだけどそれも一瞬だった。
特に何も考えてない子が飛び込んであとは雪崩れ込んで終了。
子供と一緒に説明した方が早かったかもしれないなぁ。
あ、でもマリアさんの恐怖感が凄くなってただけかもね。
孤児達の荷物はほぼ、持ってこなかった。
少し出掛けただけ、という体を装う為だ。
そもそも必要なものは殆どないということだったし。
エデンで買い揃えてもらえばいいね。
「では、私も先にエデンへ行って参ります」
『うん!クラムもおばあちゃんもいるしみんなも安心でしょ?2人に孤児院案内してもらってよ。あと必要なものとか2人に伝えてね?最低限じゃなくて!ちゃんと住み心地がいいようにしてね?遠慮してたら僕等好き放題するよ?すごい事になるからね?わかった?』
「……え、ええ。善処致します。この度はありがとうございます。これから時間を掛けてお礼させていただきます……」
『要らない要らない!じゃあエステルと適当にそれっぽくしてから行くね~』
よし、行ったな。
『じゃあいつものやつやろっか』
「わかりました!あの森の周辺でいいですか?」
『うん、適当でいいよ。僕も適当に魔物の血撒いとくからさ?エステルは子供服の切れ端ポイポイしといてね』
「了解です♪」
僕が孤児院を強襲した体を装おうかとか、色々考えたんだよね。
でも王都内で何かすると王様の仕事が増えそうじゃんか。
もう、外で魔物にやられたならどうしようもないでしょ?
恐らく門番が出入りを記録しているはず。
もし教会が孤児たちの行方をちゃんと調べても、獣人国はこの件に全く関係がなくなるって訳だ!
孤児失踪計画。
この作戦めっちゃ万能じゃない?
ちょっと手慣れてきたのがどうかと思うんだけどねぇ……
まぁいいや。
マリアさんの信用を得るのに1番苦労した。
そこからはもうとんとん拍子だったな。
土台作りが苦労したんだ。
あと転移魔石作りかな。
もうどっちも出来てるしさ。
後腐れなく行方を眩ませる方法を考えるだけだもんね~。
『ふっ。簡単な仕事だったな』
「みっしょんこんぷりーと!でしたっけ?ふふ♪」
『まぁ、後ちょっとかな?僕と王様に任せといて』
・
・
・
その夜。
エデン、獣人王の城。城ねぇ……。
クラムと城っぽい装飾つけてやろうかな。
『まぁそんな感じにしてきたよ?これで大丈夫?迷惑かかんない?』
「あっはっは!……じゃあ、俺等またなんもすることねぇじゃねぇか!迷惑かけろよ!」
「あとはこっちに任せてね?絶対よ!」
いや、ここからは僕には出来ないよ……。
もし誰かが孤児の失踪に気付いて報告があれば、王様に国の兵をそれっぽく動かして欲しいって頼みに来たんだ。
万が一教会から孤児達の捜索願い依頼が来ても困るしね。
来なくても孤児の失踪に気付いて王様が動かないの違和感あるでしょ?
これで完全に教会から国が睨まれることもない。
協力している感じや必死な感じを装って欲しいんだよね。
計画に完全に抜かりはないッ!
『多少お金かかるでしょ?白金貨5枚ほどで兵士の給料足りる?』
「いらねーっつーの!俺等にもなんかさせろって言ってるだろっ!」
「多少って……兵士の給金どれだけ出すつもりなのよ……」
いや、だって僕、兵士の給料とか知らんし……
『また孤児院に顔出してあげてね』
「おう!ありがとなクロム!」
「もちろんよ!ありがとクロムくん!」
苦労した……。
クラムに転移魔石を渡して置いておくように伝えていた。
だからクラムが急造した魔の森の孤児院前に転移してきたんだ。
『少し落ち着きました?』
「ええ……すみません。神罰ではなかったのですね……」
『全然違うよっ!』
僕の誤解は本当に解けたんだろうか……
今後のマリアさんとの付き合いに影響しない?
大丈夫かなぁ……
僕この方にすごいお世話になってるのに……
むしろ僕が敬ってるよ……
ただ空間転移ってそんなに怖いんだね。
一般の方から見ると本当に意味がわからないんだなってことが今回のことでわかったな。
僕の人付き合い偏りすぎだ……。
獣人国に来た時から見れば随分と人のこと知れたなと思ってたんだけどなぁ。
「これが孤児院ですか……」
『うん~!いっしょでしょ~?なかもみて~?』
『一緒……うん、一緒と言えば一緒なのかな……』
クラムが作った孤児院。
今回は王都の孤児院をベースにしている。
一緒、形は一緒なはずだ……。
まぁ何が言いたいかと言えば……
「可愛いですよねぇ、ふふ♪」
まず、可愛い。
王都の孤児院は年季の入った木造だ。
その辺に割れや穴があるボロボロの木造ハウス。
それが、全部石造りになっている。
パステルカラーの薄桃色の屋根。
壁は白っぽい土壁かな?
もうこれだけで全く印象が変わる。
現代建築のように見えるね。
で……
「大きい……。これを朝から……」
『ん~?かんがえてたからつくったのはさっきだよ~?』
サイズ5倍くらいになってるよなぁ。
まぁそうなると思ってた。
あくまでベースが孤児院なの。
クラムが縮尺まで全く同じに作るとは限らない。
僕はクラムに建築の注文はしない。
ここは僕の中ではずっとクラム村だからね。
自由にやって欲しい。
最低限必要な用途が果たせれば問題ない!
この村はクラムのちょっと大きなお砂場遊びなのだ!
大人が子供の遊びの邪魔はしてはいけないのだ!
子供達が沢山いるって考えると王都の孤児院は手狭だったんだよね。
100人くらい入っても大丈夫じゃないのかなぁ。
絶対こっちのほうがいいね。
あと、庭がかなり広い。
これに関しては僕が伝えておいたんだ。
子供たちは庭で遊ぶからスペースある場所に作った方がいいよってね。
孤児院の場所は住宅地の端。
庭、というより運動場かなぁ。
200mトラックが作れそうだ。
小さなボロボロの孤児院がしっかり土地がある幼稚園サイズになったと思ってもらえばいいかな。
地球にあった遊具とかもクラムに教えてあげよっと。
「まぁ、中は王都の孤児院と同じ作りじゃ。部屋が増えておるくらいかの?」
『おっきなおふろも2つ、つくったよ~?みんながいっぱいすむところには2つつくらないとだめってパパがいってたんだ~。あとおはなうえたりするの~!まだとちゅう~』
「おお、そうじゃ。風呂2部屋と厠が4つ中にあるのぉ?排水や水場関連は我が作っておったのじゃ。また時間がある時にみて、不都合あれば言って欲しいのじゃ」
大勢いるし、子供も成長するだろうからね。
うちでも大きい女の子と男の子は別々に入ってたからさ?
最初から男女別に浴室があった方がいいよね。
1、2階の端にトイレ2つずつ。
そして1階の端と端に浴室を作って欲しいって、それだけはクラムに注文してたんだ。
「それ程の……いえ、不都合等あるはずがありません。クラムちゃん、ティアさん、他の皆様も本当にありがとうございます……」
『いいよ~、えへへ~!またおりょうりおしえてね~?』
「もちろんです。これからはお話しながら一緒に作りましょう」
少しマリアさんがウルウルしてる。
みんなのことを思って引っ越ししてもらおうとしてるのが少しは伝わったかな。
決して神罰ではないッ!
『生活に問題は絶対ないってのは伝わったかな?ここから少し歩けば公園もあるし、農園もあるしね。たぶんもうすぐお店出来ると思うからそこに行けば必要なものも買い揃うよ。今日からでもお腹いっぱい食べられるから生活のことは本当に心配しなくていいよ』
「ええ、こちらを拝見するだけでそれは重々伝わりました。私は色々誤解をしていたようです。本当に申し訳ございません」
『いや、まぁそうなるよねって思うし気にしないで。住民も皆優しいしさ?子供たちが孤児院から飛び出してエデン中駆けまわっても大丈夫。この環境って子供にとっては王都より遥かに安全だとおもうよ?なんせ皆ハイエルフだし。悪い事しようと思う人なんか1人もいないからさ』
「ハイエルフは皆子供が大好きなんだ!僕等って子孫が中々生まれない種族だからさ?子供が生まれた時なんて一族総出で祝うからね?大歓迎だよ!あはは♪」
『私は子供好きでしたが、皆そうなのですね?』
まぁエステルは末の子だもんね。
エステルがハイエルフの子供が生まれた時に立ち会ったことないはずだもんな。
『じゃあ、生活環境以外の話をしようか。他に気になる事ってある?』
・
・
・
クラムとおばあちゃんは続きの作業に戻った。
マリアさんには孤児院の庭に机とイスを出して座ってもらった。
まぁお茶でも飲みながらね。
ゆっくり相談する方が考え漏れがなくなるからね。
孤児院はクラマが見ててくれるし、ぷちクロムEも居る。
Aはクラム、Bはエステル、Cはクラマ、Dはおばあちゃんが持っている。
まぁどうでもいいんだけど。
寄生するとこれがなくなるのが1番痛いなぁ。
何とかならんものか……
まぁとりあえず、少しゆっくりしてもらって大丈夫と伝えた。
『ほら、この子がぷちクロム。危ないことがないように孤児院に置いてるの。勝手にごめんね』
「ずっと子供達を見守ってくださっていたのですね……。ありがとうございます……」
『あら?そんな感想になる?そして何でちょっと拝む体制に……。普通にしてください……』
勝手にプライベート覗くなよ!とかになんないんだ。
孤児院のみんなには僕のこと伝えられなかったからさ。
ぷちクロ内緒で置くしかなかったんだよね。
「失礼いたしました。孤児院に心配がいらないことは把握できました。ではお話致しましょう」
エルンさんから話を聞くと面白い事がわかった。
マリアさんベースにはなるけれどね。
一般の方にはハイエルフが実在してたことと、
今ここが魔の森だってことへの衝撃が1番大きいみたい。
逆に僕に前世の記憶があったりすることは、
そういうこともあるんだろうって飲み込めちゃうみたいなんだ。
不思議でしょ?
どうやら、神の存在は信じている様子なんだ。
そう言えばエセ創造神を崇めてる教会はあるんだもんね?
マリアさんに関しても、教会の”教徒”を嫌っているそう。
教会にも不信感はある。
でも神の存在を疑ったことはないみたいなんだよね。
まぁ、本人は違うって言ってるけどソフィア様って実質創造神だしな。
世界を作った方であることは間違いないし。
そう言う意味では神は存在しているんだろう。
そしてどうやら僕は聖者か使徒のように映るみたい。
見たことない魔法を使っているより、神の力ですって言う方が一般的にはスッと飲み込めるみたいなんだよねぇ。
「クロムくんも実質使徒様でしょ」
『ソフィア様が上司……う~ん。そう言われればそうなるのかなぁ……。使いっぱしりだし、使命とか仕事なんて全くないんだけどなぁ……。そんなこと言ったら僕の家族みんなそうだよ』
「だからみんなそうなんでしょ。僕の妹はいつの間に神の使徒になったんだか……」
「そうなんでしょうか……。全く実感がないのですが……」
「クロム様……すみません。クロムさんが1番位の高い天使様で、家族の皆様はその下の天使様なのではないのですか……?私がこちらでお話をさせていただくことも恐れ多い……」
『天使!?違うって!』
おおう……すんげぇ伝わり方をしている……。
ソフィア様の使いっぱしりではあるんだけど……
でも理解できない話する時にはその方が説明しやすいのかもしれないなぁ。
教会があんな法外な金額で回復魔法使ってても成り立っているのにはこの辺に関係しているようだ。
この世界の人は神は信仰している。
ただ教徒が敬われているか、ということはまた別問題だってことだな。
おっと、話が逸れたな。
『まず、僕から質問なんだけど、子供ってどれくらいここに来ることを了承しそうだと思う?これが1番僕の中で心配なんだけど……』
「心配……?間違いなく、皆喜んで了承しますよ?」
『え、そうなの?王都に馴染んでる子や冒険者してる子もいるんじゃないの?』
あら?なんか思ってたんと違うぞ?
半分くらい来ればいいかなと思ってたんだけど……
王都に残る事を決めた子たちの今後の生活をどう見守るかとかさ?
残る子には僕の事は伝えない方がいいだろうし……
どうやってエデンに来る子たちだけに話伝えようかとか……
「ええ、皆様にご心配をかけるのはと思って口を紡いでおりましたが……。孤児院出身というのはあまりいい顔をされないのです。小さな子たちは理解できておりませんが、今冒険者をしているリッケ、ルパード、リラは特に心苦しい思いをしていると思います」
少し大きい子たちだね。
リッケ君は犬系の獣人さんかな?活発な子だ。
クラマに解体を教えてくれた子。
この子が多分1番大きな子。
クラマより年上に見える。
地球で言えば高校1年生くらいかな?
ルパード君は多分鳥人だよね?
お風呂で白い小さな羽が生えてるの見たことあるんだ。
小さい子の面倒をよく見てくれる子だ。
リラちゃんは羊系の獣人さんかな?
クルっとした角が生えてるおっとりした子。
よく農園で果物の手入れをしてるね。
この2人はクラマと同じくらいか少し上くらいの年齢。
中学生になるかならないかくらいなんだよね。
後の子は本当に幼い。
絶対年齢1桁だ。
半分はクルードの件で連れて来られた子だからさ。
幼い子を抜粋して売買しようとしてたんだと思う。
その3人はそれぞれ面倒見がよくて孤児院のお兄ちゃんお姉ちゃん替わり。
ただ家に来る参加率は低いんだ。
冒険者活動してた時が多いからさ。
それにしても孤児院出身の何がダメなんだよ……。
至る所に差別ってあるな……
「それに皆冒険者を希望して行っている訳でもありません。孤児院の子供に少しでも多く食べさせる為に仕方なくです。今はもうクロムさんのお手伝いを出来るようになりましたので、尚のこと進んで依頼を受けに行っておりませんよ。本来孤児院に居なければ他に就きたい職業があったはずです」
『わかった。ここに皆が来るのは問題ないんだね。了解!じゃあみんなおいでよ』
「私が気になるのは、今の子供達はいいとして今後のことでしょうか。孤児院を訪れる孤児達はどうなるのでしょう?」
もちろん考えているさ。
ふふふ。
『王都の孤児はここに来ればいいよ。教会は不干渉とは言ってるんだけど、どうやら教会って鑑定したいだけで孤児を進んで育てたいとも思ってないみたいなんだよね』
「えぇ、それはもう。見て居ればわかります。私達は邪魔者のように扱われておりますので」
だろうなぁ。
孤児を育てるって名目で鑑定の機会を増やしているだけ。
才能がない子は必要ない扱いって事だ。
一応孤児院にほおりこんでいるだけだよね。
『王の手配で引き取り手を探してくれる……と言うよりそういう名目で孤児達を引き取ってくれるんだ。引き取り手の居ない子たちはここに連れてくる手筈になってるよ。ここにいる商人のラクトさんが商いの度に覗いて魔の森に連れ帰ってくれることになってる。心配しなくて大丈夫だよ』
ただ、鑑定を阻止するのは無理みたいなんだ。
さすがにそれをすると教会は気付くと。
教会を妨害していることになっちゃうから……
とりあえず今の所それは不可能。
何とか出来るときが来るのかなぁ……
とりあえず孤児院にほおりこまれるだけになっている子の保護は可能。
王様が上手く人を回してくれるって言っていた。
「そうですか……それなら安心です……」
『うん、だから今後孤児院には子供が入らなくなるはず。あそこの孤児院どうするんだろうね?知らんけど』
「孤児院が必要なくなっても恐らく気にも留めないと思いますけれどね」
まぁそうだろうね。
今も全く来ないらしいから。
国から入る寄付金を孤児院に少し渡しに来るくらいって感じだよね。
それも中身は殆ど抜いてだ。
『あ、あと今ここマリアさんだけで回してるでしょ?他のみんなも孤児院のこと手伝ってくれるって』
「はい!お母様が孤児院の担当の中心になってくれるそうですよ?」
ハイエルフさんって大人しか居ないんだよね。
今集落に子供なんて1人もいないんだよ。
だから孤児が増えても今のところは全く問題ない。
率先して手伝ってくれるって。
これは余談だけど、ハイエルフさん達って、
農業担当、酪農担当、生活担当って感じの方に分かれて生活してるみたいなんだ。
そこから子供達が特に好きな人達が孤児院のこと手伝ってくれるみたい。
でさ、僕、週休3日はとってねって言ってるんだけど……
その週休3日が戦闘訓練になっている。
そこでお肉いっぱい持って帰ってくるんだ。
皆だけでも1日数体倒せるようになってるからね。
いつのまにか週の半分は戦闘訓練になってしまった……
本人達は休日のつもりだからもう何とも言えん。
休みに1番稼いでいるんだよ……不思議だ……。
まぁそれが楽しいなら好きにしてくださいな。
ってことで今のところ本当に何も問題ない!
と言うより収穫する野菜や肉が消費に追いついていない!
ラクトさんが凄く大変。
今、商業を担当してくれる人も作っているみたいだね。
それも踏まえて今ラクトさんは集落で大忙しだ。
ちらっと姿が見えるといつも作業に追われている。
でも楽しそうだった。
魔の森って誰の手も入ってないから資源の塊なんだよね。
子供たちには、たらふく食べて欲しいな。
「本当に助かります。私だけでは行き届かない部分が多かったのです。何度教会に職員を回してほしいと伝えてもお布施の無駄遣いだと話を突っ張ねられていまして」
何でだよ……
寄付金の1番有効的な使い所だろ……
『そこは心配しないで。じゃあ、最後に1つだけ。申し訳ないんだけどエデンの事を言うことが危ないって分別がつくまでは最低この森から出られなくなると思う。大丈夫かな……』
「進んで街から出るような子供はいませんよ。ここで全て揃っているとのことですし。ゆとりをもって日々生活が出来るだけでとても幸せです。万が一子供からそのような希望があればクロムさんかエルンさんにお伝えすることに致します」
これは王様達が行ってたことと認識が一致しているな。
「そうだね!僕が要望をまとめてクロムくんに伝えるよ」
『うん、その時は遠慮なく言って?どうするか考えるからね』
じゃあ説明はこんなもんかな?
これで今聞かなければならないことは残っていないはず……。
「あとは……皆をどうやってここまで……」
『あぁ、そんなのいつものあれだよ』
・
・
・
その日の昼過ぎ……
今、僕……”ぶちクロムF”はマリアさんの服のポッケに潜んでいる。
「孤児院の子供総出でどこへ行くのだ?」
「隣町まで必要な雑貨の買い出しや、大きい子の職を探しに」
「そうか。では、行っていいぞ」
『さくっと出れたね。まぁ最近いつも僕の所に来てるしね』
「えぇ、初日は少し取り調べられました。まぁ王都ですから、わざわざ孤児のことを1人1人調べたりはしませんよ」
『そういうもんか。まぁすごい行列だったしね。時間割けないよね。……で、ごめん、子供達はちょっと疲れると思うんだけどさ、念の為に数時間程は東に向かって歩いてくれない?』
…………
この辺りでいいかな。
そろそろ周りにも誰も居なくなった。
周辺1kmは感知済みだ。
生体反応なし!よしバッチリ!
「大丈夫です!王都の方面からの人も誰も来ていませんでした!」
『おっけー!みんなおつかれー!クラマについていってね~!あの森の陰でさっきの穴に入ってね~』
「……みんなこっち」
わーい! ありがと~!
つかれた~ どこであそぶの~?
相談が終わって僕が話せることを伝えに孤児院に帰ったんだけど……
まぁ子供は子供だよね。
へぇ~とか。すごーいとか。そんなのくらい。
大きい子はかなり驚いていたけど……
マリアさんがごにょごにょしてた。
聞こえてるんだよね……。
やっぱり僕使徒様扱いなんだね……。
ここで違うっていって話を取っ散らかすのはやめよう。
エデンについてから誤解を解くことにしよっと……
そしてみんなの前で一応転移ゲート見せたんだけどそれも一瞬だった。
特に何も考えてない子が飛び込んであとは雪崩れ込んで終了。
子供と一緒に説明した方が早かったかもしれないなぁ。
あ、でもマリアさんの恐怖感が凄くなってただけかもね。
孤児達の荷物はほぼ、持ってこなかった。
少し出掛けただけ、という体を装う為だ。
そもそも必要なものは殆どないということだったし。
エデンで買い揃えてもらえばいいね。
「では、私も先にエデンへ行って参ります」
『うん!クラムもおばあちゃんもいるしみんなも安心でしょ?2人に孤児院案内してもらってよ。あと必要なものとか2人に伝えてね?最低限じゃなくて!ちゃんと住み心地がいいようにしてね?遠慮してたら僕等好き放題するよ?すごい事になるからね?わかった?』
「……え、ええ。善処致します。この度はありがとうございます。これから時間を掛けてお礼させていただきます……」
『要らない要らない!じゃあエステルと適当にそれっぽくしてから行くね~』
よし、行ったな。
『じゃあいつものやつやろっか』
「わかりました!あの森の周辺でいいですか?」
『うん、適当でいいよ。僕も適当に魔物の血撒いとくからさ?エステルは子供服の切れ端ポイポイしといてね』
「了解です♪」
僕が孤児院を強襲した体を装おうかとか、色々考えたんだよね。
でも王都内で何かすると王様の仕事が増えそうじゃんか。
もう、外で魔物にやられたならどうしようもないでしょ?
恐らく門番が出入りを記録しているはず。
もし教会が孤児たちの行方をちゃんと調べても、獣人国はこの件に全く関係がなくなるって訳だ!
孤児失踪計画。
この作戦めっちゃ万能じゃない?
ちょっと手慣れてきたのがどうかと思うんだけどねぇ……
まぁいいや。
マリアさんの信用を得るのに1番苦労した。
そこからはもうとんとん拍子だったな。
土台作りが苦労したんだ。
あと転移魔石作りかな。
もうどっちも出来てるしさ。
後腐れなく行方を眩ませる方法を考えるだけだもんね~。
『ふっ。簡単な仕事だったな』
「みっしょんこんぷりーと!でしたっけ?ふふ♪」
『まぁ、後ちょっとかな?僕と王様に任せといて』
・
・
・
その夜。
エデン、獣人王の城。城ねぇ……。
クラムと城っぽい装飾つけてやろうかな。
『まぁそんな感じにしてきたよ?これで大丈夫?迷惑かかんない?』
「あっはっは!……じゃあ、俺等またなんもすることねぇじゃねぇか!迷惑かけろよ!」
「あとはこっちに任せてね?絶対よ!」
いや、ここからは僕には出来ないよ……。
もし誰かが孤児の失踪に気付いて報告があれば、王様に国の兵をそれっぽく動かして欲しいって頼みに来たんだ。
万が一教会から孤児達の捜索願い依頼が来ても困るしね。
来なくても孤児の失踪に気付いて王様が動かないの違和感あるでしょ?
これで完全に教会から国が睨まれることもない。
協力している感じや必死な感じを装って欲しいんだよね。
計画に完全に抜かりはないッ!
『多少お金かかるでしょ?白金貨5枚ほどで兵士の給料足りる?』
「いらねーっつーの!俺等にもなんかさせろって言ってるだろっ!」
「多少って……兵士の給金どれだけ出すつもりなのよ……」
いや、だって僕、兵士の給料とか知らんし……
『また孤児院に顔出してあげてね』
「おう!ありがとなクロム!」
「もちろんよ!ありがとクロムくん!」
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