装甲航空母艦信濃      南東の海へといざ参らん

みにみ

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チューク沖海戦

米軍の反撃

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1944年3月9日、午前11時30分
トラック沖では日本海軍の第一次攻撃隊による猛攻で
米軍の第58任務部隊が壊滅的な打撃を受けていた
空母ワスプは格納庫の誘爆と魚雷3本で航行不能
バンカーヒル、ホーネットII、ヨークタウンIIも爆弾の直撃で火災と損傷を負い
航空戦力の大半を失っていた
軽空母は無傷だったが、旗艦を除く空母群の戦闘能力はほぼ消滅していた
エンタープライズの艦橋では、マーク・ミッチャー中将が黒煙を上げる艦隊を見下ろし
参謀のジョージ・ハリス中佐に命じた。

「生き残った艦載機を総動員しろ。日本艦隊に一矢報いる!」

ハリスが報告した。

「提督、エンタープライズとプリンストン、ベロー・ウッズ、バターン
 モントレー、カボットから ヘルキャット60機、ヘルダイバー40機
 アベンジャー30機を準備できます。ただし、迎撃機は不足します」

ミッチャーが即座に決断した。

「迎撃は最小限でいい。攻撃隊を最優先で発進させろ。敵の大型空母を叩くんだ!」

エンタープライズの甲板では、搭乗員たちが急いでF6Fヘルキャット
SB2Cヘルダイバー、TBFアベンジャーを準備
プリンストンも軽空母の狭い甲板で艦載機を整えた
護衛の重巡洋艦と駆逐艦が陣形を再編した。ミッチャーは艦橋で呟いた。

「信濃…あの巨艦を沈めれば、まだ逆転の目は残る。」



午前11時45分、エセックスとプリンストンから反撃の攻撃隊が発進を開始した
ヘルキャット90機が護衛を務め、ヘルダイバー60機が1,000ポンド爆弾を搭載
アベンジャー70機が航空魚雷を装備した。合計220機の編隊は
トラック沖の日本艦隊を目指して高度4,000メートルで進んだ。攻撃隊長が無線で指示を出した。

「目標は敵部隊だ。大型空母と戦艦を狙う
 ヘルキャットは零戦を押さえ、ヘルダイバーとアベンジャーで一気に仕掛ける!」

米攻撃隊は、索敵機の情報から日本艦隊の前衛部隊
――信濃、大和、武蔵、金剛、榛名、重巡第四戦隊
第七戦隊、第三航空戦隊(瑞鳳、千代田、千歳)を中心に攻撃を計画していた
第一次攻撃で航空戦力が大きく削がれたが日本航空隊の同数を持ち
搭乗員たちは復讐心を胸に猛進した。


同時刻、日本艦隊は第一次攻撃の成功に沸きつつ
敵の反撃を警戒していた。信濃の艦橋では
阿部俊雄大佐が藤田健太郎少佐からの戦果報告を受け、状況を分析していた。

「敵空母4隻を潰した。だが正規空母一隻と軽空母はまだ動ける 反撃が来るぞ。」

副長の山田義雄中佐が無線で前衛部隊の各艦に連絡した。

「全艦、対空戦闘準備!索敵を強化しろ!」

信濃の21号対空電探が空を監視し、帰還した零戦と彗星が補給を急いだ
第三航空戦隊の瑞鳳、千代田、千歳は、直掩の零戦10機と零式艦上爆撃機を待機させ
迎撃態勢を整えた
前衛部隊の大和、武蔵、金剛、榛名、
第四戦隊(愛宕、摩耶、鳥海、摩耶)、第七戦隊(熊野、鈴谷、利根、筑摩)
軽巡能代、第二水雷戦隊(島風、長波、朝霜、岸波、沖波、藤波、浜波、玉波)は
対空砲火の準備を完了。信濃の長10センチ高角砲と25ミリ機銃が、敵機を迎え撃つ準備を整えた。

本隊甲部隊(翔鶴、瑞鶴、大鳳、第五戦隊、第十戦隊)と
乙部隊(隼鷹、飛鷹、龍鳳、長門、最上、駆逐艦群)は
前衛部隊の後方で輪形陣を維持し、第二次攻撃隊の準備を進めていた
武蔵に座乗する連合艦隊司令部は
敵の反撃が前衛部隊に集中すると予測し、古賀司令官が命じた。

「前衛部隊は敵攻撃隊を引きつけろ 本隊は航空戦力を温存」



午後12時10分、瑞鳳の索敵機が米攻撃隊を発見し、無線で打電した。

「敵攻撃隊発見 方位90度、距離150キロ 戦雷爆混合250機」

阿部が即座に反応し、藤田に命じた

「零戦を上げろ!敵を前衛部隊で食い止める!」

信濃から零戦20機、瑞鳳、千代田、千歳から各零戦10機が発進し
合計50機の迎撃隊が高度5,000メートルで米攻撃隊を待ち構えた
本隊甲部隊と乙部隊は迎撃機を出さず、前衛部隊に全てを委ねた
零戦の数は限られていたが、機動性を活かして敵の進路を阻む作戦だった。

着艦中だった信濃以下前衛部隊の艦載機は空襲を避けるために甲部隊へ向かう

12時30分、米攻撃隊が前衛部隊の迎撃圏に突入した
ヘルキャット90機が零戦20機と交戦を開始
零戦の機敏な動きがヘルキャットを翻弄し、信濃の零戦隊が一機を背後から捉え
20ミリ機関砲で撃墜した。炎を上げて墜落するヘルキャットが海面に黒煙を残した
しかし、ヘルキャットの圧倒的な数に押され
零戦27機が被弾して編隊から脱落 藤田が無線で叫んだ。

「敵戦闘機を足止めしろ 爆撃機を近づけるな」

零戦隊の奮戦でヘルキャット15機が撃墜されたが
ヘルダイバー60機とアベンジャー70機が迎撃網を突破し
前衛部隊の上空へ迫った。米攻撃隊長が無線で指示を出した。

「大型空母と戦艦を狙え!信濃を沈めるんだ!」


12時45分、米攻撃隊が前衛部隊の上空に到達した
信濃、大和、武蔵、千代田が主要な標的となり
金剛、榛名、重巡第四戦隊、第七戦隊も攻撃を受けた
各艦の対空砲火が一斉に火を噴き、空が曳光弾と爆発で埋め尽くされた
信濃の25ミリ機銃が唸り、長10センチ高角砲がヘルダイバーを狙った。阿部が艦橋で叫んだ。

「対空火力を集中しろ!甲板を守れ!」

ヘルダイバー16機が信濃の飛行甲板に1,000lb爆弾を投下したが
13発を回避 命中した3発の爆弾も自慢の95ミリ装甲甲板が爆発を吸収
焦げ跡を残しただけで内部への被害はなかった
アベンジャーも信濃の両舷から魚雷を投下したが阿部艦長の巧みな操艦で
投下された16本の魚雷を全て回避 その巨体にも関わらず
命中弾も入らずまともな損傷を与えることはできなかった

艦隊では千歳、千代田が最も激しい攻撃を受けた
千歳にはヘルダイバーからの爆弾5発が甲板を直撃し
格納庫で誘爆が発生。艦は火災に包まれ、航行速度が急落した
千代田が信濃に旗信号で報告した。

「我 火災発生 できうる限り艦の保全に努めるが戦闘続行不可能」

千代田はアベンジャーの雷撃を受け右舷に5本が命中
傾斜9度で罐室に浸水 航行不能となったところをさらにヘルダイバーが襲い掛かり
追加で1000lb爆弾9発が命中 浸水量4000t
どんどん沈下が進んでいった

大和には爆弾2発が命中したが、装甲の厚さが被害を局限
武蔵は魚雷1本を左舷に受け、軽度の浸水が生じたが、航行に支障はなかった
金剛には爆弾3発が命中し、甲板が炎上。榛名は至近弾で揺れたが直撃を免れた
第四戦隊の鳥海が魚雷1本を受け、速度が低下
第二水雷戦隊の駆逐艦長波がヘルダイバーの爆弾で艦橋を破壊され、戦闘不能に陥った。

米攻撃隊は対空砲火に晒されヘルダイバー22機
アベンジャー15機、ヘルキャット15機が撃墜された
合計52機が海に散り、残存80機は攻撃を終えて撤退を開始した
本隊甲部隊(翔鶴、瑞鶴、大鳳)と乙部隊(隼鷹、飛鷹、龍鳳)は
攻撃隊が前衛部隊に集中したため、全く被害を受けなかった。


午後1時15分、米攻撃隊の突入が終わり、残存約200機が前衛部隊上空を離れた
日本側は千歳、千代田の深刻な損傷
金剛の火災、長波の戦闘不能、鳥海と武蔵の軽度な被害を受けたが
信濃、大和はほぼ無傷で戦闘力を維持。零戦29機を失ったが
(撃墜に加え信濃に着艦するも被害甚大なため海中投棄)
本隊甲部隊と乙部隊が被害ゼロだったため
艦隊全体の航空戦力はある程度健在だった。信濃の艦橋で、阿部が山田に言った。

「敵の攻撃を前衛で食い止めた。本隊が無傷なのは大きい。第二次攻撃隊を準備しろ。」

山田が頷き、無線で各艦に連絡した。

「前衛部隊、被害状況を報告。本隊は第二次攻撃の準備を急げ!」

武蔵の司令部では、司令官が次の作戦を検討した。

「敵空母はエンタープライズと軽空母だけだ。次で仕留める。」

エセックスでは、ミッチャーが攻撃隊の帰還を待つ中被害状況を確認した。

「日本艦隊の前衛を叩いたが
 …本隊に届かなかった しかもあのシナノは魚雷を全て回避だと…?
 バケモノめ  次の攻撃を準備しろ。」

トラック沖海戦は、日本側の第一次攻撃で米軍が大打撃を受けたが
米軍の反撃も前衛部隊に一定の損害を与えた
両軍は次の攻撃を準備し、戦局は緊迫した均衡を保っていた。
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