If太平洋戦争        日本が懸命な判断をしていたら

みにみ

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決戦 あ号作戦

待ち伏せ

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1944年9月30日、午後5時40分
小沢機動部隊から発艦した第二次攻撃隊は、偵察機二式艦偵の誘導に従い
米機動部隊を目指していた。彼らの心は
今度こそ敵に致命的な一撃を与えるという、強い決意に満ちていた。
しかし、彼らが知る由もなかった。
彼らの姿は、すでに敵のレーダーに捕捉されていたのだ。


米海軍の戦艦『ワシントン』に座乗するミッチャー提督は
レーダー監視員からの報告に、静かに頷いた。

「タスクフォース『ワシントン』より、母艦『ワスプII』
 SGレーダーに敵機を捕捉。敵編隊、北方二十度、高度4000にて接近。
 直掩戦闘機部隊を発進させよ」

甲板上に待機していたF6Fヘルキャットが
次々とカタパルトから飛び立っていく。
彼らは、日本軍の第二次攻撃隊を迎え撃つために、すでに空域に防空網を仕掛けていたのだ。

米軍のパイロットは、日本の攻撃隊が
こちらが仕掛けた罠に、自ら飛び込んでくるのを、静かに、そして冷静に待っていた。
彼らの心には、先ほどの戦闘で失った
多くの仲間たちの復讐を果たすという、強い思いが燃え盛っていた。


日本軍の攻撃隊は、敵艦隊に接近する途中、突然、奇襲を受けた。

「左前方上方より敵機!下方からも敵機だ!」

見張り員の絶叫が、無線機から響く。
それは、レーダーで先に探知していた米軍が
すでに防空網を空域に仕掛けていたからだった。

「敵機、突っ込んでくる!来る!来る!」
「かかれ!イカれた日本機を叩き落とせ!」

米軍のパイロットたちは、叫びながら、日本軍の編隊に突っ込んでくる。
一回の交差で、一挙に十数機の日本機が、空に散っていった。

「…入佐中佐機、爆散!」

悲痛な叫び声が、無線機から響く
攻撃隊を率いていた入佐俊家中佐が、敵の攻撃によって、撃墜されたのだ。

「攻撃隊をやらせるな!盾になるんだ!」

零戦隊、烈風隊が、必死に迎撃するも
すでに空域は、レーント有利に変わっていた。

「高松飛曹!5時方向に敵機2機!」

零戦のパイロットが、僚機に叫ぶ。
彼らは、不利な状況にもかかわらず、必死に敵と戦い続けていた。

「わかってら!星野二飛曹!上方に敵機!太陽から突っ込んでくるぞ!」

太陽を背に、F6Fが急降下してくる。
零戦のパイロットたちは、その光をものともせず、必死に敵を迎え撃った。

「こちら零戦隊指揮二番、天野中尉!攻撃隊へ
 我々を無視し、敵艦隊に突撃せよ!我々がここで食い止める!行け!」

戦闘機隊は、反転し、追い縋る米戦闘機隊を迎撃する。
彼らは、自らの命を犠牲にしてでも
攻撃隊を敵艦隊に到達させるという、強い覚悟を持っていた。


激しい空戦の中、一機の彗星一二型艦爆が、敵機に追われていた。
それは、千代田艦爆隊指揮官
操縦 山野部大尉と、銃座 梶田少尉の乗る機体だった。

「…雲の影を飛んでください!なんとしても、振り切りましょう!」

梶田少尉の声が、無線機から聞こえる。
彼の声は、緊張に満ちていた。
しかし、彼らは、必死に雲の影を飛び、敵から逃れようと試みる。

「…クソッタレ!一機、食いついて離れん!」

山野部は、叫んだ。彼の機体の後方には
一機のF6Fが、執拗に追跡を続けていた。

「戦闘機隊の奴らの命を無駄にできません!突っ込んで!」

梶田少尉の絶叫が、山野部の耳に響く。
その言葉は、彼の心に、強い使命感を植え付けた。
その瞬間、左翼の付け根から、パッと白煙が上がった。

「右翼燃料タンク、被弾…!」


「…まだ行ける…しっかり掴まれよ!」

山野部は、叫んだ。彼は、被弾した機体を操り、敵から逃れようと試みる。
しかし、その時、バリバリバリという音がして、後ろに大きな衝撃が走った。

「梶田!大丈夫か!」

返事がない。山野部は、一瞬後ろを振り向いた。
彼の目に飛び込んできたのは、信じられないほどの光景だった。
そこは、血の海で、座席に寄りかかった梶田少尉の、いや、肉片があった。

「梶田…!!!」

山野部は、絶叫にも近い悲鳴を上げた。
彼の心は、絶望と怒りで満ちていた。
しかし、その時、彼は、もう一度後ろを見た。
すると、彼らを追っていたはずのF6Fが、白煙を吐きながら、高度を落としているのが見えた。
コクピットは紅く染まっていた

山野部は、その理由を、一瞬で悟った。
梶田が、最後、自分の命と引き換えに、コクピットを撃ち抜いたのだろう。

山野部は、その意思を引き継ぐことを誓った。
彼は、一人になったが、千代田艦爆隊の指揮官として
最後の使命を果たすべく、敵艦隊に、単騎で接近しつつあった。


空戦は、まだ続いていた。多くの日本軍機が
米軍の圧倒的な物量の前に、散っていった。
しかし、彼らの犠牲は、決して無駄ではなかった。
彼らは、攻撃隊を敵艦隊に到達させるという、その目的のために、自らの命を捧げた。

そして、その中の一人、山野部大尉は、梶田少尉の思いを胸に
孤独な戦いを続けていた。彼の行く手には、無数の対空砲火と
敵艦載機が待ち構えているだろう。
しかし、彼は、決して諦めることはなかった。彼の心には、梶田少尉の魂が宿っていた。
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