If太平洋戦争        日本が懸命な判断をしていたら

みにみ

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国内統合

ニューギニア防衛戦

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ニューギニア方面からの戦線膠着の報告は
高倉義人の元に届き、彼の心を重くした。
マーシャルでの勝利は束の間、南方の戦場は早くも新たな局面を迎えていた。
特に憂慮すべきは、オーストラリア軍のマチルダ歩兵戦車に対し
日本の主力である九七式中戦車改が全く歯が立たないという現実だった。

「九七式中戦車改では、マチルダの正面装甲は貫けない。
 山中に隠蔽した対戦車砲で、どうにか進撃を阻止している状態…か」

報告書を読み上げる参謀の声が、重苦しく響いた。
ニューギニアの地形は複雑で、ジャングルと山岳が入り組んでいる。
戦車部隊の運用は困難を極めるが、マチルダはその重装甲と高い走破性で
日本軍の防御線をじりじりと押し破ろうとしていた。
これまでの戦訓から、マチルダの正面装甲は日本の対戦車兵器の
ほとんどを跳ね返すことが明らかになっている。まさに「動くトーチカ」だ。

高倉は地図を広げた。ニューギニア方面の戦線は、まるで泥沼のように
わずかな前進と後退を繰り返していた。このままでは
兵力と物資が際限なく消耗されていくだけだ。何らかの抜本的な対策が必要だった。

高倉は、三つの選択肢を考えた

選択肢1 対戦車戦力の抜本的強化
ニューギニア方面の喫緊の課題は
マチルダ戦車への有効な対抗手段を持たないことである。
この問題を根本から解決し、戦線の膠着状態を打破するためには
対戦車戦力の抜本的な強化が不可欠だ。

この選択肢の核となるのは、一式機動四十七粍速射砲の
ニューギニア方面への重点配備である。マーシャル
特にクェゼリンでの戦訓が示す通り、この速射砲は
M4中戦車に対しても有効打を与え得る、日本が現在保有する中で
最も強力な対戦車兵器だ。これを可能な限り多数、ニューギニアの最前線に送り込む。

さらに、対戦車地雷の増産と重点配備も行う。
ジャングルの複雑な地形は、戦車の進撃路を限定するため
地雷の敷設は非常に効果的だ。マチルダが通過する可能性のある
全てのルートに地雷を敷設することで、その進撃を阻止し
停止したところを対戦車砲で仕留める戦術を徹底する。

同時に、航空機による対戦車攻撃も強化する。
九九式襲撃機などに、より強力な対戦車爆弾や
小口径徹甲弾を搭載させ、マチルダ戦車の弱点である
上面装甲を狙った急降下爆撃や機銃掃射を訓練させる。
これは、航空部隊と地上部隊の連携強化にも繋がる。

しかし、この選択肢の難点は、輸送の問題と時間の制約である。
ニューギニアへの兵器輸送は、米軍の潜水艦や航空機の脅威に常に晒される。
また、兵器の増産には時間がかかり、マチルダ戦車の脅威は今そこにある。


選択肢2 地形を最大限に活用した防御戦術の徹底
ニューギニアの複雑な地形は、マチルダ戦車の活動を制限する側面も持つ。
この地形的優位性を最大限に活用した防御戦術を徹底することで、敵の進撃を阻止する。

具体的には、対戦車壕と伏兵陣地の構築を急務とする。
マチルダが突破不可能な深さの対戦車壕を掘削し
その手前には偽装された対戦車砲陣地や、伏兵による白兵戦部隊を配置する。
戦車壕でマチルダを停止させ、その後方を歩兵部隊が
迂回して侵入してきたところを、一斉攻撃で叩く戦術だ。

また、ジャングル内部に擬装された偽陣地を多数構築し
オーストラリア軍の偵察を攪乱する。これにより、敵の攻撃目標を分散させ
真の防御陣地への集中を避ける。同時に、ゲリラ戦術の強化も行う。
少数の精鋭部隊が、ジャングルの奥深くから敵の補給線や野営地を襲撃し
後方攪乱と士気低下を狙う。これは、兵力消耗を抑えつつ
敵に継続的な圧力をかける有効な手段となる。

この選択肢は、兵器輸送の困難さをある程度回避できる利点があるが、
兵士たちの負担増大と、敵の空爆に対する脆弱性という課題を抱える。
また、地形を利用した戦術は、最終的な敵の突破を完全に阻止する保証はない。


選択肢3 戦略的後退と補給線の再構築

現状の戦線膠着が、無益な消耗戦に繋がっていると判断するならば
戦略的後退と補給線の再構築も検討すべき選択肢となる。
これは、一時的にニューギニアの主要拠点を手放し
より防衛しやすい後方の島々へと戦線を下げることを意味する。

この選択肢は、一時的に兵力の温存と補給の安定化をもたらす。
無理な防衛戦を避け、兵士の疲弊を防ぐことで
次の機会に備えることができる。後方へと下がった分
本土からの補給も容易になり、兵站の負担を軽減できる。

しかし、これは大きな政治的、士気的な影響を伴う。
帝国軍が支配地域を後退することは、国民の士気に大きな打撃を与え、
連合国軍に「日本は弱い」という印象を与えることにもなる。
また、一度手放した拠点を再奪回するには、さらに大きな犠牲と
労力が必要となるだろう。これは、いわば「負けを認める」に近い選択肢であり
日本の軍部や国民感情からは受け入れられにくい可能性がある。



高倉は、この三つの選択肢を慎重に検討した。

彼の脳裏には、クェゼリンで散っていった兵士たちの顔が浮かんでいた。
彼らの犠牲は、決して無駄にはできない。
今、ここで戦線を縮小すれば、その犠牲が意味を失うと感じた。
彼は、徹底抗戦と、敵の消耗を誘う「持久戦略」の推進者だ。

ならば、進むべき道は一つしかない。

高倉は、眉間に皺を寄せ、しかし決意に満ちた表情で、結論を下した。

「ニューギニア方面の部隊に告ぐ。
 対戦車戦力の抜本的強化を最優先とし、これに全力を注ぐ。
 同時に、地形を最大限に活用した防御戦術も並行して徹底せよ。
 資材、人員の優先配分をニューギニア方面に集中する。
 マチルダ戦車の脅威は看過できない。これを打ち破らなければ
 南方からの補給線が脅かされる。輸送のリスクは承知の上だ。
 一式機動四十七粍速射砲を、可能な限り多く、最前線に送り込め。
 同時に、対戦車地雷の増産と配備、航空機による対戦車攻撃訓練も急がせよ!」

高倉は、勝利への執念を燃やしていた。彼は知っている。
このニューギニアでの戦いは、単なる島の一部の争いではない。
それは、日本の南方資源地帯からの生命線、そして日本の継戦能力そのものを守るための
死活をかけた戦いなのだ。彼の決断は、ニューギニアの泥沼に
新たな血が流れることを意味していたが、同時に
日本がまだ戦意を失っていないという、強いメッセージでもあった。
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