炎の魔獣召喚士

平岡春太

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最終章 戦いの果てに

 第八話 パル?

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「ちゃんと魔獣召喚陣が出たでヤンス」

 空を見上げてパルが言うが、周りの視線はそのパルに集まっていた。

「あんた何か光ってるわよ」

 上空に魔獣召喚陣が輝くと同時に、パルもまた光り輝いていた。

「本当でヤンス!? な、な、何でヤンス!?」

 驚く最中にも輝きは更に増し、その体が光と同化した刹那、光の塊は物凄い勢いで上昇し、一瞬にして上空の雲の中へと消えてしまった。
 全員が光を見送った後、フラムの肩からパルの姿は消えていた。

「さあフラム、続きを」
「でもパルが……まさか!」
「大丈夫です。直ぐに現れますから。さあ」

 戸惑いつつも、フラムはアインベルクに勧められるままに胸元で印を組む。

「魔界に君臨せし竜魔獣、その中において煉獄の炎の寵児たる炎帝よ。開かれし門を潜り出でし、今ここにその雄姿を現して我が命に従え」

 組んでいる印が形を変える。

「出でよ、炎帝アオスヴォルカーノ!」

 上空の魔獣召喚陣が輝きを増し、周りの空気がにわかに温度を上げて行く。
 魔獣召喚陣から巨大な足が徐々に姿を現し始める。
 ゆっくりと降りて来るその肌は紅蓮のように赤く、その身に炎を纏っている。
 雷帝、風帝、氷帝と同じく大きな羽を広げて姿を見せたのは正に煉獄の王たる竜魔獣であった。

「あれがパルだって言うの?」

 フラムが思わず口走った言葉に、シャルロアとフリードが目を丸くして驚く。

「あれがパルさん!?」
「嘘だろう!?」
「嘘ではありません。あれこそパルの本来の姿、炎帝アオスヴォルカーノです」
「さっきケイハルトがライオに唱えていた呪言は師匠が亡くなる時に言った呪言と同じ。その時はパルを譲る呪言だって言ってたから、もしかしてと思ったけど、まさか炎帝なんて……アインベルク様は知っておられたのですか?」
「そうですね。フラムの両親が亡くなった時、ヴァルカンがあなたを預かる事となったのは話しましたね。そして、遊び相手としてパルを召喚したと。ただ、もう一つパルには役目があったのです」
「もう一つ?」
「ケイハルトが閉じ込められていた永久氷壁はルディア様が作られたもので、壊し方を知る私以外で普通なら壊されることはありません。ただ、不測の事態が考えられることもあるとして、ヴァルカンが見張ることとなりました」
「それで師匠はわざわざ両親が暮らしていたあの小さな家で暮らしていたんですか?」
「そうです。ただ、あなたが大きくなった時、両親が住んでいた環境を伝えたいともヴァルカンは話していましたがね。あそこには両親を知る人間も多く居ましたから」
「師匠……」

 フラムは改めてヴァルカンの優しさに触れた気がした。

「そこで、もし不測の事態が起こった時に、ヴァルカン以外にも守れる者が必要として召喚したのが━━」

 アインベルクが見上げた先に、炎帝が魔獣召喚陣から完全に姿を現した。

「ただ、あの姿では目立つので、ルディア様が古の呪法でパルの姿に変えたのです。喋るようになったのはルディア様も予想外のようでしたが。それに、あなたの食欲が旺盛なのもその影響です。炎帝を常に召喚している状態ですから当然でしょうね。パルが食欲が旺盛なのも元があの体ですからね」

 フラムは軽く溜息を吐く。

「ちゃんと理由があったのね。おかしいと思ったのよ。師匠が亡くなった時から急にお腹が減りやすくなったんだから。確かに師匠もそれなりに食欲旺盛だったかも……」
「そんなことよりルディア様がわざわざ炎帝を護衛にって、どんだけ優遇されてんだよ。お前一体何者なんだよ?」
「それは私も気になります」
「いや、それは━━」

 フリードとシャルロアの疑念に、フラムがどう言い訳しようかと思わず胸元の印を解いた時、上空の魔獣召喚陣が消えると共に炎帝が咆哮を上げた。
 雷帝の咆哮と引けを取らぬ炎帝のそれは、全ての疑念を吹き飛ばした。

「雷帝に負けない大声ね。あれが本当にパルなんて。でも、これで雷帝と張り合えそうね」

 フラムがゆっくりと降下して来る炎帝に向かって歩み始めたのに合わせて、それに気付いた炎帝が口を大きく開けた。

「フラム、お待ちなさい!」

 アインベルクが呼び止める声に振り返る間もなく、首を振った炎帝の口から大きな炎の塊が吐き出された。
 その向かう先にはフラムが居る。

「えっ!?」
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