195 / 208
最終章 戦いの果てに
第八話 パル?
しおりを挟む
「ちゃんと魔獣召喚陣が出たでヤンス」
空を見上げてパルが言うが、周りの視線はそのパルに集まっていた。
「あんた何か光ってるわよ」
上空に魔獣召喚陣が輝くと同時に、パルもまた光り輝いていた。
「本当でヤンス!? な、な、何でヤンス!?」
驚く最中にも輝きは更に増し、その体が光と同化した刹那、光の塊は物凄い勢いで上昇し、一瞬にして上空の雲の中へと消えてしまった。
全員が光を見送った後、フラムの肩からパルの姿は消えていた。
「さあフラム、続きを」
「でもパルが……まさか!」
「大丈夫です。直ぐに現れますから。さあ」
戸惑いつつも、フラムはアインベルクに勧められるままに胸元で印を組む。
「魔界に君臨せし竜魔獣、その中において煉獄の炎の寵児たる炎帝よ。開かれし門を潜り出でし、今ここにその雄姿を現して我が命に従え」
組んでいる印が形を変える。
「出でよ、炎帝アオスヴォルカーノ!」
上空の魔獣召喚陣が輝きを増し、周りの空気が俄かに温度を上げて行く。
魔獣召喚陣から巨大な足が徐々に姿を現し始める。
ゆっくりと降りて来るその肌は紅蓮のように赤く、その身に炎を纏っている。
雷帝、風帝、氷帝と同じく大きな羽を広げて姿を見せたのは正に煉獄の王たる竜魔獣であった。
「あれがパルだって言うの?」
フラムが思わず口走った言葉に、シャルロアとフリードが目を丸くして驚く。
「あれがパルさん!?」
「嘘だろう!?」
「嘘ではありません。あれこそパルの本来の姿、炎帝アオスヴォルカーノです」
「さっきケイハルトがライオに唱えていた呪言は師匠が亡くなる時に言った呪言と同じ。その時はパルを譲る呪言だって言ってたから、もしかしてと思ったけど、まさか炎帝なんて……アインベルク様は知っておられたのですか?」
「そうですね。フラムの両親が亡くなった時、ヴァルカンがあなたを預かる事となったのは話しましたね。そして、遊び相手としてパルを召喚したと。ただ、もう一つパルには役目があったのです」
「もう一つ?」
「ケイハルトが閉じ込められていた永久氷壁はルディア様が作られたもので、壊し方を知る私以外で普通なら壊されることはありません。ただ、不測の事態が考えられることもあるとして、ヴァルカンが見張ることとなりました」
「それで師匠はわざわざ両親が暮らしていたあの小さな家で暮らしていたんですか?」
「そうです。ただ、あなたが大きくなった時、両親が住んでいた環境を伝えたいともヴァルカンは話していましたがね。あそこには両親を知る人間も多く居ましたから」
「師匠……」
フラムは改めてヴァルカンの優しさに触れた気がした。
「そこで、もし不測の事態が起こった時に、ヴァルカン以外にも守れる者が必要として召喚したのが━━」
アインベルクが見上げた先に、炎帝が魔獣召喚陣から完全に姿を現した。
「ただ、あの姿では目立つので、ルディア様が古の呪法でパルの姿に変えたのです。喋るようになったのはルディア様も予想外のようでしたが。それに、あなたの食欲が旺盛なのもその影響です。炎帝を常に召喚している状態ですから当然でしょうね。パルが食欲が旺盛なのも元があの体ですからね」
フラムは軽く溜息を吐く。
「ちゃんと理由があったのね。おかしいと思ったのよ。師匠が亡くなった時から急にお腹が減りやすくなったんだから。確かに師匠もそれなりに食欲旺盛だったかも……」
「そんなことよりルディア様がわざわざ炎帝を護衛にって、どんだけ優遇されてんだよ。お前一体何者なんだよ?」
「それは私も気になります」
「いや、それは━━」
フリードとシャルロアの疑念に、フラムがどう言い訳しようかと思わず胸元の印を解いた時、上空の魔獣召喚陣が消えると共に炎帝が咆哮を上げた。
雷帝の咆哮と引けを取らぬ炎帝のそれは、全ての疑念を吹き飛ばした。
「雷帝に負けない大声ね。あれが本当にパルなんて。でも、これで雷帝と張り合えそうね」
フラムがゆっくりと降下して来る炎帝に向かって歩み始めたのに合わせて、それに気付いた炎帝が口を大きく開けた。
「フラム、お待ちなさい!」
アインベルクが呼び止める声に振り返る間もなく、首を振った炎帝の口から大きな炎の塊が吐き出された。
その向かう先にはフラムが居る。
「えっ!?」
空を見上げてパルが言うが、周りの視線はそのパルに集まっていた。
「あんた何か光ってるわよ」
上空に魔獣召喚陣が輝くと同時に、パルもまた光り輝いていた。
「本当でヤンス!? な、な、何でヤンス!?」
驚く最中にも輝きは更に増し、その体が光と同化した刹那、光の塊は物凄い勢いで上昇し、一瞬にして上空の雲の中へと消えてしまった。
全員が光を見送った後、フラムの肩からパルの姿は消えていた。
「さあフラム、続きを」
「でもパルが……まさか!」
「大丈夫です。直ぐに現れますから。さあ」
戸惑いつつも、フラムはアインベルクに勧められるままに胸元で印を組む。
「魔界に君臨せし竜魔獣、その中において煉獄の炎の寵児たる炎帝よ。開かれし門を潜り出でし、今ここにその雄姿を現して我が命に従え」
組んでいる印が形を変える。
「出でよ、炎帝アオスヴォルカーノ!」
上空の魔獣召喚陣が輝きを増し、周りの空気が俄かに温度を上げて行く。
魔獣召喚陣から巨大な足が徐々に姿を現し始める。
ゆっくりと降りて来るその肌は紅蓮のように赤く、その身に炎を纏っている。
雷帝、風帝、氷帝と同じく大きな羽を広げて姿を見せたのは正に煉獄の王たる竜魔獣であった。
「あれがパルだって言うの?」
フラムが思わず口走った言葉に、シャルロアとフリードが目を丸くして驚く。
「あれがパルさん!?」
「嘘だろう!?」
「嘘ではありません。あれこそパルの本来の姿、炎帝アオスヴォルカーノです」
「さっきケイハルトがライオに唱えていた呪言は師匠が亡くなる時に言った呪言と同じ。その時はパルを譲る呪言だって言ってたから、もしかしてと思ったけど、まさか炎帝なんて……アインベルク様は知っておられたのですか?」
「そうですね。フラムの両親が亡くなった時、ヴァルカンがあなたを預かる事となったのは話しましたね。そして、遊び相手としてパルを召喚したと。ただ、もう一つパルには役目があったのです」
「もう一つ?」
「ケイハルトが閉じ込められていた永久氷壁はルディア様が作られたもので、壊し方を知る私以外で普通なら壊されることはありません。ただ、不測の事態が考えられることもあるとして、ヴァルカンが見張ることとなりました」
「それで師匠はわざわざ両親が暮らしていたあの小さな家で暮らしていたんですか?」
「そうです。ただ、あなたが大きくなった時、両親が住んでいた環境を伝えたいともヴァルカンは話していましたがね。あそこには両親を知る人間も多く居ましたから」
「師匠……」
フラムは改めてヴァルカンの優しさに触れた気がした。
「そこで、もし不測の事態が起こった時に、ヴァルカン以外にも守れる者が必要として召喚したのが━━」
アインベルクが見上げた先に、炎帝が魔獣召喚陣から完全に姿を現した。
「ただ、あの姿では目立つので、ルディア様が古の呪法でパルの姿に変えたのです。喋るようになったのはルディア様も予想外のようでしたが。それに、あなたの食欲が旺盛なのもその影響です。炎帝を常に召喚している状態ですから当然でしょうね。パルが食欲が旺盛なのも元があの体ですからね」
フラムは軽く溜息を吐く。
「ちゃんと理由があったのね。おかしいと思ったのよ。師匠が亡くなった時から急にお腹が減りやすくなったんだから。確かに師匠もそれなりに食欲旺盛だったかも……」
「そんなことよりルディア様がわざわざ炎帝を護衛にって、どんだけ優遇されてんだよ。お前一体何者なんだよ?」
「それは私も気になります」
「いや、それは━━」
フリードとシャルロアの疑念に、フラムがどう言い訳しようかと思わず胸元の印を解いた時、上空の魔獣召喚陣が消えると共に炎帝が咆哮を上げた。
雷帝の咆哮と引けを取らぬ炎帝のそれは、全ての疑念を吹き飛ばした。
「雷帝に負けない大声ね。あれが本当にパルなんて。でも、これで雷帝と張り合えそうね」
フラムがゆっくりと降下して来る炎帝に向かって歩み始めたのに合わせて、それに気付いた炎帝が口を大きく開けた。
「フラム、お待ちなさい!」
アインベルクが呼び止める声に振り返る間もなく、首を振った炎帝の口から大きな炎の塊が吐き出された。
その向かう先にはフラムが居る。
「えっ!?」
0
あなたにおすすめの小説
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。
なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!
冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。
ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。
そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。
そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。
【魔物】を倒すと魔石を落とす。
魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。
世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
異世界転生したおっさんが普通に生きる
カジキカジキ
ファンタジー
第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位
応援頂きありがとうございました!
異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界
主人公のゴウは異世界転生した元冒険者
引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。
知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる