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第三章 氷の国
第三話 初仕事
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「婚約者?」
シャルルの案内でサルセッテに着いたフラム達は、ミエンソという名のレストランを見つけ、テーブルを囲んで食事をとっていた。
フラムとパルの余りに旺盛な食欲に、シャルルは呆気に取られて固まっていた。
「それで、結婚が嫌だから家出して来たってこと?」
「あ、はい。親が勝手に決めた相手なので」
「なるほど、金持ちの家に良くある話ね。知らない相手なの?」
「いえ、顔は知っている程度で。ああ、決して顔が嫌って事ではないんですよ」
「別に聞いてないわよ」
「顔ではないんです。顔では……」
シャルルはブツブツと繰り返して言う。
「絶対に顔ね」
「でヤンスね」
「それで、これからどうするつもり? ボロンゴ相手にあれじゃあ、外を歩けば直ぐに死んでしまうわよ」
「身を寄せる当てはあるにはあるのですが、言われた通り一人では不安ですし、もし良かったら一緒に行かせて貰えたらと……いえ、タダとは言いません。お金はちゃんと払いますから」
「ボディーガードってこと? それはいいけど、払うってお金は持ってないんでしょう」
「ああ確かに、そうでした……」
「……ああ、そうだ。シャルル、あなた仕事ってした事ある?」
「いえ、全く……」
「まあ、ご令嬢だからそうでしょうね。この際だから依頼所の仕事をしてみない?」
「私がですか? 出来るでしょうか」
シャルルは不安そうな表情を投げ掛ける。
「難しいのは無理でしょうけど、出来そうなものから始めればいいのよ。それでお金が入れば、今後何かあったら安心でしょう」
「お金の事に関しては凄く頭が廻るでヤンス」
「ちゃんと私がサポートをするから。一緒に居れば結果的にボディーガードをしてるのと同じだし」
「その感じだと、ちゃんとお金は取るでヤンスね」
「当然。まあ、サポート料はおまけしてあげてもいいけど、ボディーガード代はちゃんといただきますからね」
「鬼でヤンス」
「バカ言わないでよ。私も慈善事業をしている訳じゃないんだから」
意を決した顔で、シャルルが勢い良く立ち上がり、周りが少し静まる。
「私、やります!」
「知らないでヤンスよ」
「お仕事にも少し興味がありますし」
「そう、良かった。じゃあ、とりあえず食事をしましょう」
席に着いたシャルルもようやく食事をとり始め、殆んどがフラムとパルの食べた食器がテーブル一杯になって食事を終えた。
精算はもちろんフラムがして、店を出た。
「すみません。助けられた上に御馳走までして貰って」
「いいのよ。仕事をして余分なお金が出たら、ちゃんと回収させて貰いますからね」
「やっぱりタダではないでヤンス」
「当然よ……それにしても、さっきから町の人達がこっちを見てるような気がするんだけど」
サルセッテに入ってからも、食事をしてる時も、周りの人々の視線を少なからず感じていたのだが、フラムはお腹が空いていた事もあって余り気にしていなかった。ただ、店を出てからははっきりとした視線を感じ、フラム達の方を見てひそひそ話をしている人々の姿も見受けられる。
「私の服のせいでしょうか?」
「確かに少し目立つわね。その錫杖は変えられないとしても、仕事をするにも少し動き辛そうだから、先に何処かで服を変えておきましょう」
近くにある服屋を探し、新しい服を選ぶ事にしたのだが、お嬢様育ちという事もあってか、選ぶものは煌びやかで動き辛そうなものばかりで、結局フラムが無難なものを選んだ。
外に出ると、まだ多少視線を感じる事はあったが、先程の様に視線が集まるような事はなかった。
「何も着ていた服を売らなくても良かったでヤンス」
「手荷物になるでしょう。何よりこれでシャルルもお金が手に入ったんだし」
「何から何まで本当にありがとうございます」
シャルルは相変わらず深々と頭を下げる。
「さあ、次は仕事ね」
サルセッテにある仕事の仲介所は、フラムが以前に寄ったベルデュールの仲介所の何倍もの大きさがあった。
中に入ると、魔獣召喚士や剣士と思われる数人が、二面の壁に設けられた大きな掲示板に乱雑に貼られている幾つもの依頼書を物色している。
奥にあるカウンターでは、この仲介所を管理しているらしき二人の男女が、依頼書を選んだ人物の依頼書に許可する判を忙しく押している姿がある。
「さてと、シャルルにはどれがいいかな……」
右も左も分からずにオロオロしているシャルルを余所に、フラムは掲示板に貼られている依頼書を物色する。
「討伐系や魔獣の一部を採集する依頼は無理でしょうし……人探しやペットの魔獣探しって言うのも時には危険が伴うのよね……だとすると、あ! これなんてどうかな。ブリュームの花の採集。報酬は安いけど、これならシャルルでも行けそうじゃないかしら」
こうしてシャルルの初仕事が決まった。
シャルルの案内でサルセッテに着いたフラム達は、ミエンソという名のレストランを見つけ、テーブルを囲んで食事をとっていた。
フラムとパルの余りに旺盛な食欲に、シャルルは呆気に取られて固まっていた。
「それで、結婚が嫌だから家出して来たってこと?」
「あ、はい。親が勝手に決めた相手なので」
「なるほど、金持ちの家に良くある話ね。知らない相手なの?」
「いえ、顔は知っている程度で。ああ、決して顔が嫌って事ではないんですよ」
「別に聞いてないわよ」
「顔ではないんです。顔では……」
シャルルはブツブツと繰り返して言う。
「絶対に顔ね」
「でヤンスね」
「それで、これからどうするつもり? ボロンゴ相手にあれじゃあ、外を歩けば直ぐに死んでしまうわよ」
「身を寄せる当てはあるにはあるのですが、言われた通り一人では不安ですし、もし良かったら一緒に行かせて貰えたらと……いえ、タダとは言いません。お金はちゃんと払いますから」
「ボディーガードってこと? それはいいけど、払うってお金は持ってないんでしょう」
「ああ確かに、そうでした……」
「……ああ、そうだ。シャルル、あなた仕事ってした事ある?」
「いえ、全く……」
「まあ、ご令嬢だからそうでしょうね。この際だから依頼所の仕事をしてみない?」
「私がですか? 出来るでしょうか」
シャルルは不安そうな表情を投げ掛ける。
「難しいのは無理でしょうけど、出来そうなものから始めればいいのよ。それでお金が入れば、今後何かあったら安心でしょう」
「お金の事に関しては凄く頭が廻るでヤンス」
「ちゃんと私がサポートをするから。一緒に居れば結果的にボディーガードをしてるのと同じだし」
「その感じだと、ちゃんとお金は取るでヤンスね」
「当然。まあ、サポート料はおまけしてあげてもいいけど、ボディーガード代はちゃんといただきますからね」
「鬼でヤンス」
「バカ言わないでよ。私も慈善事業をしている訳じゃないんだから」
意を決した顔で、シャルルが勢い良く立ち上がり、周りが少し静まる。
「私、やります!」
「知らないでヤンスよ」
「お仕事にも少し興味がありますし」
「そう、良かった。じゃあ、とりあえず食事をしましょう」
席に着いたシャルルもようやく食事をとり始め、殆んどがフラムとパルの食べた食器がテーブル一杯になって食事を終えた。
精算はもちろんフラムがして、店を出た。
「すみません。助けられた上に御馳走までして貰って」
「いいのよ。仕事をして余分なお金が出たら、ちゃんと回収させて貰いますからね」
「やっぱりタダではないでヤンス」
「当然よ……それにしても、さっきから町の人達がこっちを見てるような気がするんだけど」
サルセッテに入ってからも、食事をしてる時も、周りの人々の視線を少なからず感じていたのだが、フラムはお腹が空いていた事もあって余り気にしていなかった。ただ、店を出てからははっきりとした視線を感じ、フラム達の方を見てひそひそ話をしている人々の姿も見受けられる。
「私の服のせいでしょうか?」
「確かに少し目立つわね。その錫杖は変えられないとしても、仕事をするにも少し動き辛そうだから、先に何処かで服を変えておきましょう」
近くにある服屋を探し、新しい服を選ぶ事にしたのだが、お嬢様育ちという事もあってか、選ぶものは煌びやかで動き辛そうなものばかりで、結局フラムが無難なものを選んだ。
外に出ると、まだ多少視線を感じる事はあったが、先程の様に視線が集まるような事はなかった。
「何も着ていた服を売らなくても良かったでヤンス」
「手荷物になるでしょう。何よりこれでシャルルもお金が手に入ったんだし」
「何から何まで本当にありがとうございます」
シャルルは相変わらず深々と頭を下げる。
「さあ、次は仕事ね」
サルセッテにある仕事の仲介所は、フラムが以前に寄ったベルデュールの仲介所の何倍もの大きさがあった。
中に入ると、魔獣召喚士や剣士と思われる数人が、二面の壁に設けられた大きな掲示板に乱雑に貼られている幾つもの依頼書を物色している。
奥にあるカウンターでは、この仲介所を管理しているらしき二人の男女が、依頼書を選んだ人物の依頼書に許可する判を忙しく押している姿がある。
「さてと、シャルルにはどれがいいかな……」
右も左も分からずにオロオロしているシャルルを余所に、フラムは掲示板に貼られている依頼書を物色する。
「討伐系や魔獣の一部を採集する依頼は無理でしょうし……人探しやペットの魔獣探しって言うのも時には危険が伴うのよね……だとすると、あ! これなんてどうかな。ブリュームの花の採集。報酬は安いけど、これならシャルルでも行けそうじゃないかしら」
こうしてシャルルの初仕事が決まった。
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