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第三章 氷の国
第二話 シャルル
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木々の間から覗き込むと、城壁の上から落ちて来た錫杖を持った長い髪の少女が、魔獣召喚陣を前にして印を組んでいた。
少女の前方には、ボロンゴと言う無数の石が寄せ集まったような四つ足の地魔獣が、少女に向かって今にも突進しようと後ろ足を何度も蹴っている。
「出でよ、氷魔獣パッポ!」
召喚陣の光が輝きを増し、その中から氷の塊のような小さな魔獣が次々と飛び出して来た。その数は十匹を数えた。
「パッポ、あのボロンゴを追い払って下さい」
先に駆け出したのはボロンゴの方で、十匹のパッポも慌てた様子で向かって行ったのだが、その全てがボロンゴに激突した瞬間に、粉々に砕け散ってしまった。
ボロンゴはそのまま少女に向かって突進を続ける。
少女は悲鳴を上げ、思わず目を瞑ってしゃがみ込んでしまった。
「あれ?」
何も起こらず、ゆっくりと目を開けると、目の前には炎魔獣のフラントの姿があり、ボロンゴを牽制していた。
フラントがボロンゴに向き合って咆哮を上げると、ボロンゴは驚き、慌ててあらぬ方向に逃げて行った。
「フラント、戻りなさい」
再び咆哮を上げたフラントは、印を組んで立っているフラムの足元に輝く召喚陣の光の中に駆け込んで消えて行った。
フラムが印を解くと共に召喚陣も消え、そのまま少女に歩み寄る。
「大丈夫?」
「はい、ありがとうございます」
少女は立ち上がるなり、深々と頭を下げる。
「でも、ボロンゴ相手にパッポって、相性以前に粉々にしてって言ってるようなもんよ」
「それが、家出して来たばかりなもので、実戦は初めてなもので」
「家出? それも実戦が初めてって」
フラムは改めて少女の身形を下から舐めるように見てほくそ笑む。
「おたく、もしかして何処かのご令嬢か何か?」
「フラムの鼻が当たったでヤンスね」
「いえいえ、ご令嬢なんて、て、今、ま、ま、魔獣が喋った!?」
少女は慌てて木の陰に隠れる。
「またでヤンスか」
パルは項垂れる。
「そりゃあ魔獣が喋ると驚かれるんだから、嫌なら黙ってればいいっていつも言ってるのに」
「そんなの無理でヤンス」
「あの~、その生き物は魔獣なんでしょうか?」
「一応ね」
「一応って何でヤンス。ちゃんとした魔獣でヤンスよ」
「はいはい。あ、そう言えばまだ自己紹介がまだだったわね。私はフラム。で、肩に乗ってるのが一応竜魔獣のパル」
「だからちゃんとした竜魔獣でヤンス」
「こうやって喋るけど、悪人以外には危害は加えないから安心して」
まだ疑心暗鬼な顔をしているが、少女もようやく木の陰から出て来た。
「私はシャ、シャルルと申します。改めて先程は助けていただいてありがとうございました」
「いえいえ、こちらこそ」
シャルルが余りにも深々と頭を下げるので、フラムも思わず頭を下げてしまった。
「それにしても家出って━━」
フラムとパルのお腹が同時に鳴る。
「アルファンド城の城下町に入ったら何か食べようと思っていたのをすっかり忘れてたわ」
「早く何か食べたいでヤンスよ」
「でも、アルファンド城には入れそうもないし」
「それでしたら確かこの先に、サルセッテと言う町があるはずですから、先程の礼も兼ねてご馳走させて下さい」
「本当に? そうと決まれば善は急げよ」
「でヤンス」
「あ、でも、家出って言ってたけど、ちゃんとお金は持ってるの?」
「ああ、そう言えば、いつもお付きの者が払ってくれているので、お金は元々持ち合わせていないので……」
フラムは溜息を吐きつつ項垂れる。
「お付きの者がって、よっぽどのお金持ちなの? それにしても私の鼻が外れるなんて。まあいいわ。お金は私が払うから、とりあえずそのサルセッテに連れてって」
「本当にすみません!」
シャルルのお辞儀が更に深くなる。
少女の前方には、ボロンゴと言う無数の石が寄せ集まったような四つ足の地魔獣が、少女に向かって今にも突進しようと後ろ足を何度も蹴っている。
「出でよ、氷魔獣パッポ!」
召喚陣の光が輝きを増し、その中から氷の塊のような小さな魔獣が次々と飛び出して来た。その数は十匹を数えた。
「パッポ、あのボロンゴを追い払って下さい」
先に駆け出したのはボロンゴの方で、十匹のパッポも慌てた様子で向かって行ったのだが、その全てがボロンゴに激突した瞬間に、粉々に砕け散ってしまった。
ボロンゴはそのまま少女に向かって突進を続ける。
少女は悲鳴を上げ、思わず目を瞑ってしゃがみ込んでしまった。
「あれ?」
何も起こらず、ゆっくりと目を開けると、目の前には炎魔獣のフラントの姿があり、ボロンゴを牽制していた。
フラントがボロンゴに向き合って咆哮を上げると、ボロンゴは驚き、慌ててあらぬ方向に逃げて行った。
「フラント、戻りなさい」
再び咆哮を上げたフラントは、印を組んで立っているフラムの足元に輝く召喚陣の光の中に駆け込んで消えて行った。
フラムが印を解くと共に召喚陣も消え、そのまま少女に歩み寄る。
「大丈夫?」
「はい、ありがとうございます」
少女は立ち上がるなり、深々と頭を下げる。
「でも、ボロンゴ相手にパッポって、相性以前に粉々にしてって言ってるようなもんよ」
「それが、家出して来たばかりなもので、実戦は初めてなもので」
「家出? それも実戦が初めてって」
フラムは改めて少女の身形を下から舐めるように見てほくそ笑む。
「おたく、もしかして何処かのご令嬢か何か?」
「フラムの鼻が当たったでヤンスね」
「いえいえ、ご令嬢なんて、て、今、ま、ま、魔獣が喋った!?」
少女は慌てて木の陰に隠れる。
「またでヤンスか」
パルは項垂れる。
「そりゃあ魔獣が喋ると驚かれるんだから、嫌なら黙ってればいいっていつも言ってるのに」
「そんなの無理でヤンス」
「あの~、その生き物は魔獣なんでしょうか?」
「一応ね」
「一応って何でヤンス。ちゃんとした魔獣でヤンスよ」
「はいはい。あ、そう言えばまだ自己紹介がまだだったわね。私はフラム。で、肩に乗ってるのが一応竜魔獣のパル」
「だからちゃんとした竜魔獣でヤンス」
「こうやって喋るけど、悪人以外には危害は加えないから安心して」
まだ疑心暗鬼な顔をしているが、少女もようやく木の陰から出て来た。
「私はシャ、シャルルと申します。改めて先程は助けていただいてありがとうございました」
「いえいえ、こちらこそ」
シャルルが余りにも深々と頭を下げるので、フラムも思わず頭を下げてしまった。
「それにしても家出って━━」
フラムとパルのお腹が同時に鳴る。
「アルファンド城の城下町に入ったら何か食べようと思っていたのをすっかり忘れてたわ」
「早く何か食べたいでヤンスよ」
「でも、アルファンド城には入れそうもないし」
「それでしたら確かこの先に、サルセッテと言う町があるはずですから、先程の礼も兼ねてご馳走させて下さい」
「本当に? そうと決まれば善は急げよ」
「でヤンス」
「あ、でも、家出って言ってたけど、ちゃんとお金は持ってるの?」
「ああ、そう言えば、いつもお付きの者が払ってくれているので、お金は元々持ち合わせていないので……」
フラムは溜息を吐きつつ項垂れる。
「お付きの者がって、よっぽどのお金持ちなの? それにしても私の鼻が外れるなんて。まあいいわ。お金は私が払うから、とりあえずそのサルセッテに連れてって」
「本当にすみません!」
シャルルのお辞儀が更に深くなる。
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