78 / 208
第四章 動き出す歯車
第十八話 心強き助っ人
しおりを挟む
ブレアは剣を抜くなり、イグニアに斬り掛かったが、イグニアは突っ立ったまま動こうとはしなかった。
少し炎を纏っているブレアの剣が、イグニアを斬り裂く寸前、間に入ったフラムが剣を合わせて止める。
「何やってんのよ! 黙って殺される気?」
「だって、私のせいで……」
「だからあれは事故だって━━」
ブレアの剣の圧がフラムの話を切る。
「事故だと? あんな姿で戻って来た妹を事故で済ませる気か!」
「妹? じゃあやっぱりあなた」
「そうだ。私はお前達に殺されたクリスタの双子の姉だ!」
烈火の如く怒りを見せるブレアの剣が、受け止めるフラムの剣をじりじりと押して行く。しかし、上空から落ちて来た風魔獣のリンディアが間に割って入り、ブレアは飛び退る。
「邪魔だ!」
直ぐにリンディアを真っ二つに斬り裂いて、再びフラムに斬り掛かって来る。
フラムはそれを剣で弾き返す。
「シャルロア、イグニアを頼める?」
「分かりました」
「パル、あんたもよ」
「いいでヤンスか?」
「魔獣の方が多過ぎるのよ」
ブリュンデル城から落ちて来る魔獣は後を絶たず、兵士や王位継承戦の参加者達が応戦しているが、コロッセオにいる観客達は勿論、その周りにいる街の人間達が巻き込まれて行く。
「このままだと街全体に広がってしまうわ」
「人の心配をしている場合か!」
ブレアの剣が、フラムの剣を叩き落した。
「しまった!」
間髪入れずにブレアが振り上げた剣が、フラムに振り下ろされた。しかし、その剣はフリードの剣によって受け止められていた。
「間に合った」
更に剣を弾いてブレアを飛び退らせ、距離を取る。
それでも休まずに向かって来ようとしたブレアを、上空から落ちて来た影が止める。
「ここまでですよ、ブレア。目的は達しました。城に戻りますよ」
そこに立っていたのはラファールだった。
フラムがオルタニアの王族がいる貴賓席に目を移すと、第一王子のデリオンとローブの男の姿が消えていた。
「馬鹿を言うな。ここにいる連中を殺すまでは戻れるものか」
「まさかケイハルト様の命に背くおつもりですか?」
「それは……」
ブレアはブリュンデル城を一瞥すると、苦々しい面持ちでフラムを睨み付ける。そして、降下して来たグリーゼにラファールが飛び乗ったのに続き、自らも飛び乗った。
「ちょっと!」
ブレアとラファールを乗せたグリーゼは、ブリュンデル城に向かって飛び去ってしまった。
「あいつの仲間って事はブレアもケイハルトと。じゃあ、あの城にケイハルトが居るのね。どうりで探しても見つからないはずだわ。空を動き廻っていたなんて」
「追うのか?」
上空へと上昇を始めたブリュンデル城を見ながらフリードが訊く。
「そうしたいのは山々なんだけど」
ブリュンデル城から落ちて来ていた魔獣は止まってはいたものの、落ちて来た残る魔獣によって事態が悪化している状況に、魔獣召喚士としては見て見ぬ振りとはいかなかった。ただ、
「私一人でどうなる数じゃあ……」
その時、四つある入場口、更には観客席の入場口から魔獣を連れた魔獣召喚士が次々と雪崩れ込んで来て、魔獣達と戦い始めた。
その中の数人に、フラムは見覚えがあった。街の外に逃げたはずの失格者達だ。
「あいつら、いいとこあんじゃないの」
ただ、それでも事態は好転する様子はなかった。
「どうすんだよ。何かいい案はないのか?」
「何かって言われても……」
八方塞がりで思案に暮れていると、コロッセオにいるブリュンデル城から落ちて来た魔獣だけが突然凍り付き、氷の彫刻と化した。
「これって……!」
もう一人のシャルロアかとそちらを一瞥すると、シャルロアは凛とした感じではなく、いつもの屈託のない笑みを向けて来た。
「フラムさん、お母様が!」
「ええ、そうね。一番頼りになる方が来てくれたわ」
氷漬けになった魔獣達は、一瞬の内に砕け散った。
少し炎を纏っているブレアの剣が、イグニアを斬り裂く寸前、間に入ったフラムが剣を合わせて止める。
「何やってんのよ! 黙って殺される気?」
「だって、私のせいで……」
「だからあれは事故だって━━」
ブレアの剣の圧がフラムの話を切る。
「事故だと? あんな姿で戻って来た妹を事故で済ませる気か!」
「妹? じゃあやっぱりあなた」
「そうだ。私はお前達に殺されたクリスタの双子の姉だ!」
烈火の如く怒りを見せるブレアの剣が、受け止めるフラムの剣をじりじりと押して行く。しかし、上空から落ちて来た風魔獣のリンディアが間に割って入り、ブレアは飛び退る。
「邪魔だ!」
直ぐにリンディアを真っ二つに斬り裂いて、再びフラムに斬り掛かって来る。
フラムはそれを剣で弾き返す。
「シャルロア、イグニアを頼める?」
「分かりました」
「パル、あんたもよ」
「いいでヤンスか?」
「魔獣の方が多過ぎるのよ」
ブリュンデル城から落ちて来る魔獣は後を絶たず、兵士や王位継承戦の参加者達が応戦しているが、コロッセオにいる観客達は勿論、その周りにいる街の人間達が巻き込まれて行く。
「このままだと街全体に広がってしまうわ」
「人の心配をしている場合か!」
ブレアの剣が、フラムの剣を叩き落した。
「しまった!」
間髪入れずにブレアが振り上げた剣が、フラムに振り下ろされた。しかし、その剣はフリードの剣によって受け止められていた。
「間に合った」
更に剣を弾いてブレアを飛び退らせ、距離を取る。
それでも休まずに向かって来ようとしたブレアを、上空から落ちて来た影が止める。
「ここまでですよ、ブレア。目的は達しました。城に戻りますよ」
そこに立っていたのはラファールだった。
フラムがオルタニアの王族がいる貴賓席に目を移すと、第一王子のデリオンとローブの男の姿が消えていた。
「馬鹿を言うな。ここにいる連中を殺すまでは戻れるものか」
「まさかケイハルト様の命に背くおつもりですか?」
「それは……」
ブレアはブリュンデル城を一瞥すると、苦々しい面持ちでフラムを睨み付ける。そして、降下して来たグリーゼにラファールが飛び乗ったのに続き、自らも飛び乗った。
「ちょっと!」
ブレアとラファールを乗せたグリーゼは、ブリュンデル城に向かって飛び去ってしまった。
「あいつの仲間って事はブレアもケイハルトと。じゃあ、あの城にケイハルトが居るのね。どうりで探しても見つからないはずだわ。空を動き廻っていたなんて」
「追うのか?」
上空へと上昇を始めたブリュンデル城を見ながらフリードが訊く。
「そうしたいのは山々なんだけど」
ブリュンデル城から落ちて来ていた魔獣は止まってはいたものの、落ちて来た残る魔獣によって事態が悪化している状況に、魔獣召喚士としては見て見ぬ振りとはいかなかった。ただ、
「私一人でどうなる数じゃあ……」
その時、四つある入場口、更には観客席の入場口から魔獣を連れた魔獣召喚士が次々と雪崩れ込んで来て、魔獣達と戦い始めた。
その中の数人に、フラムは見覚えがあった。街の外に逃げたはずの失格者達だ。
「あいつら、いいとこあんじゃないの」
ただ、それでも事態は好転する様子はなかった。
「どうすんだよ。何かいい案はないのか?」
「何かって言われても……」
八方塞がりで思案に暮れていると、コロッセオにいるブリュンデル城から落ちて来た魔獣だけが突然凍り付き、氷の彫刻と化した。
「これって……!」
もう一人のシャルロアかとそちらを一瞥すると、シャルロアは凛とした感じではなく、いつもの屈託のない笑みを向けて来た。
「フラムさん、お母様が!」
「ええ、そうね。一番頼りになる方が来てくれたわ」
氷漬けになった魔獣達は、一瞬の内に砕け散った。
0
あなたにおすすめの小説
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。
なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!
冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。
ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。
そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。
そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。
【魔物】を倒すと魔石を落とす。
魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。
世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
異世界転生したおっさんが普通に生きる
カジキカジキ
ファンタジー
第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位
応援頂きありがとうございました!
異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界
主人公のゴウは異世界転生した元冒険者
引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。
知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる