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しおりを挟むそんな悠隆が三カ月ぶりに金髪イケメンを連れて、のんびりとした顔で心都の部屋でお茶を飲んでいるのが不思議でたまらなかった。
「アイゼル、これ、日本のお茶。紅茶とは違うだろ?」
「緑だ……キレイな色だな」
アイゼルと自己紹介した金髪イケメンは鎧を脱いでも長身でしっかりした体をしていた。筋肉隆々というわけではないのだが、その腕は固そうだ。イケメンで体も仕上がっているなんてズルすぎる。
そんなアイゼルから視線を外し、心都はため息をついた。
「で? 説明とかしてくれないの?」
心都の小さな1DKのアパートの小さなテーブルを囲むように三人で座ってから、心都が悠隆の顔を見やって告げた。初めての緑茶を飲んだアイゼルの反応に笑っていた悠隆がこちらに視線を向ける。
「ごめんな、心都。おれも本当にあの日はちゃんと心都のアパートに行くつもりだったんだけど、気づいたら異世界でさ。なんか、城の中に来てて、王様とか王子とか王女とかメイドとかアイゼルみたいな騎士もいて。ゲームで見たあの感じ、そのままだったよ」
楽しかったよ、と悠隆が笑う。けれどそれを聞いても心都は怪訝な表情を崩さなかった。心都が聞きたいのはそういう説明ではない。悠隆が本当に悠隆で、病院に行く必要はないのか、ということだ。
「いや、感想じゃなくて……ホントに、無事なんだよな? 悠隆本人なんだろ?」
「おれだよ。まあ、確かにおれが心都の立場なら『こいつ絶対頭打っておかしくなってる』って病院調べてると思うけど、でもホント元気だし、今話したことも事実なんだよね」
そう話す悠隆を見る限り、以前と何も変わらないし、怪我をしている様子もない。おかしなことを言っているという自覚もあるようだから、思考もきちんとしているのだろう。
もしかしたら長い夢を見ていて、それが現実だったのかもしれないと思っているという可能性もあるが、そうなると悠隆の隣に窮屈そうに座っているイケメンはどこで拾ったのだという話になる。
心都は悠隆からアイゼルへと視線を移した。
「……アイゼルさん、だったよね? 悠隆とはどこで会ったの?」
心都が話しかけると、アイゼルは嬉しそうな顔でこちらに視線を向けた。それからしばらく考えてから、城、と口を開いた。
「悠隆、城で迷子になって……助けた」
さっきは流暢な日本語を話していたように聞こえたが、今はなぜかカタコトになっている。心都が首を傾げると悠隆が、一番最初に見つけてくれたのがアイゼルだったんだ、と言葉を挟んだ。
「池みたいなとこに出て、そこからうろうろしてたらアイゼルに会って。で、アイゼルと話してる時にスマホの心都の写真をアイゼルが見て、会いたいって……それで連れてきたんだよね。言葉もおれが教えて、自己紹介と日常会話一歩手前くらいまでは出来てるよ」
難しい言葉は分らないみたいだけど、と言われ、そういうことかと納得する。いや、そもそも異世界から来たということに関しては納得していないのだが、言葉の違和感には説明がついた。
「日本語って難しいらしいのに、すごいね。あと、悠隆を助けてくれてありがとう」
心都がアイゼルを見つめ微笑むと、アイゼルの頬はみるみるうちに赤くなっていった。視線を逸らされてしまい、心都が眉を下げる。何か気に障ることを言ってしまったのだろうかと今度は悠隆に視線を向けた。
「あー……さっき、心都の写真見て会いたいってアイゼルが言ったって話しただろ? あれ、厳密には『一目惚れしたから会いたい』なんだよね」
「……え?」
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