親友のお願いを聞いたら異世界から来た騎士様に求婚されました

藤吉めぐみ

文字の大きさ
3 / 13

1-3

しおりを挟む

 そんな悠隆が三カ月ぶりに金髪イケメンを連れて、のんびりとした顔で心都の部屋でお茶を飲んでいるのが不思議でたまらなかった。
「アイゼル、これ、日本のお茶。紅茶とは違うだろ?」
「緑だ……キレイな色だな」
 アイゼルと自己紹介した金髪イケメンは鎧を脱いでも長身でしっかりした体をしていた。筋肉隆々というわけではないのだが、その腕は固そうだ。イケメンで体も仕上がっているなんてズルすぎる。
   そんなアイゼルから視線を外し、心都はため息をついた。
「で? 説明とかしてくれないの?」
 心都の小さな1DKのアパートの小さなテーブルを囲むように三人で座ってから、心都が悠隆の顔を見やって告げた。初めての緑茶を飲んだアイゼルの反応に笑っていた悠隆がこちらに視線を向ける。
「ごめんな、心都。おれも本当にあの日はちゃんと心都のアパートに行くつもりだったんだけど、気づいたら異世界でさ。なんか、城の中に来てて、王様とか王子とか王女とかメイドとかアイゼルみたいな騎士もいて。ゲームで見たあの感じ、そのままだったよ」
 楽しかったよ、と悠隆が笑う。けれどそれを聞いても心都は怪訝な表情を崩さなかった。心都が聞きたいのはそういう説明ではない。悠隆が本当に悠隆で、病院に行く必要はないのか、ということだ。
「いや、感想じゃなくて……ホントに、無事なんだよな? 悠隆本人なんだろ?」
「おれだよ。まあ、確かにおれが心都の立場なら『こいつ絶対頭打っておかしくなってる』って病院調べてると思うけど、でもホント元気だし、今話したことも事実なんだよね」
 そう話す悠隆を見る限り、以前と何も変わらないし、怪我をしている様子もない。おかしなことを言っているという自覚もあるようだから、思考もきちんとしているのだろう。
 もしかしたら長い夢を見ていて、それが現実だったのかもしれないと思っているという可能性もあるが、そうなると悠隆の隣に窮屈そうに座っているイケメンはどこで拾ったのだという話になる。
 心都は悠隆からアイゼルへと視線を移した。
「……アイゼルさん、だったよね? 悠隆とはどこで会ったの?」
 心都が話しかけると、アイゼルは嬉しそうな顔でこちらに視線を向けた。それからしばらく考えてから、城、と口を開いた。
「悠隆、城で迷子になって……助けた」
 さっきは流暢な日本語を話していたように聞こえたが、今はなぜかカタコトになっている。心都が首を傾げると悠隆が、一番最初に見つけてくれたのがアイゼルだったんだ、と言葉を挟んだ。
「池みたいなとこに出て、そこからうろうろしてたらアイゼルに会って。で、アイゼルと話してる時にスマホの心都の写真をアイゼルが見て、会いたいって……それで連れてきたんだよね。言葉もおれが教えて、自己紹介と日常会話一歩手前くらいまでは出来てるよ」
 難しい言葉は分らないみたいだけど、と言われ、そういうことかと納得する。いや、そもそも異世界から来たということに関しては納得していないのだが、言葉の違和感には説明がついた。
「日本語って難しいらしいのに、すごいね。あと、悠隆を助けてくれてありがとう」
 心都がアイゼルを見つめ微笑むと、アイゼルの頬はみるみるうちに赤くなっていった。視線を逸らされてしまい、心都が眉を下げる。何か気に障ることを言ってしまったのだろうかと今度は悠隆に視線を向けた。
「あー……さっき、心都の写真見て会いたいってアイゼルが言ったって話しただろ? あれ、厳密には『一目惚れしたから会いたい』なんだよね」
「……え?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

花屋の息子

きの
BL
ひょんなことから異世界転移してしまった、至って普通の男子高校生、橘伊織。 森の中を一人彷徨っていると運良く優しい夫婦に出会い、ひとまずその世界で過ごしていくことにするが___? 瞳を見て相手の感情がわかる能力を持つ、普段は冷静沈着無愛想だけど受けにだけ甘くて溺愛な攻め×至って普通の男子高校生な受け の、お話です。 不定期更新。大体一週間間隔のつもりです。 攻めが出てくるまでちょっとかかります。

勇者様の攻略対象は勇者様

Q矢(Q.➽)
BL
金髪の勇者×黒髪の勇者 ある日の出勤途中で突如異世界に召喚されたリーマンが勇者様と祭り上げられながら、同時期に他地域で召喚された勇者に攻略対象として魔王討伐そっちのけで求愛される、読んでも何の身にもならない感じの話です。 伝家の宝刀・異世界転移も私が書くとロクな事になりそうにないです。

触手生物に溺愛されていたら、氷の騎士様(天然)の心を掴んでしまいました?

雪 いつき
BL
 仕事帰りにマンホールに落ちた森川 碧葉(もりかわ あおば)は、気付けばヌメヌメの触手生物に宙吊りにされていた。 「ちょっとそこのお兄さん! 助けて!」  通りすがりの銀髪美青年に助けを求めたことから、回らなくてもいい運命の歯車が回り始めてしまう。  異世界からきた聖女……ではなく聖者として、神聖力を目覚めさせるためにドラゴン討伐へと向かうことに。王様は胡散臭い。討伐仲間の騎士様たちはいい奴。そして触手生物には、愛されすぎて喘がされる日々。  どうしてこんなに触手生物に愛されるのか。ピィピィ鳴いて懐く触手が、ちょっと可愛い……?  更には国家的に深刻な問題まで起こってしまって……。異世界に来たなら悠々自適に過ごしたかったのに!  異色の触手と氷の(天然)騎士様に溺愛されすぎる生活が、今、始まる――― ※昔書いていたものを加筆修正して、小説家になろうサイト様にも上げているお話です。

愛していた王に捨てられて愛人になった少年は騎士に娶られる

彩月野生
BL
湖に落ちた十六歳の少年文斗は異世界にやって来てしまった。 国王と愛し合うようになった筈なのに、王は突然妃を迎え、文斗は愛人として扱われるようになり、さらには騎士と結婚して子供を産めと強要されてしまう。 王を愛する気持ちを捨てられないまま、文斗は騎士との結婚生活を送るのだが、騎士への感情の変化に戸惑うようになる。 (誤字脱字報告は不要)

勇者になるのを断ったらなぜか敵国の騎士団長に溺愛されました

BL
「勇者様!この国を勝利にお導きください!」 え?勇者って誰のこと? 突如勇者として召喚された俺。 いや、でも勇者ってチート能力持ってるやつのことでしょう? 俺、女神様からそんな能力もらってませんよ?人違いじゃないですか?

黒豹陛下の溺愛生活

月城雪華
BL
アレンは母であるアンナを弑した獣人を探すため、生まれ育ったスラム街から街に出ていた。 しかし唐突な大雨に見舞われ、加えて空腹で正常な判断ができない。 幸い街の近くまで来ていたため、明かりの着いた建物に入ると、安心したのか身体の力が抜けてしまう。 目覚めると不思議な目の色をした獣人がおり、すぐ後に長身でどこか威圧感のある獣人がやってきた。 その男はレオと言い、初めて街に来たアレンに優しく接してくれる。 街での滞在が長くなってきた頃、突然「俺の伴侶になってくれ」と言われ── 優しく(?)兄貴肌の黒豹×幸薄系オオカミが織り成す獣人BL、ここに開幕!

異世界で王子様な先輩に溺愛されちゃってます

野良猫のらん
BL
手違いで異世界に召喚されてしまったマコトは、元の世界に戻ることもできず異世界で就職した。 得た職は冒険者ギルドの職員だった。 金髪翠眼でチャラい先輩フェリックスに苦手意識を抱くが、元の世界でマコトを散々に扱ったブラック企業の上司とは違い、彼は優しく接してくれた。 マコトはフェリックスを先輩と呼び慕うようになり、お昼を食べるにも何をするにも一緒に行動するようになった。 夜はオススメの飲食店を紹介してもらって一緒に食べにいき、お祭りにも一緒にいき、秋になったらハイキングを……ってあれ、これデートじゃない!? しかもしかも先輩は、実は王子様で……。 以前投稿した『冒険者ギルドで働いてたら親切な先輩に恋しちゃいました』の長編バージョンです。

助けたドS皇子がヤンデレになって俺を追いかけてきます!

夜刀神さつき
BL
医者である内藤 賢吾は、過労死した。しかし、死んだことに気がつかないまま異世界転生する。転生先で、急性虫垂炎のセドリック皇子を見つけた彼は、手術をしたくてたまらなくなる。「彼を解剖させてください」と告げ、周囲をドン引きさせる。その後、賢吾はセドリックを手術して助ける。命を助けられたセドリックは、賢吾に惹かれていく。賢吾は、セドリックの告白を断るが、セドリックは、諦めの悪いヤンデレ腹黒男だった。セドリックは、賢吾に助ける代わりに何でも言うことを聞くという約束をする。しかし、賢吾は約束を破り逃げ出し……。ほとんどコメディです。  ヤンデレ腹黒ドS皇子×頭のおかしい主人公

処理中です...