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第2章1節 魔法学園対抗戦/武術戦
第215話 戦は享楽
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「ようし、では……」
「やりますか」
「そうだな、やるか!」
アーサーとダレン、二人揃って肩を大きく回し、剣を持った手首も軽く動かす。
「にしても、いきなり鎧でよかったんすか? 結構ガチ目に行くつもりっすか?」
「まあそうだな。なんてったって、お前とは一度手合わせしたいと思ってたんだ、アーサー」
素振りの手を止め、アーサーはダレンをじっと見つめる。
「……オレと?」
「ああ。五月の間、武術部に時々来ていたようだが……俺にはわかる。お前は実力者だ、そうだろう?」
「……」
肩程の髪をゴムでまとめ上げながら、ダレンは投げかける。
肉体の方に目が行きがちだが、紺色の髪もよく透き通って美しい。
「髪さらさらっすね。毎日手入れしてるんすか?」
「まっ役者だからな。身体のパーツのあちこちに気を遣うもんよ。そうだ、訓練の方式はナイトメア無しの真剣勝負でどうだ?」
「……構いません」
軽いストレッチを終え、剣を持って立つアーサー。ダレンも剣を持ち、二人が対峙する。
「――」
「そうだな……ボクも何かしら学ばないとな」
顎の下に右手を押しやり、イザークは二人を見つめる。その横には、サイリ、カヴァス、リグレイの三人が整列している。
「……」
「……」
風に手折れるように身体を揺らす。平原に吹く風は大地の気を帯びて、どことなく心地良い。
「……戦は享楽、この世の歓……」
「……行くぞッ!!」
剣を上に振り上げ、前に突進。
「っ……!」
ダレンが振り下ろした一撃を、アーサーは辛くも受け止める。
「……野に生きる戦士のようだ」
「そりゃあどうも。細々とした戦いは、俺の性には合ってないものでな――」
「つまり、オレとは正反対ですね」
剣を弾き返し、
懐を狙って、真っ直ぐ貫く。
「おわっ!? ……やるなぁ!?」
「軽口叩いてる暇はありませんよ?」
突いて貫く一閃と、押して潰す一撃。
全く異なる二つの剣技が、緑芽吹く大地で折り重なる。
「……」
「……ふむ」
「よくわかったよ」
一旦攻撃の手を止め、間合いを取るダレン。
アーサーは構えを解かず、剣先を向けて出方を窺っている。
「……何がわかったんですか」
「お前の剣だ」
「……」
腕と肩の力を抜き、程よく腕を回す。
足を一定の感覚で踏む。
さながら旋律の拍を計るかのように。鋭い眼差しで。
「お前の剣は……殺すための剣だ」
変貌した態度に気を取られていた。
「っ……!?」
突然彼は飛び上がったのだ。
「ぐっ……はあっ!!」
「……」
跳躍一回でアーサーの後ろまで回り込み、その背中に剣が振り下ろされる。
すぐに振り向き、受け止めるが、逃がしてしまった勢いで後ろに退いていく。
「今のを受け止めたか……見事だな」
「……」
「自分の技に相手の姿を当て嵌めて、後はそれを実行するだけ。実に合理的だ、技さえ極めてしまえば何も考える必要がない」
「……」
心臓が激しく動く。手足が震えて、妙に冷えてきた。
それはこの訓練が激しいことから来ているのだろうか。
「理屈を挙げればこんなもんか。でも俺がそれ以上に気になったのは――」
「強迫観念だ。お前は、必ず勝たないといけないという考えに囚われている。違うか」
「……!!」
無意識のうちに、彼に向かって突撃していた。
「図星か?」
「……」
「……それが」
「……ん?」
「それが存在意義だと、言ったら?」
諸刃の剣。
最悪自分の正体が勘付かれる。
だが目の前の彼は、それを向けるに値する相手だと、そう確信できたのだ。
「……」
「……ふふっ」
「はははは……あっはっはっは!!」
あまりにも不用心。ダレンは口を開けて、大声で笑った。
それに呆気に取られていると――さらに追い打ち。
「そうか……そうか、そうか、そうか! お前――面白い奴だな!?」
直後に声を出さずに口だけを動かしたダレン。するとつむじ風が二人を包み込む。
「……!」
「アーサー、この世界は楽しいぞ! 演劇に鍛錬に、人と話すことだって何だって楽しいんだ! ほら、今こうして剣を交えている時ですら――」
風に押されて身体が軽くなる。
「――戦は享楽、この世の歓! 昔々、狼の毛皮を被って戦った戦士の言葉だ! 彼らにとって戦うことは、人生に二つとない楽しみだった!」
「それは変わらないはずだ――剣を交えることが心地良いと思える! 勿論そうじゃない戦いもあるかもしれないが、今は新時代だ! それでも命を懸けないといけないことがあったらそん時はそん時だ――」
運んでくるは土の匂いと草花の香り。鼻腔に満ちて、身体を駆け巡る。
「――お前は命を懸けることには長けている。なら楽しむことを覚えれば、あとは完璧だな!」
「……」
「……はい」
今この状況で、何ができるかわからないが。
とりあえず、剣を持つ肩の力を抜いてみる。
生死を懸さぬ戦いを楽しむように――
「よろしく、お願いします!」
明朗な声を上げて、再び剣を振りかざす。
風の音と剣が交わる音が重なり、
心の底に染み込み、透き通る律動を奏でる。
「……」
「……スゲえや」
気が付くと日は傾きつつある所だった。
「お疲れ様ですわ~……ってあら、エリスちゃん!」
「アザーリア先輩、お疲れ様です!」
魔力水とタオルを抱えて、演習場までやってきたアザーリアとエリス。
その場には疲れて完全に疲れた様子の、アーサーとダレンが寝っ転がっていた。
「おっーすエリス。ってオマエもオマエで汗だくだけど、どしたん?」
「ちょっとまっするしてきたの~。広場にいたら演習区でやってるって聞いてさ~」
「ところがダレンの姿が見当たらないものですから、話を聞いてみたらこちらで訓練しておりますと聞きまして! 疲れているだろうと思って今に至りますの~!」
「んごあ~」
傍らでダレンの汗を拭うアザーリア。彼はとても気持ちよさそうに仰いでいる。
「アーサー、水飲める? 大丈夫?」
「……ぁぁ」
「うーん、何だか無理そう。どうしよっか」
「直接かけるべ」
「へ?」
魔力水の瓶の蓋を開けて、中身を顔にばしゃあとかけるイザーク。
「うおおおおっ!?」
「起きた起きた。お疲れさーん」
「もうイザークったら……はい。わたしが拭いてあげるね」
「ああ、ありがとう……ってエリス!? 何でここに!?」
「まっするしてきたついで~。はい、こっち飲んでいいからね」
コップに注いでからアーサーに手渡すエリス。それから隣に立ってタオルで顔を拭いていく。
「ひゅーひゅーひゅー!」
「……」
「おっとぉサイリィ、カヴァスをどうにかして塞き止めておいてくれよぉ。流石にボクも学習したよ!!!」
「こいつ……!」
エリスの肌が身体に触れてくる。平原にいた数日間で日に焼けたのか、若干白みが薄れていた。
「んー? 魔力水被ったけど、普通にさらさらしてる?」
「それは物によりますわね。今持ってきたのは確か魔力しか含まれていない物だったと思いますわ。これに砂糖とかが入っていると大変なことになるのですわ」
「はへー。あれ? じゃあ今若干危なかった?」
「ナンノコトカナー」
「カヴァス、少しなら手痛くしても構わん! やれ!」
「ちょっおまっ!?」
「ヴァンッ!!」
カヴァスから溢れた雷がサイリを弾き飛ばす。そのままイザークに突進。
「んぎゃおばっはぁーーーーー!!!」
「……全く。あいつはいつもこうだ」
「そうなのか? いやはや、イザークもイザークで面白い奴だな!」
「……」
ダレンはアーサーの真似をして、魔力水を頭から被っていた。
「……何だか」
「ん?」
「何だか、楽しそうですよね。先輩って」
「そりゃあ楽しいとも!」
起き上がって胡坐をかいていた膝を、勢いよく叩く。
「俺の両親は今は王国に仕えてるけど、昔は傭兵やっててさ。ほら、傭兵の一般的なイメージって、薄汚いとか不安定とかそんなんだろ? 俺もそう思ってた」
「だから気になって、何で傭兵やってたか訊いたんだよ。そしたらさ――」
「色んな体験ができて楽しいって。世界を回れるから、見知らぬことに触れられるから楽しいって、そう答えてくれたんだ」
「……俺も本気でそう思った! だからやりたいと思ったことはさっさとやるし、人と沢山話がしたい! それを信念にして俺は生きているんだ!」
追加の魔力水を一気に口に流し込むダレン。
水滴が反射しているだけではない。彼の姿は、芯から輝いて見えていた。
「……」
「……オレもできますかね、そういうの」
「先輩みたいに……なれますか?」
「……できるさ。何なら今からでも遅くはない。少し気持ちを切り替えることで、世界は違ってみえるぞ?」
「……そうですか。それなら……少し、頑張ってみます」
「その意気だ」
「……」
行き場をなくした視線は手のひらに向けられる。
彼は一体何を掴めたのだろう。一体何を思ったのだろう――
「……よぅし! それなら手始めに一緒に筋肉を鍛えようじゃないか!!」
「……え?」
「あ、勧誘。忘れていなかった」
「大腿筋は君を追いかけ光輝くー!! ほら行くぞ、まだ皆やってる!!」
「えっ、ええええ……!?」
「ちょっ、やっと起き上がれたと思ったら何これー!?!?」
ダレンに引っ張られていくアーサーと、ゴーレムのリグレイに抱えられていくイザーク。
エリスとアザーリアは何も言わず、そしてしんみりした雰囲気でそれを見送る。
「……アーサー、何か思う所があったみたいです。先輩と一緒に訓練して、解決したのかな……?」
「そうでしたの。うふふ、彼が何か掴めましたようなら、友人として僥倖ですわ」
「え? 友人?」
「あら? わたくしとダレンは同じ課外活動の良き友人ですわよ?」
「そ、そうなんですか……?」
「そうなのですわ! それよりもエリスちゃん、わたくし達も参りましょう? 早く行かないと遅れてしまいますわ!」
「は、はい! そうですねっ!」
「やりますか」
「そうだな、やるか!」
アーサーとダレン、二人揃って肩を大きく回し、剣を持った手首も軽く動かす。
「にしても、いきなり鎧でよかったんすか? 結構ガチ目に行くつもりっすか?」
「まあそうだな。なんてったって、お前とは一度手合わせしたいと思ってたんだ、アーサー」
素振りの手を止め、アーサーはダレンをじっと見つめる。
「……オレと?」
「ああ。五月の間、武術部に時々来ていたようだが……俺にはわかる。お前は実力者だ、そうだろう?」
「……」
肩程の髪をゴムでまとめ上げながら、ダレンは投げかける。
肉体の方に目が行きがちだが、紺色の髪もよく透き通って美しい。
「髪さらさらっすね。毎日手入れしてるんすか?」
「まっ役者だからな。身体のパーツのあちこちに気を遣うもんよ。そうだ、訓練の方式はナイトメア無しの真剣勝負でどうだ?」
「……構いません」
軽いストレッチを終え、剣を持って立つアーサー。ダレンも剣を持ち、二人が対峙する。
「――」
「そうだな……ボクも何かしら学ばないとな」
顎の下に右手を押しやり、イザークは二人を見つめる。その横には、サイリ、カヴァス、リグレイの三人が整列している。
「……」
「……」
風に手折れるように身体を揺らす。平原に吹く風は大地の気を帯びて、どことなく心地良い。
「……戦は享楽、この世の歓……」
「……行くぞッ!!」
剣を上に振り上げ、前に突進。
「っ……!」
ダレンが振り下ろした一撃を、アーサーは辛くも受け止める。
「……野に生きる戦士のようだ」
「そりゃあどうも。細々とした戦いは、俺の性には合ってないものでな――」
「つまり、オレとは正反対ですね」
剣を弾き返し、
懐を狙って、真っ直ぐ貫く。
「おわっ!? ……やるなぁ!?」
「軽口叩いてる暇はありませんよ?」
突いて貫く一閃と、押して潰す一撃。
全く異なる二つの剣技が、緑芽吹く大地で折り重なる。
「……」
「……ふむ」
「よくわかったよ」
一旦攻撃の手を止め、間合いを取るダレン。
アーサーは構えを解かず、剣先を向けて出方を窺っている。
「……何がわかったんですか」
「お前の剣だ」
「……」
腕と肩の力を抜き、程よく腕を回す。
足を一定の感覚で踏む。
さながら旋律の拍を計るかのように。鋭い眼差しで。
「お前の剣は……殺すための剣だ」
変貌した態度に気を取られていた。
「っ……!?」
突然彼は飛び上がったのだ。
「ぐっ……はあっ!!」
「……」
跳躍一回でアーサーの後ろまで回り込み、その背中に剣が振り下ろされる。
すぐに振り向き、受け止めるが、逃がしてしまった勢いで後ろに退いていく。
「今のを受け止めたか……見事だな」
「……」
「自分の技に相手の姿を当て嵌めて、後はそれを実行するだけ。実に合理的だ、技さえ極めてしまえば何も考える必要がない」
「……」
心臓が激しく動く。手足が震えて、妙に冷えてきた。
それはこの訓練が激しいことから来ているのだろうか。
「理屈を挙げればこんなもんか。でも俺がそれ以上に気になったのは――」
「強迫観念だ。お前は、必ず勝たないといけないという考えに囚われている。違うか」
「……!!」
無意識のうちに、彼に向かって突撃していた。
「図星か?」
「……」
「……それが」
「……ん?」
「それが存在意義だと、言ったら?」
諸刃の剣。
最悪自分の正体が勘付かれる。
だが目の前の彼は、それを向けるに値する相手だと、そう確信できたのだ。
「……」
「……ふふっ」
「はははは……あっはっはっは!!」
あまりにも不用心。ダレンは口を開けて、大声で笑った。
それに呆気に取られていると――さらに追い打ち。
「そうか……そうか、そうか、そうか! お前――面白い奴だな!?」
直後に声を出さずに口だけを動かしたダレン。するとつむじ風が二人を包み込む。
「……!」
「アーサー、この世界は楽しいぞ! 演劇に鍛錬に、人と話すことだって何だって楽しいんだ! ほら、今こうして剣を交えている時ですら――」
風に押されて身体が軽くなる。
「――戦は享楽、この世の歓! 昔々、狼の毛皮を被って戦った戦士の言葉だ! 彼らにとって戦うことは、人生に二つとない楽しみだった!」
「それは変わらないはずだ――剣を交えることが心地良いと思える! 勿論そうじゃない戦いもあるかもしれないが、今は新時代だ! それでも命を懸けないといけないことがあったらそん時はそん時だ――」
運んでくるは土の匂いと草花の香り。鼻腔に満ちて、身体を駆け巡る。
「――お前は命を懸けることには長けている。なら楽しむことを覚えれば、あとは完璧だな!」
「……」
「……はい」
今この状況で、何ができるかわからないが。
とりあえず、剣を持つ肩の力を抜いてみる。
生死を懸さぬ戦いを楽しむように――
「よろしく、お願いします!」
明朗な声を上げて、再び剣を振りかざす。
風の音と剣が交わる音が重なり、
心の底に染み込み、透き通る律動を奏でる。
「……」
「……スゲえや」
気が付くと日は傾きつつある所だった。
「お疲れ様ですわ~……ってあら、エリスちゃん!」
「アザーリア先輩、お疲れ様です!」
魔力水とタオルを抱えて、演習場までやってきたアザーリアとエリス。
その場には疲れて完全に疲れた様子の、アーサーとダレンが寝っ転がっていた。
「おっーすエリス。ってオマエもオマエで汗だくだけど、どしたん?」
「ちょっとまっするしてきたの~。広場にいたら演習区でやってるって聞いてさ~」
「ところがダレンの姿が見当たらないものですから、話を聞いてみたらこちらで訓練しておりますと聞きまして! 疲れているだろうと思って今に至りますの~!」
「んごあ~」
傍らでダレンの汗を拭うアザーリア。彼はとても気持ちよさそうに仰いでいる。
「アーサー、水飲める? 大丈夫?」
「……ぁぁ」
「うーん、何だか無理そう。どうしよっか」
「直接かけるべ」
「へ?」
魔力水の瓶の蓋を開けて、中身を顔にばしゃあとかけるイザーク。
「うおおおおっ!?」
「起きた起きた。お疲れさーん」
「もうイザークったら……はい。わたしが拭いてあげるね」
「ああ、ありがとう……ってエリス!? 何でここに!?」
「まっするしてきたついで~。はい、こっち飲んでいいからね」
コップに注いでからアーサーに手渡すエリス。それから隣に立ってタオルで顔を拭いていく。
「ひゅーひゅーひゅー!」
「……」
「おっとぉサイリィ、カヴァスをどうにかして塞き止めておいてくれよぉ。流石にボクも学習したよ!!!」
「こいつ……!」
エリスの肌が身体に触れてくる。平原にいた数日間で日に焼けたのか、若干白みが薄れていた。
「んー? 魔力水被ったけど、普通にさらさらしてる?」
「それは物によりますわね。今持ってきたのは確か魔力しか含まれていない物だったと思いますわ。これに砂糖とかが入っていると大変なことになるのですわ」
「はへー。あれ? じゃあ今若干危なかった?」
「ナンノコトカナー」
「カヴァス、少しなら手痛くしても構わん! やれ!」
「ちょっおまっ!?」
「ヴァンッ!!」
カヴァスから溢れた雷がサイリを弾き飛ばす。そのままイザークに突進。
「んぎゃおばっはぁーーーーー!!!」
「……全く。あいつはいつもこうだ」
「そうなのか? いやはや、イザークもイザークで面白い奴だな!」
「……」
ダレンはアーサーの真似をして、魔力水を頭から被っていた。
「……何だか」
「ん?」
「何だか、楽しそうですよね。先輩って」
「そりゃあ楽しいとも!」
起き上がって胡坐をかいていた膝を、勢いよく叩く。
「俺の両親は今は王国に仕えてるけど、昔は傭兵やっててさ。ほら、傭兵の一般的なイメージって、薄汚いとか不安定とかそんなんだろ? 俺もそう思ってた」
「だから気になって、何で傭兵やってたか訊いたんだよ。そしたらさ――」
「色んな体験ができて楽しいって。世界を回れるから、見知らぬことに触れられるから楽しいって、そう答えてくれたんだ」
「……俺も本気でそう思った! だからやりたいと思ったことはさっさとやるし、人と沢山話がしたい! それを信念にして俺は生きているんだ!」
追加の魔力水を一気に口に流し込むダレン。
水滴が反射しているだけではない。彼の姿は、芯から輝いて見えていた。
「……」
「……オレもできますかね、そういうの」
「先輩みたいに……なれますか?」
「……できるさ。何なら今からでも遅くはない。少し気持ちを切り替えることで、世界は違ってみえるぞ?」
「……そうですか。それなら……少し、頑張ってみます」
「その意気だ」
「……」
行き場をなくした視線は手のひらに向けられる。
彼は一体何を掴めたのだろう。一体何を思ったのだろう――
「……よぅし! それなら手始めに一緒に筋肉を鍛えようじゃないか!!」
「……え?」
「あ、勧誘。忘れていなかった」
「大腿筋は君を追いかけ光輝くー!! ほら行くぞ、まだ皆やってる!!」
「えっ、ええええ……!?」
「ちょっ、やっと起き上がれたと思ったら何これー!?!?」
ダレンに引っ張られていくアーサーと、ゴーレムのリグレイに抱えられていくイザーク。
エリスとアザーリアは何も言わず、そしてしんみりした雰囲気でそれを見送る。
「……アーサー、何か思う所があったみたいです。先輩と一緒に訓練して、解決したのかな……?」
「そうでしたの。うふふ、彼が何か掴めましたようなら、友人として僥倖ですわ」
「え? 友人?」
「あら? わたくしとダレンは同じ課外活動の良き友人ですわよ?」
「そ、そうなんですか……?」
「そうなのですわ! それよりもエリスちゃん、わたくし達も参りましょう? 早く行かないと遅れてしまいますわ!」
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