扇風機を持って異世界転移!? もふもふたちと共に扇風機を操り俺はこの世界を生き延びる!!

ありぽん

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52話 ワイバーンの突然の撤退

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 え? 撤退? 俺は空を見上げたあと周りを見てみる。すると次の攻撃に備えて、準備をしていた人達の動きが止まっており。それからそれぞれが、黄色い旗を確認したり、空を見ていたり、何処かへ走って行く人達もいて。

 その走っている人達に釣られたのか、他の人達もそれぞれが広場から離れ始めた。みんな、ワイバーンが撤退した!? と言いながら。

「父さん?」

『カーライル! リョウ! 俺に乗れ!!』

「リョウ、早く乗れ!! 移動するぞ!!」

 何が起きているのか、よく分かっていなかったけど。俺は父さんとタイラーに言われるまま、タイラーの背中にのると。タイラーは戦闘で崩れた物や、もともと置いてあった箱を使って、簡単に屋根まで登った。そして周りの様子を見た後、あそこか? と言って、ある方向へ走り出した。

「父さん、みんなワイバーンが撤退した、って言ってるんだけど。どういうこと?」

「空の様子を見てみろ。街の上を飛んでいたワイバーンの姿がなくなっていないか?」

「そういえば?」

「理由は分からんが、ワイバーンが撤退を始めたらしい。前を見ろ。ワイバーンの後ろ姿が見える。皆、街から遠ざかるように飛んでいないか?」

 俺は父さんの背中から顔を出し、前を確認する。すると確かにワイバーン達の後ろ姿が。それにどんどん街から遠ざかっている。

「さっきの合図は、敵が撤退を始めた、という合図だ。本当に撤退を始めたのか、それともまた戻ってくるのか。すぐにはきちんとした判断はできないが。確かに奴らは街から離れていっている」

「じゃあ、もしこのまま戻ってこなければ」

「ああ、俺達は街を守った事になる。偵察部隊の騎士と、冒険者ギルドから追跡が得意な冒険者が、今あのワイバーンの群れを追っているはずだ。途中でワイバーンが戻ってきそうなら、また何か合図があるし、もし何もなければ、1、2日して街に戻ってくる。そしてワイバーン襲撃事件は終わりだ」

「じゃあ、まだ安心はできないけれど、でもとっても良いことじゃないか!!」

「だからみんな、様子を見ようと動いているんだ」

 そのまま屋根の上を進んだタイラー。ささっと外壁の所まで着くと、これまたささっと壁を登り、1番上まで着く。壁の上はかなり混み合っていて、その人達と魔獣達をかき分け、最前列に出るとワイバーンを確認した。

 ワイバーンは壁を登っている間に、さらに遠くに移動していて。さっきまでは顔が確認できていたけど、今は体は確認できるが、細かい部分までは確認できないほど離れていた。

 そしてよく見れば。ワイバーンから少し離れた地面を、小さなものが移動しているのが見えて。おそらくあれが冒険者と騎士達だろう。

 街の上を飛び回っていたワイバーンや、撤退を始めたワイバーンを見て。ワイバーンはかなりのスピードで飛ぶんだな、と思っていたが。そのワイバーンについていけている、冒険者と騎士達は凄いよ。俺は絶対に無理だ。
 まぁ、いつかそういう。俺を運んでくれる、移動スピードが速い魔獣と、契約できれば別だけど。

 まだ何が起こるか分からないため、大きな声を出して喜べないが。それでもとりあえずはワイバーンが撤退してくれて、安堵のため息や、喜んでいる小さな声が聞こえる。だが……。

「お前達!! 完全にワイバーン達は撤退したわけではないのだ!! 今のうちに体制を整えるぞ!! 足りないポーションや薬を確認しろ!!」

「はっ!!」

 声に騎士達が動き出す。それを見た冒険者達も、リカードさんから、何か連絡が来るかもしれないと、続々と壁を降り始めた。

 俺達は、タイラーがいるから、空いてからササッと下に降りようと、その場で待つことに。そのため騎士達に指示を出した人の、声が聞こえた方を見たら。30代前半? くらいの、他の騎士達よりも格好いい、動きやすそうな鎧を着ている人が立っていた。

 と、その男の人と目が合い。男の人はニコッと笑うと、俺達の方へ寄ってきて、声をかけてきた。

「お久しぶりです、カーライルさん」
 
「おう、久しぶりだな」

「まさか、こんなに大量のワイバーンが攻めてくるとは」

「ああ、俺もこれだけの襲撃は初めてだ」

「このまま本当に、撤退してくれると良いんですがね」

「どうだろうな。今回のこと、その前のワイバーンの目撃情報、その時に何も情報を得ることができなかったこと。いろいろとおかしな事が続いているからな。まだ安心はできないぞ」

「ええ。今のうちに体勢を整えておかなければ。……そちらがカーライルさんの息子さんですか?」

「ああ、リョウ!」

 呼ばれてすぐに俺は挨拶をする。

「リョウと言います。初めまして」

「初めまして。私はアレックス・スタンフォード。この街で騎士団長をしています。あなたの父、カーライルさんには、よく稽古をつけてもらっていたんですよ」

「そうなんですか!!」

「いつも勝手に押しかけて来たんだろう? 俺は稽古を付けてやるなんて言ってないのに」

「リカードさんに、いつでも行って良いと言われたので」

「俺に聞かないとダメだろうが」

「リカードさんにあなたなの話しを聞いた時、どんな子が家族になったのかと思っていたのですが。……今回のワイバーンのことが終わったら、遊びに来てください。リョウはいくつですか?」

「14です」

「やはり、うちにも同じ歳の息子がいるんです」

「そうか、お前のとこ、ジョーイも14か。なるほど、同じ歳同士気が合うかもしれないな。リョウどうだ?」

「ぜひ!!」

「では、後でこちらから知らせを。それでは今はこの辺で」

 アレックスさんとの話しが終わり、階段を降りて行く冒険者もほとんど居なくなったから、俺達も下りることに。そして広場へと戻った。
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