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第07話 初めてのボス戦
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四階層も景色は代わり映えせず、岩肌とそこに等間隔に明かりが灯されている。
(本当にまるでゲームかアニメだな)
異世界の魔王はこのダンジョンシステムを構築する際、一人のアドバイザーとして日本人を攫って手伝わせたということはあまりにも有名だ。その影響か、このシステムはゲームに近い用語や雰囲気のものが多い。
(っと、ゴブリンか)
薄暗い道の先、こん棒を持った一匹のゴブリンがウロウロしていた。大きさは俺の腰くらいのサイズだ。スライムと違って顔があるため前と後ろ、注意を向けている場所が分かる。俺は息を殺して近づき、ゴブリンが後ろを向いた瞬間に逆手に持った短剣を首に刺す。
「ギャギャッ!!」
「チッ、通らないか」
だがやはり、ゴブリンの皮膚を貫くことはできず僅かに緑色の血が滲むだけ。与えたダメージは1ということだろう。そこからはガチンコ勝負だ。ゴブリンと距離を置き、ハンドガンでチクチクとダメージを与え、近づいてきたら短剣で応戦。そして距離を離せるタイミングで離脱、ハンドガンへの切り替え。この繰り返しだ。そんな応酬を五分程繰り返しただろうか。
「ギャギャァァ……」
ゴブリンは沈んだ。そしてその死骸は粒子になって消え、後には──。
「宝箱っ!」
初の宝箱ドロップだ。LUKが1でもドロップ率はゼロではないようだ。ゼロかイチの違いは滅茶苦茶大きい。早速俺は宝箱を開ける。開けると言っても手をかざし、そこからアイテムボックス(仮)に移動するということなのだが、果たしてその中身は──。
「薬草(微)」
最低レベルのHP回復薬だ。いや、分かってた。分かってたさ。最初からそう都合よく装備品が手に入るとは思っていなかった。
<レベルが5に上がりました>
っと、同時にレベルが5に上がったようだ。俺はステータスを開き、そしてそっと閉じる。
「さ、ボスを倒しに行きますか……」
このゴブリンの戦闘をなかったものとし、五階を目指す。だが、それは思っていた以上に苦難の道であった。
「「「ぐぎゃぎゃぎゃー!!」」」
「しつこいってーの!!」
一対一はなんとかなる。時間はかかるが、倒せない敵ではない。だが、複数体との対峙は厄介だ。ハンドガンと短剣を駆使して攻撃を凌ぎ、足を使ってなんとか死なないよう立ち回る。死んでもペナルティはないが、死ぬ感覚は味わいたくないし、死ぬのに慣れた人はダンジョンオーバーでの死亡率が高いとか高くないとか。
「っと、あぶねっ、オラッ」
タンッ、タンッ、タンッ、大振りしてきたゴブリンの片手剣を躱し、至近距離で素早く三点射撃。
「グッ、グギャァ……」
ゴブリンAを倒した。
「ハァ、ハァ、残り二体」
「「グギャ、グギャ……」」
ゴブリンBとCは警戒感を強め、ジリジリと後ずさる。そして左右を見渡したと思うと──。
「「グギャァァァアアーーー!!」」
仲間を呼んだ。
「うるせー! 大声出すなぁぁ!!」
タンッ、タンッ。ゴブリンBとCの眉間に一発ずつ銃弾を撃ち込む。
「「「「グギャ、ギャ、ギャ」」」」
おでこをさするBとC。新たにゴブリンDとFが現れた。
「フッ。上等だ」
「「「「グギャギャギャギャ」」」」
俺とゴブリンたちは睨み合い──。
「「「「「ッ」」」」」
同時に駆け出すっ。
「「「「グギャッ!?」」」」
「強くなったらお前らを倒しに来る!! さらばだ!!」
ゴブリンの足は俺の方に。俺の足は明後日の方に。幸い足は速い方だ。ゴブリンは追い付けずに地団駄を踏みながら喚いている。
「っと、ついてるな。五階への転移門か。ゴブリンが集まる前に……、ボスの面を拝みに行きますかね」
幸いにも走った先に五階への転移門が見つかった。俺は迷うことなくその転移門に乗り、起動させた。
「ここだな」
転移門の先は一本の通路があり、その奥にはなんともそれっぽい扉がある。
「さて、ダメで元々……なんて考えは捨てろ。最底辺から成り上がる」
俺は自分に喝を入れ、扉を開ける。古い木製のドアはギギギと言う音とともに開いた。その先は真っ暗であったが、俺が内側に入ると──。
バタンッ。
扉が勝手に閉まった。聞いていた通りだ。そして、ボッ、ボッ、ボッ。いかにもな演出で明かりが灯されていく。
「ふむ。お前がホブゴブリンか」
部屋の最奥の椅子にゴブリンが座っていた。ホブゴブリンは俺を見つけるや、ゆっくりと立ち上がり、近づいてくる。その両手にこん棒を携えて。
(デカいな……)
ゴブリンより二回り以上大きい。身長はほとんど俺と変わらないサイズだ。威圧感は何倍にも感じる。俺がビビっていることが分かったのだろうか。ホブゴブリンはニタリと笑うと──。
「グギャァァァァアアアア!!」
大気を震わせる程の咆哮を放つ。俺は生まれて初めて、心臓がすくむという現象を体験した。
「……ニッ」
その反応に満足したようでホブゴブリンは一気に俺の方へと駆け出し、その両手のこん棒を振るう。
「チッ!!」
俺は慌てて左手のハンドガンを構え、威嚇と牽制を兼ねてがむしゃらに撃ちまくる。その内の数発は着弾したものの、ダメージは当然1であり、その勢いを止められるものではない。
死を纏ったこん棒の暴風が俺を襲う。
「……あっ」
数撃は躱し、いなし、凌いだ。しかし、その手数、威力、迫力に気おされ、先端が頭をかすめる。それだけで俺のHPはゼロになった。
ぺいっ。
気付いたら俺はゲートの外に吐き出されていた。
「………………よし、リスポーン機能は正常だな」
俺は誤魔化すようにそう呟いた。あれだけカッコつけてボスに挑んだものの一分もかからず負けて、恥ずかしく情けない気持ちにならないわけがない。
「ふぅー」
気が付けば夕方だ。朝から一度も休憩していなかったため、ここで一旦休憩し、もう少しダンジョンに潜ってから帰ろう。そう思い、休憩後は結局夜十時までレベル上げとアイテム集めをして、帰ることとした。
レベルは8まで上がったが、ステータスは1も上がらず、アイテムは極まれに最低品質の消費アイテムが落ちるだけ。覚悟はしていたが、やはり甘くない現実に少しだけ落ち込みながら自宅へと帰るのであった。
(本当にまるでゲームかアニメだな)
異世界の魔王はこのダンジョンシステムを構築する際、一人のアドバイザーとして日本人を攫って手伝わせたということはあまりにも有名だ。その影響か、このシステムはゲームに近い用語や雰囲気のものが多い。
(っと、ゴブリンか)
薄暗い道の先、こん棒を持った一匹のゴブリンがウロウロしていた。大きさは俺の腰くらいのサイズだ。スライムと違って顔があるため前と後ろ、注意を向けている場所が分かる。俺は息を殺して近づき、ゴブリンが後ろを向いた瞬間に逆手に持った短剣を首に刺す。
「ギャギャッ!!」
「チッ、通らないか」
だがやはり、ゴブリンの皮膚を貫くことはできず僅かに緑色の血が滲むだけ。与えたダメージは1ということだろう。そこからはガチンコ勝負だ。ゴブリンと距離を置き、ハンドガンでチクチクとダメージを与え、近づいてきたら短剣で応戦。そして距離を離せるタイミングで離脱、ハンドガンへの切り替え。この繰り返しだ。そんな応酬を五分程繰り返しただろうか。
「ギャギャァァ……」
ゴブリンは沈んだ。そしてその死骸は粒子になって消え、後には──。
「宝箱っ!」
初の宝箱ドロップだ。LUKが1でもドロップ率はゼロではないようだ。ゼロかイチの違いは滅茶苦茶大きい。早速俺は宝箱を開ける。開けると言っても手をかざし、そこからアイテムボックス(仮)に移動するということなのだが、果たしてその中身は──。
「薬草(微)」
最低レベルのHP回復薬だ。いや、分かってた。分かってたさ。最初からそう都合よく装備品が手に入るとは思っていなかった。
<レベルが5に上がりました>
っと、同時にレベルが5に上がったようだ。俺はステータスを開き、そしてそっと閉じる。
「さ、ボスを倒しに行きますか……」
このゴブリンの戦闘をなかったものとし、五階を目指す。だが、それは思っていた以上に苦難の道であった。
「「「ぐぎゃぎゃぎゃー!!」」」
「しつこいってーの!!」
一対一はなんとかなる。時間はかかるが、倒せない敵ではない。だが、複数体との対峙は厄介だ。ハンドガンと短剣を駆使して攻撃を凌ぎ、足を使ってなんとか死なないよう立ち回る。死んでもペナルティはないが、死ぬ感覚は味わいたくないし、死ぬのに慣れた人はダンジョンオーバーでの死亡率が高いとか高くないとか。
「っと、あぶねっ、オラッ」
タンッ、タンッ、タンッ、大振りしてきたゴブリンの片手剣を躱し、至近距離で素早く三点射撃。
「グッ、グギャァ……」
ゴブリンAを倒した。
「ハァ、ハァ、残り二体」
「「グギャ、グギャ……」」
ゴブリンBとCは警戒感を強め、ジリジリと後ずさる。そして左右を見渡したと思うと──。
「「グギャァァァアアーーー!!」」
仲間を呼んだ。
「うるせー! 大声出すなぁぁ!!」
タンッ、タンッ。ゴブリンBとCの眉間に一発ずつ銃弾を撃ち込む。
「「「「グギャ、ギャ、ギャ」」」」
おでこをさするBとC。新たにゴブリンDとFが現れた。
「フッ。上等だ」
「「「「グギャギャギャギャ」」」」
俺とゴブリンたちは睨み合い──。
「「「「「ッ」」」」」
同時に駆け出すっ。
「「「「グギャッ!?」」」」
「強くなったらお前らを倒しに来る!! さらばだ!!」
ゴブリンの足は俺の方に。俺の足は明後日の方に。幸い足は速い方だ。ゴブリンは追い付けずに地団駄を踏みながら喚いている。
「っと、ついてるな。五階への転移門か。ゴブリンが集まる前に……、ボスの面を拝みに行きますかね」
幸いにも走った先に五階への転移門が見つかった。俺は迷うことなくその転移門に乗り、起動させた。
「ここだな」
転移門の先は一本の通路があり、その奥にはなんともそれっぽい扉がある。
「さて、ダメで元々……なんて考えは捨てろ。最底辺から成り上がる」
俺は自分に喝を入れ、扉を開ける。古い木製のドアはギギギと言う音とともに開いた。その先は真っ暗であったが、俺が内側に入ると──。
バタンッ。
扉が勝手に閉まった。聞いていた通りだ。そして、ボッ、ボッ、ボッ。いかにもな演出で明かりが灯されていく。
「ふむ。お前がホブゴブリンか」
部屋の最奥の椅子にゴブリンが座っていた。ホブゴブリンは俺を見つけるや、ゆっくりと立ち上がり、近づいてくる。その両手にこん棒を携えて。
(デカいな……)
ゴブリンより二回り以上大きい。身長はほとんど俺と変わらないサイズだ。威圧感は何倍にも感じる。俺がビビっていることが分かったのだろうか。ホブゴブリンはニタリと笑うと──。
「グギャァァァァアアアア!!」
大気を震わせる程の咆哮を放つ。俺は生まれて初めて、心臓がすくむという現象を体験した。
「……ニッ」
その反応に満足したようでホブゴブリンは一気に俺の方へと駆け出し、その両手のこん棒を振るう。
「チッ!!」
俺は慌てて左手のハンドガンを構え、威嚇と牽制を兼ねてがむしゃらに撃ちまくる。その内の数発は着弾したものの、ダメージは当然1であり、その勢いを止められるものではない。
死を纏ったこん棒の暴風が俺を襲う。
「……あっ」
数撃は躱し、いなし、凌いだ。しかし、その手数、威力、迫力に気おされ、先端が頭をかすめる。それだけで俺のHPはゼロになった。
ぺいっ。
気付いたら俺はゲートの外に吐き出されていた。
「………………よし、リスポーン機能は正常だな」
俺は誤魔化すようにそう呟いた。あれだけカッコつけてボスに挑んだものの一分もかからず負けて、恥ずかしく情けない気持ちにならないわけがない。
「ふぅー」
気が付けば夕方だ。朝から一度も休憩していなかったため、ここで一旦休憩し、もう少しダンジョンに潜ってから帰ろう。そう思い、休憩後は結局夜十時までレベル上げとアイテム集めをして、帰ることとした。
レベルは8まで上がったが、ステータスは1も上がらず、アイテムは極まれに最低品質の消費アイテムが落ちるだけ。覚悟はしていたが、やはり甘くない現実に少しだけ落ち込みながら自宅へと帰るのであった。
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