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第四章
第182話:魅了された者たち
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――ブオン。
何か耳障りな音がしたかと思えば、視界が微かに歪み始める。
「やはり、隠ぺい系のスキルが使われていたみたいですね」
「ここは私が」
やや表情をしかめながらレイスが口にすると、続けて鈴音が前に出る。
「お願いいたします」
「はい。聖域展開!」
鈴音はヴィオンの指示の下で、隠ぺい系のスキルが使われているだろう範囲へ聖域展開を発動した。
聖域展開は、範囲内のありとあらゆるスキルや魔法を消滅させる効果がある。
もちろん、発動者の任意で消滅させないスキルや魔法を選ぶことも可能だ。
非常に効果の高い魔法ではあるがその分、大量の魔力を消費するため使いどころを選んでしまう。
今回は隠ぺい系のスキルの中で襲われては、実力者であっても危ういという判断から、最初に使うことをレイスが選択していた。
「あれは!」
「兄上!」
隠ぺい系のスキルが消滅すると、その先には一軒の小屋が存在していた。
そして、その窓からは外を除くアッシュの顔があった。
ケイルとレイスが声を上げたものの、すぐにアッシュの顔は小屋の奥へと消えていってしまう。
「くそっ! 声が届いていないのか?」
「急ぎましょう、レイス様!」
「待ちなさい!」
悔しそうなレイスの声を聞き、ケイルが駆け出そうとした。
そこへティアナの声が響き渡ると、小屋までの道の間に複数の人影が姿を見せる。
「……この人たち、発見したばかりのケイルと似たような表情ですね」
「まさか、彼らも私同様に〈魅了〉が?」
虚ろな瞳で、こちらとの距離をじりじりと縮めてくる者たち。
男女に関係なく、二〇人はいるだろうか。
「殺してはなりません! 生きたまま制圧し、スズネ様に回復してもらうのです!」
レイスが指示を出すと、ケイルとミリアが剣を抜く。
アリスは拳を握りしめ、ティアナとヴィオンは周囲へ視線を向ける。
「……周りに正気を保った人はいなさそうね」
「ならば、ひとまずは制圧を優先するか。だが」
ティアナの言葉にヴィオンは同意を示しながら、すぐに空へ視線を向ける。
「ライゴウ! 小屋から誰か出て行かないか、見張っていてくれ!」
「ヂヂヂヂ!」
監視役をライゴウに任せて、ヴィオンも魅了された者たちの制圧に加わる。
「相手は一般人だ! 俺が言うのもなんだが、〈魅了〉されているだけで強くはないだろう! すぐに終わらせるぞ!」
声を上げたのはケイルだ。
彼が〈魅了〉されていた時は、クロウとピースの二匹がかりでようやく取り押さえることができた。
それはつまり、〈魅了〉される者の実力が反映されるということだ。
もしかすると冒険者などもいるかもしれないが、王太子殿下の護衛騎士に任命されるほどの実力者がいるとは思えない。
「任せてちょうだい!」
「コンコンコーン!」
「一気にいくぞ!」
「ぶん殴ってやるんだからね!」
「回復は任せてください!」
ティアナ、レクシア、ヴィオン、アリス、鈴音が声を上げた。
「私たちもいきましょう、ケイル様!」
「あぁ、ミリア!」
ミリアはケイルに声を掛けると、同時に駆け出す。
「頼りにしているよ、クロウ?」
「フシュシュッ!」
レイスは自らの影に潜んでいるクロウに声を掛けると、返事をもらって笑みを浮かべる。
それぞれが自分の役割を全うすることで、〈魅了〉された人たちの制圧は三分と掛からずに終わった。
だが、その三分でアッシュを逃がしてしまえば元も子もない。
「ライゴウ!」
ヴィオンは即座にライゴウの名を呼び、小屋から逃げ出した者がいないかを確認する。
するとライゴウは首を横に振り、否定を示した。
「地下などに抜け道がなければ、アッシュ様は小屋の中にいるはずです!」
「急ごう!」
「レクシアは念のためについて行ってちょうだい!」
「コンコン!」
ティアナとミリア、そしてアリスにこの場を任せて、レイス、ケイル、ヴィオン、鈴音は小屋へと急ぐ。
抜け道から逃げていた場合に備えてレクシアを同行させ、クロウは当然だがレイスの影に潜んでいる。
そうして小屋の中へ突入したレイスたちが見たものは――
「あ、兄上ええええっ!!」
「……」
声を上げたレイス。
アッシュは虚ろな瞳のまま、両手に握りしめたナイフで、自らの胸を突き刺そうとしていた。
何か耳障りな音がしたかと思えば、視界が微かに歪み始める。
「やはり、隠ぺい系のスキルが使われていたみたいですね」
「ここは私が」
やや表情をしかめながらレイスが口にすると、続けて鈴音が前に出る。
「お願いいたします」
「はい。聖域展開!」
鈴音はヴィオンの指示の下で、隠ぺい系のスキルが使われているだろう範囲へ聖域展開を発動した。
聖域展開は、範囲内のありとあらゆるスキルや魔法を消滅させる効果がある。
もちろん、発動者の任意で消滅させないスキルや魔法を選ぶことも可能だ。
非常に効果の高い魔法ではあるがその分、大量の魔力を消費するため使いどころを選んでしまう。
今回は隠ぺい系のスキルの中で襲われては、実力者であっても危ういという判断から、最初に使うことをレイスが選択していた。
「あれは!」
「兄上!」
隠ぺい系のスキルが消滅すると、その先には一軒の小屋が存在していた。
そして、その窓からは外を除くアッシュの顔があった。
ケイルとレイスが声を上げたものの、すぐにアッシュの顔は小屋の奥へと消えていってしまう。
「くそっ! 声が届いていないのか?」
「急ぎましょう、レイス様!」
「待ちなさい!」
悔しそうなレイスの声を聞き、ケイルが駆け出そうとした。
そこへティアナの声が響き渡ると、小屋までの道の間に複数の人影が姿を見せる。
「……この人たち、発見したばかりのケイルと似たような表情ですね」
「まさか、彼らも私同様に〈魅了〉が?」
虚ろな瞳で、こちらとの距離をじりじりと縮めてくる者たち。
男女に関係なく、二〇人はいるだろうか。
「殺してはなりません! 生きたまま制圧し、スズネ様に回復してもらうのです!」
レイスが指示を出すと、ケイルとミリアが剣を抜く。
アリスは拳を握りしめ、ティアナとヴィオンは周囲へ視線を向ける。
「……周りに正気を保った人はいなさそうね」
「ならば、ひとまずは制圧を優先するか。だが」
ティアナの言葉にヴィオンは同意を示しながら、すぐに空へ視線を向ける。
「ライゴウ! 小屋から誰か出て行かないか、見張っていてくれ!」
「ヂヂヂヂ!」
監視役をライゴウに任せて、ヴィオンも魅了された者たちの制圧に加わる。
「相手は一般人だ! 俺が言うのもなんだが、〈魅了〉されているだけで強くはないだろう! すぐに終わらせるぞ!」
声を上げたのはケイルだ。
彼が〈魅了〉されていた時は、クロウとピースの二匹がかりでようやく取り押さえることができた。
それはつまり、〈魅了〉される者の実力が反映されるということだ。
もしかすると冒険者などもいるかもしれないが、王太子殿下の護衛騎士に任命されるほどの実力者がいるとは思えない。
「任せてちょうだい!」
「コンコンコーン!」
「一気にいくぞ!」
「ぶん殴ってやるんだからね!」
「回復は任せてください!」
ティアナ、レクシア、ヴィオン、アリス、鈴音が声を上げた。
「私たちもいきましょう、ケイル様!」
「あぁ、ミリア!」
ミリアはケイルに声を掛けると、同時に駆け出す。
「頼りにしているよ、クロウ?」
「フシュシュッ!」
レイスは自らの影に潜んでいるクロウに声を掛けると、返事をもらって笑みを浮かべる。
それぞれが自分の役割を全うすることで、〈魅了〉された人たちの制圧は三分と掛からずに終わった。
だが、その三分でアッシュを逃がしてしまえば元も子もない。
「ライゴウ!」
ヴィオンは即座にライゴウの名を呼び、小屋から逃げ出した者がいないかを確認する。
するとライゴウは首を横に振り、否定を示した。
「地下などに抜け道がなければ、アッシュ様は小屋の中にいるはずです!」
「急ごう!」
「レクシアは念のためについて行ってちょうだい!」
「コンコン!」
ティアナとミリア、そしてアリスにこの場を任せて、レイス、ケイル、ヴィオン、鈴音は小屋へと急ぐ。
抜け道から逃げていた場合に備えてレクシアを同行させ、クロウは当然だがレイスの影に潜んでいる。
そうして小屋の中へ突入したレイスたちが見たものは――
「あ、兄上ええええっ!!」
「……」
声を上げたレイス。
アッシュは虚ろな瞳のまま、両手に握りしめたナイフで、自らの胸を突き刺そうとしていた。
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