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第四章
第181話:ヴィオンからの報告
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「それは本当ですか、ヴィオンさん?」
代表して返事をしたのはレイスだ。
「はい。どうにも視界が歪む場所があり、ライゴウもそこに何かあると思ったのか、上空を何度も旋回していました」
「視界が歪む……隠ぺい系のスキルが使われているのか?」
ヴィオンの報告を受けて、レイスは考え込む。
「よーし! そんじゃあそこへ乗り込めばいいんだね!」
するとティアナが力強い言葉でそう口にした。
「ちょっと、ティアナさん!?」
「なんだい、カエデ? もしかして、心配なの?」
「そりゃそうですよ! 何があるか分からないんですから!」
心配の声を上げた楓に対して、ティアナは笑いながら答える。
「大丈夫よー」
「ど、どうしてそう言い切れるんですか?」
「だってこっちには、Sランク冒険者の私とヴィオン、レクシアもいて、空にはライゴウ。ミリアとケイル様は騎士様だし、アリスと鈴音は上位のスキルを持っているわけ。……負ける要素、ある?」
ティアナがそう口にすると、楓もこれだけのメンツであれば負けることはないと思い始める。
だが、それでも心配なのは確かだ。
「アッシュ様を人質に取られたらどうするんですか?」
「その時はクロウが活躍してくれるんじゃないかな?」
思いついた心配事を口にすると、今度はレイスが答えた。
「レ、レイス様も行かれるんですか?」
「兄上を助けるためだし、言い出しっぺは僕だからね。王族だから待っていろなんて、言わないでほしいな」
レイスは責任感の強い人物だ。
だからこそ、最後の方は苦笑しながら口にした。
「……そ、それじゃあ私も――」
「カエデはダメよ。ピースと一緒にお城で待っていてちょうだい」
楓が「私もいく」と言おうとしたところで、ティアナがその言葉を遮った。
すると、この場にいる全員が大きく頷いている。
「……ど、どうしてですか?」
「私たちは自衛ができる。それは魔導具を持っているレイス様も同じ。だけど、カエデは違うでしょう?」
「でも、ピースが――」
「私は自衛ができるかどうかを言っているの。ピースが守ってくれるのは分かるけど、もしもピースがやられちゃったらどうするの? カエデは自分で自分を守れる?」
「そ、それは……」
ここの来て楓は、初めてティアナから厳しい言葉を浴びせられた。
もちろん、これが自分を心配しての言葉なのだと楓も理解している。
それでも最後の最後で仲間外れにされるのは、どうにも心苦しかった。
「……分かり、ました」
「よろしい」
楓がなんとか振り絞った答えを聞き、ティアナは満足そうに頷く。
そして、俯いてしまった楓を優しく抱きしめる。
「……ティアナさん?」
「安心して、カエデ。私たちはみんなで、無事に帰ってくるからね?」
「……はい」
少しの間、楓はティアナの腕の中に包まれていた。
そのおかげか、心は平穏に近づき、体を離してからも落ち着いて言葉を送ることができた。
「……皆さん。気をつけてください。そして、無事に帰ってきてください」
「任せなさい!」
「いってきます、カエデ様」
楓の言葉にティアナが力強く答え、最後にレイスが笑顔で返した。
レイスたちの背中を見送りながら、楓はぽつりとつぶやく。
「……私には、従魔具を作ることしかできないんだな」
「キャキュゲ……(カエデ……)」
「……よし! 信じて待とう、ピース!」
「キュン!(うん!)」
気持ちを切り替えた楓は、レイスたちが見えなくなるまでその場で見送り、それから与えられた部屋へと戻っていった。
◇◆◇◆
――王城を出発してから、一〇分後。
レイスたちはヴィオンの報告を受けた場所に到着していた。
王都の南地区にあたり、大都市にしては比較的人気の少ない地区でもある。
そこには低所得者の住居が乱立し、身寄りのない子供たちが暮らす孤児院もある。
「……まさか、孤児院の近くだなんてね」
そう口にしたのはティアナだ。
近くにある孤児院は、リディとミリーが暮らす場所でもあった。
「ティアナさん。あなたとレクシアだけでも孤児院へ向かわれますか? 心配なのでしょう?」
「いいえ。大丈夫です、レイス様。……迅速に、安全に片付けましょう」
本音を言えば孤児院を守りたい。
しかし、事実を伝えれば子供たちを不安にさせてしまう。
それならば、誰にも気づかれないように迅速に、安全に救出を終わらせればいいのだと考えた。
「……それに、カエデに啖呵を切った手前、私だけが孤児院のためだけに救出の場から抜けるわけにはいかないですから」
本音を言うのは恥ずかしいのか、ティアナは楓に掛けた言葉を理由にして笑顔で返した。
「……分かりました。それでは、いきましょう」
こうしてレイスたちは、ヴィオンとライゴウが見つけた怪しい場所へと足を踏み入れた。
代表して返事をしたのはレイスだ。
「はい。どうにも視界が歪む場所があり、ライゴウもそこに何かあると思ったのか、上空を何度も旋回していました」
「視界が歪む……隠ぺい系のスキルが使われているのか?」
ヴィオンの報告を受けて、レイスは考え込む。
「よーし! そんじゃあそこへ乗り込めばいいんだね!」
するとティアナが力強い言葉でそう口にした。
「ちょっと、ティアナさん!?」
「なんだい、カエデ? もしかして、心配なの?」
「そりゃそうですよ! 何があるか分からないんですから!」
心配の声を上げた楓に対して、ティアナは笑いながら答える。
「大丈夫よー」
「ど、どうしてそう言い切れるんですか?」
「だってこっちには、Sランク冒険者の私とヴィオン、レクシアもいて、空にはライゴウ。ミリアとケイル様は騎士様だし、アリスと鈴音は上位のスキルを持っているわけ。……負ける要素、ある?」
ティアナがそう口にすると、楓もこれだけのメンツであれば負けることはないと思い始める。
だが、それでも心配なのは確かだ。
「アッシュ様を人質に取られたらどうするんですか?」
「その時はクロウが活躍してくれるんじゃないかな?」
思いついた心配事を口にすると、今度はレイスが答えた。
「レ、レイス様も行かれるんですか?」
「兄上を助けるためだし、言い出しっぺは僕だからね。王族だから待っていろなんて、言わないでほしいな」
レイスは責任感の強い人物だ。
だからこそ、最後の方は苦笑しながら口にした。
「……そ、それじゃあ私も――」
「カエデはダメよ。ピースと一緒にお城で待っていてちょうだい」
楓が「私もいく」と言おうとしたところで、ティアナがその言葉を遮った。
すると、この場にいる全員が大きく頷いている。
「……ど、どうしてですか?」
「私たちは自衛ができる。それは魔導具を持っているレイス様も同じ。だけど、カエデは違うでしょう?」
「でも、ピースが――」
「私は自衛ができるかどうかを言っているの。ピースが守ってくれるのは分かるけど、もしもピースがやられちゃったらどうするの? カエデは自分で自分を守れる?」
「そ、それは……」
ここの来て楓は、初めてティアナから厳しい言葉を浴びせられた。
もちろん、これが自分を心配しての言葉なのだと楓も理解している。
それでも最後の最後で仲間外れにされるのは、どうにも心苦しかった。
「……分かり、ました」
「よろしい」
楓がなんとか振り絞った答えを聞き、ティアナは満足そうに頷く。
そして、俯いてしまった楓を優しく抱きしめる。
「……ティアナさん?」
「安心して、カエデ。私たちはみんなで、無事に帰ってくるからね?」
「……はい」
少しの間、楓はティアナの腕の中に包まれていた。
そのおかげか、心は平穏に近づき、体を離してからも落ち着いて言葉を送ることができた。
「……皆さん。気をつけてください。そして、無事に帰ってきてください」
「任せなさい!」
「いってきます、カエデ様」
楓の言葉にティアナが力強く答え、最後にレイスが笑顔で返した。
レイスたちの背中を見送りながら、楓はぽつりとつぶやく。
「……私には、従魔具を作ることしかできないんだな」
「キャキュゲ……(カエデ……)」
「……よし! 信じて待とう、ピース!」
「キュン!(うん!)」
気持ちを切り替えた楓は、レイスたちが見えなくなるまでその場で見送り、それから与えられた部屋へと戻っていった。
◇◆◇◆
――王城を出発してから、一〇分後。
レイスたちはヴィオンの報告を受けた場所に到着していた。
王都の南地区にあたり、大都市にしては比較的人気の少ない地区でもある。
そこには低所得者の住居が乱立し、身寄りのない子供たちが暮らす孤児院もある。
「……まさか、孤児院の近くだなんてね」
そう口にしたのはティアナだ。
近くにある孤児院は、リディとミリーが暮らす場所でもあった。
「ティアナさん。あなたとレクシアだけでも孤児院へ向かわれますか? 心配なのでしょう?」
「いいえ。大丈夫です、レイス様。……迅速に、安全に片付けましょう」
本音を言えば孤児院を守りたい。
しかし、事実を伝えれば子供たちを不安にさせてしまう。
それならば、誰にも気づかれないように迅速に、安全に救出を終わらせればいいのだと考えた。
「……それに、カエデに啖呵を切った手前、私だけが孤児院のためだけに救出の場から抜けるわけにはいかないですから」
本音を言うのは恥ずかしいのか、ティアナは楓に掛けた言葉を理由にして笑顔で返した。
「……分かりました。それでは、いきましょう」
こうしてレイスたちは、ヴィオンとライゴウが見つけた怪しい場所へと足を踏み入れた。
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