180 / 186
第四章
第180話:スキル〈魅了〉
しおりを挟む
「それにしても、〈魅了〉って恐ろしいスキルですね」
会議室を出た楓は、ふとそんなことを口にした。
「確かにね。相手が女性ってのも、結構厄介だね」
「女性と男性では、スキルの効果が変わるんですか?」
隣を歩いていたティアナの言葉に、楓は質問を口にした。
「基本的には変わらないんだけど、男の性なのかなんなのか分からないけど、〈魅了〉の効果が強く出るのは、不思議と女性の方が多いのよね」
「そうなんですね。……ねえ、鈴音さん」
ティアナの答えを聞いた楓は、続けて鈴音に声を掛けた。
「そのエレーナ様、だったっけ? その人って、美人さんなのかな?」
「とっても美人な人でしたよ」
「そうなんだ。それだと神道君やアッシュ様が、スキルに負けちゃうのも仕方ないのかな?」
「アッシュ様はともかく、ミッチーはアウトっしょ! 鈴っちがいながらだもん!」
いくら相手が美人であっても、彼女がいてそちらに引かれるのはダメだと、話を聞いていたアリスは憤慨している。
「あはは……でもまあ、そこに関してはアリスちゃんの言う通りだよね。大丈夫、鈴音ちゃん? もしも苦しかったり、きつかったら、手伝わなくてもいいよ?」
最初こそ苦笑いだった楓だったが、どれほどの強制力がスキルにあるのかは分からないが、彼女を悲しませるような真似をした道長を簡単に許してはいけないと考えている。
そして、道長の元カノだった鈴音を気遣い、声を掛けた。
「ううん。大丈夫ですよ、楓さん。別によりを戻したいとかはないんですけど、やっぱりこの世界では数少ない友達で、同郷の人ですから。見捨てるのは違うかなって思うんです」
「……そっか。鈴音ちゃんは強いね」
楓が感心したように呟くと、鈴音は恥ずかしそうに笑った。
「そこまでミチナガ様を責めないで上げてください」
そこへレイスが声を掛けてきた。
「エレーナ様……いいえ、エレーナのスキル〈魅了〉は、おそらくですが相当レベルの高い状態にあると思われます」
「それはどうしてですか?」
「僕もそうなのですが、兄上も王族という立場から、様々な状態異常対策の魔導具を常に身に着けているのです」
「え? でも、アッシュ様は〈魅了〉にかかっているんですよね?」
レイスの言葉に、楓は驚きの声を漏らし、女性陣も彼を見ている。
「いくら婚約者候補として呼んでいるとはいえ、悪意をもってスキルを使われたなら魔導具が対抗するはずなのです。それでも兄上はエレーナのスキルにやられてしまった。ということは、エレーナの〈魅了〉は魔導具の力をも上回るレベルにある、ということかと」
「ふん! だからってミッチーが鈴っちを泣かせていい理由にはならないからね!」
「そこは……えぇ、仰る通りですね」
アリスの態度を見たレイスは、これ以上何を言っても火に油を注ぐだけだとすぐに理解し、苦笑するにとどめた。
ただ、鈴音はどこか思うところがあったのか、思案顔で何か考えているようだ。
「……どうしたのー、鈴っちー?」
そこへアリスが声を掛けた。
「……スキル〈魅了〉って、女性から女性には使えないんですか?」
「そのようなことはないと思います。異性を惚れさせる限定のスキルではありませんので」
レイスがそう説明すると、鈴音は納得したように頷き、口を開く。
「……やっぱり道長君は、自分の意志でエレーナさんを好きになったんだと思います」
そして、道長が自らの選択でエレーナを選んだのではないかと伝えた。
「それは、どうして?」
「私と道長君が初めてアッシュ様の護衛としてエレーナ様にお会いした時、スキル発動の兆候も何も感じなかったんです」
「でも、相手が隠れて発動したんじゃない? レベルが高ければできそうだけど?」
鈴音の言葉にティアナが疑問を口にした。
「そうかもしれませんが、私の場合はスキル〈聖女〉のおかげか、スキル発動の兆候には敏感なんです。それでも感じなかったってことは、単純にエレーナさんの外見に道長君が惹かれたんじゃないかって」
「そう、だったんだね」
苦笑しながら答えた鈴音に、楓は寂しそうな顔でそう口にした。
「……ってーことは? やっぱり? ミッチーはぶん殴らないといけないってことねー?」
「ちょっと、アリスちゃん?」
「そうだよ、アリスちゃん! 私もぶん殴ってやりたいもん!」
「す、鈴音ちゃんまで!?」
アッシュ捜索の際中ではあるが、今だけは女子だけで盛り上がってしまう。
「レイス様! ご報告があります!」
するとそこへ、空からの監視を担っていたヴィオンが戻ってきた。
「どうしたんですか、ヴィオンさん?」
「王都南の外壁近くに、怪しい場所を見つけました」
ヴィオンの報告に、レイスたちは全員で顔を見合わせた。
会議室を出た楓は、ふとそんなことを口にした。
「確かにね。相手が女性ってのも、結構厄介だね」
「女性と男性では、スキルの効果が変わるんですか?」
隣を歩いていたティアナの言葉に、楓は質問を口にした。
「基本的には変わらないんだけど、男の性なのかなんなのか分からないけど、〈魅了〉の効果が強く出るのは、不思議と女性の方が多いのよね」
「そうなんですね。……ねえ、鈴音さん」
ティアナの答えを聞いた楓は、続けて鈴音に声を掛けた。
「そのエレーナ様、だったっけ? その人って、美人さんなのかな?」
「とっても美人な人でしたよ」
「そうなんだ。それだと神道君やアッシュ様が、スキルに負けちゃうのも仕方ないのかな?」
「アッシュ様はともかく、ミッチーはアウトっしょ! 鈴っちがいながらだもん!」
いくら相手が美人であっても、彼女がいてそちらに引かれるのはダメだと、話を聞いていたアリスは憤慨している。
「あはは……でもまあ、そこに関してはアリスちゃんの言う通りだよね。大丈夫、鈴音ちゃん? もしも苦しかったり、きつかったら、手伝わなくてもいいよ?」
最初こそ苦笑いだった楓だったが、どれほどの強制力がスキルにあるのかは分からないが、彼女を悲しませるような真似をした道長を簡単に許してはいけないと考えている。
そして、道長の元カノだった鈴音を気遣い、声を掛けた。
「ううん。大丈夫ですよ、楓さん。別によりを戻したいとかはないんですけど、やっぱりこの世界では数少ない友達で、同郷の人ですから。見捨てるのは違うかなって思うんです」
「……そっか。鈴音ちゃんは強いね」
楓が感心したように呟くと、鈴音は恥ずかしそうに笑った。
「そこまでミチナガ様を責めないで上げてください」
そこへレイスが声を掛けてきた。
「エレーナ様……いいえ、エレーナのスキル〈魅了〉は、おそらくですが相当レベルの高い状態にあると思われます」
「それはどうしてですか?」
「僕もそうなのですが、兄上も王族という立場から、様々な状態異常対策の魔導具を常に身に着けているのです」
「え? でも、アッシュ様は〈魅了〉にかかっているんですよね?」
レイスの言葉に、楓は驚きの声を漏らし、女性陣も彼を見ている。
「いくら婚約者候補として呼んでいるとはいえ、悪意をもってスキルを使われたなら魔導具が対抗するはずなのです。それでも兄上はエレーナのスキルにやられてしまった。ということは、エレーナの〈魅了〉は魔導具の力をも上回るレベルにある、ということかと」
「ふん! だからってミッチーが鈴っちを泣かせていい理由にはならないからね!」
「そこは……えぇ、仰る通りですね」
アリスの態度を見たレイスは、これ以上何を言っても火に油を注ぐだけだとすぐに理解し、苦笑するにとどめた。
ただ、鈴音はどこか思うところがあったのか、思案顔で何か考えているようだ。
「……どうしたのー、鈴っちー?」
そこへアリスが声を掛けた。
「……スキル〈魅了〉って、女性から女性には使えないんですか?」
「そのようなことはないと思います。異性を惚れさせる限定のスキルではありませんので」
レイスがそう説明すると、鈴音は納得したように頷き、口を開く。
「……やっぱり道長君は、自分の意志でエレーナさんを好きになったんだと思います」
そして、道長が自らの選択でエレーナを選んだのではないかと伝えた。
「それは、どうして?」
「私と道長君が初めてアッシュ様の護衛としてエレーナ様にお会いした時、スキル発動の兆候も何も感じなかったんです」
「でも、相手が隠れて発動したんじゃない? レベルが高ければできそうだけど?」
鈴音の言葉にティアナが疑問を口にした。
「そうかもしれませんが、私の場合はスキル〈聖女〉のおかげか、スキル発動の兆候には敏感なんです。それでも感じなかったってことは、単純にエレーナさんの外見に道長君が惹かれたんじゃないかって」
「そう、だったんだね」
苦笑しながら答えた鈴音に、楓は寂しそうな顔でそう口にした。
「……ってーことは? やっぱり? ミッチーはぶん殴らないといけないってことねー?」
「ちょっと、アリスちゃん?」
「そうだよ、アリスちゃん! 私もぶん殴ってやりたいもん!」
「す、鈴音ちゃんまで!?」
アッシュ捜索の際中ではあるが、今だけは女子だけで盛り上がってしまう。
「レイス様! ご報告があります!」
するとそこへ、空からの監視を担っていたヴィオンが戻ってきた。
「どうしたんですか、ヴィオンさん?」
「王都南の外壁近くに、怪しい場所を見つけました」
ヴィオンの報告に、レイスたちは全員で顔を見合わせた。
79
あなたにおすすめの小説
ブスすぎて嫁の貰い手がないから閨勤侍女になれと言われたので縁を切ります、完全に!完全縁切りの先にあったのは孤独ではなくて…
ハートリオ
恋愛
ルフスは結婚が決まった従姉の閨勤侍女になるよう父親に命令されたのをきっかけに父に無視され冷遇されて来た日々を終わらせようとブラコン父と完全に縁を切る決意する。
一方、従姉の結婚相手はアルゲンテウス辺境伯とのことだが、実は手違いがあって辺境伯が結婚したいのはルフス。
そんなこんなの異世界ファンタジーラブです。
読んでいただけると嬉しいです。
無能聖女の失敗ポーション〜働き口を探していたはずなのに、何故みんなに甘やかされているのでしょう?〜
矢口愛留
恋愛
クリスティーナは、初級ポーションすら満足に作れない無能聖女。
成人を迎えたことをきっかけに、これまでずっと暮らしていた神殿を出なくてはいけなくなった。
ポーションをどうにかお金に変えようと、冒険者ギルドに向かったクリスティーナは、自作ポーションだけでは生活できないことに気付く。
その時タイミングよく、住み込み可の依頼(ただしとても怪しい)を発見した彼女は、駆け出し冒険者のアンディと共に依頼を受ける。
依頼書に記載の館を訪れた二人を迎えるのは、正体不明の主人に仕える使用人、ジェーンだった。
そこでクリスティーナは、自作の失敗ポーションを飲んで体力を回復しながら仕事に励むのだが、どういうわけかアンディとジェーンにやたら甘やかされるように。
そして、クリスティーナの前に、館の主人、ギルバートが姿を現す。
ギルバートは、クリスティーナの失敗ポーションを必要としていて――。
「毎日、私にポーションを作ってくれないか。私には君が必要だ」
これは無能聖女として搾取され続けていたクリスティーナが、居場所を見つけ、自由を見つけ、ゆったりとした時間の中で輝いていくお話。
*カクヨム、小説家になろうにも投稿しています。
召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?
浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。
「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」
ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。
で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?
Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。
簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。
一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。
ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。
そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。
オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。
オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。
「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」
「はい?」
ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。
*--*--*
覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾
★全31話7時19時更新で、全話予約投稿済みです。
★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓
このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。
第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」
第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」
第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」
どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ
もしよかったら宜しくお願いしますね!
35年ローンと共に異世界転生! スキル『マイホーム』で快適5LDK引きこもり生活 ~数学教師、合気道と三節根で異世界を論破する~
月神世一
ファンタジー
紹介文
「結婚しよう。白い壁の素敵なお家が欲しいな♡」
そう言われて35年ローンで新築一戸建て(5LDK)を買った直後、俺、加藤真守(25歳)は婚約者に捨てられた。
失意の中、猫を助けてトラックに轢かれ、気づけばジャージ姿の女神ルチアナに異世界へと放り出されていた。
「あげるのは『言語理解』と『マイホーム』でーす」
手に入れたのは、ローン残高ごと召喚できる最強の現代住宅。
電気・ガス・水道完備。お風呂は全自動、リビングは床暖房。
さらには貯めたポイントで、地球の「赤マル」から「最新家電」までお取り寄せ!?
森で拾った純情な狩人の美少女に胃袋を掴まれ、
罠にかかったポンコツ天使(自称聖騎士)が居候し、
競馬好きの魔族公爵がビールを飲みにやってくる。
これは、借金まみれの数学教師が、三節根と計算能力を武器に、快適なマイホームを守り抜く物語。
……頼むから、家の壁で爪を研ぐのはやめてくれ!
過労死コンサル、貧乏貴族に転生す~現代農業知識と魔法で荒地を開拓していたら、いつの間にか世界を救う食糧大国になっていました~
黒崎隼人
ファンタジー
農業コンサルタントとして過労死した杉本健一は、異世界の貧乏貴族ローレンツ家の当主として目覚めた。
待っていたのは、荒れた土地、飢える領民、そして莫大な借金!
チートスキルも戦闘能力もない彼に残された武器は、前世で培った「農業知識」だけだった。
「貴族が土を耕すだと?」と笑われても構わない!
輪作、堆肥、品種改良! 現代知識と異世界の魔法を組み合わせた独自農法で、俺は自らクワを握る「耕作貴族」となる!
元Sランク冒険者のクールなメイドや、義理堅い元騎士を仲間に迎え、荒れ果てた領地を最強の農業大国へと変えていく、異色の領地経営ファンタジー!
前世の記憶を取り戻した元クズ令嬢は毎日が楽しくてたまりません
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のソフィーナは、非常に我が儘で傲慢で、どしうようもないクズ令嬢だった。そんなソフィーナだったが、事故の影響で前世の記憶をとり戻す。
前世では体が弱く、やりたい事も何もできずに短い生涯を終えた彼女は、過去の自分の行いを恥、真面目に生きるとともに前世でできなかったと事を目いっぱい楽しもうと、新たな人生を歩み始めた。
外を出て美味しい空気を吸う、綺麗な花々を見る、些細な事でも幸せを感じるソフィーナは、険悪だった兄との関係もあっという間に改善させた。
もちろん、本人にはそんな自覚はない。ただ、今までの行いを詫びただけだ。そう、なぜか彼女には、人を魅了させる力を持っていたのだ。
そんな中、この国の王太子でもあるファラオ殿下の15歳のお誕生日パーティに参加する事になったソフィーナは…
どうしようもないクズだった令嬢が、前世の記憶を取り戻し、次々と周りを虜にしながら本当の幸せを掴むまでのお話しです。
カクヨムでも同時連載してます。
よろしくお願いします。
婚約者を奪われ魔物討伐部隊に入れられた私ですが、騎士団長に溺愛されました
Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のクレアは、婚約者の侯爵令息サミュエルとの結婚を間近に控え、幸せいっぱいの日々を過ごしていた。そんなある日、この国の第三王女でもあるエミリアとサミュエルが恋仲である事が発覚する。
第三王女の強い希望により、サミュエルとの婚約は一方的に解消させられてしまった。さらに第三王女から、魔王討伐部隊に入る様命じられてしまう。
王女命令に逆らう事が出来ず、仕方なく魔王討伐部隊に参加する事になったクレア。そんなクレアを待ち構えていたのは、容姿は物凄く美しいが、物凄く恐ろしい騎士団長、ウィリアムだった。
毎日ウィリアムに怒鳴られまくるクレア。それでも必死に努力するクレアを見てウィリアムは…
どん底から必死に這い上がろうとする伯爵令嬢クレアと、大の女嫌いウィリアムの恋のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる