異世界従魔具店へようこそ!〜私の外れスキルはモフモフと共にあり〜

渡琉兎

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第四章

第180話:スキル〈魅了〉

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「それにしても、〈魅了〉って恐ろしいスキルですね」

 会議室を出た楓は、ふとそんなことを口にした。

「確かにね。相手が女性ってのも、結構厄介だね」
「女性と男性では、スキルの効果が変わるんですか?」

 隣を歩いていたティアナの言葉に、楓は質問を口にした。

「基本的には変わらないんだけど、男の性なのかなんなのか分からないけど、〈魅了〉の効果が強く出るのは、不思議と女性の方が多いのよね」
「そうなんですね。……ねえ、鈴音さん」

 ティアナの答えを聞いた楓は、続けて鈴音に声を掛けた。

「そのエレーナ様、だったっけ? その人って、美人さんなのかな?」
「とっても美人な人でしたよ」
「そうなんだ。それだと神道君やアッシュ様が、スキルに負けちゃうのも仕方ないのかな?」
「アッシュ様はともかく、ミッチーはアウトっしょ! 鈴っちがいながらだもん!」

 いくら相手が美人であっても、彼女がいてそちらに引かれるのはダメだと、話を聞いていたアリスは憤慨している。

「あはは……でもまあ、そこに関してはアリスちゃんの言う通りだよね。大丈夫、鈴音ちゃん? もしも苦しかったり、きつかったら、手伝わなくてもいいよ?」

 最初こそ苦笑いだった楓だったが、どれほどの強制力がスキルにあるのかは分からないが、彼女を悲しませるような真似をした道長を簡単に許してはいけないと考えている。
 そして、道長の元カノだった鈴音を気遣い、声を掛けた。

「ううん。大丈夫ですよ、楓さん。別によりを戻したいとかはないんですけど、やっぱりこの世界では数少ない友達で、同郷の人ですから。見捨てるのは違うかなって思うんです」
「……そっか。鈴音ちゃんは強いね」

 楓が感心したように呟くと、鈴音は恥ずかしそうに笑った。

「そこまでミチナガ様を責めないで上げてください」

 そこへレイスが声を掛けてきた。

「エレーナ様……いいえ、エレーナのスキル〈魅了〉は、おそらくですが相当レベルの高い状態にあると思われます」
「それはどうしてですか?」
「僕もそうなのですが、兄上も王族という立場から、様々な状態異常対策の魔導具を常に身に着けているのです」
「え? でも、アッシュ様は〈魅了〉にかかっているんですよね?」
 
 レイスの言葉に、楓は驚きの声を漏らし、女性陣も彼を見ている。

「いくら婚約者候補として呼んでいるとはいえ、悪意をもってスキルを使われたなら魔導具が対抗するはずなのです。それでも兄上はエレーナのスキルにやられてしまった。ということは、エレーナの〈魅了〉は魔導具の力をも上回るレベルにある、ということかと」
「ふん! だからってミッチーが鈴っちを泣かせていい理由にはならないからね!」
「そこは……えぇ、仰る通りですね」

 アリスの態度を見たレイスは、これ以上何を言っても火に油を注ぐだけだとすぐに理解し、苦笑するにとどめた。
 ただ、鈴音はどこか思うところがあったのか、思案顔で何か考えているようだ。

「……どうしたのー、鈴っちー?」

 そこへアリスが声を掛けた。

「……スキル〈魅了〉って、女性から女性には使えないんですか?」
「そのようなことはないと思います。異性を惚れさせる限定のスキルではありませんので」

 レイスがそう説明すると、鈴音は納得したように頷き、口を開く。

「……やっぱり道長君は、自分の意志でエレーナさんを好きになったんだと思います」

 そして、道長が自らの選択でエレーナを選んだのではないかと伝えた。

「それは、どうして?」
「私と道長君が初めてアッシュ様の護衛としてエレーナ様にお会いした時、スキル発動の兆候も何も感じなかったんです」
「でも、相手が隠れて発動したんじゃない? レベルが高ければできそうだけど?」

 鈴音の言葉にティアナが疑問を口にした。

「そうかもしれませんが、私の場合はスキル〈聖女〉のおかげか、スキル発動の兆候には敏感なんです。それでも感じなかったってことは、単純にエレーナさんの外見に道長君が惹かれたんじゃないかって」
「そう、だったんだね」

 苦笑しながら答えた鈴音に、楓は寂しそうな顔でそう口にした。

「……ってーことは? やっぱり? ミッチーはぶん殴らないといけないってことねー?」
「ちょっと、アリスちゃん?」
「そうだよ、アリスちゃん! 私もぶん殴ってやりたいもん!」
「す、鈴音ちゃんまで!?」

 アッシュ捜索の際中ではあるが、今だけは女子だけで盛り上がってしまう。

「レイス様! ご報告があります!」

 するとそこへ、空からの監視を担っていたヴィオンが戻ってきた。

「どうしたんですか、ヴィオンさん?」
「王都南の外壁近くに、怪しい場所を見つけました」

 ヴィオンの報告に、レイスたちは全員で顔を見合わせた。
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