転生したら『塔』の主になった。ポイントでガチャ回してフロア増やしたら、いつの間にか世界最強のダンジョンになってた

季未

文字の大きさ
3 / 72

3話

しおりを挟む
(か、神様!? いやいや、元過労死サラリーマンだって!)

あまりの飛躍に、俺は全力で否定のツッコミを入れたかった。
だが少女は真剣そのものだ。 ここで下手に激しく点滅して怖がらせるのもマズいか……?

(どう答えたもんか……)

答えに窮した俺はとりあえず反応として、肯定でも否定でもない曖昧な光を放ってみた。

「あ……」

少女は俺が光ったのを見て、それを神秘的な肯定か何かと受け取ったようだ。
彼女はおずおずと両手を胸の前で組んだ。……なんか祈りのポーズっぽくなってないか?

「か、神様……あの、ありがとうございます。助けてくれて……」

(もう「神様」呼びで固定されちゃった……)

まぁいいか。神様だと思われているうちは、少なくとも俺を蹴飛ばしたり捨てたりする心配はないだろう。
むしろ丁重に扱ってくれるかもしれない。彼女がここに滞在してくれればDPが溜まる俺としては、今のところ神様ムーブを続けるのは悪くない選択かもしれない。
少女はスープを飲み終え、空腹と寒さから解放された安堵感で少しほぅっとしている。俺の意識の中ではまたDPがゆっくりと溜まり始めていた。

[DP: 6] …… [DP: 7]

(さて……これから何をすべきか?)

少女は確保した。DPも稼げるようになった。
だが、問題は山積みだ。この部屋はボロいままだ……。
夜になれば真っ暗になるだろうし、粗末な扉では例の奴隷商人や魔物とやらがいつ入ってきてもおかしくない。
俺は改めて脳裏に浮かぶリストを確認した。DPが 7 しかない今、高価なものは生成できない。

(そうだ、食い物や布だけじゃダメだ。もっと……この場所自体をマシにする力はないのか!?)

俺は意識を脳裏に浮かぶリストの「外側」へと集中させる。
【食料】や【雑貨】だけじゃないはずだ!
【拠点強化】とか【防衛】とか、そういう項目はないのか!?
出てこい!

俺の必死の念が通じたのか半透明のウィンドウが一度かき消え、再び再構成された。
さっきまではなかった、新しいタブのようなものが見える!

(……あった! やっぱり!)

【生成リスト:基礎食料】
【生成リスト:生活雑貨】
【生成リスト:拠点機能】

(これだ!) 

俺は興奮気味に【拠点機能】のタブを開いた。
そこに表示されたのは……。

【生成リスト:拠点機能】

扉の補強 粗末な木製 → 頑丈な木製 …… 100 DP (DP不足)
鍵 …… 50 DP (DP不足)
石壁の修復  …… 300 DP (DP不足)

フロア増設ガチャ (低コスト) …… 1000 DP (DP不足)
管理人アバター (粘土) …… 5000 DP (DP不足)

(……うわっ、たっっっか!!!)

表示された数字の桁が食料や雑貨とはまるで違う。一番安い鍵ですら 50 DP。
今の俺のDPは……[DP: 8] さっきより少し増えたけど……。

(……ダメだ、全然足りない)

フロア増設ガチャとかアバターとか気になる単語も見えるが、今はそれどころじゃない。
現実的な防衛ラインである鍵すら今のペースだと何日かかるか……。

(……50DP? 100DP? 無理ゲーすぎだろ!もっとこう、安くて……今すぐ効果がある防衛手段は……!?)

俺は焦りながら脳裏のリストをもう一度必死に確認する。

【食料】……違う。
【雑貨】……松明(10DP)も足りない。
【拠点機能】……高すぎる。

(タブはこれだけか? 見落としは……ん?)

【拠点機能】のタブの、さらに下。 さっきは気づかなかった小さなカテゴリ表示があった。

【生成リスト:拠点機能】

扉の補強(100 DP)
鍵(50 DP)

【生成リスト:召喚 (ガチャ)】 (← NEW!)

(……召喚? ガチャ?)

胡散臭い単語が並んでいる。俺は恐る恐るそのタブを開いた。

【生成リスト:召喚 (ガチャ)】

一般魔物ガチャ ([C]コモン) …… 5 DP
コモン装備ガチャ(一つ) …… 30 DP (DP不足)
フロア増設ガチャ(低コスト) …… 1000 DP (DP不足)

(あった! しかも、安い!?)

「一般魔物ガチャ」、5DP。 さっき生成した「ふかしたパン」と同じ値段だ。今のDPは 8。余裕で引ける。

(だが、待てよ) 

俺の脳が急回転を始める。脳なんてないけど……。

(まず魔物は俺の言うことを聞くのか?そんな危険そうなものを、この狭い部屋に呼び出してどうするんだ?)

(次に、なぜこんなに安い? パンと同価値の魔物って……) 

(役に立つのか? 5DPの魔物が……?いや、それ以前に……)

俺は目の前で俺を神様と信じて静かに座っている少女に視線を移した。

(……いきなりこの部屋に「魔物」が出現したらどうなる?せっかく俺を「神様」と信じて安心しかけてるのに、化け物を召喚する神様なんて、恐怖以外の何物でもないだろ……最悪、パニックになって外に飛び出して、それこそ奴隷商人や外の魔物に捕まる可能性だってある)

俺が悩んでいる間にもDPは静かに加算されていく。

[DP: 9] ……[DP: 10]

(お、10になった。これならガチャを引いてもまだ5DP残る。パンも食わせられるが……)

悩む時間は、そこで終わった。

ガァンッ!!!

(っ!?)

突然粗末な木の扉が外から蹴破られたかのような轟音を立てた。
さっきまで静かだった部屋に怒号が響き渡る。

「いたぞ! こんな所に隠れやがって!」

扉が乱暴に開け放たれ、二人の男が雪崩れ込んできた。
一人は派手な服を着た太った商人風の男。脂ぎった顔を怒りに歪ませ息を切らしている。 
もう一人は、腰に剣を下げた護衛らしき男だ。

「ひっ!?」

俺のそばに座っていた少女が金切り声のような悲鳴を上げた。 顔は真っ青になり、ガタガタと震えだしている。

「こ、来ないで……!」

少女は慌てて立ち上がり、俺の後ろへと後ずさった。

「逃げられると思うなよ、クソガキが!」

太った男が、護衛の男に顎をしゃくる。 

「おい、捕まえろ! 今度こそ逃がさん!」
「あぁ!」

護衛の男が少女に手を伸ばしながら、近づいてくる。

(まずい! まずいまずいまずい!!)

絶体絶命だ。 
俺のDPは 10。 
 だが、【召喚(ガチャ)】の「一般魔物ガチャ (5DP)」なら、今すぐ引ける!

──やるしか、ない!



♢   ♢   ♢

[現在の拠点状況]
拠点名: (未設定)
階層: 1階のみ(コアの部屋兼入り口)
設備: なし
DP: 10
訪問者: 3名(少女(怯えている)、奴隷商人、護衛)
その他: 床に空の食器類、ぼろ布。

♢   ♢   ♢
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。

克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作 「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位 転生者のブルーノは絶大な力を持っていたが、その力を隠してダンジョンの荷役として暮らしていた。だが、教会の力で勇者を騙る卑怯下劣な連中に、レットドラゴンから逃げるための生贄として、ボス部屋に放置された。腐敗した教会と冒険者ギルドが結託て偽の勇者パーティーを作り、ぼろ儲けしているのだ。ブルーノは誰が何をしていても気にしないし、自分で狩った美味しいドラゴンを食べて暮らせればよかったのだが、殺されたブルーノの為に教会や冒険者ギルドのマスターを敵対した受付嬢が殺されるのを見過ごせなくて・・・・・・

転生したら王族だった

みみっく
ファンタジー
異世界に転生した若い男の子レイニーは、王族として生まれ変わり、強力なスキルや魔法を持つ。彼の最大の願望は、人間界で種族を問わずに平和に暮らすこと。前世では得られなかった魔法やスキル、さらに不思議な力が宿るアイテムに強い興味を抱き大喜びの日々を送っていた。 レイニーは異種族の友人たちと出会い、共に育つことで異種族との絆を深めていく。しかし……

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。 《作者からのお知らせ!》 ※2025/11月中旬、  辺境領主の3巻が刊行となります。 今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。 【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん! ※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

処理中です...