転生したら『塔』の主になった。ポイントでガチャ回してフロア増やしたら、いつの間にか世界最強のダンジョンになってた

季未

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10話

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また一夜が明けた。
俺の拠点は今や[C]コモンスライムたちの不断の労働によってDP生産工場と化していた。

ぷるるん! (帰還)べちゃっ! (資源を納品) [DP +20] ぷるるん! (再出撃)

スライム軍団の効率は凄まじく、DPは一晩で大幅に増加した。 だが同時に深刻な問題も発生していた。

「グルルル……」

朝食の時間。
俺はDPを消費し、少女と[C]ゴブリンには「温かいシチュー(30DP x 4 = 120DP)」を生成した。
だが[UC]アンコモンランクの魔物たち……ゴブリン・ファイター、コボルト二匹、ラット、ムカデはシチュー程度では満足しなくなった。
彼らはより多くのカロリー、より質の高いエサや肉を要求しているようだ……。

(仕方ない……!)

俺は追加で「チーズと干し肉のセット(50DP x 5 = 250DP)」を生成し、[UC]に与える。
……朝食だけで合計370DPが吹っ飛んだ。

(やばいぞ、これ……!)

スライムが稼ぐDPは凄まじいが召喚魔物が増えランクが上がるにつれて食費……維持コストがとんでもない勢いで跳ね上がっている! 
このままじゃ、稼いでも稼いでも食費で消えていく!

(これはなんとかしないといけないな……)

スライムはDPを稼ぐが食料は持ってこない。

(狩りをしてくれるモンスターをガチャで引き当てるか……?)

俺はリストを確認する。



♢   ♢   ♢

現在[DP: 2130](昨晩の残高380 + スライム稼ぎ(約2120) - 朝食(370) = 2130)

【生成リスト:召喚(ガチャ)】

[C] 一般魔物ガチャ (5 DP)
[UC] 下級魔物ガチャ (50 DP)

♢   ♢   ♢



(よし、決めた! 食費問題の解決……いや、狩猟部隊の設立だ!)

俺はスライム軍団が稼ぎ出した莫大なDP(2130)を元手に[UC]下級魔物ガチャに狙いを定める。

([C]コモン10匹分のコストだ。それに見合うだけの戦力、それも狩りができるヤツが欲しい!)

(頼む来てくれ……! 自分で獲物を狩ってこれるヤツ!)

俺は覚悟を決め[UC]下級魔物ガチャ(50DP)を一気に20回連続で実行した!

DPが2130 → 1130 

その瞬間、俺の部屋がもはや光で見えなくなるほどの召喚エフェクトで埋め尽くされた!

バチン! バチン! バチン!

強い光が20回連続で明滅する!
部屋の警備をしていたゴブリンたちも隅で寝袋の準備をしていた少女も突然の光の奔流に悲鳴を上げる。
リーダーであるはずのゴブリン・ファイターすら、あまりのカオスに後ずさっている。

光が収まった時。 

……俺の部屋は終わっていた。

物理的に魔物でパンパンになっていた。

(うわぁ……)

召喚されたのは、合計20匹の[UC]アンコモンの魔物たち。 
その内訳は……

[UC] コボルト(採掘・罠設置) …… 6匹
[UC] 大ムカデ(戦闘・防衛) …… 4匹
[UC] ジャイアントラット(偵察) …… 3匹

(ここまでは既存戦力の増強か……だが、新入りは!?)

[UC] スケルトン(戦闘・衛兵) …… 2匹
カタカタと骨を鳴らす、ボロい剣とボロい盾を持った骸骨兵士。

[UC] ジャイアントバット(偵察・飛行) …… 2匹
翼を広げると1メートルはありそうな巨大コウモリ。すぐに天井に張り付いた……。

[UC] スパイダー(戦闘・罠設置) …… 1匹
人の頭ほどの大きさの毒々しい蜘蛛。壁を這い、糸を吐き始めた。

(そして……!)

[UC] ファングウルフ(戦闘・狩猟) …… 2匹

「ガルルルル……!」

痩せているが鋭い牙と爪を持つ狼。

(来た!狩りをする魔物だ!)

俺が内心でガッツポーズをしたのも束の間、部屋は阿鼻叫喚の坩堝と化した。

「キャンキャン! (ここ掘る!)」
「キィィ! (狭い!)」
「(カタカタカタ!)」
「ガルルル! ((新入り同士で)俺が上だ!)」

[C]ゴブリンたちは完全に怯え、[UC]コボルトたちは7匹に増えたことで集団心理でツルハシを振り回し始め、ムカデたちは壁を這い回り、ラットは隙間を探し、ウルフ二匹はリーダー面して唸り声を上げている。

「グルァァァッ!!(黙れ!!!)」

ついに俺が任命したリーダー[UC]ゴブリン・ファイターがブチ切れた。彼はショートソードを抜き放ち、一番うるさかったファングウルフの前に立ちはだかる。
 [UC](進化種)と[UC]。 一触即発の空気が流れる。

少女はもはや悲鳴も出せず、寝袋を頭までかぶってガタガタと震えている。

(……まずい、内乱が起きる!もうゴチャゴチャ言い聞かせてる場合じゃない! この部屋、魔物でパンパンだぞ!)

少女は寝袋にくるまって完全にカタツムリ化している。ゴブリン・ファイターと新入りのファングウルフが一触即発。他の[UC]どもも好き勝手に騒いでいる。

(こうなったら……!)

俺はこの拠点で唯一格上に進化したエース、[UC]ゴブリン・ファイターに全権を委任することにした。

(ファイター! 聞こえるか!新入り[UC]どもが従わないなら、力ずくでいい! 全員まとめろ! 序列を叩き込め!)

俺の強烈な命令が届いた。 

「グルルル……ッ!」

ゴブリン・ファイターの目が、カッと見開かれた。
 [リーダーシップ]スキルと「神様(俺)」からの絶対命令。 彼は目の前で唸っていたファングウルフの顔面を、ショートソードの柄で殴りつけた!

「ギャン!?」

不意打ちを食らったファングウルフが怯む。
すかさずファイターは、もう一匹のウルフの喉元に剣先を突きつけ、「グルァァァ!!」と[威嚇 Lv.2]スキルを乗せて咆哮した。

(お、やった!?)

ファングウルフ二匹は自分たちより遥かに格上の存在であることを瞬時に理解し、「クゥン……」と情けない声を出すと、その場に尻尾を巻いてひれ伏した。
ファイターはウルフどもを一瞥すると、今度は部屋を見渡し騒いでいた他の[UC]たち……コボルト、ラット、ムカデ、スケルトンたちを片っ端から威嚇して回った。
 [UC]ランクとはいえ、所詮はLv.1。 進化した[UC] Lv.5の威圧感の前には、なす術もなく次々と縮こまっていく。

わずか数分。 あれほどカオスだった俺の部屋は、ゴブリン・ファイターを頂点とした、完璧な序列のもとに静まり返った。
 ……狭いのは変わらないが。

(すげぇ。さすがエース!)

 俺は安堵のため息をつく。ファイターは満足げに(?)頷いた。

(よし、これでやっと指示が出せる……!)

……の前に。こいつら新入りがどんな能力を持ってるか、まだちゃんと確認してなかったな。
俺はゴブリン・ファイターによって物理的に静まらせられた[UC]アンコモン軍団のステータスを脳裏に表示させた。

(まずは……カタカタ震えてるガイコツから)



♢   ♢   ♢

名前:スケルトン
レアリティ:[UC] アンコモン
種別:戦闘・衛兵用魔物 アンデッド
Lv: 1 HP: 30/30 | MP: 0
STR (筋力): 7
VIT (体力): 5 
AGI (敏捷): 5
INT (知力): 2

特技
[ボーンスラッシュ (Lv.1)]: 錆びた剣で斬りつける。
[アンデッド体質 (Lv.1)]: 精神攻撃・毒・睡眠などが効かない。食事不要。

進化先
[スケルトン・ソルジャー]: 戦闘能力が向上し、武器の扱いがうまくなる。
[スケルトン・ガーディアン]: 防御に特化し、[シールドガード]を習得する。

♢   ♢   ♢



(お、食事不要はデカいぞ! 知力2はスライム並みだが、命令さえ聞けば忠実な衛兵になりそうだ)

(次は……天井に張り付いてるデカいコウモリ)



♢   ♢   ♢

名前:ジャイアントバット
レアリティ:[UC] アンコモン
種別:偵察・飛行用魔物

Lv: 1 HP: 15/15 | MP: 5
STR (筋力): 3
VIT (体力): 3
AGI (敏捷): 12
INT (知力): 4

特技
[飛行 (Lv.1)]: (常時発動)自由に空を飛べる。
[超音波索敵 (Lv.1)]: MPを消費し、暗闇でも周囲の地形や敵の位置を探る。

進化先
[ヴァンパイアバット]: [吸血]能力を獲得し、戦闘(奇襲)も可能になる。
[ソニックバット]: [超音波索敵]が[音波攻撃]に派生し、敵を混乱させる。

♢   ♢   ♢



(AGI 12!ジャイアントラット(10)より速いし、空も飛べる。[UC]ラットと組ませれば、最強の偵察部隊ができそうだ)

(それから、壁で糸を吐いてる蜘蛛……)



♢   ♢   ♢

名前:スパイダー
レアリティ:[UC] アンコモン
種別:戦闘・罠設置用魔物

Lv: 1 HP: 25/25 | MP: 1
 STR (筋力): 5
VIT (体力): 6
AGI (敏捷): 8
INT (知力): 5

特技
[スティッキーネット (Lv.1)]: MPを消費し、粘着質の糸を吐き、敵の足止めをする。
[壁面移動 (Lv.1)]: (常時発動)壁や天井を自由に移動できる。

進化先
[タランチュラ]: [ポイズンファング](低級毒)を習得し、戦闘力が向上する。
[トラップスパイダー]: [スティッキーネット]が強化され、広範囲の罠(ワイヤーなど)を作れる。

♢   ♢   ♢



(コボルト とは別系統の即効性がある罠要員か。ムカデと合わせて壁・天井防衛組だな)
(そして最後、ゴブリン・ファイターに殴られてひれ伏した今回の目玉……)



♢   ♢   ♢



名前:ファングウルフ
レアリティ:[UC] アンコモン
種別:戦闘・狩猟用魔物

Lv: 1 HP: 40/40 | MP: 0
STR (筋力): 10
VIT (体力): 8
AGI (敏捷): 9
INT (知力): 5

特技
[噛みつき (Lv.1)]: 鋭い牙で噛みつき、低確率で[出血](継続ダメージ)状態にする。
[連携 (Lv.1)]: (常時発動)味方(特にウルフ系)と連携すると、命中率と威力がわずかに上がる。

進化先
[ダイアウルフ]: ([NR]ランク) 全ての能力が大幅に向上し、群れのリーダーとなる。
[シャドウウルフ]: 敏捷性が向上し、[隠密]能力を獲得、奇襲に特化する。

♢   ♢   ♢



(おお! [UC]の中じゃダントツで強い! HPもSTRもAGIも高い!こいつを育てればゴブリン・ファイターに次ぐエースアタッカー兼、食料調達狩猟部隊になってくれそうだ!)

俺はゴブリン・ファイターが統率し、静まり返った部屋を見渡した。

(よし、今こそ組織化だ!)

俺はエース[UC]ゴブリン・ファイター(Lv.5)に明確な命令、組織図を意識で叩き込んだ。

(お前が全軍のリーダーだ! 俺の命令通りに部隊を再編しろ!)

「グルルッ!」 

ファイターは力強く立ち上がると、部屋の中でひしめき合っている[UC]魔物たちを睨みつけた。

(まず、「狩猟部隊」! ファングウルフ! お前たちは外へ出て、食料を狩ってこい! 食費を稼げ!)

ファイターが唸り声を上げながらウルフたちに顎をしゃくる。ウルフたちは「ガウ!」と短く応えると、すぐさま扉に向かった。

(次に「偵察部隊」! ジャイアントラットとジャイアントバット! お前たちも外だ! ウルフたちとは別行動で、拠点周囲の安全を確認しろ! 敵が近づいていないか探れ!)

ラットとバットたちはファイターの威圧に縮こまりながらも、素早くウルフたちの後を追って扉の隙間から滑り出ていく。

(「資源収集部隊」! スライム軍団! お前たちはいつも通りだ! DPを稼いでこい!)

スライムたちは命令を理解してるか不明だが本能に従い、開いた扉からわらわらと外へ出ていった。

(コボルトとスパイダー! コボルトは探索に出て[採掘]して石材を集めろ! スパイダーは天井の隅に[スティッキーネット]を張れ!)

コボルト軍団は「キャンキャン!」と嬉しそうにツルハシを構え、外に出て行く。だが半数はここに残るようだ。……なんだ?役割分担があるのだろうか……?
スパイダーは静かに壁を登っていった。

(「防衛部隊」! 大ムカデ!お前らも天井だ! 少女を怖がらせるな! 敵が来たら天井から[強酸液]だ!)

 5匹の巨大ムカデがスルスルと壁を這い上がり、天井の暗がりに潜む。

(最後に、「警備隊」! 残りの[C]ゴブリンとスケルトン! お前らはファイターの直属として扉を死守しろ! スケルトンは食事不要みたいだし、睡眠も必要ないみたいだから夜間も頼むぞ!)

「「「ギィ!」」」
「(カタカタ!)」

[C]ゴブリンたちは格上のファイターの部下になれたのが嬉しいのか誇らしげに武器を構え直す。スケルトンたちは無言で扉の両脇を固めた。

(……よし!)

扉が再びゴブリンによって固く閉められる。あれほど魔物で飽和しカオスだった俺の部屋は……。
外に「狩猟」「偵察」「資源」「採掘」部隊を放出し、内部には「警備」「防衛」部隊が整然と配置された。
見違えるほど機能的な「拠点」になったぞ!

寝袋から顔だけ出していた少女も魔物たちがファイターの怒号で一糸乱れぬ動きで役割分担していく様子を、信じられないものを見る目で見つめていた。 

(……少しやりすぎたか?)

だが彼女の表情は恐怖よりも、この場所の異常な安全性を再認識したかのような安堵の色が濃くなっていた。

(まぁいいか。これでひと段落だ)

 俺は一仕事終えた達成感に浸る。
だが、根本的な問題は解決していない。

(……狭い!)

魔物の数に対して、この1階は圧倒的に狭すぎる!

俺は残りのDP(1130)と脳裏のリストを見つめた。 

やることはもう決まっている──



♢   ♢   ♢

[現在の拠点状況]
拠点名: (未設定)
階層: 1階のみ(組織化完了・手狭)
DP: 1130
訪問者: 1名(少女、安堵)
召喚中: 全38匹(各部隊に再編され稼働中)
♢   ♢   ♢
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