転生したら『塔』の主になった。ポイントでガチャ回してフロア増やしたら、いつの間にか世界最強のダンジョンになってた

季未

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70話

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冒険者たちの波が怒涛の勢いで[R]巨人の黒鉄門へと押し寄せた。 
その数は百に近い。剣、槍、斧──ありとあらゆる凶器がたった一体の門番へと向けられる。

だが、[R]スケルトン・バウォークは怯まない。
一歩も退かない。

「カッ……!!」

顎を鳴らし、左腕と一体化した超重量の[巨人の城壁盾]を地面に突き立てる。 
スキル発動── [不動 (Lv.MAX)]そして [フォートレス (Lv.1)]。

(たのむ……!耐えてくれ……!)

先頭の冒険者たちが体当たりを敢行するが、城壁にぶつかったかのように弾き返される。

「くそっ、魔法だ! 遠距離から削り殺せ!」 
「撃てぇぇぇッ!!」

後衛の魔術師や弓兵から火球や氷の矢が雨あられと降り注ぐ。 
爆炎が巻き起こり、バウォークの巨体が煙に包まれる。

(……どうだ!?)

俺は固唾を呑んで見守る。 
煙が晴れる。 
そこには──

「カッ」

傷一つない漆黒の鎧を輝かせ、悠然と佇むバウォークの姿があった。
[VIT 50]に[R]ランクの重装甲。生半可な攻撃など、蚊ほどにも感じていない!

(凄い防御力だ!さすがは俺の自慢の盾!)

「ば、馬鹿な!? 無傷だと!?」
「効いてねぇのかよ!?」

冒険者たちの間に動揺が走る。 
だが、彼らも必死のようだ。

「ええい、だったら隙間から槍で突け!」 
「足元だ! 転ばせろ! 動きは鈍いぞ!」

冒険者たちが戦術を変え、バウォークの足元や側面に群がり始める。 
バウォークは[盾]としては最強だが、攻撃速度は遅い。群がる羽虫をすべて叩き落とす手数は持っていないのだ。

「いけるぞ! 押せ、押し込め!」

冒険者たちが勝利の糸口を見つけたと思い込み、殺到する。 門の直下、バウォークの周囲に敵が密集した。

(今だ! [N]スケルトン・アーチャー! [N]レイス! 門の上から魔法と矢を浴びせろ!!)

俺の号令が飛ぶ。 
バウォークが見上げていた黒鉄の門──高い城壁の上から隠れていた死神たちが顔を覗かせた。

「カカッ!」
「ヒュ~……」

黒鉄の門の上部から死の雨が降り注いだ。

ヒュンヒュンヒュンッ!!

「ぎゃあああっ!?」 
「う、上だ! 上から矢が!?」

[N]スケルトン・アーチャーたちが放つ骨の矢が、バウォークに群がっていた冒険者たちの無防備な頭上を正確に射抜く。 
さらに、[N]レイスたちが不気味な悲鳴と共に[恐怖の叫び]や魔法を浴びせかける。

「ひぃッ、体が動かねぇ!?」
「助け……ぐあっ!」

密集していた冒険者たちは、格好の的だった。 
バウォークという絶対的な壁に阻まれ、足を止めたところに頭上からの集中砲火。 前衛が崩れ、後衛がパニックに陥る。

だが、悪夢はそれだけでは終わらない。

「ギギギ……」

門の装飾だと思われていた石像たちが、不気味な音を立てて動き出した。

「な、なんだ!? 石像が動いた!?」 
「ガーゴイルだ!!」

[N]ガーゴイルたちが[石化擬態]を解き、重力を乗せた急降下攻撃を開始した! 
空からの質量爆撃。石の爪が冒険者の兜ごと頭蓋を砕き、翼が陣形を切り裂く。

「ギャアアアアッ!!」

(すげぇ……!)

俺は戦慄と興奮に震えた。 
[R]スケルトン・バウォークが敵のヘイトと攻撃を一手に引き受け、隙だらけになった敵をアーチャーやガーゴイルたちが一方的に粉砕する。

完璧な連携だ。 
バウォークが金床となり、防衛部隊がハンマーとなって敵を叩き潰している!

(これなら勝てる! 完封できるぞ!)

だが──。

「進めぇッ!! 退くな! 退いたら殺されるぞォッ!!」 
「うおおおおおおッ!!」

矢の雨に晒され、仲間が倒れているというのに冒険者たちは退こうとしない。 
それどころか、血走った目で、半ば狂乱したようにバウォークへ突撃を繰り返してくる。

(……なんなんだ、こいつらは?)

俺は違和感を覚えた。 普通の精神状態なら、これだけの戦力差を見せつけられれば心が折れて逃げ出すはずだ。 なのに、彼らはまるで「目の前の死神(バウォーク)」よりも「後ろにある何か」を恐れているかのように、死に物狂いで前に出てくる。

(狂信者か何かか……? まあいい、来るなら叩き潰すだけだ!)

俺は疑問を振り払い、防衛部隊にさらなる攻撃を命じた。

(いける……! 主力がいなくても、この鉄壁の布陣なら守りきれる!)

[R]スケルトン・バウォークの鉄壁の防御と、防衛部隊による飽和攻撃。 
冒険者の群れは手も足も出ず、屍の山を築いている。 仮にここを突破されたとしても上層にはまだ手つかずのトラップフロアもある。 勝てる──!

俺が希望に目を輝かせた、その瞬間だった。

「……チッ。ゴミ共が」

戦場の喧騒を切り裂く、氷のように冷徹な声。

(──!?)

俺は目を疑った。 
雑魚冒険者たちの後ろ、血だまりの中にゆらりと立つ影。

(ゴア・シェルドー!?)

何故だ!? 何故ここにいる!?
 ジェネラルとの死闘で瀕死の重傷を負って逃げたはずだ! あんな深手、数時間で動けるようになるわけが──

(──いや、あり得る!)

俺はハッとした。 
つい先ほどリナの魔法とDPで、瀕死だったジェネラルたちが一瞬で全快したことを思い出したのだ。 
手段は違えど、理屈は同じ。

(そうか……! 奴も回復魔法科ポーションで回復しやがったんだ!)

とにかく奴は死の淵から舞い戻ってきた。 そして今、殺意は明確にこの塔へと向けられている!

(くそっ……! ジェネラル! ウルフ! 帰還にはどれくらいかかる!?)

俺は祈るような気持ちで、視点を森の奥にいる彼らへと切り替える。 
だが、そこに映っていたのは──

「■■■■■ッ!!!!」

暴走し、森の木々をなぎ倒して暴れまわる[R]オーク・デストロイヤーの姿だった。 
そして、それを必死に取り押さえようとするジェネラルとウルフたち。

「グルルゥ!(こいつをすぐに落ち着かせてから、急ぎ向かう……!!)」 
「ワオン!(やるぞ、ジェネラル! 暴れるなデカブツ!)」 
「ハヤクハヤク……! コノママジャ、マニアワナイよ~!」

ベルが悲痛な声を上げて飛び回っている。 
ダメだ。デストロイヤーが興奮状態にあり、すぐには離脱できない!

(くっ……まだ時間が掛かるか……!)

俺は視点を塔の正面──[R]巨人の黒鉄門へと戻す。 バウォークは健在だ。ゴア以外の有象無象どもは、完全にシャットアウトできている。 
数の暴力など、今の防衛部隊には通用しない。

だが──たった一人。 あの規格外の「個」だけは、話が別だ。

「──死ね、雑魚が」

ゴアの姿が、フッとかき消えた。 残像すら残さない、不可視の神速。

ヒュンヒュンヒュンッ────!!

風切り音だけが、遅れて鼓膜を叩く。

「ギィ!?」 
「ギャッ!?」

(──ッ!?)

俺が認識するよりも早く、空を舞っていた[N]ガーゴイルたちが次々とバラバラになって墜落した。 
石の身体が豆腐のように両断され、瓦礫の雨となって降り注ぐ。

(速すぎる……! 目で追えない!)

だが、悪夢は終わらない。 
次の瞬間、ゴアの姿は既に黒鉄の門の上──[N]スケルトン・アーチャーたちが布陣していた城壁の上にあった。

「カッ……!?」

(まずい、逃げ──)

俺の警告が届く暇もなかった。 剣閃が閃く。

ボロボロ……ッ!

弓を構えていたスケルトン・アーチャーたちが、一瞬にして骨の破片へと変わり果てた。 
斬撃の嵐。まさに処刑だ。

さらに刃は隣にいた[N]レイスをも捉える。

ザンッ!!

レイスの身体が袈裟懸けに斬り裂かれる。 
だが──刃は霊体をすり抜け、手応えなく空を切った。

「チッ。幽体か。小賢しい……!」

ゴアが不快げに舌打ちをする。 
[物理無効]。レイスの特性が、唯一ゴアの猛攻を無効化したのだ!

(ア、アーチャーとガーゴイルが一瞬で……!)

俺は戦慄した。 
レイスが生き残ったのは僥倖だ。だが、それだけだ。 
このままでは、バウォークも他の魔物たちも、あの速度に翻弄されて全滅する!

(ダメだ! ここで戦っちゃいけない!)

前の戦い──ジェネラルが瀕死になった時の記憶が蘇る。 
あの時、一瞬の判断の遅れが惨劇を招いた。 同じ轍は踏まない。勝てない場所で戦う必要はないんだ!

俺は即座に防衛部隊に撤退命令を飛ばした。

([N]レイス! [R]バウォーク! 撤退だ!! 門を捨てろ! 塔の中に引き込むんだ!!)

「カッ……!!」
「ヒィィィ……!」

俺の命令を受けレイスは壁をすり抜けて姿を消し、バウォークは巨大な盾を構えたままジリジリと後退を始める。
 開け放たれた黒鉄の門。
それを見た冒険者たちが、勝利を確信して歓声を上げた。

「おい見ろ! 骸骨がビビって逃げ出したぞ!」 
「門が開いた! 突撃だぁぁぁッ!!」 
「お宝は早いもん勝ちだぞォッ!!」

ゴアが切り開いた血路に、欲望に狂った冒険者の大群が雪崩れ込んでくる。まるで堤防が決壊したかのような濁流。

(くそっ……! 門は放棄だ!)

門という最強の地の利を失った。 
だが、まだ終わりじゃない。 この塔は16階建て。俺がDPを叩いて作った消耗戦用のダンジョンだ。

(塔の中で……防衛するしかない……!)

狭い通路、罠、そして地の利。
すべてを使って、奴らを削り殺すんだ。

頼む、みんな──持ちこたえてくれ!
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