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71話
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「うおぉぉッ!! 突撃だぁッ!!」
「骸骨が逃げたぞ! 押し込めぇッ!!」
勝利を確信した冒険者たちの濁流が、開け放たれた黒鉄の門をくぐり抜け、塔の内部へと雪崩れ込んでくる。
その瞬間だった。
《ピロン》
脳裏に今まで聞いたことのない軽快かつ無機質な電子音が響いた。
(……え?)
直後、俺の視界……脳内スクリーンが赤く点滅し、金色の文字が強制的に浮かび上がった。
♢ ♢ ♢
【警告:大規模侵攻を確認】
【ダンジョン防衛フェーズへ移行します】
[フェーズ詳細]
戦闘興奮状態(バトル・ハイ): 侵入者がダンジョン内に生存している間、DPの自動増加速度が200%に上昇します。
撃退ボーナス: 侵入者を撃退、または殺害した場合、通常より多くの経験値とDPを獲得できます。
[ギミック発生:ダンジョン・トレジャー]
塔内の各階層に、高純度の魔力を固めた宝箱が自動生成されます。冒険者により宝箱が開かれた瞬間、ランダムでアイテムが生成され略奪されます。
効果: 宝箱が存在している間、DP増加速度にボーナス(+50%/個)が加算されます。
リスク: 宝箱が侵入者に開錠・略奪された場合、ランダム生成された宝物により計算されたDPが没収されます。
[指揮官モード:解禁]
配下の魔物の視界を統合し、ダンジョン全体を俯瞰する[戦術マップ]が使用可能になります。
♢ ♢ ♢
「!?」
な、なんだこのアナウンスは!?
防衛フェーズ……!? バトル・ハイ……!? 一体、何が起こったんだ!?
(もしかして……冒険者たちに侵入されたから……?)
いや、でも前に二人組……ダインとジンに侵入された時は何も起こらなかったぞ?
さらに言えば、最初に奴隷商人が入ってきた時もこんな表示は出なかった。
(規模か? それとも、俺が塔を拡張して『ダンジョンらしく』なったから、システム側が防衛戦として認定したのか……?)
DPが増えるのは美味しいが宝箱を奪われると没収されるだって!?
まさにハイリスク・ハイリターン。ゲームみたいな展開になってきやがった!
(……だけど、考えるのは後だ!)
今は、目の前の敵を叩き潰すのが先決だ。
[戦術マップ]……? よく分からんが、使えるものは全部使う!
俺は意識を切り替え、広間に雪崩れ込んだ冒険者たちと待ち受ける魔物たちへとフォーカスした。
冒険者たちは勝利の雄叫びを上げて広間へ踏み込んだ。
だが──その足が、ピタリと止まる。
「!な……なんだこの広間は……?」
「壁が……全部、黒曜石で出来てる……!?」
そこは重厚な黒曜石で作られた巨大なホール──[R]ランクフロア『威圧の広間』だ。
足を踏み入れた瞬間、冒険者たちの動きが鈍る。 フロアの効果 [プレッシャー] が発動し侵入者の全ステータスをジワジワと蝕み始めたのだ。
そして彼らが顔を上げ、広間の奥を見た時──絶望が待っていた。
「おい……嘘だろ……?」
「いきなりミノタウロスにゴーレムかよ!?」
広間の暗がりから無数の赤い眼光が浮かび上がる。
待ち構えていたのは逃げたバウォークだけではない。 俺がこれまでのガチャで溜め込み、配置していた魔物の軍団が所狭しとひしめいていたのだ!
(ようこそ、俺のダンジョンへ。……防衛フェーズ開始だ!)
俺は冷徹な意志を込めて号令を発した。
(みんな……かかれ!!)
「カッ……!!」
「ブォォォォォッ!!」
後退していた[R]スケルトン・バウォークが巨大な盾を構え直して反転突撃を開始する。
それに呼応して、待機していた[N]ミノタウロスと[N]ゴーレムたちが地響きを立てて前進した。
「ぎゃあああっ!?」
「お、重すぎるッ! 支えきれねぇ!」
最前列の冒険者たちがバウォークの盾とミノタウロスの[グレートハンマー]によって、枯れ葉のように吹き飛ばされる。
さっきは門番一人で支えていた戦線が、今は重量級の壁となって冒険者たちを押し潰していく!
「ひぃぃ! こんなに魔物がいるだなんて聞いてねぇよ!」
「数が違いすぎる! 罠だ、罠だったんだ!」
パニックに陥る冒険者たち。
だが、逃げ場はない。一度入ったが最後、そこは処刑場だ。
(蹂躙しろ! 連携を見せてやれ!)
「シュルルル……!」
壁と天井からは[N]アシッド・センチピードと[UC]大ムカデ部隊が這い降り、酸の雨を降らせて冒険者の鎧を溶かす。
隊列が乱れたところへ、[N]デュラハンが[首無し]の体躯を活かして突っ込み大鎌で首を刈り取る。
「キシャァッ!」
「うわぁぁぁ! 首無し騎士だ!?」
さらに後方からは[N]リザードマンの槍部隊が隙間なく攻撃を叩き込む。
重量級が押し込み、遊撃隊が刈り取り、遠距離が削る。
以前とは比べ物にならない完璧な軍団としての連携。
狭い門をくぐって入ってきた冒険者たちは、広間展開した魔物の数と質に圧倒されすり潰される──。
(いい調子だ……! このまま押し切れる!)
冒険者たちの悲鳴が響き渡る。
数の暴力も、連携のとれた魔物軍団の前では無力だ。
勝てる──そう確信した、その時だっ────
「──この程度の雑魚に後れを取るとは……所詮、ゴミはゴミか」
冷徹な声が、戦場の熱気を凍りつかせた。
(ゴア・シェルドー……!)
血の海の中、ただ一人返り血一つ浴びずに佇む男。 Bランクの化け物──。
こいつだけは、他の奴らとは次元が違う!
「はぁッ!!」
ゴアの姿がブレた。
[N]ミノタウロスの豪腕が振り下ろされるが、それは残像を薙ぐだけに終わる。
(速いッ!?)
ここは『威圧の広間』だ。 侵入者には常に [プレッシャー]のデバフが掛かっているはずだ。
並の冒険者なら立っているだけで精一杯の重圧。
だが──奴はそれをそよ風か何かのように無視して動き回っている!
「ゴッ……!?」
すれ違いざま[N]ゴーレムの岩の腕が斬り飛ばされる。 硬度を無視した斬撃。
[N]リザードマンが槍を突き出すが、切っ先が届くよりも速く、その懐に潜り込まれている。
「ガッ……!?」
(くそっ、捉えきれない……!)
今の防衛部隊にはジェネラルもウルフもいない。
奴の異常な敏捷性に対応できる魔物が、ここにはいないんだ!
次々と、俺の魔物たちが鉄屑のように斬り捨てられていく──!
だが、その時だった。
「死ね」
ゴアの剣が逃げ遅れた[N]リザードマンの首を刎ねようと閃いた──その瞬間。
硬質な音が響き、ゴアの神速の一撃が虚空で弾かれた。
(……!?)
斬られたはずのリザードマンが無傷で立っている。
その体を覆うように展開された強固な光の膜。魔法障壁だ。
俺はすぐに理解した。
これは──リナの[ダンジョン・メイデン]としてのスキル、[コアの守護 (Lv.1)]だ!
「……させない!」
魔物たちの隊列の後方。
リナが[UC]乙女の聖杖を高く掲げ、気丈に叫んでいた。
恐怖で足がすくんでいるわけじゃない。仲間を守るため、Bランクの怪物相手に真っ向から魔法を放ったのだ。
「あぁん……?」
ゴアが不快そうに目を細め、剣を弾かれた手首を振る。
そして、その異質な光景に気づいた周囲の冒険者たちからもどよめきが上がった。
「おい、見ろよ……女だ!」
「人間か!? なんでこんな魔物の巣窟に、女がいるんだ!?」
冒険者たちは目を見開く。
醜悪な魔物と死臭が充満するダンジョンの最奥に、似つかわしくない服を纏った少女がいる。
しかも、その少女は魔物を守るために魔法を行使したのだ。
「魔物を庇ったのか……? どうなってやがる!」
混乱が走る戦場。
だが、その隙こそが好機だ!
「癒やしを……ダンジョンヒール!」
リナが[UC]乙女の聖杖を掲げると清浄な光が広間を満たした。 スキル [ダンジョン・ヒール (Lv.1)]。
俺からの無尽蔵なDP供給を受けた回復の光は、ゴアに斬り裂かれた[N]ミノタウロスや[N]リザードマンたちの深手を瞬く間に塞いでいく。
(よし! これなら戦線は維持できる!)
だが──その輝きは戦場で最も危険な捕食者の注意を引いてしまった。
「チッ」
ゴアが不快そうに舌打ちをし剣についた血糊を払う。 氷のような視線が魔物たちの壁の奥にいるリナを射抜いた。
「ガキが……チョロチョロと目障りだ」
殺気。 Bランクの放つ濃密な殺意が物理的な圧力を伴って少女を押し潰そうとする。
「ッ……!」
リナの華奢な肩がビクリと跳ねた。顔色が蒼白になる。 だが──彼女は退かなかった。 震える足を踏ん張り、杖を握りしめ、殺人鬼の目を真っ直ぐに見返したのだ。
ゴアの目が獲物を見る爬虫類のように細められた。
「テメェから殺してやる──」
次の瞬間、ゴアの姿がブレて消えた。
(しまっ──!?)
「カッ!?」
「ブモッ!?」
バウォークが盾を動かすよりも、ミノタウロスが腕を振るうよりも速い。
[瞬歩]による超高速機動。 魔物たちの反応速度を置き去りにし、ゴアは一瞬で防衛ラインをすり抜けた。
(速すぎるッ!!)
気づけばリナの目の前。 鼻先が触れるほどの距離に死神が立っていた。
「!」
リナが息を呑む。 剣が慈悲なく振り上げられる。
必殺の一撃──。
(リナッ!!)
俺の絶叫も間に合わない。
刃が振り下ろされようとした、その時だった。
「キィ──ッ!!」
リナの足元、その濃い影の中から漆黒の刃が噴き上がった。
「骸骨が逃げたぞ! 押し込めぇッ!!」
勝利を確信した冒険者たちの濁流が、開け放たれた黒鉄の門をくぐり抜け、塔の内部へと雪崩れ込んでくる。
その瞬間だった。
《ピロン》
脳裏に今まで聞いたことのない軽快かつ無機質な電子音が響いた。
(……え?)
直後、俺の視界……脳内スクリーンが赤く点滅し、金色の文字が強制的に浮かび上がった。
♢ ♢ ♢
【警告:大規模侵攻を確認】
【ダンジョン防衛フェーズへ移行します】
[フェーズ詳細]
戦闘興奮状態(バトル・ハイ): 侵入者がダンジョン内に生存している間、DPの自動増加速度が200%に上昇します。
撃退ボーナス: 侵入者を撃退、または殺害した場合、通常より多くの経験値とDPを獲得できます。
[ギミック発生:ダンジョン・トレジャー]
塔内の各階層に、高純度の魔力を固めた宝箱が自動生成されます。冒険者により宝箱が開かれた瞬間、ランダムでアイテムが生成され略奪されます。
効果: 宝箱が存在している間、DP増加速度にボーナス(+50%/個)が加算されます。
リスク: 宝箱が侵入者に開錠・略奪された場合、ランダム生成された宝物により計算されたDPが没収されます。
[指揮官モード:解禁]
配下の魔物の視界を統合し、ダンジョン全体を俯瞰する[戦術マップ]が使用可能になります。
♢ ♢ ♢
「!?」
な、なんだこのアナウンスは!?
防衛フェーズ……!? バトル・ハイ……!? 一体、何が起こったんだ!?
(もしかして……冒険者たちに侵入されたから……?)
いや、でも前に二人組……ダインとジンに侵入された時は何も起こらなかったぞ?
さらに言えば、最初に奴隷商人が入ってきた時もこんな表示は出なかった。
(規模か? それとも、俺が塔を拡張して『ダンジョンらしく』なったから、システム側が防衛戦として認定したのか……?)
DPが増えるのは美味しいが宝箱を奪われると没収されるだって!?
まさにハイリスク・ハイリターン。ゲームみたいな展開になってきやがった!
(……だけど、考えるのは後だ!)
今は、目の前の敵を叩き潰すのが先決だ。
[戦術マップ]……? よく分からんが、使えるものは全部使う!
俺は意識を切り替え、広間に雪崩れ込んだ冒険者たちと待ち受ける魔物たちへとフォーカスした。
冒険者たちは勝利の雄叫びを上げて広間へ踏み込んだ。
だが──その足が、ピタリと止まる。
「!な……なんだこの広間は……?」
「壁が……全部、黒曜石で出来てる……!?」
そこは重厚な黒曜石で作られた巨大なホール──[R]ランクフロア『威圧の広間』だ。
足を踏み入れた瞬間、冒険者たちの動きが鈍る。 フロアの効果 [プレッシャー] が発動し侵入者の全ステータスをジワジワと蝕み始めたのだ。
そして彼らが顔を上げ、広間の奥を見た時──絶望が待っていた。
「おい……嘘だろ……?」
「いきなりミノタウロスにゴーレムかよ!?」
広間の暗がりから無数の赤い眼光が浮かび上がる。
待ち構えていたのは逃げたバウォークだけではない。 俺がこれまでのガチャで溜め込み、配置していた魔物の軍団が所狭しとひしめいていたのだ!
(ようこそ、俺のダンジョンへ。……防衛フェーズ開始だ!)
俺は冷徹な意志を込めて号令を発した。
(みんな……かかれ!!)
「カッ……!!」
「ブォォォォォッ!!」
後退していた[R]スケルトン・バウォークが巨大な盾を構え直して反転突撃を開始する。
それに呼応して、待機していた[N]ミノタウロスと[N]ゴーレムたちが地響きを立てて前進した。
「ぎゃあああっ!?」
「お、重すぎるッ! 支えきれねぇ!」
最前列の冒険者たちがバウォークの盾とミノタウロスの[グレートハンマー]によって、枯れ葉のように吹き飛ばされる。
さっきは門番一人で支えていた戦線が、今は重量級の壁となって冒険者たちを押し潰していく!
「ひぃぃ! こんなに魔物がいるだなんて聞いてねぇよ!」
「数が違いすぎる! 罠だ、罠だったんだ!」
パニックに陥る冒険者たち。
だが、逃げ場はない。一度入ったが最後、そこは処刑場だ。
(蹂躙しろ! 連携を見せてやれ!)
「シュルルル……!」
壁と天井からは[N]アシッド・センチピードと[UC]大ムカデ部隊が這い降り、酸の雨を降らせて冒険者の鎧を溶かす。
隊列が乱れたところへ、[N]デュラハンが[首無し]の体躯を活かして突っ込み大鎌で首を刈り取る。
「キシャァッ!」
「うわぁぁぁ! 首無し騎士だ!?」
さらに後方からは[N]リザードマンの槍部隊が隙間なく攻撃を叩き込む。
重量級が押し込み、遊撃隊が刈り取り、遠距離が削る。
以前とは比べ物にならない完璧な軍団としての連携。
狭い門をくぐって入ってきた冒険者たちは、広間展開した魔物の数と質に圧倒されすり潰される──。
(いい調子だ……! このまま押し切れる!)
冒険者たちの悲鳴が響き渡る。
数の暴力も、連携のとれた魔物軍団の前では無力だ。
勝てる──そう確信した、その時だっ────
「──この程度の雑魚に後れを取るとは……所詮、ゴミはゴミか」
冷徹な声が、戦場の熱気を凍りつかせた。
(ゴア・シェルドー……!)
血の海の中、ただ一人返り血一つ浴びずに佇む男。 Bランクの化け物──。
こいつだけは、他の奴らとは次元が違う!
「はぁッ!!」
ゴアの姿がブレた。
[N]ミノタウロスの豪腕が振り下ろされるが、それは残像を薙ぐだけに終わる。
(速いッ!?)
ここは『威圧の広間』だ。 侵入者には常に [プレッシャー]のデバフが掛かっているはずだ。
並の冒険者なら立っているだけで精一杯の重圧。
だが──奴はそれをそよ風か何かのように無視して動き回っている!
「ゴッ……!?」
すれ違いざま[N]ゴーレムの岩の腕が斬り飛ばされる。 硬度を無視した斬撃。
[N]リザードマンが槍を突き出すが、切っ先が届くよりも速く、その懐に潜り込まれている。
「ガッ……!?」
(くそっ、捉えきれない……!)
今の防衛部隊にはジェネラルもウルフもいない。
奴の異常な敏捷性に対応できる魔物が、ここにはいないんだ!
次々と、俺の魔物たちが鉄屑のように斬り捨てられていく──!
だが、その時だった。
「死ね」
ゴアの剣が逃げ遅れた[N]リザードマンの首を刎ねようと閃いた──その瞬間。
硬質な音が響き、ゴアの神速の一撃が虚空で弾かれた。
(……!?)
斬られたはずのリザードマンが無傷で立っている。
その体を覆うように展開された強固な光の膜。魔法障壁だ。
俺はすぐに理解した。
これは──リナの[ダンジョン・メイデン]としてのスキル、[コアの守護 (Lv.1)]だ!
「……させない!」
魔物たちの隊列の後方。
リナが[UC]乙女の聖杖を高く掲げ、気丈に叫んでいた。
恐怖で足がすくんでいるわけじゃない。仲間を守るため、Bランクの怪物相手に真っ向から魔法を放ったのだ。
「あぁん……?」
ゴアが不快そうに目を細め、剣を弾かれた手首を振る。
そして、その異質な光景に気づいた周囲の冒険者たちからもどよめきが上がった。
「おい、見ろよ……女だ!」
「人間か!? なんでこんな魔物の巣窟に、女がいるんだ!?」
冒険者たちは目を見開く。
醜悪な魔物と死臭が充満するダンジョンの最奥に、似つかわしくない服を纏った少女がいる。
しかも、その少女は魔物を守るために魔法を行使したのだ。
「魔物を庇ったのか……? どうなってやがる!」
混乱が走る戦場。
だが、その隙こそが好機だ!
「癒やしを……ダンジョンヒール!」
リナが[UC]乙女の聖杖を掲げると清浄な光が広間を満たした。 スキル [ダンジョン・ヒール (Lv.1)]。
俺からの無尽蔵なDP供給を受けた回復の光は、ゴアに斬り裂かれた[N]ミノタウロスや[N]リザードマンたちの深手を瞬く間に塞いでいく。
(よし! これなら戦線は維持できる!)
だが──その輝きは戦場で最も危険な捕食者の注意を引いてしまった。
「チッ」
ゴアが不快そうに舌打ちをし剣についた血糊を払う。 氷のような視線が魔物たちの壁の奥にいるリナを射抜いた。
「ガキが……チョロチョロと目障りだ」
殺気。 Bランクの放つ濃密な殺意が物理的な圧力を伴って少女を押し潰そうとする。
「ッ……!」
リナの華奢な肩がビクリと跳ねた。顔色が蒼白になる。 だが──彼女は退かなかった。 震える足を踏ん張り、杖を握りしめ、殺人鬼の目を真っ直ぐに見返したのだ。
ゴアの目が獲物を見る爬虫類のように細められた。
「テメェから殺してやる──」
次の瞬間、ゴアの姿がブレて消えた。
(しまっ──!?)
「カッ!?」
「ブモッ!?」
バウォークが盾を動かすよりも、ミノタウロスが腕を振るうよりも速い。
[瞬歩]による超高速機動。 魔物たちの反応速度を置き去りにし、ゴアは一瞬で防衛ラインをすり抜けた。
(速すぎるッ!!)
気づけばリナの目の前。 鼻先が触れるほどの距離に死神が立っていた。
「!」
リナが息を呑む。 剣が慈悲なく振り上げられる。
必殺の一撃──。
(リナッ!!)
俺の絶叫も間に合わない。
刃が振り下ろされようとした、その時だった。
「キィ──ッ!!」
リナの足元、その濃い影の中から漆黒の刃が噴き上がった。
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※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。
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