本日のディナーは勇者さんです。

木樫

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一章 魔王城、意外と居心地がいい気がする。

51※

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 俺を扉に押しつけたアゼルは、そのまま薄いインナーの上から俺の肌に触れる。

 首筋から胸、腹筋、腰、そして下腹のあたりまでを、ツツ……、となぞった。


「ン……っ」


 そんなことをされたら、たまらない。
 火照った体は容易に熱を上げ、俺は快感で潤んだ目を見開きビク、と身を捩る。


「ひっ……なにを……ぁ、あぁ、あ」

「別に、もっと乱してやりたいとか思ってねぇぜ。ちっとも思ってねぇ。思ってねぇけど、俺はもうお前の血でだいぶ満たされたからな。今度は俺が手伝ってやる……どこが気持ちいいのか、言えよ」

「はっ……? なっ、ぁ、ンん……ッ」


 アゼルはどのあたりにそう思う要素があったのかわからないが、とんでもないことを言いだした。

 緊張して固くなった体を解すように筋肉をなでまわしながら、熱い唇に胸を這われる。

 それだけでもうビク、ビク、と俺の体は敏感に刺激を受け取り、否応なしに揺らめきだしてしまった。

 待て待て。責任を取るってこういうことなのか……!? だとしたらなにも解決していない。俺が恥ずかしくてたまらないということが、解決していない……!

 ドン引きされるならまだしも、予想外の展開に混乱して硬直する。

 その間に俺の体をなでながら舐めているアゼルは、どんどん彼曰く〝手伝ってやる〟を実行し始めた。

 器用なアゼルが俺の反応を見ながら、脇腹や肩口、内ももなどのいろんな場所を触り、どこが気持ちがいいのかあたりをつけだす。

 やめろ、そこはいけない。
 性感帯がバレる。

 勉強熱心なのはいいことだが、これだけは本当によしてくれ。


「へぇ。シャル、お前肩甲骨の谷間なんてトコ、感じるのかよ? それに男だから、ここは正解だろうな……ほら、勃ってる」

「あっ、そこは、ん……っ、アゼルっ」

「触られただけでこんなになるんだな……よし、吸血量の加減を覚えたぞ。昨日はもっと量多かったからもっと酷かっただろうし、これで適度によくしてやれるぜ。今日はちゃんと最後まで面倒みるからな? この俺に身を任せやがれ、ふふん」

「いっいいから触っ、あ、あぁ……っ」


 おバカ、じゃない。
 やや暴走癖のある魔界最強魔王さん。

 舐めるのをやめて顔を上げつつ、緩やかに勃起する屹立を布の上から指先でカリッと擦り昂る反応を指摘され、俺は切れ切れに悲鳴をあげた。

 自分でも知らなかった性感帯。
 まさかの、肩甲骨の間の背骨。

 そこをゴリゴリと指の関節で刺激され、ビクンッ、と背中をしならせ「あぁあ……ッ」と喘ぐ。

 まさかこんなところを触られて、官能を感じゾクゾクするとは。くっ、自分が変態な気がしてきた。

 喘がせている間にツンと俺のベルトに触れたアゼルの魔法で、しっかりと締めていたベルトはスルスルと解けて開く。

 なるほど、開錠の魔法か。
 ──使い方、間違ってるぞ……!

 ただでさえ催淫毒でもうその気・・・にさせられている俺は、滑り込んだアゼルの白枝のような指に絡めとられ、かぶりを振って悶えた。


「きっ汚い、汚いからやめ、っく」


 ちゅぷ、と粘着質な音をたてながら芯を持ち始めている陰茎に触れられ、目を見開く。

 俺の火照った体の責任を取る気満々のアゼルは、感じる場所を見つけると執拗にそこを責めるのだ。




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