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閑話 ガドと愉快な仲間たち
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しおりを挟むその仕事も放ったらかして、今のアゼルは一緒に救出作戦に加わっている。
しかし問題はない。
なんとサボりではなく、公認の外出だからだ。
察しのいいできる腹心、ライゼンさん。
彼がガドの治療要求でなにかを察していたようで、仕事の肩代わりをしつつ、笑顔で送り出してくれたらしい。
これで最大戦力の自由権を得た俺たちパーティーは、心置きなくお灸を据えられる。
更にライゼンさんは『なにかに使えるかもしれませんのでお持ちください』と、携帯救急薬的な役割を持つ彼の尾羽をくれたそうだ。
これでタローが怪我をしていたとしても、すぐに治せる。
アゼルとライゼンさんのコンビは汎用性が高すぎるな。だいたいなんとかなる。
(んん、タローが人質だという話を聞いてからたった半時で一分の隙もない構えに、親バカと言わずなんというのか……)
俺は真剣に悩み、やはりアゼルは親バカだという結論に達した。
下手人の受け入れ準備万端な、ウェルカム魔王コンボが決まってるんだ。決定打である。
まぁここまで怒っているのは、タローが捕まったからというだけではないだろう。
家族認定しているガドが、嫌だ嫌だと言いながらも辞表を書くハメになったからだろうな。
にしたって行動が早すぎる。
ううん、悔しいがとってもかっこいい。
戦闘系だとなんて頼もしいんだ。
うちの魔王様は。
「ふむぅ……最強すぎる……」
「?」
「一家に一台アゼルが必要だな」
「!?」
しみじみと呟く俺に、家電扱いされたアゼルはわけがわからず背後で困惑しているが、俺の目には入らない。
普通に考えると、人質もいて時間制限がある、かなり不利な状況だ。
にも関わらず、後はもう犯人たちをアゼルがドーンすればいいだけになってしまった。
心做しか頬をなでる風も心地いい。
いつもは猛スピードのガドの背で強風に耐えているんだが、アゼルのガードによってそよそよとそよ風程度の風圧である。
快適な空の旅で、俺の脳内はたっぷりの尊敬と感心、それから目からウロコだった。
なんというかあれだな……。
三人寄れば文殊の知恵、じゃないが、一人で立ち向かうより断然素早く対応できるし、安心感があるな。
この〝目的達成目前でウキウキの竜人たちにスピード解決で目にもの見せてやろう作戦〟で、俺の役目はタローの救出である。
隠密スキルのある俺なら危なげなく、見つからずにタローに近づけるだろう。
タローを奪還するまでアゼルは物陰で控えつつ、影縛りの魔法をじわじわ広める。
そしてガドが会話をメインに、竜人たちの注意を自分に逸らす手筈になっている。
俺が人質を奪う前にドーンしたとしても、タローを道連れにされると困るのだ。
アゼルがいないと物量で再敗北な上に、無事ではすまない。
ガドがいないと、そもそも近付けない。
誰が欠けても、弊害がある。
成功したってきっと怪我をしていると思う。
徒党を組んだリンドブルムたちが格上のガドを負かしたように、仲間がいれば無傷で完封できる作戦が、スキップしながらやってくるのだ。
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