お犬様のお世話係りになったはずなんだけど………

ブラックベリィ

文字の大きさ
364 / 446
第7章 儀式という夢の後

363★儀式に使ったモノは、全部処分するようです

しおりを挟む


 手を叩いて、双子にそう命令した和輝は、『何時でもすぐに、連絡が付くように持っていて欲しいの』と、、桜から手渡されたスマホを、上着のポケットから取り出す。

 桜の状態が不安定なので、何時でも対応できるようにと、和輝はずっといれっぱなしで持っていたのだ。

 和輝の命令に、流石に今日は自分達の体力遥かにオーバーしていると実感していた優奈と真奈は、元気よくハモって返事をする。

 「「はぁ~い」」

 双子の良い子のお返事に軽く手を振って応じた和輝は、まだ仕分けをしている竜也達に、スマホをいじりながら声を掛ける。

 「取り敢えず、スマホで爺やさんに、化粧品類やアクセサリー類なんかを
  どうするのか、聞いてみるよ

  もし、もう使い終わったからで、そのままポイッてコトだったら
  倉庫かなんかに取っておいてもらうから………」

 それを聞いた竜也は、選り分けの手を止めずに言う。

 「あっ……だったら、この布達もどうするか聞いて欲しいな」

 その手は、散らかした布を畳んでいるいるところだった。
 裁縫好きな竜也らしいセリフに、和輝も気軽く応じる。

 「ああ…んじゃ、ちっと聞いてみるわ」

 そう言って、和輝はスマホ画面に爺やと出ているスイッチを入れる。
 呼び出しコールが入ると同時に、乙姫が、手をあげて軽い感じで言う。

 「あっ…それじゃぁ…お風呂のお湯は、私が溜めに行ってくるねぇ~
  優奈ちゃんと真奈ちゃん、すぐに入れた方がいいでしょうから……
  もう、かなり遅いし…それに、スマホ濡れたら壊れちゃうかもだから」

 そう言って、乙姫は畳み終わった布を先に畳んで置いた布に、ひょいっと乗せて、さっと立ち上がり、奥にある風呂場へと向かう。
 そんな乙姫の申し出に、和輝はありがとうの意味で、軽く手を上げながら答える。

 「おう、頼むわ…最新式だから簡単だぜ」

 そう和輝が言い終わるのとほぼ同時に、呼び出しコール音が切れて、ここ数日で馴染み深くなった落ち着いた声が聞こえて来る。

 『はい…なんでしょうか?』

 あはっ…ラッキー…元が桜のスマホだからなぁ~……
 番号見て、すぐに出てくれたようだな

 「……っと…もしもし…爺やさんですか?」

 電話向こうの人物を確認する和輝の声を聞きながら、竜也は眼鏡の位置を神経質そうになおして、時計を見ながら言う。

 「かなり遅いねぇ~……たしかに、遅いどころじゃないよねぇ~……
  何と言っても、午前様なんて、とっくに越えている時間だもんねぇ~

  せめて、草木も眠る丑三つ時までには、優奈ちゃんや真奈ちゃんを
  ちゃんと寝かせてあげないとね、まだ伸び盛りの小学生なんだからさ

  あまり、遅くまで起きていると、脳内と体内時計の感覚が来るって
  ホルモンバランスなどが悪くなるかもしれないからね

  特に、睡眠不足は、身体の成長を促進する為の成長ホルモンの分泌が
  阻害される可能性が高いからね

  なぜなら、成長ホルモンが一番活発に分泌される時間帯なのは
  夜の睡眠時だからね」

 竜也のセリフに、竜姫が同意の意味で頷く。

 「ほんとよねぇ~…予定は未定で、次から次へと問題発生しちゃってさ
  もう、こんな時間ですもんねぇ~………

  身体にとって、最良の睡眠時間なんて、とっくに過ぎちゃっているし
  流石に、美容にも悪いわ」

 竜姫の言葉に、輝虎も肩を竦めて言う。

 「ああ、一日で、こんなに色々なイベントをこなしたのは初めてだ……」

 3人のそんな会話を背に聞きながら、和輝は爺やとのやり取りをしていた。

 『………ええ……儀式にしようしたモノは、処分する予定ですが?』

 それがどうかしましたか?……処分しますが、なにか?という意味を含んだ言葉に、和輝は内心で嘆息する。

 マジか?……つーか、やっぱりそうなのかよ……廃棄なんだな
 これだから、物に困ったことの無い金持ちって……はぁ~……

 まっ…きっと『もったいない』って感覚、無いんだろうなぁ~……
 取り敢えず、こっちに持ち込まれたモンの確認しないとな

 「それじゃ…あの化粧品類から、アクセサリー類なんかもですか?」

 『はい………こう言ってはなんですが…………
  当家の姫君方様達は、他人が使用したモノを使う
  などというコトはありえませんから………』

 あははは……姫と来たか…それも達だがら複数いるってコトだよな
 いったい、どんだけムダをしているりやら………

 つっても、こういう見るからに、旧家じゃ当たり前のコトかな
 だって『もったいない』って、する意味も理由もないんだから……

 じゃなくって、確認確認……と

 「それじゃ、あの器の群れや、布の山なんかもですが?」

 『はい、すべてです』

 「えぇ~とぉ…それじゃ、あのミシンとかはどうなんだ?」

 『勿論、処分しますが、それが何か?』

 スマホの向こう側で、蓬莱家の爺やが『はて、なんで、そのようなコトを聞くのでしょう?』と、不可解という表情で首を傾げているコトが窺い知れる声音での返答に、和輝は思わず溜め息を吐いてしまうのだった。














しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

悪役令嬢の身代わりで追放された侍女、北の地で才能を開花させ「氷の公爵」を溶かす

黒崎隼人
ファンタジー
「お前の罪は、万死に値する!」 公爵令嬢アリアンヌの罪をすべて被せられ、侍女リリアは婚約破棄の茶番劇のスケープゴートにされた。 忠誠を尽くした主人に裏切られ、誰にも信じてもらえず王都を追放される彼女に手を差し伸べたのは、彼女を最も蔑んでいたはずの「氷の公爵」クロードだった。 「君が犯人でないことは、最初から分かっていた」 冷徹な仮面の裏に隠された真実と、予想外の庇護。 彼の領地で、リリアは内に秘めた驚くべき才能を開花させていく。 一方、有能な「影」を失った王太子と悪役令嬢は、自滅の道を転がり落ちていく。 これは、地味な侍女が全てを覆し、世界一の愛を手に入れる、痛快な逆転シンデレラストーリー。

異世界ママ、今日も元気に無双中!

チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。 ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!? 目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流! 「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」 おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘! 魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!

処理中です...